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なぜ戦略が必要?「早く売りたい vs 高く売りたい」の違い
売却理由や期限、目的によって変わるゴール
不動産を売却する理由は人によってさまざまです。引っ越しや住み替え、相続、転勤、離婚、ローン返済が厳しいなど、状況は千差万別といえます。そのため、
「とにかく早く売りたい」ケースと「少しでも高く売りたい」ケースでは、最適な売却方法が変わってきます。
もし「すぐに現金化したい」「ローン支払いを早く終えたい」「新居購入の手付金に充てたい」など期限が明確な場合はスピード重視になります。一方で「時間は多少かかってもいいから、できるだけ高く売りたい」と考える場合は価格重視の戦略が必要です。
早く売ることと高く売ることは両立しにくい
不動産を
「早く売る」ほど、売却価格が下がる可能性が高まる傾向にあります。一方、
「高く売る」ほど、買主を待つために時間がかかるリスクが増えます。
たとえば仲介会社に「相場より高い売り出し価格を設定したい」と伝えれば、売却までに半年から1年、あるいはそれ以上かかることもあります。逆に「できるだけ早く売りたいので不動産会社に『買取』してほしい」と依頼すれば、仲介よりスピーディに売れますが、相場の7〜8割程度の価格になることが多いです。
まずは自分の優先順位をはっきりさせよう
「いつまでに売りたいのか」「いくら手元に残したいのか」を明確にすることで、最適な売却戦略を立てやすくなります。
- 期限優先か、利益優先か
- 多少の値下げなら受け入れられるか
- 買い替えローンが組めるかどうか
こうした点を整理しておくと、不動産会社とのやり取りもスムーズになります。
早く売りたい場合のメリット・デメリット
メリット:すぐにお金が手に入る、ローン負担が減る
「早く売りたい」最大のメリットは現金化のスピードにあります。
- 引っ越し費用や新居購入の頭金が用意しやすい
- 住宅ローンの支払いを早期に清算できる
- 相続税や固定資産税などの維持費が軽減される
特に借金返済や競売を避けたい状況なら、早期売却は大きな助けになります。
デメリット:価格を下げざるを得ない可能性が高い
スピードを最優先すると、どうしても買主側に主導権を握られやすくなります。
- 値下げ交渉を受けやすい
- 相場以下の金額で手放すリスクがある
- 不動産会社による「買取」では市場価格より低めになる
余裕を持って買主を探せない分、「多少安くてもすぐ売りたい」という状況に陥りやすいことがデメリットです。
売り時を逃しても在庫化するリスクが減る
物件が長期在庫化する最大のリスクは、
「いつまでも売れず、さらに市場価格が落ちてしまう」ことです。早期売却の方針をとると、このリスクを最小限に抑えられます。建物は経年劣化し、空き家なら傷みが早くなるため、時間が経つほど売りにくくなるケースもあります。すぐに売却を決めることで、余計な維持費や価格下落を回避できるでしょう。
高く売りたい場合のメリット・デメリット
メリット:できるだけ多くの利益を得られる
「高く売りたい」最大のメリットは、やはり利益の最大化です。
- ローンの残債を完済しても十分な資金が残る
- 次の物件を購入する際に余裕が生まれる
- 投資用物件としての売却ならリターンを最大化できる
住み替えや老後資金の確保など、まとまったお金を手に入れたいときには価格重視の戦略が有利です。
デメリット:売り出し期間が長くなるリスク、タイミング逃しやすい
高値で売却を目指すと、買主が見つかるまでに時間がかかる可能性が高いです。
- 売却活動が長引けば管理費や固定資産税など維持費が増える
- 市場の相場が下落トレンドになると大幅な値下げを強いられることも
- 「長期間売れ残っている」イメージが付くと値下げ交渉を受けやすい
売りたい時期と相場が噛み合わなければ、あっという間に「売り時」を逃してしまうリスクもあるでしょう。
高く売るほど宣伝やリフォームに手間がかかることも
高値売却を狙う場合、物件の魅力を最大限アピールしなければなりません。
- ホームステージングやクリーニング、軽微なリフォームが必要
- 宣伝費を多めにかけて広告展開する必要性が高まる
- こだわりの内装や設備ほど、買主によって好みが分かれる
場合によっては投下したリフォーム費用が売却価格に反映されないケースもあるため、費用対効果を考えて行動することが大切です。
「早く売りたい」戦略 – 具体的な売り方のコツ
①売り出し価格を周辺相場と比べて少し安めに設定
スピード重視の場合、一番効果的なのが「価格の下方調整」です。
- ネットや不動産ポータルサイトで近隣の類似物件をチェック
- 周辺相場よりやや低めで売り出す
- 「お得感」を感じた買主が早期にアクションを起こしやすい
ただし、あまりに安すぎる設定にすると損失が大きくなるため、相場の下限を見極めることが重要です。
②複数社に依頼して広く宣伝してもらう(一般媒介)
「早く売りたい」なら、できるだけ多くの不動産会社から客付けのアプローチをしてもらうのも手です。
- 一般媒介契約なら複数社と同時契約OK
- 多くのポータルサイトや店頭で情報が拡散される
- 各社が積極的に買主を探してくれる可能性が高まる
ただし、不動産会社の取り組み度合いが分散するケースもあるため、うまく進捗管理をすることがポイントです。
③魅力的な写真や内覧で好印象を与える(最低限のリフォーム/清掃)
早期売却を望むなら、内覧での第一印象が非常に重要です。
- 荷物を片付け、明るい照明と清潔感を演出
- 傷みや汚れが目立つ部分は最低限補修やクリーニングする
- ポータルサイトに載せる写真をプロに撮ってもらう
買主に「すぐ住めそう」と思ってもらえれば、早めの決断につながりやすくなります。
「高く売りたい」戦略 – 具体的な売り方のコツ
①売り出し価格は相場よりやや高めに設定し様子見
価格重視の売却では、最初の売り出し価格を少し高めに設定して「交渉の余地」を残すやり方がよく取られます。
- 一括査定や相場調査で大まかな価格帯を把握
- 高めスタートし、問い合わせ状況に応じて値下げを検討
- 反応が全くない場合は価格設定が相場とかけ離れている可能性大
売却期限に余裕がある人向けの戦略といえます。
②時間をかけて買主を待つ、値下げしすぎない方針
高く売りたいなら短期的な値下げ交渉に応じず、じっくり買主を待つ姿勢も大切です。
- 数ヶ月〜半年、あるいは1年以上の売却活動を想定
- 焦って大幅値下げすると高値売却のチャンスを逃す
- 近隣の市況や季節の需要動向を考慮して判断
ただし、市場のトレンドが下落方向にシフトすると価格維持が難しくなるため、状況を見極める力が必要です。
③空家ならホームステージングやリフォームで付加価値を
空室になっている物件の場合、ホームステージングで家具を配置したり、最低限のリフォームを加えて魅力を高める作戦が有効です。
- 実際の住み心地をイメージしやすい室内演出
- 使用感をリセットし、新築のような印象を与える
- ネット上の写真でも映えるため、問い合わせ数増加に繋がる
ただし、大規模リフォームはコストが高いので、費用対効果を慎重に検討しましょう。
価格設定のポイント – スピード重視 or 価格重視でどう変わる?
早く売りたい→最初から少し低めにし、値下げの余地も作る
スピード重視の売却では、最初の売り出し価格を周辺相場より少し安く設定すると反応が得やすいです。問い合わせが多ければ、交渉次第でほぼ希望に近い価格になる場合もあります。一方、反応が悪ければ早めに値下げを実行し、売り時を逃さないようにしましょう。
高く売りたい→ある程度高め設定、適切なタイミングで値下げ
価格重視の場合は最初の設定を相場より上にして、相場観のある買主をじっくり待ちます。一定期間問い合わせが少なければ少し値下げし、再度様子を見るという段階的な売り方が多いです。ここで「いつ」「どの程度値下げするか」を事前に決めておくと、売却活動がスムーズになります。
売却期限を決めて価格の上げ下げプランを考える
「いつまでに売りたいのか」という最終期限があると、価格調整の判断がしやすくなります。
- 3ヶ月以内に売りたいなら、相場よりやや低めに設定
- 半年以上待てるなら、相場より高めに設定
- 期限ギリギリになって急に値下げすると買主に足元を見られやすい
あらかじめプランを作っておけば、焦りや迷いが少なくなります。
仲介契約(一般・専任・専属専任)の選び方もカギ
早く売りたいなら一般媒介で多くの会社に頼む?
一般媒介契約は
「複数の不動産会社に同時依頼できる」のが魅力です。
- 多くの会社が宣伝に参加するので客付けの幅が広い
- 買主探索のスピードが上がる可能性がある
- ただし各社のモチベーションが低下しないよう管理が必要
一般媒介は「どの会社経由で売れても仲介手数料が入る保証はない」ため、不動産会社によっては熱心に動いてくれない場合もあります。
高く売りたいなら専任で集中的に宣伝してもらう?
専任媒介契約や専属専任媒介契約は1社独占で売却を任せる形です。
- 不動産会社は確実に仲介手数料を得られるため、力を入れやすい
- 定期的な報告義務があり、売却活動をこまめにチェック可能
- 囲い込みのリスクに注意(レインズへの適切な登録が義務)
「高く売るために信頼できる1社にしっかり動いてもらう」パターンを好む人に向いています。
不動産会社とよく話し合い、自分の優先順位を伝える
仲介契約を選ぶ際には、不動産会社に
「いつまでに」「いくら以上で」売りたいかを明確に伝えましょう。
- 期限優先なのか、価格優先なのかを担当者と共有
- 担当者の提案や実績を確認し、不安があれば複数社で比較
- 契約後も定期的にコミュニケーションを取り、進捗を管理
媒介契約の種類をよく理解し、自分の状況に合った方法を選ぶことが大切です。
成功&失敗事例 – 戦略次第で結果が変わる
成功例:時間があったので高め売り出し→内覧重ねて少し値下げ後スムーズ成約
売主に時間的余裕があり、高値を狙いたい状況で、最初に相場より高めの価格を設定して売り出しました。問い合わせ自体は少なかったものの、2ヶ月ほどで内覧希望者が複数現れ、「どうしてもこの地域で探している」という買主に少しの値下げ幅で合意。結果的に「満足いく売却価格を達成」できました。
時間が許すなら「多少高め→様子見→適切な値下げ」のプロセスはうまく機能しやすい例といえます。
失敗例:価格を下げずに長期放置→さらに市場価値が落ちる
相場より高く価格を設定しすぎて売れ残り、1年以上放置してしまったケースです。長期間売れない物件は
「何か問題があるのでは?」と疑われやすく、買主が敬遠する悪循環に陥ります。結局、思い切った値下げをしないと売れず、初期設定の価格より大幅にダウンしてしまう結果となりました。
教訓:優先事項を明確にし、相場をよく調べる
「早く売りたいのか、高く売りたいのか」をはっきりさせ、
「適正価格を見極めるために相場調査や一括査定を活用する」ことがポイントです。価格設定を誤ると長期在庫化や大幅値下げにつながります。成功事例・失敗事例から学び、戦略を慎重に立てることが大切です。
まとめ – 自分に合った売却戦略を選び、上手に売る
早く売りたいか、高く売りたいかをはっきりする
スピード重視か価格重視かは、人それぞれの事情や目的で変わります。
- 資金繰りや引っ越し期限が迫っているならスピード重視
- 特に期限がないなら価格重視でじっくり買主を探す
自分の優先順位を明確にした上で、売却計画をスタートしましょう。
価格設定や宣伝方法を工夫して、損を防ぐ
価格設定は売却戦略の要です。相場や期限を考慮して、最適な金額を提示しながら、内覧対策や広告手法(ポータルサイト・折込チラシ・オープンハウスなど)を効果的に組み合わせてください。売却期間が長くなるほどコストがかさむ場合もあるため、柔軟に作戦を修正していくことが重要です。
参考サイト
- 不動産査定から成約までの「価格」の違いとは(アットホーム) – 査定価格と実際の成約価格の違いを詳しく解説しています。
- 不動産査定の価格とは?査定価格の算出方法を解説(三井のリハウス) – 査定価格の算出方法とその意味について専門的に解説しています。
- 不動産売却時の査定価格・売り出し価格・成約価格とは?(ツナグ不動産) – 各価格の違いと関係性を分かりやすく説明しています。
- 不動産査定とは?不動産価格の計算方法から査定書の見方まで完全解説(住友不動産販売) – 査定書の見方から価格設定の方法まで詳細に解説しています。
- 自分で売却相場を調べるには?土地価格を評価額から計算できる方法も(住友不動産販売) – 自分で相場を調べる方法と適正価格の考え方を紹介しています。
初心者のための用語集
- 不動産売却:土地や建物などの不動産を売ること。売る理由や目的によって、急いで現金化を狙う場合と、できるだけ高く売る場合がある。
- 売り出し価格:市場に物件を出す際に提示する値段。高すぎると買い手がつきにくく、低すぎると十分な利益が得られないリスクがある。
- 相場:同じ地域や同じ条件の物件がどのくらいの値段で取引されているかという平均的な価格のこと。
- 仲介契約:不動産会社と売却のために結ぶ契約。一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約があり、それぞれ宣伝方法や自由度、報告義務の違いがある。
- 一般媒介契約:複数の不動産会社と契約できる形式。広く物件情報を伝えることができるが、各社の取り組みにばらつきがある。
- 専任媒介契約:1社の不動産会社に売却活動を任せる契約。定期的な報告やレインズへの登録が義務付けられており、集中的な売却活動が期待できる。
- 専属専任媒介契約:専任媒介契約よりさらに制約が厳しく、売主が自分で買主を見つけても、その不動産会社を通して取引しなければならない契約。
- 査定:不動産会社が物件の価値を調べて、売れる可能性のある価格を見積もること。複数の査定を取ると市場の実態が分かりやすい。
- 内覧:買主候補が実際に物件を見て、状態や魅力を確認する見学のこと。第一印象が購入の判断に大きく影響する。
- 売却期限:物件を売るために設定する期間。期限内に売るための戦略を立てることで、交渉や値下げプランを計画的に実施できる。
- 価格交渉:売り出し価格と実際に契約する価格の間で、売主と買主が話し合って決定するプロセス。
- リフォーム:建物の状態を改善するために、修理や設備の更新を行うこと。物件の印象をよくし、売却価格の向上につながる。
- ホームステージング:物件に家具やインテリアを配置して見た目を良くする演出方法。内覧時に買主に「住んでみたい」と思わせるための工夫。
- 買取:不動産会社が直接物件を買い取る方法。売却が早く済むが、一般的には市場価格より低い価格になる傾向がある。
不動産選びをもっと深く知りたい方へ
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