Contents
- 1 1.不動産を売ったとき、どんな費用がかかるの?ざっくり全体像
- 2 2.仲介手数料 – 不動産会社への支払い
- 3 3.印紙税 – 売買契約書にかかる“切手みたいなもの”
- 4 4.抵当権抹消費用 – ローン残債がある場合
- 5 5.譲渡所得税 – 売却益にかかる税金
- 6 6.その他の費用 – ハウスクリーニングやリフォーム、引っ越し代など
- 7 7.費用計算の例 – 具体的にどのくらい引かれる?
- 8 8.トラブル回避&節税のポイント – 知っておくだけで損しない
- 9 9.まとめ – 売却益だけではなく“諸費用と税金”も見据えて計画を
- 10 参考サイト
- 11 初心者のための用語集
- 12 不動産選びをもっと深く知りたい方へ
- 13 ◇無料相談のご案内◇
1.不動産を売ったとき、どんな費用がかかるの?ざっくり全体像
売却価格がそのまま手元に入るわけではない
不動産を売却したとき、受け取る売却価格(契約で決めた金額)そのものが、すべて自分の懐に入るわけではありません。
売却の過程では仲介手数料や印紙税、抵当権抹消費用など、いろいろな費用が必要です。さらに、売却によって利益(譲渡所得)が出た場合は譲渡所得税もかかります。
「思ったより手元に残らなかった…」という声は少なくありません。そこで大切なのが、事前に諸費用や税金を把握し、売却計画をしっかり立てることです。
仲介手数料、印紙税、抵当権抹消費用、譲渡所得税など
不動産売却にかかる主な費用や税金は、次のようなものがあります。
- 仲介手数料:不動産会社へ支払う成功報酬
- 印紙税:売買契約書に貼る印紙(“切手”のようなもの)
- 抵当権抹消費用:住宅ローンを完済した後に抵当権を消す登録免許税+司法書士報酬
- 譲渡所得税:売却益(利益)に対してかかる税金
物件によっては、たとえばハウスクリーニング費用や引っ越し代、リフォーム代なども必要になることがあります。
売却後に「こんなに引かれるの?」と驚かないように
不動産会社と売却価格を決める段階では、つい「高く売れたらラッキー!」と利益ばかりに目がいきがちです。しかし諸費用や税金を差し引くと、実際の手残りがグンと減るケースもあります。
大切なのは「売却価格からどのくらい費用や税金が引かれるか」を具体的に計算してみること。そのうえで住宅ローン残債の完済や買い替えの予算をきちんとシミュレーションし、「損しない」売却プランを立てましょう。
2.仲介手数料 – 不動産会社への支払い
上限は「売却価格の3%+6万円(+消費税)」が目安
不動産の売却には、不動産会社へ支払う仲介手数料がかかります。これは「宅地建物取引業法」で上限が決められており、売却価格が400万円を超える場合は、概ね「売却価格の3%+6万円(+消費税)」が最大の目安です。
たとえば3,000万円で物件が売れた場合は、(3,000万円×3%+6万円)+消費税=約105.6万円(税込)となります。高額物件になればなるほど、仲介手数料の金額も大きくなる点に注意が必要です。
高額物件ほど仲介手数料も大きくなる
もし5,000万円で売れた場合なら、仲介手数料はざっくり税込み170万~180万円ほどになることも。物件が高額になると、そのぶん仲介手数料も跳ね上がります。
仲介手数料は不動産会社の“売上”となるため、値下げ交渉には応じない会社もあります。ただ、状況次第では交渉できるケースもあるので、複数社から見積もりをとって比較検討するのも方法です。
成功報酬なので成約後に支払うケースが多い
仲介手数料は成功報酬型です。契約が成立し、買主さんが決まって売買契約が締結された段階で支払うのが一般的になります。
ただし媒介契約時や契約締結時点で一部を前払いし、残金を決済時(引き渡し時)に払うケースもあります。支払時期や方法は不動産会社との契約書類をよく確認してください。
3.印紙税 – 売買契約書にかかる“切手みたいなもの”
契約書の金額に応じて税率が決まる(2〜10万円前後など)
不動産の売買契約書には、収入印紙を貼り付けて税金を納めるルールがあります。これが印紙税です。売却価格に応じて税額が変わり、1,000万円超~5,000万円以下の契約書なら本則2万円、軽減税率1万円などというようにランク分けされています。
たとえば3,000万円の売買契約なら、本則税率だと2万円、軽減税率が適用できる期間であれば1万円で済むことになります。
印紙を買って契約書に貼る、剥がさずに収入印紙として消印
印紙税は、郵便局やコンビニなどで収入印紙を購入し、それを契約書に貼ることで納税します。貼った印紙には「割印」(消印)を行い、再利用できないようにするのがルール。
電子契約を利用する場合は取り扱いが異なることがありますが、一般的には不動産売買では書面のやりとりが多いため、収入印紙で対応するケースがまだ主流です。
電子契約の場合は違う扱いになる?
近年では電子契約書を導入する企業も増えており、電子署名の契約書には印紙税がかからない可能性もあります。ただし不動産売買ではまだまだ紙ベースが一般的なので、電子契約が広く普及していないのが現状です。もし電子契約を検討しているなら、不動産会社に対応可否を確認してみましょう。
4.抵当権抹消費用 – ローン残債がある場合
住宅ローンを完済しても抵当権を消す手続きが必要
自宅を購入するとき、金融機関は抵当権という担保を設定します。これは「返済できない場合に物件を差し押さえる権利」です。
売却時には、買主に物件を完全に引き渡すために抵当権を消す必要があります。住宅ローンを完済しても、自動的に抵当権が消えるわけではないので、「抵当権抹消登記」を法務局で行う手続きが必要です。
登録免許税+司法書士への報酬がかかる
抵当権を抹消するときには、1不動産あたり1,000円の登録免許税がかかります。マンションなら土地と建物で2つ必要、敷地が複数に分かれていればそのぶん数が増えます。
さらに登記の専門家である司法書士に依頼する場合は報酬が上乗せされ、一般的には1〜2万円台ほどが目安です。合計で2万〜3万円前後がかかるケースがよくあります。
自分でやる人もいるが初心者は専門家に頼むのが安心
ネットなどを使い、抵当権抹消登記を自分で行うことも法律上は可能です。ただ、必要書類の準備や法務局への申請など、慣れない手続きは手間と時間がかかりやすいです。
不備があると再提出になったり余計な時間を費やしたりするので、多くの方は司法書士に依頼しています。手数料はかかりますが、その分ミスのリスクを減らせる点がメリットです。
5.譲渡所得税 – 売却益にかかる税金
短期譲渡(5年以内)or長期譲渡(5年超)で税率が違う
もし売却によって利益(譲渡所得)が出た場合は、譲渡所得税を納める必要があります。
この税率は「物件を所有していた期間」で大きく変わります。
- 短期譲渡:所有期間が5年以内 → 約39%
- 長期譲渡:所有期間が5年超 → 約20%
「5年を超えるかどうか」は、売却した年の1月1日時点で判断されるので注意してください。
住居用なら3,000万円特別控除など軽減制度もある
マイホーム(居住用不動産)を売却した場合は、3,000万円特別控除という制度が使えるかもしれません。これは、譲渡所得から最高3,000万円まで差し引ける大きな控除で、適用条件を満たせば売却益が3,000万円以内なら非課税となります。
そのほかにも買い替え特例や10年超所有軽減税率など、居住用財産向けの優遇措置が多くあるので、売却前に必ずチェックしましょう。
税率は所得税・住民税合わせて約20〜39%ほど
譲渡所得税は、所得税+住民税+復興特別所得税を合わせたトータルで計算されます。短期譲渡なら約39%、長期譲渡なら約20%強が目安です。
たとえば3,000万円の売却価格すべてにかかるわけではなく、「売却額 − 取得費 − 譲渡費用」が税金の対象です。この計算が複雑な場合は、税理士やFP(ファイナンシャルプランナー)に確認することをおすすめします。
6.その他の費用 – ハウスクリーニングやリフォーム、引っ越し代など
内覧をスムーズにするためのクリーニングや小修繕
「少しでも高く売りたい」「内覧で印象を良くしたい」という場合、ハウスクリーニングや簡単なリフォーム・修繕を検討することがあります。
水回りのクリーニングやキッチンの換気扇交換など、小規模な修繕でも物件の印象がかなり変わることも。費用は数万円から数十万円まで幅広いですが、その分、売却価格のアップやスピード成約につながる可能性も高まります。
売却後の引っ越し費用や仮住まい費用
売却後に引っ越しが必要な場合、引っ越し代や一時的な仮住まいの家賃なども支出として考えなければなりません。
もし買い替え先が決まっていないときは、仮住まいを挟むことになり、敷金・礼金など初期費用も発生する可能性があります。タイミングを合わせられない場合の予算確保も忘れずに。
任意(自由)だけど、より高く売りたいなら投資も検討
これらのクリーニング費用やリフォーム費用は、絶対に必要というわけではありません。「何もしなくても、ある程度売れる見込みがある」「リフォーム費用よりも売却価格アップが見込めない」という場合は控える人もいます。
一方で「少し投資してでも綺麗にして、高く売りたい」という場合は、費用対効果を考えながら検討すると良いでしょう。
7.費用計算の例 – 具体的にどのくらい引かれる?
例)3,000万円で売却できた場合の試算
具体的に、売却価格3,000万円の物件を例にして諸費用を見てみましょう。
- 仲介手数料:(3,000万円×3%+6万円)+消費税 ≒ 105.6万円
- 印紙税:軽減措置を使うと1万円ほど
- 抵当権抹消費用:2万円前後(司法書士報酬込み)
- その他:住宅ローン一括返済手数料など1万円程度
これだけで約110万円がかかります。
仲介手数料、印紙税、抵当権抹消費用の合計シミュレーション
上記のとおり、仲介手数料が一番大きく、印紙税や抵当権抹消費用は比較的少額です。しかし売却価格が高くなるほど仲介手数料も比例して上がるので、高額売却の際は費用の増加も意識しましょう。
譲渡所得税は利益(売却価格−取得費−諸経費)にかかる点に注意
仮に売却による利益があれば、さらに譲渡所得税がかかります。
たとえば購入時の不動産価格や購入時に払った諸費用が「取得費」として控除できますが、取得費の資料を紛失してわからない場合は、売却価格の5%とみなす「概算法」が使われます。
いずれにせよ「利益に対して」課税されるため、利益が出ない(赤字)の場合は課税されません。ただし、3,000万円特別控除が使えるなら大きく税金を減らせる場合があるので、細かい計算をしてみることが重要です。
8.トラブル回避&節税のポイント – 知っておくだけで損しない
売却契約書の書き方や印紙税の軽減措置
契約書の金額欄を正しく記載しないと、想定より高い印紙税がかかることもあります。2027年3月末までは印紙税の軽減措置が続いているので、必ず適用されるかチェックしましょう。
また、手付金の領収書や契約書の副本をどう扱うかによっても印紙税が変わるケースがあるため、疑問があれば不動産会社や税理士に相談してください。
居住用3000万円特別控除や買い替え特例など
不動産売却の節税策には、
- 3,000万円特別控除
- 10年超所有軽減税率の特例
- 買い替え特例
- 相続した空き家を売却するときの特例
など、多くの制度があります。
それぞれ適用条件が細かく設定されているため、自分が当てはまるかどうかをしっかり確認しましょう。使える特例があれば、譲渡所得税を大きく圧縮できる可能性があります。
迷ったら税理士やFP、不動産会社に確認
売却時の費用計算や税金計算は複雑で、個別のケースによって計算結果が変わります。「所有期間がギリギリで長期譲渡になるかどうか」「転勤による空き家だけど、特例が使えるか?」など、疑問が出たら専門家に相談しましょう。
宅建業者や司法書士、税理士、ファイナンシャルプランナーなど、それぞれの専門分野でアドバイスが得られます。
9.まとめ – 売却益だけではなく“諸費用と税金”も見据えて計画を
最終的に手元に残る金額を計算しておく重要性
不動産を売るときは、売却価格だけに注目しがち。しかし実際には仲介手数料や印紙税、抵当権抹消費用、譲渡所得税、引っ越し代など、いろいろな名目でお金が出ていきます。
そのため、「売却価格 − 諸費用 − 税金 − 住宅ローン残債」で最終的にどれくらい残るのかを、事前にシミュレーションしておくことが肝心です。
事前に調べておけば後悔しない
「こんなに費用がかかるとは知らなかった…」と後から後悔する人も少なくありません。
しかし、必要な情報をあらかじめ知っていれば、費用の準備や売却価格の目標設定、買い替えのプランニングがスムーズになります。不明点は遠慮せず不動産会社や税理士に相談し、抜け漏れのないようにしましょう。
関連記事・専門家検索リンク・免責表現
- 不動産会社を探すときは複数社に査定依頼をして比較し、仲介手数料の見積もりやサービス内容をチェックしましょう。
- 税金に関する疑問点は税務署か税理士に相談し、正確な手続きを心がけることが大切です。
- 免責表現:本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、実際の法的・税的アドバイスを保証するものではありません。最終的な判断は専門家へご相談ください。
以上が、不動産売却時に必要な費用や税金のひと通りの解説です。しっかり把握しておけば、売却後に「こんなに出費があったの!?」と驚くリスクを大幅に減らせます。ぜひ参考にして、納得のいく売却計画を立ててくださいね。
参考サイト
- 三菱UFJ不動産販売「売却時の手取り金額を試算する」 – 不動産売却費用の計算ツールと印紙税の詳細一覧が便利です。
- 南日本ハウス「売却にかかる諸費用や税金」 – 各種費用項目がシンプルに整理されており分かりやすいです。
- グロービス「不動産売却でかかる税金はいつ払う?支払いタイミング・納税スケジュール」 – 税金の支払いタイミングと納税スケジュールが詳しく解説されています。
初心者のための用語集
- 仲介手数料:不動産会社に売却の成功報酬として支払う費用。売却価格に応じた一定の割合と定額部分(例:売却価格の3%+6万円+消費税)が目安となります。
- 印紙税:不動産売買契約書に貼る収入印紙にかかる税金で、契約書に記載された金額により税額が決まります。
- 抵当権抹消費用:住宅ローン完済後に、抵当権(担保権)を消すためにかかる登記手続き費用。登録免許税や司法書士報酬が含まれます。
- 譲渡所得税:不動産の売却益(譲渡収入から取得費や譲渡費用、各種控除を差し引いた金額)に対して課される税金。所有期間により税率が異なります。
- 3,000万円特別控除:居住用財産を売却した場合に、譲渡所得から最大3,000万円まで控除できる税制上の優遇措置。適用条件を満たすと大幅な節税効果があります。
- 買換え特例:居住用不動産を売却し、同時に新たな住居を購入する場合に、譲渡所得税の納税を繰り延べられる制度。次の住宅購入資金として活用することができます。
- 電子契約:従来の紙の契約書に代わり、インターネット上で契約を締結する方法。印紙税の取り扱いが異なるため、契約方法に注意が必要です。
不動産選びをもっと深く知りたい方へ
不動産売却の後、 あなたのマイホームをお求めの方もいらっしゃると思います。 そんな方にオススメ情報を書いた、記事をご紹介します。
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