Contents
- 1 不動産売却に欠かせない“媒介契約”って何?
- 2 専任媒介・一般媒介・専属専任媒介の3種類をざっくり比較
- 3 専任媒介のメリット・デメリット – “1社集中”で動いてくれるが…
- 4 一般媒介のメリット・デメリット – “複数依頼”で幅広く募集できるが…
- 5 専属専任媒介 – “さらに縛りが強い”契約形態
- 6 どんな人は専任を選ぶべき?どんな人は一般が向いてる?
- 7 トラブル事例 – 媒介契約の選び方を間違えるとどうなる?
- 8 契約書の重要チェックポイント – ここを押さえよう
- 9 まとめ – あなたの売却スタイルに合った契約形態を選ぼう
- 10 編集後記 – 売主の気持ちに寄り添う媒介契約選び
- 11 参考サイト
- 12 初心者のための用語集
- 13 不動産選びをもっと深く知りたい方へ
- 14 ◇無料相談のご案内◇
不動産売却に欠かせない“媒介契約”って何?
不動産会社に売却を依頼する際のルール(媒介契約)
不動産を売りたいとき、たいていは不動産会社(宅地建物取引業者)に「買主を探してほしい」とお願いすると思います。このときに結ぶ契約が「媒介契約」です。
媒介契約を結ぶことで、不動産会社はあなたの代わりに広告活動をしたり、内覧の調整をしたり、価格交渉をしたりといった仲介業務を行います。
売主と仲介業者の“約束事”を文書で取り決める
媒介契約では「どの不動産会社に依頼するのか」「どのような条件で活動してもらうのか」を書面で約束します。契約期間や報酬(仲介手数料)の金額・支払時期など、大切なことがたくさん決まるのでトラブルを防ぐためにも必ず書面で取り交わします。
たとえば、
- 不動産会社がどこまで売却活動をしてくれるのか
- 不動産会社が情報をレインズ(不動産流通機構)に登録するかどうか
- 報告義務(どのくらいの頻度で状況を教えてもらえるか)
- 契約期間の長さや更新のルール
といった具体的な事項が契約書に記載されます。
「アイドルの専属契約とフリー契約みたいなもの」
イメージをつかみやすくするために、アイドルやタレントの「専属契約」と「フリー契約」を例にしてみましょう。
- 専属契約: 特定の芸能事務所だけに所属して、事務所がしっかりマネージメントしてくれる。だけど自分が自由にほかの事務所と仕事できない。
- フリー契約: 複数の事務所に声をかけて仕事をもらえるけれど、どの事務所も全力で売り出してくれるとは限らない。
不動産の媒介契約もこれと似たところがあります。不動産会社を1社に絞るのが「専任系」、何社にも同時に依頼できるのが「一般」という感じです。
専任媒介・一般媒介・専属専任媒介の3種類をざっくり比較
専任媒介…1社だけに仲介を依頼、自己発見取引はOK(専属の場合はNG)
専任媒介契約では1社の不動産会社にだけ仲介を依頼します。しかし、自分で買主を見つけた場合(友人や知人などが「買いたい」と言ってきたとき)は、そのまま直接取引してもよい点が特徴です。
ただし、不動産会社は「せっかく専任で任せてもらったのに、横取りされたら報酬(仲介手数料)がゼロになるかも?」というリスクがあるため、専任だと不動産会社は一生懸命動いてくれる傾向にあります。
一般媒介…複数の不動産会社に依頼できる
一般媒介契約は「複数の不動産会社に同時に依頼できる」契約形態です。1社だけだと不安…というときに便利ですが、複数の不動産会社が同じ物件を扱うことで、情報が重複して混乱したり、不動産会社の“本気度”が下がってしまうリスクがあります。
また、自己発見取引もOKなので、自分で買主を見つけても仲介手数料はかかりません。
表やイラストで「それぞれの違い」を視覚的に示す
以下は文章での比較表ですが、イラストにして視覚化するとよりわかりやすいですよ。
契約種類 | 依頼できる会社数 | 自己発見取引 | レインズ登録義務 | 報告義務 |
---|---|---|---|---|
一般媒介 | 複数可 | 可 | 任意 | なし |
専任媒介 | 1社のみ | 可 | 7日以内 | 2週間に1回以上 |
専属専任媒介 | 1社のみ | 不可 | 5日以内 | 1週間に1回以上 |
専任媒介のメリット・デメリット – “1社集中”で動いてくれるが…
メリット:不動産会社が優先して動いてくれる、報告義務あり
- メリット1:販売活動が本気になりやすい
1社だけに依頼されるので、「うちが売らないと仲介手数料がもらえない!」と考え、不動産会社は全力で買主探しをしてくれる可能性が高まります。 - メリット2:活動報告が定期的にある
専任媒介の場合は2週間に1回以上の報告義務があり、今どんな広告をしているか、問い合わせ状況などを教えてもらえます。
デメリット:他社に依頼できないので営業力に不安があれば不利
- デメリット1:選んだ不動産会社の営業力に依存
もし営業力の弱い会社を選んでしまうと、買主候補に十分アプローチできず、売却が長引くリスクがあります。 - デメリット2:囲い込みされるリスク
悪質な不動産会社だと「他社からの問い合わせをわざと断る」などの囲い込み行為が起きる可能性があります。
自分で買主を見つけてもOK(専任の場合)
専任媒介は自分で買主を見つけたとき、不動産会社を通さず売買契約ができるため、仲介手数料ゼロの可能性があります。知り合いが買ってくれそうな場合は、これが大きなメリットになることもあります。
一般媒介のメリット・デメリット – “複数依頼”で幅広く募集できるが…
メリット:複数社に声かけでき、売りやすい?
- メリット1:広いネットワーク
複数の不動産会社が同時に買主を探すので、幅広い層にアプローチできる利点があります。 - メリット2:自己発見取引が可
自分で見つけた買主と直接契約すれば、仲介手数料を支払わなくて済む場合があります。 - メリット3:不動産会社を比べながら進められる
どの会社がいちばん頼りになるか見極めたいときに便利です。
デメリット:どの会社も本気度が下がる可能性、情報が重複したり混乱
- デメリット1:不動産会社が本腰を入れにくい
一般媒介だと「どうせ他社で決まるかもしれない」と考えられ、広告費や時間をあまりかけてくれない恐れがあります。 - デメリット2:情報が錯綜する
「A社とB社がそれぞれ違う価格で広告を出している」「内覧の日程調整がかぶって混乱する」など情報管理に手間取る場合があります。
報告義務がなく、売主がこまめに状況確認する必要あり
一般媒介では報告義務がありません。そのため、不動産会社からこまめに連絡が来ないこともしばしば。売主自身が積極的に「どうなってますか?」と問い合わせないと、活動状況が見えにくいデメリットがあります。
専属専任媒介 – “さらに縛りが強い”契約形態
専任媒介と違い、自己発見取引もNG
専属専任媒介契約は、1社にだけ依頼する点は専任媒介と同じですが、自己発見取引が禁止されています。自力で買主を見つけても、必ず契約した不動産会社を通して売買しないといけません。
つまり仲介手数料は必ず発生するので、「知り合いに売って仲介手数料を浮かせたい」という場合には不向きです。
報告義務が週1回(専任は2週間に1回)など厳格
専属専任媒介は報告義務が週1回以上と定められています。報告回数が多いぶん、売主はこまめに状況を把握できますが、不動産会社が守ってくれなければ意味がありません。契約を結ぶときは、どのくらい具体的に報告してくれるかを必ず確認しましょう。
売主があまり積極的に買主を探さない場合には安心?
「自分で買主を探すつもりはないし、不動産会社に完全にお任せしたい」という人には、専属専任媒介も良い選択肢かもしれません。
不動産会社からすれば、自己発見取引で報酬がゼロになることがないので、安心して広告費を投入できるメリットがあります。
どんな人は専任を選ぶべき?どんな人は一般が向いてる?
専任=不動産会社1社を信頼してお任せし、報告をしっかり受けたい人
専任媒介は下記のような方におすすめです。
- 信用できる不動産会社や担当者を見つけた
「ここの営業力なら大丈夫」と思える不動産会社を見つけた場合、一社集中で頼るのが効率的です。 - 販売状況をきちんと把握したい
2週間に1回の報告義務があり、定期的なフィードバックをもらえます。 - 自己発見取引の可能性も残したい
不動産会社に全力で動いてもらいながら、自分の友人知人にも声かけしたいときに有利です。
一般=広く募集したい、いろんな会社に声をかけたい人
一般媒介はこんな人に向いています。
- 複数の不動産会社に同時並行で動いてほしい
「1社に任せるのが不安」という場合、一般媒介なら複数社のネットワークを使えます。 - 自己発見取引がしたい
専任媒介でも自己発見取引はできますが、一般媒介のほうが自由度はさらに高いです。 - 不動産会社をじっくり比較検討したい
複数社が同じ物件を扱っていると、動きが良い会社を見極めやすいケースもあります。
専属専任=さらに縛りが強いが、全面サポートを求める人
- 不動産会社にすべて任せたい
自分で買主を見つける気がまったくない人に向いています。 - こまめな報告が欲しい
報告義務は週1回以上と厳格なので、状況を細かく知りたい方におすすめ。 - 確実に仲介手数料を払うことで、不動産会社を強力に動かしたい
自己発見取引ができないぶん、不動産会社は「絶対に仲介手数料がもらえる」ので、安心して広告費を投入してくれる場合があります。
トラブル事例 – 媒介契約の選び方を間違えるとどうなる?
一般媒介で情報が混乱&成約時の手数料トラブル
事例: 複数の不動産会社と一般媒介契約を結んだAさん。各社がバラバラの価格で広告を出してしまい、買主から「どれが本当の売り出し価格なの?」とクレームが…。さらに、複数社が同じ買主を紹介してきたため、最後は「どの会社が仲介手数料をもらえるのか」でもめました。
ポイント: 複数依頼するときは、売り出し価格や広告内容を統一し、重複した問い合わせ管理をしっかりする必要があります。
専任で不動産会社が動いてくれず売れ残り
事例: 信頼できると思った不動産会社に専任媒介を依頼したBさん。しかし実際はその会社が販売活動をサボっていて、数カ月たっても問い合わせゼロ…。契約期間中は他社に変えづらく、結局かなりの期間売れ残ってしまいました。
ポイント: 専任を結ぶときは、その会社がどんな広告・営業をするのか事前に具体的に確認し、定期的に報告を受け、動きが悪ければ契約更新前に見直す必要があります。
成功例:担当者との相性を見極めて専任にしてスピード売却
事例: Cさんは最初、一般媒介で何社かに声をかけていましたが、その中で熱心に提案してくれた会社の担当者がいたため、途中で専任に切り替え。するとその担当者が広告を大々的に出してくれて、1カ月足らずで売却成功。
ポイント: 最初は一般媒介でスタートしてみて、「この人なら任せてもいい」と思える担当者が見つかったら専任に移行するのもアリです。
契約書の重要チェックポイント – ここを押さえよう
契約期間(通常3ヶ月)や更新方法
専任媒介・専属専任媒介は契約期間が最長3ヶ月と法律で決まっています。更新するときは、改めて合意をする必要があり、自動更新はできません。
一般媒介は3ヶ月という決まりはありませんが、実務上は3ヶ月ほどで区切ることが多いです。更新方法がどうなっているか、契約書で確認しましょう。
報告義務の頻度・範囲、違約金の有無
- 報告義務:
– 専任媒介:2週間に1回
– 専属専任媒介:1週間に1回
– 一般媒介:義務なし - 違約金:
途中解約すると違約金がかかるかどうかは契約書によります。違約金があまりに高額だとトラブルになりやすいので必ず確認しましょう。
「書面にサインする前に必ず読もう!」
媒介契約は、売却活動のスタート地点となる重要な約束です。
- 契約書はササッとサインしないで、内容をしっかり読む
- わからないところがあれば担当者に質問する
- 違約金や更新方法など、「もしものとき」のルールを確認しておく
こういった基本を押さえるだけでも、大きな失敗を防げます。
まとめ – あなたの売却スタイルに合った契約形態を選ぼう
時間や売主がどこまで動きたいかで選択肢が変わる
媒介契約はひとつ選べば正解、というわけではなく、「売主自身がどれくらい積極的に買主を探すか」「売却を急ぎたいか」「不動産会社にどこまでお任せしたいか」で最適な形が変わります。
- 専任媒介: 中間的なバランス。自分で買主を探してもOKで、不動産会社もある程度本気になってくれる。
- 一般媒介: 自由度重視。複数社を競合させられるけど、本気度が下がりやすい。
- 専属専任媒介: さらに縛りは強いが、不動産会社が最も力を入れる可能性がある。
複数の不動産会社に相談して比較検討が大事
契約の種類を決める前に、複数の不動産会社に査定を依頼してみましょう。査定価格だけでなく、担当者の対応・提案力も見比べるのが重要です。
「この人は信頼できそう」と感じられたら専任媒介にする、最初からいくつもの会社に頼みたいなら一般媒介にするなど、自分の状況に合ったやり方を選択しましょう。
関連記事・専門家相談リンク・免責表現
関連記事:
- 「不動産会社選びで失敗しないコツ」
- 「高く売るための内覧対策ガイド」
- 「知って安心!不動産の広告戦略」
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- 物件の状況や税金の問題などは、弁護士・税理士・不動産鑑定士など専門家に相談してください。
免責表現:
このコンテンツは一般的な情報提供を目的としています。正確性を保証するものではなく、法的・税務的な最終判断は専門家にご確認ください。
以上が「専任媒介・一般媒介・専属専任媒介の違い」と「契約形態の選び方」の解説でした。
あなたの不動産売却スタイルに合った媒介契約を見つけ、ぜひスムーズかつ納得のいく売却を実現してください。応援しています!]
編集後記 – 売主の気持ちに寄り添う媒介契約選び
この記事を執筆しながら、ある70代の方の印象的なエピソードを思い出しました。40年住み続けた我が家を手放すとき、「物件」ではなく「思い出の詰まった場所」を売るという複雑な心境を抱えていたその方は、理屈だけでなく「人」で不動産会社を選んだそうです。「どんな契約形態にするか」より先に「誰に託すか」を重視したその選択は、結果的に納得のいく売却につながりました。不動産売却は単なる取引ではなく、人生の一章を締めくくる大切な節目。契約書の条項だけでなく、あなたの気持ちに共感してくれる担当者を見つけることも、実は成功の鍵なのかもしれません。あなたならではの「最適解」を見つける一助に、この記事がなれば幸いです。
参考サイト
- 不動産売却時の媒介契約の種類とは。一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の違い|SUUMO
-大手不動産ポータルが分かりやすく契約種類を比較しています。 - 媒介契約の種類、どれを選んだらいいの?違いとメリット・デメリット|HOME’S
-各契約のメリット・デメリットが整理されていて、選び方の参考になります。 - 専任媒介契約とは?一般媒介や専属専任媒介との違いも併せて解説|三菱地所のリハウス
-大手不動産会社の視点から、契約ごとの違いが詳しく解説されています。 - 媒介契約制度とは|近畿圏不動産流通機構
-公的機関による媒介契約の制度や仕組みの説明が充実しています。 - 一般媒介と専任媒介どっちを選ぶ?違いやメリット、割合を比較|東京テアトル
-実際の成約データや割合も掲載されていて、実務的な参考になります。 - 標準媒介契約約款について|国土交通省
-国の公式情報で、媒介契約の法的な標準内容が確認できます。
初心者のための用語集
- 媒介契約:不動産会社に売却を依頼するときに結ぶ約束ごと。
- 専任媒介契約:1社の不動産会社だけに仲介を任せる契約。
- 一般媒介契約:複数の不動産会社に同時に仲介を依頼できる契約。
- 専属専任媒介契約:1社に任せ、かつ売主自身で買主を見つけることも禁止された最も縛りの強い契約。
- レインズ:不動産会社同士で物件情報を共有する全国ネットワーク。
- 自己発見取引:売主が自分で買主を見つけて直接売買すること。
- 仲介手数料:売買が成立したときに不動産会社に支払う報酬。
- 報告義務:不動産会社が売主に売却の進捗を定期的に知らせる義務。
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