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そもそもフラット35とは?――仕組みと民間ローンとの決定的違い
住宅金融支援機構 + 民間金融機関の“協調型”モデル
フラット35とは、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫) と 民間金融機関 が提携して融資を行う“協調型”の全期間固定住宅ローンです。具体的には、民間金融機関が窓口となり、融資実行後に住宅金融支援機構が住宅ローン債権を買い取る「買取型」、もしくは民間金融機関が保証を付ける「保証型」の2形態があります。- 買取型:金利・審査基準などが全国一律に近い形で設定され、繰上返済手数料が無料のケースが多い
- 保証型:融資実行後も民間金融機関が保有。手数料や金利がやや高めになる場合もある
全期間固定金利 × 団信は「実質標準」加入 × 保証料ゼロ の特徴
フラット35の最大の特徴は「契約時の金利が完済まで固定」 される点です。変動金利や期間固定(例:10年固定)のように将来の金利見直しがないので、返済額が一生変わらず安心感があります。 また、民間ローンで発生しがちな 保証料がゼロ(または保証料そのものが不要) なのもフラット35特有です。銀行ローンでは外部の保証会社へ数十万円〜100万円超の保証料を支払う場合がありますが、フラット35は代わりに契約・融資事務手数料を支払う仕組みとなっています。 団信(団体信用生命保険)については、「任意加入」とされる一方で、近年の新機構団信では“込み”が標準 とされています。もし団信を外す場合は金利を▲0.20%する形などで対応する金融機関が多く、実質的には加入している方が大半です。メリット5選 ―― 変動/短期固定にない“安心コスト”を可視化
① 金利上昇リスクゼロ ② 返済計画が立てやすい
まず、フラット35の一番の強みは「金利が上がっても返済額は最初から変わらない」 点です。近年(2024〜2025年)の日銀政策変更により、民間の変動金利や短期固定金利が徐々に上昇傾向にあります(出典:リクルート住宅ローン)。金利が0.5%上昇するだけでも総支払額が数百万円増えるケースがあり、変動金利を選んだ場合は将来の金利リスクを負います。 一方、フラット35なら契約時の金利が完済まで固定されるので、「今後の返済計画がずっとブレない」「将来の家計負担が見えやすい」という安心感が大きいのです。特に子育て世帯や共働きで先行きに備えたい方には、この“安定” は非常に魅力的と言えます。③ 保証料ゼロ&繰上返済手数料無料
フラット35は「保証料がゼロ」で、借入時に数十万円〜100万円のまとまった保証料を用意する必要がありません。これは初期コストを抑えるうえで大きなメリットです。 さらに一部繰上返済の手数料が無料(買取型)となるため、余裕資金ができたらその都度、繰り上げ返済をして総支払額を減らす戦略が取りやすい点も大きな利点です。民間ローンでは一部繰上返済のたびに1〜3万円ほどの手数料がかかったり、100万円以上からしか繰上返済できないなどの制限がある場合もあります。④ 団信をカスタム選択(ワイド団信/三大疾病付 等)
フラット35は団信が「実質標準」ながらも、選択プランの自由度 が比較的高い傾向にあります。たとえば持病があって一般団信が通りにくい方でも「ワイド団信」に加入できる可能性がありますし、三大疾病保障や8大疾病保障などを付けられるプランもあります(出典:SBI新生銀行など)。 一方、民間ローンは基本的に団信込みですが、健康状態や職種によってはオプションを付加しづらい場合もあり、選択肢が限定されるケースがあります。⑤ フラット35S・ZEH・子育てプラス など金利引下げ施策
フラット35には、エコ住宅や耐震性能など一定の基準を満たした物件に対して金利を一定期間引き下げる「フラット35S」 や、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)対応物件向けプラン、さらに子育て世帯向けの「子育てプラス」などが用意されています(出典:住宅金融支援機構)。近年はポイントを組み合わせる制度となり、下記のような優遇が受けられます。- フラット35S(Aプラン):当初5年間 最大▲0.50%
- フラット35S(ZEH等:4ポイント取得時)で当初5年間▲1.0%
- 子育てプラス:子どもの人数や世帯条件に応じて金利をさらに▲0.20〜0.50%加算、合計で最大1.0%まで引き下げ
デメリット4選 ―― “高めの初期金利”/諸費用/審査基準を要チェック
① 変動より金利が0.5〜1%高い
最大のデメリットは、変動金利ローンに比べると当初の表面金利が高い ことです。2025年4月時点で、主要銀行の変動金利が平均0.644%程度である一方(出典:主要都市銀行)、フラット35(返済期間21〜35年)の最頻金利は1.94%ほど。さらに9割超融資 の場合、最頻金利は約2.15% となります(出典:住宅金融支援機構)。もし金利がほとんど上がらないまま長期間推移すれば、変動金利の方が総支払額が安くなる可能性がある点は留意が必要です。② つなぎ融資・適合証明コストが発生する場合あり
フラット35で新築を建てる(注文住宅)場合、住宅が完成してから融資実行されるため、工事費を随時支払うための「つなぎ融資」 が必要になるケースがあります。つなぎ融資の金利は2〜3%台と高めで、事務手数料も発生しやすいため、総支払がかさむ要因となります(出典:楽天銀行)。 さらに「適合証明手続き」 も必要です。フラット35は物件が技術基準に適合している証明を要するため、検査機関に対して数万円〜十数万円の費用が発生するのも留意点です(出典:住宅金融支援機構)。③ 団信保険料が別建て(旧制度)・返済比率基準が厳格
フラット35の旧制度などでは団信が別料金となり、年齢や保険プランによっては毎年数万円の保険料がかかる可能性があります。ただし近年は団信込みタイプ(新機構団信)が主流化し、不加入を選ぶと金利▲0.20% とする金融機関も増えてきています。 また、民間ローンに比べてフラット35の審査は「返済比率(年収に占める返済額の割合)」が厳格。年収400万円未満なら30%、400万円以上なら35%という基準を超えると審査に通りづらくなるため、借入希望額と年収のバランスをよく検討する必要があります。④ 将来の借換え・売却時に “固定を活かせない” リスク
フラット35は「長期間固定する」ための金利コストを最初から支払う設計です。例えば10年後に転勤・売却などで早期完済 したり、より有利な条件で借り換えをした場合、結果的に「固定金利に払っていた分を活かしきれない」リスクが生じます。 一方、変動金利なら当初数年間は低金利の恩恵を大きく受け、ライフプラン変更があっても、初期金利分が安かった分だけトータルで得する可能性もあります。フラット35が向いている○○な人 ―― 判断フローチャート
ここでは代表的なケースを簡単なフローチャートにまとめました。あなたが当てはまる項目が多いほど、フラット35のメリットを得やすいと言えます。- 金利上昇リスクを最小化したい?
- はい → フラット35の検討価値大
- いいえ → 変動や期間固定を再検討
- 転職回数や自営業などで民間変動ローン審査が不安?
- はい → フラット35(審査条件が職業・雇用形態に左右されにくい)
- いいえ → 民間変動も十分選択肢
- 長期優良住宅・ZEHなどでフラット35Sの金利引下げが使えそう?
- はい → ZEH+子育てプラスなどを組み合わせると初期5年間の金利引下げが大きく、民間ローンより安くなる可能性あり
- いいえ → S利用が難しい場合も、他の制度をチェック
- 借入期間が30年以上、物件価格の80%以上を借り入れる予定?
- はい → 民間固定では金利が高くなりがちだが、フラット35なら比較的安定した金利が得られる
- いいえ → 例えば借入期間20年以下ならフラット20の低金利も検討範囲
✔️ 金利上昇局面で“返済額固定”を最優先したい
日銀が金融緩和を修正し始めており、2024年以降は徐々に金利が上昇している傾向(出典:ダイヤモンド不動産研究所)。この局面で返済額の変動リスクを避けたい人はフラット35が有力候補となります。✔️ 転職・自営で 変動審査に不安/ワイド団信を選びたい
民間変動ローンは「勤続年数1年以上」「正社員・公務員で安定収入」などを重視する金融機関が多いですが、フラット35は勤続年数の厳格制限がなく、返済負担率さえクリアできれば比較的通りやすいとされています(出典:住宅金融支援機構)。また持病がある方などはワイド団信で対応しやすいため、フラット35を選ぶメリットが大きいケースがあります。✔️ 長期優良住宅・ZEH で フラット35Sを活かせる
高断熱性能のZEH住宅や長期優良住宅を建てるなら、ポイント加算によって当初5年間で最大▲1.0% 程度の金利引下げが受けられる可能性があります。初期負担を大きく軽減できるため、長期的に見ても返済計画が立てやすくなります。✔️ 「借入期間30年以上 × 物件価格80%超」など民間より有利な人
借入比率が高いほど民間ローンの金利上乗せが大きくなる場合がありますが、フラット35は9割超融資でも金利差は一定幅に抑えられ、審査方針もシンプルです。「頭金があまり用意できないが長期固定を取りたい」という方に向いています。損益シミュレーション ―― フラット35 vs 変動0.3%/10年固定0.7%
ここでは以下の前提で試算し、総支払額を比較してみましょう(数字は概算・例示です)。- 借入金額:3,500万円
- 返済期間:35年(元利均等)
- ボーナス返済:なし
- フラット35:金利1.94%(変動リスクなし)
- 変動金利:当初0.3%、毎年+0.25%上昇パターン/+0.5%上昇パターン
- 10年固定:当初10年0.7%、以降1.5%
借入3,500万円・35年・元利均等 前提
【フラット35】(金利1.94%で固定)
・初回〜完済まで返済額は一定
【変動金利:初年度0.3%、毎年+0.25%上昇】
・5年ごとに返済額を再計算
・35年目には金利8.8%程度まで上昇想定
【10年固定:0.7%、その後1.5%】
・最初10年間の返済額は低め
・11年目以降は1.5%へアップ
金利上昇シナリオ(毎年+0.25%/+0.5%)比較表
以下は参考例として、金利上昇スピードを2パターン用意し、総支払額を試算した簡易表です。シナリオ | フラット35(1.94%) | 変動金利(+0.25%/年) | 変動金利(+0.5%/年) | 固定10年(0.7%→1.5%) |
---|---|---|---|---|
毎月返済額(初期) | 約124,000円 | 約100,000円 | 約100,000円 | 約108,000円 |
10年経過時の返済額 | 変わらず124,000円 | 上昇:月々約118,000円 | 上昇:月々約135,000円 | 11年目から約130,000円 |
35年間の総支払額(概算) | 約5,212万円 | 約5,883万円(上昇0.25%) | 約6,500万円(上昇0.5%) | 約5,400万円 |
よくある Q&A 6選(団信加入率・つなぎ融資・適合証明・借換え 等)
Q1. フラット35の団信加入率はどのくらい? A. 新機構団信が導入されてからは「団信込み」が標準となるケースが多く、実際には9割近くの利用者が団信プランを付帯しています。不加入を選ぶ場合は金利引下げ(▲0.20%)で対応する金融機関が一般的です。 Q2. つなぎ融資の金利が高いと聞きますが? A. フラット35で注文住宅を建築する場合、建築費を分割払いするために「つなぎ融資」を利用するケースが多いです。金利は2〜3%台と高めですが、期間が短い(完成まで数ヶ月〜1年程度)ため、総額にすると数十万円程度の上乗せになることが多いです。建売や完成済み中古物件なら基本的に不要です。 Q3. 適合証明書の発行費用は? A. 中古マンションで7〜10万円、新築戸建や中古戸建で8〜12万円ほどが目安です。一度検査に合格すればフラット35の融資が受けられます。物件によっては売主側が取得している場合もあるので、仲介会社や検査機関に確認しましょう。 Q4. フラット35Sは誰でも使える? A. 住宅の断熱性能や耐震性能など、設定された技術基準を満たす物件であれば利用可能です。たとえば「一次エネルギー消費量等級6」「断熱等性能等級5」など。ZEHや長期優良住宅に認定されている場合はポイント加算で大きな金利引下げが受けられます。 Q5. 借換えは可能?フラット35から変動へ変更する人もいる? A. フラット35から民間変動金利へ借換えは可能です。ただし借換え諸費用(数十万円)を支払う必要があり、将来金利がさらに上昇するとメリットが薄れるリスクもあります。一方、変動からフラット35へ借換えるケースも増えており、現時点の金利差・返済残高・残期間を踏まえた総合的なシミュレーションが大切です。 Q6. 転職直後でもフラット35は借りやすい? A. 一般的に民間ローンは「勤続1年以上」を求める金融機関が多いですが、フラット35は勤続年数の下限を厳しく設定していません。ただし返済比率や信用情報が審査の要点となるため、転職回数が多い場合は相談時にしっかり説明する必要があります。まとめ ―― “フラット35チェックリスト” と無料相談 CTA
金利上昇局面で“安心”を買うか、変動金利の低さを狙うか。最適解は人それぞれですが、以下のチェックリストに当てはまる数が多いほど、フラット35は魅力的な選択肢となるでしょう。自分が当てはまるか 5 ステップで確認
- 金利上昇リスクが心配 …(はい / いいえ)
- 勤続年数や職業で民間ローン審査が不安 …(はい / いいえ)
- 長期優良住宅やZEHなど、フラット35Sの優遇を使えそう …(はい / いいえ)
- 借入期間が30年以上、あるいは借入割合が80%以上 …(はい / いいえ)
- 数年以上の長期居住を予定し、将来の家計変動を避けたい …(はい / いいえ)
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初心者のための用語集
- 全期間固定金利:契約時に決まった金利が完済まで変わらない住宅ローン。市場金利が上がっても月々の返済額は一定。
- 変動金利:半年ごとに金利見直しがあり、市場金利の動きに応じて返済額または返済期間が変わるローンタイプ。
- 団信(団体信用生命保険):借主が死亡・高度障害になったときに住宅ローン残債を肩代わりする保険。フラット35は任意加入で、特約を付けると金利が上乗せされる。
- ワイド団信:高血圧・糖尿病など一般団信に通りづらい人でも加入しやすい引受緩和型団信。保険料(金利)がやや高い。
- 返済負担率:年間返済額 ÷ 年収の割合。フラット35は年収400万円未満で30%以下、400万円以上で35%以下が基準。
- 繰上返済手数料:ローン残高を前倒しで返済するときにかかる手数料。フラット35(買取型)は無料。
- つなぎ融資:注文住宅の着工〜完成まで、土地代や着工金を一時的に立て替える短期ローン。金利は年2〜3%が目安。
- 適合証明書:物件がフラット35の技術基準を満たすことを証明する書面。中古住宅では発行費用が7〜12万円程度かかる。
- ZEH(ゼッチ):年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロになる住宅。高断熱+太陽光発電等で実現し、フラット35Sの金利優遇対象。
- 長期優良住宅:長寿命・省エネ・耐震性など国が定める基準を満たした優良住宅。フラット35や税制で各種優遇がある。
- 元利均等返済:元金と利息を合わせた返済額が毎月一定になる方式。返済初期は利息割合が高く、後半に元金返済が進む。
参考サイト
- 住宅金融支援機構|【フラット35】とは(制度概要) — 公式サイトで仕組みを確認
- 住宅金融支援機構|【フラット35】借入金利の推移 — 過去〜最新の金利をチェック
- 住宅金融支援機構|不適正利用に巻き込まれないために — 投資目的利用などへの注意喚起
- SBIアルヒ|【フラット35】金利推移 — 民間最大手の実質金利を比較
- 楽天銀行|【フラット35】商品ページ — 手数料や申込フローを確認
- みずほ銀行|「フラット35」お借入特典 — 借入後の優遇サービスを紹介
- ゆうちょ銀行|ゆうちょフラット35 — 郵貯系ならではの条件を確認
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