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1月に「スタートダッシュ」を狙う人が抱える意外な落とし穴
1月になると「今年こそ新しい目標を達成しよう!」と、いわゆる“スタートダッシュ”に意気込む方は多いのではないでしょうか。新しい年のはじまりは誰しも気持ちをリセットしやすく、やる気に満ちあふれます。実際に、
- ダイエットを始める
- 語学学習の教材を一気に買いそろえる
- ジムや習い事に通い始める
- 仕事や副業で新しいプロジェクトを立ち上げる
といった行動を「よし、やるぞ!」と高いモチベーションでスタートさせる人は少なくありません。しかし、ここで注意したいのが“スタートダッシュ”特有のリスクです。勢いに任せていきなりフルパワーで走り出すと、早々に息切れしたりリバウンドが起こったりする可能性が高まります。
特に、アメリカ系の自己啓発書には「最初からエンジン全開で突き進め!」という力強いアドバイスが多く見られますが、それが必ずしも自分に合っているかどうかは分かりません。本記事では、なぜ一気に加速する方法がうまくいかない場合があるのか、そして自分に合ったペース配分はどのように見つければいいのかを詳しく解説していきます。
「スタートダッシュ」の本当のリスクとは?
1. 挫折やリバウンドが起こりやすい
新年がスタートする1月は、周囲の雰囲気も後押しして気持ちが高まりやすい時期です。最初の数日や数週間はモチベーションが最高潮で、すべてうまくいきそうに思えるでしょう。ところが、そこで全力を注ぎすぎると、突如として「エンスト状態」になってしまう人は少なくありません。
急激にペースを上げると、心身ともに疲れやすくなるだけでなく、少しでも結果が出ないときに「あれ、こんなはずじゃなかったのに……」と気持ちが萎えやすいのです。さらに、大きなリバウンドにもつながります。ダイエットで言えば、一気に食事制限をして短期間で体重を落とすと、その反動でかえって体重が増えてしまうパターンが代表的な例です。
2. 「現状維持メカニズム」が働いてしまう
石井裕之氏の著書『心のブレーキの外し方』では、人間の潜在意識には「現状維持メカニズム」という安全装置のような仕組みがあると紹介されています。これは、変化に伴うリスクから身を守るために、潜在意識が無意識にブレーキをかけてしまう現象です。
さらに『マイダスシステム』という書籍でも「潜在意識は安全を求め、変化を嫌う」という主張がされています。人間は「変わりたい」という願望がある一方で、今の状態を維持したいという矛盾する感情を同時に抱えているのです。つまり、もしも潜在意識が「現状のほうが安全だ」と強く感じてしまうと、スタートダッシュで急激に変化を起こそうとしても、自分自身でトラブルを招くような行動をとってしまうことがあります。
例えば、
- ダイエットを始めたとたんに謎の体調不良が続く
- 新しい仕事を取ろうとすると急にプライベートでの問題が増える
- 勉強を始めようとすると突如「今日は気分が乗らない」と先延ばしする
など、行動を邪魔する出来事が増えるのは、無意識下の“変化を恐れる自分”が暗躍している可能性があるのです。
動物占いから見る「スタートダッシュが合う人」とは?
もちろん、すべての人がスタートダッシュを避けるべきというわけではありません。動物占いや性格診断などでは、大物思考タイプやパワフルタイプに分類される人は、勢いをつけて一気に走り始めるほうが成功しやすい傾向があります。アメリカ系の自己啓発で言われているような「まずは勢いを最大化しろ!」という方法がピタリとハマる人もいるのです。
そうしたタイプの方は、変化を「面白い」「刺激的」と捉えられるため、現状維持メカニズムがそこまで強く作用しません。むしろ、ある程度のリスクをものともせずに突破してしまうほうがモチベーションが上がり、相乗効果で成果を出しやすいのです。ただし、これはあくまで一部の人に当てはまるケース。多くの人は一気に走り出すと挫折やリバウンドを経験しやすいので、「自分は本当にこのタイプかな?」とよく自己分析する必要があります。
もしスタートダッシュに失敗しても、落ち込む必要はない
自己啓発が大好きな方ほど、「これが正解だ」と一つの方法論を追い求めがちです。しかし現実は、人の数だけ正解があります。もしパワータイプの自己啓発本を読んで真似をし、1月に思い切りスタートダッシュを切ってみたのに早々につまずいてしまったら、「自分はダメだ」と落ち込む前に「この方法が合わなかったのかも」と考えてみてください。
何も恥ずかしいことではありません。合うか合わないかはやってみなければわからないものです。それを確かめられただけでも大きな収穫と言えます。
ゆっくり進めるメリット:少しずつ変化に慣れていく
スタートダッシュで結果を出せない人におすすめなのが、あえて「ゆっくりペースで始める」という方法です。変化を小さく設定し、徐々に慣れていくことで、現状維持メカニズムの反発を最小限に抑えられます。ここでは、ゆっくり進めるメリットをいくつかピックアップしてみましょう。
1. 現状維持メカニズムを刺激しにくい
潜在意識が抵抗を起こすのは、「これは危ない!」「急すぎる!」と感じたときです。最初から大きく行動を変えると、本能的に危機感が増幅してしまいます。そこで、行動の変化を最小限から始め、例えば「最初の1週間は5分だけウォーキングする」といった具合に負荷を低めに設定します。これなら体も心も「この程度なら大丈夫」と判断し、ブレーキがかかりにくくなるのです。
2. リバウンドを予防しやすい
一気に走り出すと、ストレスや疲労も一気に積み上がります。その状態で成果が出なかったり、少しサボってしまったりすると「もういいや!」と大幅なリバウンドに陥りやすいのです。それに対して、始めから少しずつ変化を取り入れるスロースタートは心身への負荷が軽く、長期的に見ても大きなリバウンドが起こりにくいという利点があります。
3. 習慣化しやすい
小さな行動でも、毎日続けることで習慣化します。例えば、「英単語を1日5個だけ覚える」でも、続ければ3か月で450語、半年で900語と着実に積みあがります。スタートダッシュだと、最初は50個・100個と覚えようとして疲れ果てるかもしれませんが、スロースタートならストレスなく続けやすく、長い目で見て成果が大きくなる可能性が高いのです。
4. 精神的なストレスを抑えられる
ゆったりとした進め方を選ぶメリットは、精神的なストレスが少ないことです。ゴールまでの道のりを気長に見通せるため、「やらなきゃ」「急がなきゃ」という焦りよりも、「できる範囲で積み重ねよう」という自分への優しさが保てます。結果として、長期的に続けるモチベーションが維持されやすいのです。
自己分析が大切:あなたはどちらのタイプ?
「スタートダッシュ型」と「スロースタート型」。どちらが正解ということはなく、大事なのは自分に合っているかどうかです。そのために、まずは過去の自分を振り返ってみることをおすすめします。
- 過去にスタートダッシュが成功した経験があるか?
- むしろ序盤に詰め込みすぎて挫折したことはないか?
- 小さな一歩を積み重ねるほうがうまくいったことはないか?
どのタイプが自分に合っているかを把握することで、成功確率はぐっと上がります。また、仕事や家庭の事情によっても使える時間や体力は変化します。1月だからといって誰もがフルスロットルをかけられるわけではありません。生活リズムやスケジュールを見直し、無理のない方法を選びましょう。
挫折しにくい目標設定のポイント
実際に目標を設定するときは、「達成したい姿をイメージしつつ、最初はあえて小さい変化に抑える」という方針が役立ちます。以下のポイントを意識してみてください。
- 大きな目標を小分けにする
いきなり「今年中に英語でプレゼンできるようになる」という大きな目標を掲げるより、「まずは毎日5分の英単語学習」「週に1回は英語の動画を見る」など具体的で小さな目標を設定するのがおすすめです。 - 成功体験を積み重ねる
小さな目標をクリアしていくことで「自分にもできる」という自信が育ちます。この「成功体験の積み重ね」がモチベーションを支える鍵になります。 - 習慣トラッカーやカレンダーで見える化する
継続している実績をカレンダーやアプリで可視化すると、自分の進歩が明確になりやる気が持続しやすくなります。 - フィードバックの仕組みを用意する
週に一度、月に一度など一定のタイミングで目標達成状況を振り返り、軌道修正することも重要です。急に無理をしすぎていないか、十分な成果が出ているかを定期的にチェックしましょう。
「自己啓発があふれている」理由
世の中には無数の自己啓発本やメソッドがあります。「なぜこんなにも多くの自己啓発が存在するのか?」というと、簡単な話「人それぞれに合う方法が違う」からです。もし本当にたったひとつの正解があるのなら、ここまで多種多様な自己啓発理論が生まれるはずがありません。
ですから、自己啓発を学ぶときは「自分に合いそうだ」と感じる方法を部分的に取り入れ、自分が試してみて合わなかったら「今回は違ったんだな」と割り切るくらいの柔軟性が大切です。どんなに評判の良いメソッドでも、あなたにとってベストとは限らないのです。
結論:最後に笑えればそれでいい
1年は365日あります。1月にスタートダッシュを決めて、一気に成果を出せるならそれも素晴らしい方法です。でも、もしその方法が合わないなら焦る必要はありません。少しずつ日々の行動を変えて、気がつけば大きなゴールにたどり着いているというやり方だって立派な成功ルートです。
大切なのは「自分に合うペースで継続し、1年後に振り返ったときに笑顔になれているかどうか」。どんなに素晴らしい自己啓発理論でも、あなたに合わなければ十分に力を発揮できません。もしスタートダッシュ型の方法論で挫折してしまっても、「失敗した」と思わずに「自分には他のやり方が必要だっただけ」と前向きに捉えましょう。
あなたがスローなペースでも焦らずコツコツと続けることで、最終的に成功を手にするタイプであるならば、それを貫けばよいのです。1月はスタートのシーズンと言われますが、一年の終わりにどんな自分でいたいかをイメージしながら、自分に合った目標達成の方法を見つけてください。のんびりマイペースで進めたって、最後に笑えれば大成功です。