ファイナンシャルプランナー試験の受験を検討されている皆さん、特に「相続」分野の「暦年課税の基礎知識と計算方法、贈与税の課税・非課税財産」について、どこから手をつければ良いか迷っていませんか?
この分野は、ファイナンシャルプランナー(FP)試験において頻繁に出題され、また実生活でも非常に役立つ重要な知識です。しかし、専門用語が多く、計算問題も複雑に感じられるかもしれません。
この記事では、ファイナンシャルプランナー試験で「暦年課税の基礎知識と計算方法、贈与税の課税・非課税財産」の問題で高得点を取りたいあなたのために、以下の情報を網羅的に、かつ分かりやすく解説します。
- 暦年課税の基本ルールと試験で問われるポイント
- 贈与税の正確な計算方法と税率の使い分け
- 課税される財産と非課税になる財産の具体的な種類
- 過去問の出題傾向と、よくある「ひっかけ問題」の対策
- 合格者が実践した効率的な学習スケジュールと勉強法
この記事を最後まで読めば、複雑に見える「暦年課税」と「贈与税」の全体像が掴め、試験対策の不安が解消され、自信を持って本番に臨めるようになるでしょう。ぜひ最後まで読んで、合格への第一歩を踏み出してください。
Contents
ファイナンシャルプランナー試験で問われる暦年課税の基礎知識
ファイナンシャルプランナー試験において、暦年課税は贈与税の基本中の基本であり、理解を深めることが合格への第一歩です。ここでは、暦年課税の定義から特徴、そして相続時精算課税制度との違いまで、試験対策に必要な基礎知識を解説します。
暦年課税の定義と基本構造:FP試験で押さえるべきポイント
暦年課税とは、その年の1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額に対して課税する制度のことです。この制度の最大のポイントは、「年間110万円の基礎控除」があることです。
この基礎控除は、贈与を受けた人(受贈者)1人あたり年間110万円まで非課税になるという非常に重要なルールです。つまり、複数の人から贈与を受けたとしても、受贈者1人に対する基礎控除は年間で110万円と決まっています。
例えば、あなたが父から50万円、母から80万円の贈与を同じ年にもらったとしましょう。合計で130万円の贈与があった場合でも、基礎控除110万円を差し引くと、課税対象となるのは20万円(130万円 – 110万円)です。
ポイント!
「贈与税は受贈者(もらう人)に課税される」という基本原則を絶対に忘れないでください。そして、基礎控除110万円は「受贈者1人につき年間110万円」と覚えましょう。これはFP試験で頻繁に問われる「ひっかけ」のポイントでもあります。
暦年課税の適用要件と特徴
暦年課税は、以下の特徴を持っています。
- 贈与者(あげる人)に制限なし: 誰からでも贈与を受けられます。
- 受贈者(もらう人)に制限なし: 誰でも贈与を受けることができます。
- 回数制限なし: 年間110万円の範囲内であれば、何回でも贈与可能です。ただし、一度相続時精算課税制度を選択すると、その贈与者からの贈与については暦年課税に戻ることはできません。
これらの特徴を理解することで、暦年課税の柔軟性と制約の両面を把握できます。
相続時精算課税制度との違い:FP試験対策の重要ポイント
贈与税の課税方式には、「暦年課税」の他に「相続時精算課税制度」があります。FP試験では、これら二つの制度の違いや選択による影響が頻繁に出題されます。両者の違いを明確に理解しておくことが重要です。
相続時精算課税制度は、将来の相続税を「前払い」するようなイメージの制度で、以下の特徴があります。
- 選択制の制度: 暦年課税か相続時精算課税か、どちらかを選択して適用します。
- 贈与者と受贈者の要件:
- 贈与者: 贈与をした年の1月1日において60歳以上である父母または祖父母
- 受贈者: 贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の推定相続人(子・孫)
- 特別控除額: 累計で2,500万円までの贈与が非課税になります。
- 税率: 2,500万円を超えた部分には一律20%の税率が適用されます。
- 将来の相続税との関係: 相続時精算課税を選択した贈与財産は、贈与者の相続時にその相続財産に加算され、相続税が計算されます。
特に重要なのは、一度相続時精算課税制度を選択すると、その贈与者からの贈与について暦年課税に戻すことはできないという点です。これは正答率が低い論点でもあります。
また、2024年1月1日以降の贈与からは、相続時精算課税制度にも年間110万円の基礎控除額が新たに導入されました。これにより、年間110万円までの贈与であれば、相続時精算課税制度を利用しても贈与税がかからず、相続時の加算も不要となります。この税制改正もFP試験で問われる可能性が高いので、しっかり押さえておきましょう。
制度の詳しい内容については、国税庁のウェブサイトも参考にしてください。
参考:No.4402 贈与税のしくみ (国税庁)
ファイナンシャルプランナー試験を突破するための贈与税の計算方法
ファイナンシャルプランナー試験では、贈与税の計算問題が頻繁に出題されます。正確な計算方法をマスターすることは、合格の鍵を握ると言っても過言ではありません。ここでは、基礎控除後の課税価格の計算から、税率の適用、具体的な計算例までを解説します。
基礎控除後の課税価格の計算手順
贈与税の計算は、以下のシンプルな手順で行われます。
- その年の贈与財産の合計額を把握する: 1月1日から12月31日までの1年間にもらったすべての財産の価額を合計します。現金だけでなく、土地、建物、株式、貴金属なども含まれます。
- 基礎控除額110万円を差し引く: 合計額から、贈与税の基礎控除額である110万円を差し引きます。この110万円は受贈者1人あたりの金額です。
- 残りの金額に税率を乗じて税額を計算する: 基礎控除を差し引いた残りの金額(課税価格)に、後述する適切な税率を乗じて贈与税額を計算します。
過去問でよくある間違い!
複数の贈与者から贈与を受けた場合でも、基礎控除額110万円は「受贈者ごと」に適用されることを忘れないでください。例えば、父から80万円、祖父から50万円の贈与を同じ年にもらった場合でも、合計130万円から控除できる基礎控除は110万円だけです。決して220万円ではありません。
一般税率と特例税率の区分:FP試験で間違えやすいポイント
贈与税の税率には、「一般税率」と「特例税率」の2種類があります。どちらの税率を適用するかは、贈与者と受贈者の関係、そして受贈者の年齢によって決まります。ここもFP試験で頻出の重要ポイントです。
特例税率(特例贈与財産用)
以下の条件を満たす贈与に適用されます。税率が一般税率よりも優遇されています。
- 直系尊属(父母や祖父母など)から
- 贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の者(子や孫など)への贈与
注意!
かつては「20歳以上」が条件でしたが、民法の改正により成年年齢が18歳に引き下げられたことで、2022年4月1日からは「18歳以上」に引き下げられています。最新の情報を常に確認しましょう。この変更点は2025年5月のFP2級試験でも出題されています。
一般税率(一般贈与財産用)
上記の特例贈与財産に該当しない全ての贈与に適用されます。
- 兄弟間での贈与
- 夫婦間での贈与
- 親から未成年の子への贈与(18歳未満の子への贈与)
- 孫から祖父母への贈与(直系尊属ではないため)
速算表の重要な数値と効率的な覚え方
贈与税の計算では、税率を覚えるよりも、速算表を使って正確に計算できるかが重要です。以下の速算表を理解し、計算問題でスムーズに使えるようにしましょう。
特例税率(特例贈与財産用)の速算表
(直系尊属から18歳以上の子・孫への贈与に適用)
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | – |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
一般税率(一般贈与財産用)の速算表
(上記以外の贈与に適用)
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | – |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
具体的な計算例で理解を深める
実際の計算問題を解くことで、理解が深まります。ここでは、FP試験でも出題された形式の計算例を見ていきましょう。
計算例1:特例税率適用の場合
【問題】
31歳の受贈者(孫)が、祖父から現金370万円、祖母から現金180万円の贈与を同一年中に受けた。この場合の贈与税額を求めなさい。
【解説】
受贈者は31歳であり、祖父・祖母は直系尊属にあたるため、特例贈与財産に係る税率が適用されます。
- 贈与財産の合計額: 370万円(祖父)+ 180万円(祖母)= 550万円
- 基礎控除後の課税価格: 550万円 - 110万円(基礎控除)= 440万円
- 贈与税額の計算: 特例税率の速算表より、課税価格440万円は「400万円超600万円以下」の区分に該当します。
税率:20%、控除額:30万円
贈与税額 = 440万円 × 20% - 30万円 = 58万円
これは、2024年5月のFP3級実技試験で実際に出題された問題とほぼ同じ形式です。特例税率の適用条件と計算方法を正確に理解しておくことが重要です。
計算例2:一般税率適用の場合
【問題】
30歳のAが、友人から現金500万円の贈与を同一年中に受けた。この場合の贈与税額を求めなさい。
【解説】
友人からの贈与は「一般贈与財産」に該当するため、一般税率が適用されます。
- 贈与財産の合計額: 500万円
- 基礎控除後の課税価格: 500万円 - 110万円(基礎控除)= 390万円
- 贈与税額の計算: 一般税率の速算表より、課税価格390万円は「300万円超400万円以下」の区分に該当します。
税率:20%、控除額:25万円
贈与税額 = 390万円 × 20% - 25万円 = 53万円
このように、誰から誰への贈与かによって適用される税率が異なるため、問題文をよく読み、正確に判断することが大切です。
FP試験で問われる贈与税の課税財産と非課税財産
贈与税は、全ての財産の贈与に対して課税されるわけではありません。試験では、「課税される財産」と「非課税になる財産」を正確に区別できるかが問われます。特に、みなし贈与財産や、様々な非課税特例制度はFP試験で頻出の論点です。
贈与税がかかる財産:みなし贈与財産に要注意
贈与税がかかる財産は、原則として「贈与を受けた財産」です。これには、現金、預貯金、不動産(土地、建物)、株式、貴金属、宝石など、あらゆる種類の財産が含まれます。
さらに、FP試験で特に注意が必要なのが「みなし贈与財産」です。これは、直接的な贈与ではないものの、実質的に贈与と同じ経済的利益があったとみなされ、贈与税が課税される財産のことです。
主なみなし贈与財産の例
- 保険料負担者と受取人が異なる生命保険金: 例えば、夫が保険料を払い、妻が死亡保険金を受け取る場合、保険金は妻への贈与とみなされ、贈与税がかかることがあります。
- 著しく低い価額での財産譲渡: 例えば、時価1億円の不動産を、特別な理由なく100万円で譲り受けた場合、時価との差額(9,900万円)が贈与とみなされ、贈与税がかかることがあります。
- 債務の免除、引受け等を受けたことによる利益: 親の借金を子が代わりに返済したり、子が親の借金を肩代わりしてもらう場合、子が受けた利益が贈与とみなされることがあります。
- 適正な対価の負担なく信託受益権を取得した場合: 信託を利用して財産を移転する際に、実質的な贈与があったとみなされるケースです。
これらの「みなし贈与」は、一見すると贈与に見えないため、見落としやすいポイントです。FP試験では、事例問題として出題されることもあるため、具体的なケースをイメージして理解を深めておきましょう。
贈与税がかからない財産:FP試験で頻出の非課税特例
贈与税には、特定の目的や状況下での贈与について、非課税となる特例がいくつか存在します。これらは、FP試験で頻繁に出題される重要な論点であり、特に金額の限度額や適用要件を正確に覚える必要があります。
法定非課税財産
法律で定められている非課税財産です。
- 扶養義務者相互間における生活費や教育費: 親から子への学費や仕送り、配偶者への生活費など、通常必要と認められる範囲で、必要な都度贈与されるものは非課税です。重要!
「必要な都度」がポイントです。例えば、まとめて数年分の学費を一度に贈与してしまうと、非課税とならない場合があります。この点は、FP試験でひっかけ問題として出題されることが多いので注意しましょう。 - 社交上必要な香典、見舞金、祝物等: 結婚祝いや香典、お見舞金など、社会通念上相当と認められるものは非課税です。
- 法人から個人への贈与: 法人から個人へ財産が贈与された場合、その財産は贈与税の対象ではなく、所得税の一時所得として課税されます。これもFP試験でよく出るポイントなので、混同しないように注意が必要です。
- 離婚による財産分与: 離婚に伴う財産分与は、原則として贈与税の対象にはなりません。
租税特別措置法による非課税財産(特例制度)
特定の政策目的のために設けられた、期間限定または要件付きの非課税制度です。FP試験では、これらの制度の非課税限度額、対象者、適用要件が頻繁に問われます。
- 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置:直系尊属(父母や祖父母など)から、30歳未満の子や孫に対し、教育資金として一括で贈与する場合に適用されます。
- 非課税限度額: 1,500万円(受贈者1人あたり)
- 対象者: 贈与を受けた年の1月1日において30歳未満の子や孫
- 対象となる教育資金: 学校の入学金、授業料、学用品費、修学旅行費など。塾や習い事の費用も一定範囲で含まれます。
- 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置:直系尊属から、18歳以上50歳未満の子や孫に対し、結婚や子育てのための資金として一括で贈与する場合に適用されます。
- 非課税限度額: 1,000万円(受贈者1人あたり、うち結婚資金は300万円まで)
- 対象者: 贈与を受けた年の1月1日において18歳以上50歳未満の子や孫
- 所得制限: 受贈者の前年の所得が1,000万円以下
- 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税措置:直系尊属から、住宅の取得や増改築のための資金として贈与を受ける場合に適用されます。
- 非課税限度額: 省エネ等住宅は1,000万円、それ以外の一般住宅は500万円
- 対象者: 贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の直系卑属
- 所得制限: 受贈者の合計所得金額が2,000万円以下
これらの非課税制度は、金額と適用要件をセットで覚えることが重要です。それぞれの制度の目的を理解すると、より記憶に定着しやすくなります。
参考:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税 (国税庁)
参考:No.4510 教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税 (国税庁)
参考:No.4511 結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税 (国税庁)
ファイナンシャルプランナー試験「暦年課税・贈与税」分野の過去問分析と攻略法
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ファイナンシャルプランナー試験の合格は、あなたの人生を豊かにする大きな一歩となるでしょう。この記事が、皆さんの学習の一助となれば幸いです。頑張ってください!
オリジナル練習問題
問題1 暦年課税の基礎控除額
暦年課税では、受贈者1人につき年間110万円までの贈与については贈与税がかからない。
解答:◯
解説:暦年課税の基礎控除は110万円/年・人で固定されており、超えた部分のみが課税価格となる。
問題2 暦年課税の合算期間
暦年課税では、前年に受けた贈与の価額を当年の課税価格に合算して計算する。
解答:×
解説:贈与税は暦年(1月1日〜12月31日)単位で完結するため、前年分は合算せず当年分だけを集計する。
問題3 贈与税の税率区分
贈与税の税率は、贈与者が直系尊属かどうかにかかわらず同一の速算表を用いる。
解答:×
解説:18歳以上の受贈者が直系尊属から受ける贈与には「特例税率」が適用され、その他の贈与には「一般税率」が適用される。
問題4 配偶者控除(おしどり贈与)の特例
婚姻期間が20年以上の配偶者から居住用不動産(またはその取得資金)の贈与を受けた場合、暦年課税の基礎控除とは別に最高2,000万円まで贈与税が非課税となる。
解答:◯
解説:いわゆる「おしどり贈与」の特例で、基礎控除110万円と併用できるが、同一の不動産については一生に一度しか使えない。
問題5 生活費・教育費の非課税範囲
通常必要と認められる生活費や教育費の贈与で、受贈者が直ちに費消した部分については贈与税の課税対象とならない。
解答:◯
解説:生活費・教育費の贈与は「必要な都度、必要な分を支出」した場合に限り非課税。預金のまま残れば課税対象になる。
問題6 授業料を直接学校へ支払った場合
父が子の大学授業料を父名義で大学へ直接納付した場合、子に対する贈与税は課されない。
解答:◯
解説:授業料などの教育費を教育機関へ直接支払った場合は、贈与税の課税対象外と扱われる。
問題7 教育資金一括贈与特例
祖父母から信託口座を通じて孫へ教育資金1,500万円を一括贈与した場合、孫が30歳になるまで使い道に関係なく贈与税は非課税となる。
解答:×
解説:教育資金一括贈与は支払実績に応じて非課税となる制度であり、教育目的以外に流用した部分や30歳到達時点の未使用残額には贈与税が課税される。
問題8 相続開始前の生前贈与加算
被相続人から相続開始前7年以内に受けた暦年課税贈与は、すでに贈与税を納付していても相続税の課税価格に加算される。ただし、相続開始前4〜7年前の贈与については各年100万円まで控除される。
解答:◯
解説:2024年1月以降の贈与から加算期間が3年→7年に延長された。4〜7年前分は各年100万円の控除が設けられているが、それを超える部分は相続財産に加算される。
問題9 贈与税の納付方法
贈与税には相続税と同様に延納・物納のどちらも利用できる。
解答:×
解説:贈与税で認められる納付猶予は延納のみで、物納制度は設けられていない。
問題10 相続時精算課税と暦年課税の併用
同じ贈与者から贈与を受ける場合でも、受贈者は暦年課税と相続時精算課税を毎年自由に選択・併用できる。
解答:×
解説:相続時精算課税を選択すると、その贈与者からの贈与については以後すべて同制度が適用され、暦年課税の基礎控除110万円は使えなくなる。
よくある質問
- Q. 暦年課税と相続時精算課税を同じ贈与者から同時に利用できますか?
A. 同一の贈与者については併用できません。相続時精算課税を選択すると、その贈与者からの贈与は原則として一生涯この制度が適用されます。 - Q. 基礎控除110万円は贈与者が2人いる場合220万円になりますか?
A. いいえ。受贈者ごとに年間110万円までが非課税なので、贈与者が複数いても控除額は増えません。 - Q. 直系尊属から18歳の子への贈与は必ず特例税率が適用されるのですか?
A. はい。贈与者が直系尊属で受贈者が18歳以上の場合は特例贈与財産用の税率が適用されます。 - Q. 教育資金一括贈与1,500万円の非課税枠は暦年課税の基礎控除と併用できますか?
A. できます。教育資金の非課税枠は租税特別措置法による制度で、基礎控除110万円とは別枠で適用されます。 - Q. 定期贈与とみなされないようにするポイントは?
A. 毎年の贈与額・時期を変える、贈与契約書を作成する、贈与税申告書を提出するなどで都度贈与の事実を残すことが重要です。 - Q. 贈与税の税率や控除額を確認できる公式資料はありますか?
A. 国税庁速算表で最新の税率表と控除額を確認できます。 - Q. FP試験対策におすすめの過去問サイトは?
A. 当サイトのFP試験完全攻略ガイドでは、相続分野の重要過去問と解説を一覧で紹介しています。
参考サイト
- 国税庁|贈与税の計算と税率(暦年課税) ― 基礎控除後の課税価格と速算表を公式資料で確認できます。
- 国税庁|贈与税がかかる場合 ― 暦年課税の概要と110万円基礎控除の要件を詳しく解説しています。
- 国税庁|教育資金の一括贈与非課税(No.4510) ― 1,500万円まで非課税となる教育資金贈与の適用条件を確認できます。
- 国税庁|住宅取得等資金の贈与非課税(No.4508) ― 省エネ住宅1,000万円・一般住宅500万円の非課税枠などを公式に解説しています。
- 三菱UFJ銀行|教育資金贈与を検討する ― 金融機関の手続きと実務上の注意点がまとまっており、制度利用の流れを把握できます。
初心者のための用語集
- 暦年課税 ― 1月1日〜12月31日までの1年間に受けた贈与額に対して課税する一般的な贈与税方式。年間110万円の基礎控除がある。
- 相続時精算課税 ― 贈与時には2,500万円まで非課税(超過分は一律20%)とし、贈与者の死亡時に相続財産へ合算して精算する選択制の課税方式。
- 受贈者 ― 贈与を受け取る側の人。贈与税はこの人を基準に課税額を計算する。
- 直系尊属 ― 父母や祖父母など、自分より上の世代の直系血族。特例税率の対象となる。
- 基礎控除 ― 暦年課税で受贈者1人あたり年間110万円まで贈与税がかからない非課税枠。
- 特例贈与財産 ― 直系尊属から18歳以上(1月1日時点)の子・孫への贈与。一般贈与より低い税率が適用される。
- 一般贈与財産 ― 上記以外の贈与。兄弟間・配偶者間・未成年への贈与などが該当し、特例より税率が高い。
- みなし贈与 ― 実質的に贈与と同じ効果がある行為に贈与税を課す制度。低廉譲渡や保険金受取などが代表例。
- 定期贈与 ― 毎年同額・同時期に贈与すると「最初から総額を贈与した」とみなされ、一括で課税される恐れがある贈与形態。
- 扶養義務者 ― 配偶者・直系血族など相互に生活扶助義務を負う親族。生活費や教育費の贈与は通常非課税。
- 速算表 ― 贈与税額を迅速に計算するための早見表。課税価格ごとの税率と控除額が示される。
- 配偶者控除(おしどり贈与) ― 婚姻20年以上の配偶者へ居住用不動産を贈与した場合、最大2,000万円が非課税になる特例。
- 教育資金一括贈与 ― 直系尊属が30歳未満の子・孫に教育資金を一括で贈与する際、1,500万円まで非課税となる制度。
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