Contents
- 1 この記事の要点・結論
- 2 FAQ早見表【カテゴリ別50問一覧】
- 3 詳細Q&A:JLPT・語学要件
- 3.1 Q1. 飲食店で働くには、どのくらいの日本語レベルが必要?
- 3.2 Q2. JLPTのN3とN4では、日本語レベルはどれくらい違いますか?
- 3.3 Q3. ホール接客とキッチン調理で、求められる日本語レベルは変わりますか?
- 3.4 Q4. 「特定技能」の在留資格に必要な日本語レベルは?
- 3.5 Q5. JLPTとJFT-Basicの違いは何ですか?
- 3.6 Q6. JLPT N4の合格率はどのくらいですか? 難しい?
- 3.7 Q7. 面接で日本語レベルを見極めるコツはありますか?
- 3.8 Q8. 日本語能力は、採用後に伸ばすことはできますか?
- 3.9 Q9. JLPTのスコアだけでなく、会話力を重視すべきですか?
- 3.10 Q10. 日本語教育の費用は会社が負担すべきですか?
- 4 詳細Q&A:在留資格・ビザ手続き
- 4.1 Q11. 外国人を採用できる主な在留資格(ビザ)は何ですか?
- 4.2 Q12. 「特定技能1号」とはどんな在留資格ですか?
- 4.3 Q13. 「特定技能1号」と「特定技能2号」の違いは何ですか?
- 4.4 Q14. 「特定技能」と「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の違いは?
- 4.5 Q15. 留学生アルバイト(資格外活動許可)を雇う際の注意点は?
- 4.6 Q16. 在留資格の申請は誰がどこで行いますか?
- 4.7 Q17. 在留資格の申請にかかる期間と費用はどのくらい?
- 4.8 Q18. 2025年4月から在留資格の更新手数料が変わると聞きました。
- 4.9 Q19. 在留カードで確認すべきポイントは何ですか?
- 4.10 Q20. 採用した外国人の在留期間がもうすぐ切れそうです。どうすれば?
- 4.11 Q21. 不法就労をさせてしまった場合、どんな罰則がありますか?
- 4.12 Q22. 特定技能で採用した人材は、家族を日本に呼べますか?
- 4.13 Q23. 転職してきた外国人を採用する場合の手続きは?
- 4.14 Q24. 在留資格の申請が不許可になった場合、どうすればいいですか?
- 4.15 Q25. 行政書士や登録支援機関に手続きを代行してもらうメリットは?
- 5 詳細Q&A:支援計画・生活サポート
- 5.1 Q26. 特定技能の「支援計画」とは何ですか?必ず必要?
- 5.2 Q27. 支援計画にはどんな内容を盛り込む必要がありますか?
- 5.3 Q28. 支援はすべて自社で行わないといけませんか?
- 5.4 Q29. 「登録支援機関」とは何ですか?費用はどのくらい?
- 5.5 Q30. 社宅や寮は会社で用意する必要がありますか?
- 5.6 Q31. 住居探しのサポートはどこまで行えばよいですか?
- 5.7 Q32. 銀行口座の開設や携帯電話の契約を手伝う必要はありますか?
- 5.8 Q33. ゴミの分別など、日本の生活ルールはどう教えればいいですか?
- 5.9 Q34. 使える補助金や自治体の支援制度はありますか?
- 5.10 Q35. 定期的な面談はなぜ重要と言われるのですか?
- 6 詳細Q&A:労務・社会保険・税務
- 6.1 Q36. 外国人スタッフも社会保険(健康保険・厚生年金)への加入は必須ですか?
- 6.2 Q37. パート・アルバイトの場合、社会保険の加入条件はどうなりますか?
- 6.3 Q38. 雇用保険や労災保険も日本人と同じように適用されますか?
- 6.4 Q39. 雇用契約書は日本語だけで大丈夫ですか?
- 6.5 Q40. 給与水準は日本人と同じでなければなりませんか?
- 6.6 Q41. 所得税や住民税はどのように扱われますか?
- 6.7 Q42. 年末調整は外国人スタッフにも必要ですか?
- 6.8 Q43. 給与から天引きする項目について、どう説明すればいいですか?
- 6.9 Q44. 外国人を雇用した際にハローワークへの届出は必要ですか?
- 6.10 Q45. 短期で帰国するスタッフの社会保険料はどうなりますか?(脱退一時金)
- 7 詳細Q&A:トラブルシューティング
- 8 まとめ
- 9 参考サイト
- 10 初心者のための用語集
この記事の要点・結論
この記事では、飲食店が外国人採用で直面する50の頻出質問(FAQ)に対して、具体的かつ分かりやすい回答を提供します。JLPTのレベルごとの違いから、複雑な在留資格の手続き、特定技能外国人の支援計画、労務・トラブル対応まで、人事や店長が明日から使える知識を網羅的に解説しています。
本記事を読めば、外国人採用の不安や疑問が解消され、人手不足解決に向けた採用活動をスムーズに進め、採用後の定着まで成功させることができます。特に「特定技能」ビザでの採用を検討している飲食店様にとって、必携のガイドとなるでしょう。この記事をブックマークし、採用実務の伴走者としてご活用ください。
FAQ早見表【カテゴリ別50問一覧】
お探しの質問がどのカテゴリにあるか、まずは一覧でご確認ください。各質問をクリックすると、詳細な回答にジャンプします。(※このテンプレートではリンク機能は省略しています)
JLPT・語学要件(10問)
Q1. 飲食店で働くには、どのくらいの日本語レベルが必要? |
Q2. JLPTのN3とN4では、日本語レベルはどれくらい違いますか? |
Q3. ホール接客とキッチン調理で、求められる日本語レベルは変わりますか? |
Q4. 「特定技能」の在留資格に必要な日本語レベルは? |
Q5. JLPTとJFT-Basicの違いは何ですか? |
Q6. JLPT N4の合格率はどのくらいですか? 難しい? |
Q7. 面接で日本語レベルを見極めるコツはありますか? |
Q8. 日本語能力は、採用後に伸ばすことはできますか? |
Q9. JLPTのスコアだけでなく、会話力を重視すべきですか? |
Q10. 日本語教育の費用は会社が負担すべきですか? |
在留資格・ビザ手続き(15問)
Q11. 外国人を採用できる主な在留資格(ビザ)は何ですか? |
Q12. 「特定技能1号」とはどんな在留資格ですか? |
Q13. 「特定技能1号」と「特定技能2号」の違いは何ですか? |
Q14. 「特定技能」と「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の違いは? |
Q15. 留学生アルバイト(資格外活動)を雇う際の注意点は? |
Q16. 在留資格の申請は誰がどこで行いますか? |
Q17. 在留資格の申請にかかる期間と費用はどのくらい? |
Q18. 2025年4月から在留資格の更新手数料が変わると聞きました。 |
Q19. 在留カードで確認すべきポイントは何ですか? |
Q20. 採用した外国人の在留期間がもうすぐ切れそうです。どうすれば? |
Q21. 不法就労をさせてしまった場合、どんな罰則がありますか? |
Q22. 特定技能で採用した人材は、家族を日本に呼べますか? |
Q23. 転職してきた外国人を採用する場合の手続きは? |
Q24. 在留資格の申請が不許可になった場合、どうすればいいですか? |
Q25. 行政書士や登録支援機関に手続きを代行してもらうメリットは? |
支援計画・生活サポート(10問)
Q26. 特定技能の「支援計画」とは何ですか?必ず必要? |
Q27. 支援計画にはどんな内容を盛り込む必要がありますか? |
Q28. 支援はすべて自社で行わないといけませんか? |
Q29. 「登録支援機関」とは何ですか?費用はどのくらい? |
Q30. 社宅や寮は会社で用意する必要がありますか? |
Q31. 住居探しのサポートはどこまで行えばよいですか? |
Q32. 銀行口座の開設や携帯電話の契約を手伝う必要はありますか? |
Q33. ゴミの分別など、日本の生活ルールはどう教えればいいですか? |
Q34. 使える補助金や自治体の支援制度はありますか? |
Q35. 定期的な面談はなぜ重要と言われるのですか? |
労務・社会保険・税務(10問)
Q36. 外国人スタッフも社会保険(健康保険・厚生年金)への加入は必須ですか? |
Q37. パート・アルバイトの場合、社会保険の加入条件はどうなりますか? |
Q38. 雇用保険や労災保険も日本人と同じように適用されますか? |
Q39. 雇用契約書は日本語だけで大丈夫ですか? |
Q40. 給与水準は日本人と同じでなければなりませんか? |
Q41. 所得税や住民税はどのように扱われますか? |
Q42. 年末調整は外国人スタッフにも必要ですか? |
Q43. 給与から天引きする項目について、どう説明すればいいですか? |
Q44. 外国人を雇用した際にハローワークへの届出は必要ですか? |
Q45. 短期で帰国するスタッフの社会保険料はどうなりますか?(脱退一時金) |
トラブルシューティング(5問)
Q46. 採用した外国人がすぐに辞めてしまいました。離職を防ぐ対策は? |
Q47. 指示がうまく伝わりません。コミュニケーションで気をつけることは? |
Q48. 無断欠勤や失踪が起きた場合、どう対応すればいいですか? |
Q49. 宗教上の理由(食事、礼拝など)にはどう配慮すればよいですか? |
Q50. 他の日本人スタッフとの間でトラブルが起きてしまいました。 |
詳細Q&A:JLPT・語学要件
外国人スタッフの活躍には、日本語能力の正しい理解が欠かせません。ここでは、採用基準の要となるJLPT(日本語能力試験)や現場でのコミュニケーションに関する疑問にお答えします。
Q1. 飲食店で働くには、どのくらいの日本語レベルが必要?
- ホール接客:JLPT N3レベル以上が望ましい
- キッチン調理:JLPT N4レベル以上が目安
ホールでの接客業務は、お客様からの複雑な注文や質問に対応する必要があるため、日常会話がスムーズにできるN3レベルが求められます。一方、キッチン業務は専門用語が中心となるため、基本的な日本語が理解できるN4レベルから活躍が可能です。
採用ポジションに応じて、必要な日本語レベルの基準を設けることが重要です。
Q2. JLPTのN3とN4では、日本語レベルはどれくらい違いますか?
レベル | 認定の目安 | 語彙数(目安) | 漢字数(目安) |
---|---|---|---|
N4 | 基本的な日本語を理解することができる | 約1,500語 | 約300字 |
N3 | 日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる | 約3,000-4,000語 | 約650字 |
N4は「読む」「聞く」といった基本的な理解が中心ですが、N3になると新聞の見出しや看板など、より幅広い場面での日本語を理解し、自然に近いスピードの会話も聞き取れるようになります。N4からN3へのステップアップは、語彙数が倍増し、より実践的なコミュニケーション能力が身につく大きな違いがあります。
Q3. ホール接客とキッチン調理で、求められる日本語レベルは変わりますか?
- ホール:お客様との対話能力が求められるため、N3以上が理想。
- キッチン:作業指示の理解が中心のため、N4レベルでも可能。
はい、明確に変わります。ホールスタッフはメニュー説明、アレルギー確認、クレーム対応など、お客様との双方向コミュニケーションが必須です。一方、キッチンスタッフは「もっと火を弱めて」「野菜をカットして」といった定型的な指示や安全衛生に関する用語の理解が中心となります。
業務内容を具体的に分析し、それぞれに必要な語学レベルを設定することが、採用のミスマッチを防ぎます。
Q4. 「特定技能」の在留資格に必要な日本語レベルは?
在留資格「特定技能」を取得するには、原則として以下のいずれかの試験に合格する必要があります。
- 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
- 日本語能力試験(JLPT)のN4以上
これらの試験は「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力」を測るもので、特定技能外国人として日本で働き、生活するための最低限の基準とされています。ただし、介護分野のみ、これらに加えて「介護日本語評価試験」の合格も必要です。(2024年10月 厚生労働省)
Q5. JLPTとJFT-Basicの違いは何ですか?
どちらも特定技能の日本語要件として認められていますが、試験の形式と目的に違いがあります。
項目 | JLPT (N4) | JFT-Basic |
---|---|---|
目的 | 総合的な日本語能力の測定 | 日本での就労・生活場面でのコミュニケーション能力測定 |
試験形式 | マークシート方式 | コンピュータ・ベースド・テスティング(CBT) |
開催頻度 | 年2回(7月、12月) | 年6回程度(国による) |
結果発表 | 約2ヶ月後 | 試験終了後すぐ |
JFT-Basicは開催頻度が高く、すぐに結果がわかるため、急いで資格を取得したい外国人にとってはメリットが大きい試験です。
Q6. JLPT N4の合格率はどのくらいですか? 難しい?
JLPT N4の日本国内での合格率は、近年40%前後で推移しています。
- 2024年(第1回):44.1%
- 2023年(第1回):45.9%
- 2022年(第1回):38.5%
出典: 日本語能力試験(JLPT)公式ウェブサイト 過去の試験のデータ
N5(合格率60%台)に比べると難易度は上がり、合格は簡単ではありません。基本的な文法や語彙(約1,500語)、漢字(約300字)をしっかり学習する必要があります。N4合格は、日本語学習の最初の関門とも言えるレベルです。
Q7. 面接で日本語レベルを見極めるコツはありますか?
資格試験のスコアだけでなく、実際のコミュニケーション能力を確認することが重要です。
- 簡単な自己紹介だけでなく、深掘りする質問を投げかける。(例:「なぜこの店で働きたいですか?」「あなたの国の料理について教えてください」)
- ロールプレイングを取り入れる。(例:「お客様として注文してみてください」「クレームを言われたらどう対応しますか?」)
- ゆっくり、はっきりとした簡単な言葉で質問し、相手の理解度を確認しながら進める。
一方的に話させるのではなく、会話のキャッチボールができるかどうかが、現場での対応力を測る重要な指標になります。
Q8. 日本語能力は、採用後に伸ばすことはできますか?
はい、十分に可能です。むしろ、職場で日々日本語を使うことが最も効果的な学習になります。
- OJT(実務研修)での丁寧な指導
- マニュアルのふりがな化や図解化
- 日本語学習アプリやオンライン講座の費用補助
- 地域の日本語教室の情報提供
会社として学習をサポートする姿勢を示すことで、本人のモチベーションを高め、定着率の向上にも繋がります。
Q9. JLPTのスコアだけでなく、会話力を重視すべきですか?
はい、飲食店、特にホール業務では会話力を最優先で重視すべきです。 JLPTは「読む」「聞く」能力の比重が高い試験であり、高得点でも話すのが苦手な人もいます。
面接では、前述のロールプレイングなどを通じて、スムーズに言葉が出てくるか、相手の意図を汲み取って返答できるかといった「実践的な会話力」を確認しましょう。資格はあくまで目安と捉え、実際のコミュニケーション能力を正しく評価することが採用成功の鍵です。
Q10. 日本語教育の費用は会社が負担すべきですか?
法的な義務はありませんが、定着促進や生産性向上のための投資として、会社が一部または全額を負担することは非常に効果的です。
全額負担が難しい場合でも、資格取得時のお祝い金制度や、地域の安価な日本語教室の情報提供など、学習を奨励する仕組みを整えることが推奨されます。こうした支援は、従業員エンゲージメントを高める上でも大きな意味を持ちます。
詳細Q&A:在留資格・ビザ手続き
外国人採用で最も複雑で重要なのが在留資格(ビザ)の手続きです。ここでは、特に飲食店で関連の深い「特定技能」ビザを中心に、採用担当者が知っておくべき基本ルールを解説します。
Q11. 外国人を採用できる主な在留資格(ビザ)は何ですか?
飲食店で外国人を雇用する場合、主に以下の在留資格が該当します。
- 特定技能1号(外食):ホール接客、調理、店舗管理など幅広い業務に従事可能。
- 技術・人文知識・国際業務:主に大卒者対象。通訳や海外展開業務、本社での企画業務など。店舗での単純作業は不可。
- 留学(資格外活動許可):アルバイトとして週28時間以内の就労が可能。
- 永住者、定住者、日本人の配偶者等:就労活動に制限がないため、日本人と同様に雇用可能。
人手不足解消を目的とした現場スタッフの採用では、「特定技能1号」が最も一般的な選択肢となります。
Q12. 「特定技能1号」とはどんな在留資格ですか?
特定技能1号は、国内での人材確保が困難な12の産業分野(外食業を含む)において、一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れるための在留資格です。(2024年7月 出入国在留管理庁)
外食業では、飲食物調理、接客、店舗管理といった業務全般に従事できます。在留期間は通算で上限5年となっており、この資格を得るには日本語と技能の両方の試験に合格する必要があります。
Q13. 「特定技能1号」と「特定技能2号」の違いは何ですか?
特定技能2号は、1号を修了した人がさらに高い熟練レベルを証明することで移行できる在留資格です。主な違いは以下の通りです。
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|
在留期間 | 通算上限5年 | 上限なし(更新可) |
家族帯同 | 原則不可 | 可(配偶者・子) |
技能水準 | 相当程度の知識・経験 | 熟練した技能 |
支援計画 | 義務 | 不要 |
2号に移行できれば、在留期間の制限がなくなり、家族も呼べるため、永続的な活躍が期待できます。
Q14. 「特定技能」と「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の違いは?
最も大きな違いは、従事できる業務内容です。特定技能がレストランのホールやキッチンといった現場作業(現業)を主目的とするのに対し、「技人国」は大学等で学んだ専門知識を活かす業務(非現業)に限定されます。
例えば、本社の海外事業部でマーケティングを行う場合は「技人国」、店舗でお客様に料理を提供するのは「特定技能」となります。店舗での接客や調理を主業務として「技人国」ビザを取得することはできません。
Q15. 留学生アルバイト(資格外活動許可)を雇う際の注意点は?
「在留カード」の裏面を必ず確認し、「資格外活動許可」のスタンプがあること、そして労働時間が週28時間を超えないように厳密に管理することが絶対条件です。
長期休暇中(夏休みなど)は週40時間まで拡大されますが、この期間は学校が発行する証明書で確認する必要があります。時間を超過して働かせた場合、留学生本人のビザ更新が不許可になるだけでなく、雇用主も不法就労助長罪に問われる重い罰則があります。
Q16. 在留資格の申請は誰がどこで行いますか?
申請は、原則として外国人本人、または受け入れ企業(職員)、行政書士などの代理人が、申請者の住居地を管轄する地方出入国在留管理局に行います。
海外から新たに呼び寄せる場合は「在留資格認定証明書交付申請」を、国内にいる留学生などを採用する場合は「在留資格変更許可申請」を行います。手続きが複雑なため、専門の行政書士や登録支援機関に依頼するのが一般的です。
Q17. 在留資格の申請にかかる期間と費用はどのくらい?
- 期間:申請から許可までは通常1ヶ月~3ヶ月程度かかります。書類の不備や審査状況によっては、それ以上かかる場合もあります。
- 費用:許可が下りた際に、手数料として収入印紙を納付します。2025年4月1日から手数料が改定されるため注意が必要です。
これとは別に、行政書士などに依頼する場合は、10万円~20万円程度の代行報酬が発生します。
Q18. 2025年4月から在留資格の更新手数料が変わると聞きました。
はい、その通りです。2025年4月1日受付の申請から、在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請の手数料が引き上げられます。
申請種別 | 改定前(~2025/3/31) | 改定後(2025/4/1~) |
---|---|---|
在留期間更新許可申請 | 4,000円 | 6,000円 |
在留資格変更許可申請 | 4,000円 | 6,000円 |
(オンライン申請の場合) | – | 5,500円 |
出典: 行政書士法人Sankyosei International「入管申請定数料の改正について」(2025年3月)などを参考に作成
オンラインで申請すると500円安くなるため、今後の活用が推奨されます。
Q19. 在留カードで確認すべきポイントは何ですか?
面接時や入社手続きの際に、必ず在留カードの原本を目視で確認してください。
- ①氏名・顔写真:本人と一致しているか。
- ②在留資格:「特定技能」「留学」など、就労が可能な資格か。
- ③在留期間(満了日):有効期限が切れていないか。
- ④就労制限の有無:「就労不可」や「指定書により指定された活動のみ可」となっていないか。
- ⑤資格外活動許可欄(裏面):留学生の場合、「許可」のスタンプと「週28時間以内」の記載があるか。
これらの確認を怠ると、意図せず不法就労に関わってしまうリスクがあります。
Q20. 採用した外国人の在留期間がもうすぐ切れそうです。どうすれば?
在留期間の満了日のおおむね3ヶ月前から、地方出入国在留管理局で「在留期間更新許可申請」を行う必要があります。
申請を忘れて満了日を1日でも過ぎてしまうと「オーバーステイ(不法残留)」となり、退去強制の対象となります。企業の担当者は、スタッフの在留期間をリスト管理し、期限が近づいたら本人に声かけをするなど、更新手続きをサポートする体制を整えることが重要です。
Q21. 不法就労をさせてしまった場合、どんな罰則がありますか?
不法就労をさせた事業主には、「不法就労助長罪」が適用され、「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方」という非常に重い罰則が科せられます(出入国管理及び難民認定法 第73条の2)。
「外国人が不法就労者とは知らなかった」という言い訳は通用しません。在留カードの確認を怠った場合でも、過失があったとして処罰の対象となります。採用時の本人確認は、企業の存続に関わる重要な責務です。
Q22. 特定技能で採用した人材は、家族を日本に呼べますか?
在留資格の種類によって異なります。
- 特定技能1号:原則として、家族(配偶者や子)を帯同することはできません。
- 特定技能2号:要件を満たせば、配偶者と子を「家族滞在」ビザで呼び寄せることができます。
長期的な定着を望む本人にとって、家族帯同の可否は非常に重要な問題です。採用時にこの点を正確に説明し、将来的なキャリアパスとして特定技能2号への移行を目指せる環境を整えることが、優秀な人材の確保に繋がります。
Q23. 転職してきた外国人を採用する場合の手続きは?
同じ「特定技能(外食)」の資格を持つ外国人を中途採用する場合でも、新たな手続きが必要です。
- 在留資格変更許可申請:厳密には、受け入れ機関(会社)が変わるため、地方出入国在留管理局への届出や、場合によっては変更許可申請が必要となります。
- 新たな支援計画の作成:転職者に対しても、新たな雇用主として支援計画を作成し、実施する義務があります。
- ハローワークへの届出:前職の離職日と新たな入社日を届け出る必要があります。
「同じビザだから手続きは不要」と誤解せず、必ず入管や専門家に確認することが重要です。
Q24. 在留資格の申請が不許可になった場合、どうすればいいですか?
まずは地方出入国在留管理局に出向き、不許可になった理由を詳しく確認することが第一歩です。
理由としては、書類の不備、業務内容と在留資格の不一致、本人の素行の問題などが考えられます。不許可理由を解消できる見込みがあれば、指摘された点を修正し、理由書などを添付して再申請することが可能です。 ただし、一度不許可になると再申請のハードルは上がるため、行政書士などの専門家に相談することを強く推奨します。
Q25. 行政書士や登録支援機関に手続きを代行してもらうメリットは?
最大のメリットは、時間と労力を削減し、不許可リスクを最小限に抑えられることです。
- 専門知識:複雑な法律や頻繁な制度改正に対応し、適切な書類を正確に作成してくれる。
- 時間短縮:担当者が本来の業務に集中できる。
- リスク回避:書類不備による不許可や、申請の遅れといったリスクを避けられる。
- 情報提供:最新の法改正や助成金情報などを提供してくれる。
自社で全てを行うよりも費用はかかりますが、採用活動全体をスムーズに進めるための有効な投資と言えるでしょう。
詳細Q&A:支援計画・生活サポート
特定技能外国人を採用する企業には、彼らが日本で安心して働き、生活できるようサポートする「支援計画」の作成と実施が義務付けられています。ここでは、具体的な支援内容や外部委託について解説します。
Q26. 特定技能の「支援計画」とは何ですか?必ず必要?
はい、「特定技能1号」の外国人を雇用するすべての企業に、作成と実施が法律で義務付けられています。 支援計画とは、外国人が仕事や日常生活で困らないように、会社が提供するサポートの具体的な計画書のことです。
この計画書は、在留資格の申請時に出入国在留管理局へ提出する必要があります。計画通りに支援を実施しなかった場合、指導や罰則の対象となり、新たな外国人の受け入れができなくなる可能性もあります。
Q27. 支援計画にはどんな内容を盛り込む必要がありますか?
法律で定められた「義務的支援」は以下の10項目です。これらを網羅した計画を作成する必要があります。
- 事前ガイダンスの実施:雇用契約内容や日本での活動内容に関する情報提供。
- 出入国する際の送迎:空港と事業所・住居間の送迎。
- 住居確保・生活に必要な契約支援:アパートの連帯保証人になる、銀行口座開設や携帯電話契約の補助。
- 生活オリエンテーションの実施:日本のルールやマナー、交通機関、医療機関などの情報提供。
- 公的手続き等への同行:役所での住民登録などの手続きに同行。
- 日本語学習の機会の提供:日本語教室の情報提供や学習支援。
- 相談・苦情への対応:母国語で対応できる相談体制の構築。
- 日本人との交流促進支援:地域のお祭りへの参加案内など。
- 転職支援:会社の都合で解雇する場合の、次の就職先の斡旋支援。
- 定期的な面談の実施:本人とその上司等と3ヶ月に1回以上の面談。
これらは単なる努力目標ではなく、必ず実施しなければならない義務です。
Q28. 支援はすべて自社で行わないといけませんか?
いいえ、すべてを自社で行う必要はありません。 支援計画の全部または一部を、国の審査を経て正式に登録された「登録支援機関」に委託することができます。
特に、多言語対応が必要な相談窓口の設置や、専門知識が求められる公的手続きの同行などは、多くの企業が登録支援機関に委託しています。自社のリソースや得意分野に合わせて、委託する範囲を決めるのが効率的です。
Q29. 「登録支援機関」とは何ですか?費用はどのくらい?
登録支援機関とは、受け入れ企業に代わって、特定技能外国人への支援計画の作成・実施を行う機関のことです。出入国在留管理庁の登録を受けており、全国に多数存在します。
費用は、委託する支援内容や機関によって異なりますが、一般的に外国人1人あたり月額2万円~5万円が相場です。 これには、定期面談、相談対応、各種手続きサポートなどが含まれます。契約前に、支援内容と料金体系をしっかり確認しましょう。
Q30. 社宅や寮は会社で用意する必要がありますか?
会社が社宅や寮を提供することは義務ではありません。しかし、支援の一環として「住居の確保」をサポートする必要があります。
具体的なサポートとしては、物件情報の提供、内見への同行、賃貸契約時の連帯保証人になる、といった対応が求められます。慣れない土地で外国人が自力で家を探すのは非常に困難なため、企業の積極的な支援が不可欠です。
Q31. 住居探しのサポートはどこまで行えばよいですか?
最低限、以下のサポートが推奨されます。
- 物件情報の提供:会社の近くや通勤に便利なエリアの物件をいくつか紹介する。
- 不動産会社への同行:一緒に不動産会社を訪問し、通訳や説明を補助する。
- 賃貸借契約の支援:連帯保証人になる、または保証会社利用の支援を行う。契約内容を本人に分かりやすく説明する。
初期費用(敷金・礼金など)を会社が立て替えたり、一部補助したりすると、本人の負担が減り、スムーズな生活開始に繋がります。
Q32. 銀行口座の開設や携帯電話の契約を手伝う必要はありますか?
はい、これも「生活に必要な契約支援」として、支援計画に含まれる重要なサポートです。
給与振込のための銀行口座や、日本での連絡手段となる携帯電話は、生活の基盤です。必要な書類(在留カード、住民票など)の案内や、窓口への同行、申込書の記入補助など、本人が一人で契約を完了できるよう手助けすることが求められます。
Q33. ゴミの分別など、日本の生活ルールはどう教えればいいですか?
生活オリエンテーションの一環として、具体的かつ視覚的に教えるのが効果的です。
- 図やイラスト入りの資料:自治体が発行する多言語対応のゴミ分別ガイドなどを活用する。
- 実践的な指導:実際にゴミ捨て場に一緒に行き、分別方法や収集日を教える。
- 「やさしい日本語」の使用:「燃えるゴミ」「ペットボトル」など、簡単な言葉で説明する。
文化的な背景が異なるため、「知っているはず」という思い込みは禁物です。丁寧に繰り返し伝える姿勢が大切です。
Q34. 使える補助金や自治体の支援制度はありますか?
はい、国や自治体によっては、外国人材の受け入れや定着を支援するための補助金・助成金制度があります。
制度名 | 自治体 | 支援内容 |
---|---|---|
住居確保給付金 | 全国の自治体 | 離職等により住居を失うおそれがある場合に家賃相当額を支給 |
外国人介護人材家賃補助金 | 千葉県印西市など | 介護事業者が借り上げる住居の家賃の一部を補助 |
多文化共生推進事業補助金 | 横浜市など | 外国人住民支援を行うNPO等への活動費補助 |
出典: 横浜市、印西市などの公式ウェブサイト情報を基に作成
内容は自治体や時期によって変わるため、自社が所在する都道府県や市区町村のウェブサイトで「外国人支援 助成金」などのキーワードで検索してみることをお勧めします。
Q35. 定期的な面談はなぜ重要と言われるのですか?
3ヶ月に1回以上の定期面談は、本人の孤立を防ぎ、問題を早期発見・解決するために非常に重要であり、法律で定められた義務です。
面談では、仕事の悩みだけでなく、給与や労働時間への不満、人間関係、私生活の不安など、本人が抱える様々な問題を聞き出す機会となります。これにより、離職や失踪といった最悪の事態を防ぐことができます。面談は必ず母国語が通じる担当者が行うか、通訳を介して実施し、本人が安心して話せる環境を整えることが重要です。
詳細Q&A:労務・社会保険・税務
外国人スタッフも日本の労働者です。労働基準法や社会保険制度は、国籍を問わず平等に適用されます。ここでは、担当者が間違いやすい労務・税務のポイントを解説します。
Q36. 外国人スタッフも社会保険(健康保険・厚生年金)への加入は必須ですか?
はい、日本人従業員と全く同じ条件で、加入義務があります。国籍を理由に加入させないことは法律で禁止されています。
法人の事業所、または常時5人以上の従業員を使用する個人の飲食店は、社会保険の「強制適用事業所」です。そこで働く正社員や、週の労働時間および月の労働日数が正社員の4分の3以上であるパート・アルバイトは、国籍に関わらず被保険者となります。
Q37. パート・アルバイトの場合、社会保険の加入条件はどうなりますか?
パート・アルバイトであっても、以下の条件を満たす場合は社会保険への加入が必要です。
- 週の所定労働時間および月の所定労働日数が、同じ事業所で働く正社員の4分の3以上である場合。
- 上記に満たなくても、従業員数101人以上の企業(2024年10月からは51人以上)で、①週20時間以上、②月収8.8万円以上、③2ヶ月を超える雇用見込み、④学生でない、という4つの条件をすべて満たす場合。
「外国人だから」「アルバイトだから」という理由で加入させないのは違法です。
Q38. 雇用保険や労災保険も日本人と同じように適用されますか?
はい、雇用保険・労災保険(労働保険)も、国籍に関係なく日本人と同様に適用されます。
- 労災保険:すべての労働者(アルバイト含む)に適用されます。業務中や通勤中のケガに対して保険給付が受けられます。
- 雇用保険:週20時間以上働き、31日以上の雇用見込みがある労働者は加入義務があります。(一部の留学生は適用除外)
これらの保険手続きを怠ると、罰則の対象となるため注意が必要です。
Q39. 雇用契約書は日本語だけで大丈夫ですか?
労働基準法では言語の指定はありませんが、外国人本人が契約内容を十分に理解できるよう、母国語併記の雇用契約書(労働条件通知書)を作成することが強く推奨されます。
厚生労働省の指針でも「外国人が理解できる方法で明示すること」が求められています(外国人労働者の雇用管理の改善等に関する指針)。言語の壁による「言った、言わない」のトラブルを防ぐためにも、厚生労働省が提供する多言語対応のモデル労働条件通知書などを活用しましょう。
Q40. 給与水準は日本人と同じでなければなりませんか?
はい、労働基準法第3条により、国籍を理由とした賃金の差別は固く禁じられています。
同じ業務内容、同じ責任、同じ労働時間であれば、日本人従業員と同等以上の給与を支払わなければなりません。最低賃金を下回ることはもちろん、合理的な理由なく日本人より低い給与を設定することは違法であり、罰則の対象となります。
Q41. 所得税や住民税はどのように扱われますか?
原則として、日本人従業員と全く同じように扱われます。
- 所得税:毎月の給与から源泉徴収します。扶養家族の有無などによって税額が変わります。
- 住民税:前年の所得に基づいて課税され、原則として翌年6月から給与天引き(特別徴収)します。日本に来て1年目の年は課税されませんが、2年目から課税対象となることを事前に説明しておくことが重要です。
「なぜ手取りが減るのか」と不安にさせないよう、日本の税金の仕組みを丁寧に説明する必要があります。
Q42. 年末調整は外国人スタッフにも必要ですか?
はい、日本で給与を受け取っている外国人スタッフも年末調整の対象となります。これにより、1年間の所得税が精算され、払い過ぎた税金が還付される場合があります。
特に注意が必要なのは「扶養控除」です。母国に住む家族を扶養に入れる場合、「親族関係書類」や「送金関係書類」といった証明書類の提出が必要となります。手続きが複雑なため、会社側が早めにアナウンスし、必要書類の準備をサポートすることが大切です。
Q43. 給与から天引きする項目について、どう説明すればいいですか?
給与明細を渡す際に、各項目が何のためのものかを、やさしい日本語や図を使って説明するのが効果的です。
- 健康保険料:「病院に行くとき、安くなるためのお金です」
- 厚生年金保険料:「将来、年を取ったときにもらうお金(年金)のために貯めるお金です」
- 雇用保険料:「もし会社を辞めたとき、次の仕事が見つかるまで生活を助けるお金です」
- 所得税・住民税:「みんなが使う道路や学校、サービスのために国や市に払うお金です」
手取り額だけを見て「給料が少ない」と誤解されないよう、天引きされるお金が本人の将来や社会のために役立っていることを伝えましょう。
Q44. 外国人を雇用した際にハローワークへの届出は必要ですか?
はい、雇用保険の被保険者とならない外国人も含め、すべての外国人労働者の雇入れ・離職の際には、その状況をハローワークへ届け出る義務があります。(外国人雇用状況届出制度)
届出は、雇入れ・離職の翌月の10日までに行う必要があります。この届出を怠ったり、虚偽の届出を行ったりした場合には、30万円以下の罰金が科されることがあります。
Q45. 短期で帰国するスタッフの社会保険料はどうなりますか?(脱退一時金)
厚生年金保険の被保険者期間が6ヶ月以上ある外国人が、年金を受け取らずに帰国する場合、支払った保険料の一部を「脱退一時金」として受け取ることができます。
これは日本を出国してから2年以内に請求する必要があります。帰国が決まったスタッフから相談された際には、このような制度があることを伝え、日本年金機構のウェブサイトを案内するなど、情報提供を行うと親切です。
詳細Q&A:トラブルシューティング
文化や習慣の違いから、予期せぬトラブルが起こることもあります。ここでは、よくあるトラブル事例とその対処法について、具体的な解決策を提示します。
Q46. 採用した外国人がすぐに辞めてしまいました。離職を防ぐ対策は?
外食業における特定技能外国人の離職率は19.6%(2023年 Meiko global調査)と低くありません。離職を防ぐには、入社後のギャップをなくし、働きやすい環境を整えることが重要です。
- 労働条件の明確化:母国語の雇用契約書で、給与(残業代含む)や休日について誤解なく伝える。
- 丁寧なオンボーディング:入社後の研修を手厚くし、孤立させない。
- 定期的な面談:不満や不安を早期にキャッチし、解決する。
- キャリアパスの提示:特定技能2号への道筋や、スキルアップの機会を示す。
「聞いていた話と違う」という不満が、早期離職の最大の原因です。採用段階から誠実な情報提供を心がけましょう。
Q47. 指示がうまく伝わりません。コミュニケーションで気をつけることは?
言語の壁だけでなく、文化的な背景の違いもコミュニケーションギャップの原因になります。
- 「やさしい日本語」を使う:一文を短く、簡単な単語で話す。「〜してください」と明確に指示する。
- 視覚情報を活用する:写真や図、ジェスチャーを多用する。マニュアルを図解化する。
- 確認を徹底する:「分かりましたか?」だけでなく、「何をするか、言ってみてください」と復唱させて理解度を確認する。
- 背景を説明する:なぜその作業が必要なのか、理由を伝えることで納得感が得られ、行動に繋がる。
「察してくれるだろう」という期待は禁物です。明確で、丁寧なコミュニケーションを意識することが解決の第一歩です。
Q48. 無断欠勤や失踪が起きた場合、どう対応すればいいですか?
まずは落ち着いて、手順に沿って対応することが重要です。
- 本人へ連絡:電話やSNSで連絡を試み、安否を確認します。
- 緊急連絡先へ連絡:本人と連絡が取れない場合、事前に聞いていた国内の緊急連絡先に連絡します。
- 警察へ相談:事件や事故の可能性も考え、最寄りの警察署に相談します。
- 出入国在留管理局へ報告:失踪が確実になった場合、その事実を地方出入国在留管理局に報告する必要があります。
失踪の背景には、多額の借金や労働条件への不満など、深刻な問題が隠れていることが多いです。日頃からの面談を通じて、失踪の兆候を未然に防ぐことが最も重要です。
Q49. 宗教上の理由(食事、礼拝など)にはどう配慮すればよいですか?
最大限の配慮をすることが、多様性を受け入れる職場づくりの基本です。
- 食事(ハラルなど):豚肉やアルコールを使わないメニューをまかないで用意する、調理器具を分けるなどの対応を検討します。難しい場合は、本人が食事を持参することを許可するなどの柔軟な対応が必要です。
- 礼拝:イスラム教徒の1日5回の礼拝など、業務に支障のない範囲で休憩時間内に行えるよう、空きスペース(更衣室など)を礼拝場所として提供することを検討します。
採用面接の段階で、宗教上の配慮が必要かどうかを本人に確認し、会社としてどこまで対応できるかを率直に話し合うことが、後のトラブルを防ぎます。
Q50. 他の日本人スタッフとの間でトラブルが起きてしまいました。
文化的な誤解やコミュニケーション不足が原因であることがほとんどです。まずは当事者双方から、公平な立場で事情を聞き取ることが重要です。
- 個別のヒアリング:まず、それぞれの言い分を別々に聞きます。その際、どちらか一方を悪者と決めつけない姿勢が大切です。
- 背景の理解:なぜそのような言動に至ったのか、文化的な背景や価値観の違いを理解しようと努めます。
- 第三者を交えた話し合い:上司や人事担当者が仲介役となり、お互いの誤解を解き、解決策や今後のルールを一緒に考えます。
- 異文化理解研修の実施:全従業員を対象に、多様な文化を尊重し合うための研修を行うことも有効です。
トラブルは、より良い職場環境を築くための学びの機会と捉え、組織全体で対応することが求められます。
まとめ
本記事では、飲食店における外国人採用の頻出質問50問に、Q&A形式でお答えしました。JLPTのレベルから在留資格の複雑な手続き、日々の生活サポートや労務管理、そして万一のトラブル対応まで、採用担当者が直面するあらゆる疑問を網羅しました。
外国人採用の成功は、単に手続きをこなすだけでは成し遂げられません。法律やルールを正しく理解した上で、働く仲間として相手の文化を尊重し、安心して日本での生活を送れるようサポートする姿勢が何よりも重要です。 この記事が、貴社のグローバルな人材戦略の一助となり、深刻な人手不足を乗り越えるための羅針盤となれば幸いです。
参考サイト
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」 ─ ビザ手続きの一次情報として最も信頼できる公式FAQです。:contentReference[oaicite:0]{index=0}
- JLPT公式「2024年第1回試験結果(合格率統計)」 ─ 語学要件を説明する際の裏付けデータに最適。:contentReference[oaicite:1]{index=1}
- 厚生労働省「外国人の雇用 ─ ルールと届出」 ─ 社会保険・雇用管理の義務をまとめた公式ガイド。:contentReference[oaicite:2]{index=2}
- 出入国在留管理庁「在留手続手数料改定のお知らせ」 ─ 2025年4月1日からの手数料引き上げを確認できます。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
- 横浜市「住居確保給付金(家賃補助)」 ─ 生活サポート制度の具体例として引用可能。:contentReference[oaicite:4]{index=4}
初心者のための用語集
- JLPT:日本語能力試験。N5(初級)からN1(最上級)まで5段階で日本語力を測る国際基準の試験。
- N3:JLPTの中級レベル。日常業務で必要な日本語を概ね理解できる目安。
- 特定技能1号:人手不足分野で最長5年間就労できる在留資格。家族帯同は不可。
- 特定技能2号:熟練技能者向け在留資格。期間上限なし・配偶者と子の帯同が可能。
- 技術・人文知識・国際業務(技人国):ホワイトカラー職向けビザ。翻訳・経理・企画など専門業務が対象。
- 在留カード:外国人の在留資格・期限などを示す身分証。採用時に原本確認とコピー保存が必須。
- 資格外活動:在留資格の範囲外で働く行為。無許可の場合は不法就労となる。
- 支援計画:特定技能外国人に義務付けられる生活・労働サポートの計画書。2025年4月から12項目が必須化。
- 住居確保給付金:家賃相当額を自治体が支給する公的制度。外国人も一定要件で利用可能。
- 社会保険:健康保険・厚生年金などの総称。週20時間以上勤務の外国人も加入義務あり。
- 源泉徴収税率:給与支払時に差し引く所得税率。居住者・非居住者で税率が異なる。
- 離職率:一定期間内に退職した従業員の割合。外国人労働者の定着状況を測る指標。
