「金利が上がると、家を買える人が減って、自分の物件が売れなくなるのでは」――そんな不安から、売却に踏み切れずにいませんか。判断を先延ばしにしている間に、買い手の数や価格の条件が静かに変わってしまうこともあります。この記事では、2026年の住宅ローン金利の実態を公的データや金融機関の見通しで整理し、金利上昇が「買える人」をどう減らすのか、そして不動産の価格や売却にどんな影響が及ぶのかを、専門用語をかみ砕いて解説します。読み終えるころには、「待つべきか、動くべきか」を自分で判断する材料がそろうはずです。
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「金利が上がると家が売りにくくなる」は本当か
結論から言えば、金利上昇は不動産売却にとって明確な逆風になり得ます。ただし「すぐに価格が暴落して売れなくなる」という単純な話ではありません。買い手の購買力が少しずつ削られ、エリアや物件によって売れ行きに差が広がっていく、というのが実態に近い見立てです。
多くの売主が誤解しがちなのは、「価格は今がピークで、待てばもっと高く売れる」という楽観です。後ほど数字で見ますが、2026年は金利が上昇局面に入り、買い手の借入余力が縮みつつあります。「待てば待つほど高く売れる」とは限らない局面に差しかかっている点を、まず冷静に押さえておきましょう。
2026年、住宅ローン金利は実際どこまで上がっているのか
影響を考える前に、足元の金利がどう動いているかを確認します。背景にあるのは、日本銀行による金融政策の転換です。
日銀の利上げという大きな流れ
金融機関や住宅ローン比較サービスの解説によると、日本銀行は2025年12月の金融政策決定会合で政策金利を0.5%から0.75%へ引き上げました。市場では、2026年中に政策金利が1.0%から1.5%程度まで到達するとの見方も出ています。政策金利は、住宅ローンの金利を動かす「おおもと」となる金利です。ここが上がると、私たちが借りるローンの金利にも時間差で波及していきます。
変動金利の動向
住宅ローン比較サービスのモゲチェックの2026年の解説では、2026年10月以降に新規貸出の変動金利が年0.25%程度引き上げられる可能性が高いとされ、一部銀行では最優遇金利が1%台に乗る可能性も指摘されています。変動金利は「半年ごとに見直される」タイプで、低金利の恩恵が大きい反面、上昇局面では返済額が増えるリスクを抱えます。
固定金利の動向
固定金利は、長期金利(新発10年国債利回り)に連動して動きます。金利が上がると金融機関の資金調達コストが増え、固定金利は上がりやすくなります。モゲチェックの2026年6月の解説では、固定金利が過去最大級の上昇を見せたとも報じられています。下表は、2026年4月時点の金利相場の目安を整理したものです(情報源・時点により変動します)。
| 金利タイプ | 2026年4月時点の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 変動金利 | 約1.0%前後 | 当初は低いが、半年ごとに見直され上昇リスクがある |
| 固定金利(フラット35) | 約2.5% | 返済額が一定で安心だが、変動より当初金利は高い |
両者の差は約1.5%。これまで多くの人が低い変動金利を選んできましたが、上昇局面に入ったことで「固定で安心を買う」動きも出ています。いずれにせよ、買い手にとって借入のハードルが上がっていることに変わりはありません。
金利上昇が「買える人」を減らすメカニズム
では、金利が上がるとなぜ買い手が減るのでしょうか。鍵は「毎月の返済額」と「借りられる金額(借入可能額)」の2つです。
毎月の返済額が増える
金利が上がると、同じ借入額でも毎月の返済が重くなります。不動産情報サイトのホームズの2026年の解説では、5,000万円を35年ローンで借りた場合、変動金利が0.5%から2.0%に上がると、月々の返済額が約3万6,000円増える可能性があるとされています。年間でおよそ43万円の負担増です。この差は家計に直結するため、購入をためらう人が増える要因になります。
借入可能額そのものが縮む
さらに見落とされがちなのが、金利上昇で「借りられる上限額」自体が下がることです。金融機関は、返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)に上限を設けています。金利が上がると同じ返済額で借りられる元本が減るため、年収が同じでも組めるローンの額が小さくなります。
たとえば、これまで5,000万円借りられた人が4,500万円までしか借りられなくなれば、その人が狙える物件の価格帯も下がります。つまり金利上昇は、「買う気はあるのに、予算が届かない人」を増やすのです。これが売主側から見ると、「自分の物件を買える層が薄くなる」という現象として表れます。
では不動産価格・売却はどうなるのか――誤解を整理する
「買える人が減るなら、価格はすぐ下がるはず」と考えたくなりますが、ここは慎重に見る必要があります。価格と売却のしやすさは、金利だけで決まるわけではないからです。
価格はすぐには暴落しにくい
各社の解説によると、国土交通省や不動産流通機構のデータをもとにしたマンション価格指数は、2025年11月時点で223.7と、2010年平均の2倍を超える高水準を保っています。中古マンションの在庫は2020年以降おおむね減少傾向にあり、売り物が少ない状態が価格を下支えしています。需要が冷えても供給も絞られているため、2026年にいきなり売却が困難になるとは考えにくい、という見方が一般的です。
ただし「エリア二極化」と「成約の減速」は進む
一方で、楽観だけはできません。東京23区などの都心は強い上昇トレンドが続く一方、それ以外の地域では2024年夏ごろから価格が横ばいに転じているとの指摘があります。さらに、成約件数には減速感が出ており、金利上昇が進めば「待てば高く売れる」前提が崩れる局面に入りつつあります。価格が高止まりしていても、実際に売れるまでの期間が延びる(売れにくくなる)リスクは高まっているのです。
売主が取るべき具体的なアクション
環境を踏まえ、これから売却を考える人が取るべき現実的な行動を整理します。
まずは早めに「今の価値」を把握する
金利と市況は刻々と変わります。だからこそ、売る・売らないを決める前に、複数の不動産会社に査定を依頼し、現時点の相場観をつかむことが第一歩です。査定は無料で行えることが多く、依頼したからといって必ず売る義務もありません。判断材料を早めに手に入れておくことが、結果的に損を防ぎます。
価格設定は「買い手の予算」から逆算する
前述のとおり、金利上昇で買い手の借入可能額は縮んでいます。強気すぎる価格を付けると、買える層がさらに薄くなり、売れ残って結局値下げするという悪循環に陥りがちです。「いくらで売りたいか」だけでなく、「いまの金利で、買い手は毎月いくらまで払えるか」という視点を持つと、現実的で売れやすい価格に近づけます。
売却のタイミングを意識する
「もう少し待てば高く売れるかもしれない」という期待は、金利上昇局面では裏目に出ることがあります。買い手が減り、売れるまでの期間が延びれば、保有コスト(ローン金利・固定資産税・管理費など)もかさみます。価格のわずかな上昇を待つより、買い手が動けるうちに適正価格で売り切る方が、トータルで有利になるケースは少なくありません。
ケース別の考え方
立場によって、最適な動き方は変わります。代表的な3つのケースを見てみましょう。
マイホームの住み替えを考えている場合
売却と購入が同時に発生するため、金利上昇は「売る側」「買う側」の両面で効いてきます。自分が次に組むローンの金利も上がっている点に注意が必要です。売り急いで安く手放し、買うときは高い金利でローンを組む、という二重の不利を避けるため、売却と購入の資金計画はセットで立てましょう。
投資用物件を保有している場合
賃貸経営の収支は、ローン金利の影響を直接受けます。変動金利で借りている場合、金利が上がると毎月のキャッシュフロー(手残り)が圧迫されます。出口(売却)を考えるなら、買い手である次の投資家も同じ金利環境で計算する点を踏まえ、利回りが見合う価格で早めに動く判断も選択肢になります。
相続した不動産を売る場合
相続物件は、空き家のまま保有しているだけで固定資産税や管理の負担が続きます。金利上昇で買い手が減る前に、現状の価値を確認し、売却の方向性を早めに固めることが、負担の軽減につながります。相続には税金の特例もあるため、専門家への相談と並行して進めると安心です。
まとめ:金利上昇局面は「情報を持つ人」が有利
住宅ローン金利の上昇は、毎月の返済額を増やし、買い手の借入可能額を縮めることで、確かに「買える人」を減らします。その影響は、価格の即時の暴落というより、エリアの二極化と成約の減速という形で、じわりと売却市場に表れます。だからこそ、売主に求められるのは、早めに今の価値を把握し、買い手の予算から逆算した価格を設定し、買い手が動けるうちに売り切る冷静さです。金利と市況という大きな流れは個人では変えられませんが、正しい情報を持って先に動く人は、この局面を不利にせず乗り切ることができます。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の取引や売却時期を推奨するものではありません。金利・価格・制度は各報道・公表時点のもので、今後変動します。具体的な判断は、最新情報を確認のうえご自身の責任で行ってください。
よくある質問
- Q. 金利が上がると、すぐに不動産価格は下がりますか?
A. すぐに暴落する可能性は高くないと見られています。マンション価格指数は高水準を保ち、在庫も減少傾向にあるため価格は下支えされています。ただし買い手は減りやすく、売れるまでの期間が延びる「売れにくさ」は強まる傾向にあります。 - Q. 売るなら今すぐ動くべきですか?それとも待つべき?
A. 一概には言えませんが、金利上昇局面では「待てば高く売れる」とは限りません。買い手が減り、保有コストもかさむため、まずは査定で現状を把握し、買い手が動けるうちに適正価格で売る選択が有利になるケースが多いです。 - Q. 変動金利と固定金利、買い手はどちらを選んでいますか?
A. これまでは低い変動金利を選ぶ人が多数でしたが、上昇局面に入り「固定で返済額を固定したい」という動きも出ています。売主としては、買い手の借入ハードルが全体的に上がっている点を意識することが大切です。 - Q. 金利が上がると、私の物件を買える人はどれくらい減りますか?
A. 正確な人数は出せませんが、金利上昇で借入可能額が縮むため、これまで届いた価格帯に手が届かなくなる買い手が増えます。結果として、自分の物件の価格帯を狙える層が薄くなります。 - Q. 査定を頼むと必ず売らないといけませんか?
A. いいえ。査定は多くの場合無料で、依頼しても売却の義務はありません。判断材料を早めに集めるためにも、まず複数社に査定を依頼して相場観をつかむことをおすすめします。
初心者のための用語集
- 政策金利
日本銀行が金融政策で誘導する基準となる金利。ここが動くと、住宅ローンなど世の中の金利に時間差で影響します。 - 変動金利
半年ごとに見直される住宅ローンの金利タイプ。当初は低めですが、金利上昇局面では返済額が増えるリスクがあります。 - 固定金利
借入期間中の金利が変わらないタイプ。返済額が一定で計画を立てやすい反面、当初の金利は変動より高めです。フラット35が代表例です。 - 借入可能額(与信)
金融機関が「この人にいくらまで貸せるか」と判断する金額。金利が上がると、同じ年収でも借りられる額が縮みます。 - 返済負担率
年収に占める年間返済額の割合。金融機関が融資の上限を決める際の重要な基準で、金利上昇は実質的にこの枠を圧迫します。 - マンション価格指数
不動産価格の動きを指数化したもの。国土交通省などが公表し、市場全体が上がっているか下がっているかを把握する目安になります。
参考サイト
- 日本銀行
政策金利や金融政策決定会合の結果を公表する中央銀行の公式サイト。 - モゲチェック「住宅ローン金利2026年6月の最新動向」
変動・固定金利の最新動向と今後の見通しをまとめた住宅ローン比較サービスの記事。 - SBI新生銀行「2026年の住宅ローン金利はどうなる?」
日銀の金融政策を踏まえた2026年の金利見通しを解説する金融機関のコラム。 - ホームズ「2026年のマンション価格は下落する?」
金利上昇の返済額への影響や価格推移を解説する不動産情報サイトの記事。 - 三菱UFJ不動産販売「金利上昇局面で中古マンション市場に何が起きるのか」
金利上昇が中古マンション市場に与える影響を分析した記事。
免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、いかなる不動産取引を推奨・勧誘するものではありません。記載されている情報は作成時点のものであり、正確性・完全性を保証するものではありません。不動産市場の状況は常に変化しており、経済指標・地域開発・金融政策など外的要因によって、予想を大きく上回る価格変動や市場動向の変化が生じる可能性があります。 不動産取引に関する最終的な判断は、読者ご自身の責任とリスク負担のもとで行ってください。本記事の内容を利用したことで生じたいかなる損害についても、執筆者および当サイト運営者は一切責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。不動産投資や売買に際しては、専門家への相談や最新の情報収集と慎重なリスク管理を徹底することを強く推奨いたします。
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