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ファイナンシャルプランナー試験「法定相続分の分割と遺産分割の種類、相続の承認と放棄のルール」完全攻略ガイド──頻出論点・暗記ゴロ・実務事例・28日学習カレンダー総まとめ

FP試験で毎年必ず出題される「法定相続分・遺産分割・相続承認放棄」を6000字超で徹底解説!基本割合・3か月ルール・分割方法・改正相続法・計算テクまで、過去10年の傾向と合格者の声を織り交ぜて網羅。この記事ひとつで得点源に変え、実務にも役立つ知識を習得しよう。

Contents

この記事で得られるもの

  • 法定相続分を“秒で算出”できる家系図×3ステップ計算法
  • 遺産分割4方式+手続フローのメリット/デメリットがクリアに
  • 限定承認と放棄を迷わない「熟慮期間カレンダー」活用術
  • 直近10年・120問を分類した出題頻度ランキング
  • 忙しい社会人でも挫折しない28日ロードマップと暗記ゴロ合わせ
  • 改正相続法(配偶者居住権・預貯金払戻し)を含む最新論点の整理

はじめに:相続分野が得点源になる理由

ファイナンシャルプランナー試験(以下FP試験)は6分野で構成されていますが、学科・実技ともに相続・事業承継は配点比率が高いわりに出題パターンが限定的です。つまり「覚えるべきルールを体系化すれば、短時間で高得点が狙える宝の山」。ところが多くの受験生は「法律用語が難解」「計算が複雑」という先入観で後回しにしがちです。本記事では難解→簡単・複雑→パターン化に落とし込み、初学者でも最短で合格ラインを超えられるよう構成しました。

法定相続分の分割を極める:順位・割合・計算手順

1. 相続人の優先順位を“家族ドラマ”で記憶

民法は条文暗記よりストーリー連想が効果的です。以下のドラマを頭に入れておくと、順位を忘れません。

  • 第1幕:太郎(被相続人)が逝去。子ども一郎・二郎が相続権を主張。
  • 第2幕:もし子がいなければ、親ミネ・父ゴンが登場(直系尊属)。
  • 第3幕:さらに親も他界していれば、弟ジロー・異母妹さち(兄弟姉妹)が相続権獲得。

このストーリーを思い出すだけで子→直系尊属→兄弟姉妹の順位が瞬時に浮かびます。

2. 基本割合を理屈で押さえる

暗記は必要ですが、「なぜそうなるか」を理解すると忘れません。

  • 配偶者+子=1/2:1/2…生活基盤維持のため配偶者にも手厚く。
  • 配偶者+直系尊属=2/3:1/3…老後を支える配偶者>親の生活。
  • 配偶者+兄弟姉妹=3/4:1/4…兄弟姉妹は独立済みが多い前提で配偶者最重視。

3. 計算ミスをなくす家系図×3ステップ

  1. 家系図を書く
    人物と続柄を丸で囲み線を引くだけでOK。代襲相続人・半血兄弟は色ペンで囲むと視覚的に漏れを防げます。
  2. 基礎割合を入れる
    表を見ずに口頭で書けるまで訓練。練習時はタイマー2分で家系図+割合完成を目標に。
  3. 代襲・半血補正を適用
    兄弟姉妹ラインは再代襲NG、子孫ラインは無限連鎖OK。この例外を作文できれば本試験で迷いません。

4. 過去問で多発する“ひっかけ”パターン

  • 相続放棄した長女の子は代襲できないのに計算に組み込ませる選択肢。
  • 異父妹(半血)の取り分を同父母と同額に設定した選択肢。
  • 兄弟姉妹がいるのに配偶者と親が相続権を持つという点数稼ぎ肢。

5. 遺留分で差がつく:数式暗記と実務イメージ

試験で狙われやすいのは「遺留分権利者か否か」と「侵害額の計算」。遺留分基礎財産の公式は以下のように理解しましょう。

  • 亡くなった時の財産価額(相続税評価)
  • +1年以内の生前贈与(場合によっては相当期間)
  • -負債総額

ここに配偶者・子⇒1/2、直系尊属のみ⇒1/3を掛けて遺留分算出。兄弟姉妹はゼロ。自宅を長男に全贈与する遺言を想像すると定着します。

遺産分割の種類:現物・代償・換価・共有を実務で比較

1. 現物分割:相続人の感情も絡む“王道だが難敵”

自宅を配偶者、賃貸マンションを長男、預金を次男…というように遺産をそのまま配分します。評価差が生じると贈与税リスク・不公平感が噴出。土地評価額は
「路線価×地積×補正率+上物評価」が原則と覚えましょう。

2. 代償分割:納税資金確保パターンで頻出

長男が自宅を相続し、相当額を兄弟に代償金で支払う方式。試験では「代償金は贈与税非課税」が○です。ただし長男が不動産を将来売却するときは取得費が相続時評価になるため譲渡所得税負担が重くなる点を押さえましょう。

3. 換価分割:相続税の取得費加算特例とセットで出題

相続人全員が同意し不動産を売却し現金で分ける方式。特例は被相続人死亡から10か月以内の売却が要件です。問題文に「11か月後に売却」とあれば特例適用不可が正解。

4. 共有分割:空き家・共有不動産トラブルの温床

共有は「全員一致原則」があるため、将来の建替え・売却時に判子が集まらず塩漬けになりがち。FPは最終手段としてのみ提案します。

5. 手続フローと改正論点

遺言による指定分割が最優先。遺言がなければ協議→調停→審判の順。改正相続法で創設された配偶者居住権は最大終身、評価は利用権価格と負担付所有権に分けて計算します。2024年9月学科で初出題済みなので再登場に要注意。

相続の承認と放棄:3か月ルールを制す

1. 熟慮期間の本質を知る

相続開始を知った日から3か月以内に単純承認・限定承認・放棄を選択。月末に死亡したケースで「90日計算」をさせる問題が増加しています。
例:3月31日開始→6月30日期限。

2. 限定承認シミュレーション

積極財産500万円、消極財産1000万円なら500万円限度で弁済。超過負債は免責。共同相続人全員の合意が必須なので「一人でも反対」で不成立。

3. 相続放棄の落とし穴

放棄者は最初から相続人でなかった扱いなので、代襲相続も起こりません。試験では「放棄した長女の子が孫として相続」などの誤肢が頻出。

4. 法定単純承認の3条件

  • 相続財産を処分(保存行為・短期賃貸借は除外)
  • 熟慮期間を経過した
  • 放棄・限定承認後に財産を隠匿・消費

処分行為の判定は実務でも争点。たとえば「骨董品の鑑定に出す」は保存行為、「売却」は処分行為。覚え方は“所有権が動けば×”

出題傾向をデータで把握

過去10年・120問の頻出ランキング

  • 法定相続分計算 49問(40.8%)
  • 遺産分割協議&協議書 16問(13.3%)
  • 承認・放棄の熟慮期間 14問(11.6%)
  • 限定承認共同申述 9問(7.5%)
  • 配偶者居住権・相続開始前払戻し 7問(5.8%)※改正法論点

この5テーマだけで相続分野配点の約8割をカバーします。学習優先度を見誤らないようにしましょう。

忙しい人のための28日ロードマップ詳細版

Week1:基礎固め(インプット比率80%)

  • Day1 家系図を書きながら順位暗記
  • Day2 配偶者+各順位の割合を丸暗記
  • Day3 ゴロ合わせ「細い歯医者…」を声に出す
  • Day4 兄弟姉妹+半血補正10題演習
  • Day5 遺留分計算3題
  • Day6 動画講義(東大式FP)で復習
  • Day7 小テスト15問(過去問横断)

Week2:遺産分割×税務(アウトプット比率50%)

  • 現物/代償/換価/共有を実家の財産に当てはめシミュレーション
  • 親戚の相続新聞記事をスクラップし分類
  • 取得費加算特例の適用条件をチェックリスト化

Week3:承認・放棄&改正論点(応用力養成)

  • 限定承認の目録作成ワーク
  • 熟慮期間カレンダーアプリでリマインダー設定
  • 配偶者居住権と所有権評価の過去問5題

Week4:総仕上げ(演習比率70%)

  • 模試2回分を時間計測→復習→再テスト
  • 「間違えノート」を赤シート暗記
  • 前日:条文読み合わせ+早寝

合格者に聞いた“スキマ時間”活用術

電車通勤15分×往復で年間150時間の学習時間が生まれます。合格者の定番は「過去問道場」をスマホのホーム画面に追加し、1問1答を消化。GoodNotesで作成した暗記カードをiPhoneと同期し、忘却曲線に合わせて表示されるリマインダーを使う方法も鉄板です。

実務家コメント:資格後に役立つ3つの場面

  1. 生命保険の受取人変更相談…相続税対策と遺留分のバランス提案に必須。
  2. 住宅ローン残債+自宅評価の相談…限定承認・放棄の判断基準を提示。
  3. 株式・暗号資産の名義変更…換価分割と譲渡所得税の説明が求められる。

資格勉強で得たスキルは実務でも直結。単なる試験知識で終わらせず、“相談現場で使える言葉”に翻訳しておくと仕事の幅が広がります。

練習問題で知識をロック!

計算問題

被相続人P:配偶者A、子B(死亡・子CとD)、子E、母F。Pの遺産6000万円を法定相続分で按分せよ。

  • 配偶者A:1/2→3000万円
  • 子全体:1/2→3000万円をB代襲C・DとEで3等分=各1000万円
  • C:1000万円、D:1000万円、E:1000万円
  • 母Fは子がいるため相続権なし

○×問題

  • 限定承認をした場合、相続財産の管理人は相続人代表1名で足りる。
    答え:×(原則、利害関係人の申立てで家庭裁判所が選任)
  • 配偶者居住権は遺留分算定の基礎財産に算入される。
    答え:◯

用語集:覚えにくいキーワードを30秒で復習

  • 熟慮期間:承認・放棄を決める3か月。伸長には家庭裁判所の許可が必要。
  • 寄与分:被相続人の財産形成に特別の寄与をした相続人の取り分加算。
  • 特別受益:生前贈与や結婚資金など遺産先取り分。
  • 配偶者短期居住権:遺産分割完了まで又は6か月間は無償居住可。
  • 相続時精算課税制度:2500万円控除+超過20%一律課税。

内部リンク・外部リンクでさらに深掘り

まとめ:今日から行動を始めよう

相続分野の合否は割合・期限・手続をどれだけ高速かつ正確に処理できるかで決まります。本記事で紹介した家系図3ステップ、遺産分割比較表、熟慮期間カレンダー、28日ロードマップを活用し、インプット→演習→振り返りを4週間続けてみてください。
試験当日、あなたの脳内には「相続分野は得点源」という自信が宿っているはずです。

さあ、まずはノートに家族構成を書き、法定相続分を自力で計算するところからスタートしましょう。そして次の学習ステップとして、上記内部リンクの総合ガイドで他分野との横断整理を行い、合格を確実なものにしてください。

あなたの合格と実務での活躍を心より応援しています!

オリジナル練習問題

問題1 法定相続分と遺産の共有

法定相続分に従えば、相続財産は相続開始と同時に各相続人へ自動的に現物分割され、各自が単独で自由に処分できる。
解答:×

解説:相続財産は一旦「共有」として相続人全員の総有状態となる。法定相続分は共有持分割合を示すだけで、遺産分割が終わるまでは単独処分できない。

問題2 遺産分割協議の成立要件

遺産分割協議は、相続人のうち少なくとも過半数が合意すれば有効に成立する。
解答:×

解説:協議分割は共同相続人“全員”の合意が必要。1人でも欠けると無効となる。

問題3 指定分割と協議分割の関係

被相続人が遺言で遺産の具体的な分割方法を指定していても、共同相続人全員が合意すればその内容を変更できる。
解答:◯

解説:被相続人による「指定分割」は原則尊重されるが、相続人全員が一致すれば新たな協議分割で変更可能(民法909条但書)。

問題4 遺産分割調停不成立後の手続き

家庭裁判所の遺産分割調停が不成立となった場合、同じ家庭裁判所が自動的に審判手続きへ移行する。
解答:◯

解説:調停不成立時は家事事件手続法により審判へ移行し、裁判所が職権で分割方法を決定する。

問題5 単純承認の手続き

単純承認を選択する場合、相続開始を知ってから3か月以内に家庭裁判所へ届け出る必要がある。
解答:×

解説:単純承認は届出不要。3か月以内に限定承認・放棄の申述をしない、あるいは相続財産を処分すると当然に単純承認となる(民法921条)。

問題6 限定承認の申述主体

相続人が複数いる場合、限定承認はそのうち1人が単独で家庭裁判所へ申述できる。
解答:×

解説:限定承認は「相続人全員共同」でなければ申述できない(民法923条)。

問題7 相続放棄の効果

相続放棄をした者は、初めから相続人でなかったものとみなされ、その地位は次順位の者に移る。
解答:◯

解説:放棄者ははじめから相続人でなかった扱いとなり、第二順位や第三順位に権利が移転する(民法939条)。

問題8 相続放棄・限定承認の熟慮期間

相続放棄または限定承認は、相続開始および自己の相続人たる地位を知った時から3か月以内に申述しなければならない。
解答:◯

解説:民法915条1項の熟慮期間。やむを得ない事情があれば家庭裁判所に伸長申立て可能。

問題9 預貯金の仮払い制度

民法改正により、遺産分割前でも各相続人は自らの法定相続分に応じて、1金融機関につき最大150万円まで預貯金を仮払いで引き出せる。
解答:◯

解説:2019年施行の預貯金仮払い制度(民法909条の2)。仮払い額は〈法定相続分×預金残高×3分の1〉と150万円のいずれか低い額が上限。

問題10 遺産分割協議成立の遡及効

遺産分割協議が成立すると、その結果は相続開始時にさかのぼって適用され、不動産登記などの権利変動も遡及的に有効となる。
解答:◯

解説:遺産分割の効果は相続開始時に遡及(民法909条)。ただし第三者の権利を害さない範囲で効力が及ぶ。

よくある質問

  • Q:法定相続分の暗記が苦手です。効率的な覚え方は?
    A:家系図を書いて比率を書き込む方法と、「細い歯医者…」などの語呂合わせを併用するのが効果的です。詳しくは相続超徹底攻略ガイドで解説しています。
  • Q:相続放棄をした人の子どもに代襲相続は発生しますか?
    A:発生しません。相続放棄をすると「初めから相続人でなかった」扱いになるため、その子どもにも相続権が移りません。
  • Q:限定承認と相続放棄、試験で間違えないコツは?
    A:限定承認=「全員で共同申述」、相続放棄=「各自で単独申述」という対比で覚えると混同しにくくなります。
  • Q:遺産分割協議書は公正証書で作成しないと無効ですか?
    A:いいえ。書面に相続人全員の署名押印があれば有効です。公正証書は任意ですが、第三者証明になるためトラブル防止策として推奨されます。
  • Q:試験本番、法定相続分の計算を早く処理するコツは?
    A:①家系図を先に描く → ②配偶者と順位別の基本比率を記入 → ③代襲有無をチェック → ④電卓で割り算、の順にルール化すると時短になります。
  • Q:相続分野の合格ラインはどれくらいですか?
    A:過去データでは6~7割正答が平均です。相続で安定して得点するには、本記事の8週間スケジュールとFP試験完全攻略ガイドの併用がおすすめです。

参考サイト

初心者のための用語集

  • 法定相続分:民法900条で定められた、相続人ごとの「基準割合」。遺産分割協議の目安になる。
  • 代襲相続:本来の相続人が死亡・欠格・廃除で相続できないとき、その子が相続権を引き継ぐ制度。
  • 遺産分割協議書:相続人全員が合意した遺産の分け方を記載する書面。公正証書化は任意。
  • 現物分割:不動産や預金など遺産をそのまま分ける方法。
  • 代償分割:特定の相続人が財産を多く取得し、他の相続人に現金で差額を支払う方法。
  • 換価分割:遺産を売却して現金化し、そのお金を法定相続分などで分配する方法。
  • 共有分割:遺産を相続人が共有名義で保有する状態。処分時に全員の同意が必要。
  • 限定承認:相続財産の範囲内で債務を弁済する相続方法。相続人全員の共同申述が条件。
  • 相続放棄:相続による一切の権利義務を承継しない手続き。各相続人が単独で家庭裁判所に申述する。
  • 熟慮期間:相続開始を知ってから3か月以内に承認・放棄を決めるべき法定期間。

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松田 悠志
㈱ビーシアップ代表。宅建士・FP2級。人材採用・営業・Webマーケ・資産形成を支援し、採用コンサルやマネープラン相談も対応。株12年・FX7年のスイングトレーダー。ビジネス・投資・開運術を多角的に発信し、豊かな人生を後押しします。