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FP試験・債券投資の償還価格・アンダーパー・オーバーパー発行・個人向け国債の年数や特徴の覚え方をわかりやすく徹底解説ーファイナンシャルプランナー試験を攻略しよう

FP試験・債券投資の償還価格・アンダーパー・パー・オーバーパー発行・個人向け国債の年数や特徴の覚え方を徹底解説ーファイナンシャルプランナー試験を攻略しよう

ファイナンシャルプランナー試験(FP試験)の「債券投資」分野でよく問われる償還価格やアンダーパー、パー、オーバーパー発行のしくみ、個人向け国債の年数や特徴の覚え方を徹底解説。豊富な事例や計算例、過去問攻略テクニックを加えた詳細版です

Contents

この記事を読むメリット

  • 債券投資の要点(償還価格・アンダーパー・オーバーパー発行・パー発行など)がさらに深く理解できる
  • 個人向け国債の年数や特徴の覚え方を詳しい事例や暗記法でマスターできる
  • ファイナンシャルプランナー試験(FP試験)で頻出する計算問題を、具体的な数字や過去問事例で攻略できる
  • 債券投資のリスクや金利変動、利回り計算に関する応用的な知識を身につけ、試験当日に差がつく解答テクニックが得られる
  • 読みやすい構成で学習のポイントを網羅し、学習計画が立てやすくなる

債券投資はファイナンシャルプランナー試験(FP試験)の「金融資産運用」分野で頻出のテーマでありながら、計算問題を含むため苦手意識を持つ受験生が少なくありません。ですが、ポイントを抑えて勉強すれば得点源にもなりやすい領域です。本記事では基本から応用まで詳しく解説し、さらに過去問の出題パターンや具体例も織り交ぜることで、理解と定着をぐっと深められる構成にしました。

ここをマスターすれば試験での点数アップだけでなく、実務としての資産運用コンサルやライフプラン設計にも役立つ知識が身につきます。それでは早速、債券投資の世界を見ていきましょう。

ファイナンシャルプランナー試験(FP試験)の債券投資:重要ポイントと全体像

ファイナンシャルプランナー試験(FP試験)における「金融資産運用」分野は、株式・投資信託・保険商品など幅広い金融商品を取り扱う中で、債券投資が大きなウェイトを占めています。とくに、

  • 債券の価格金利の関係
  • クーポン(表面利率)償還差損益
  • 最終利回り所有期間利回りなどの計算
  • 個人向け国債の特徴やメリット、発行条件
  • 市場金利の変動要因と金融政策(買いオペ・売りオペなど)

これらが恒常的に出題されています。債券は一見すると計算がややこしく感じられるかもしれませんが、「公式をただ暗記するだけではなく、仕組みを理解」することが合格のカギです。ここからは、まず償還価格アンダーパー・パー・オーバーパー発行の基礎を押さえた上で、具体的な計算例や個人向け国債の特徴・暗記法をご紹介していきます。


債券投資の償還価格とは?基礎定義と応用ポイント

債券とは、国・地方公共団体・企業などの発行体が資金調達を目的に発行する「借用証書」のようなものです。投資家は、債券を購入することで発行体にお金を貸し、その見返りとして利子(クーポン)を受け取り、満期日(償還日)には元本が返還されます。これが債券の大枠の仕組みです。

ファイナンシャルプランナー試験では、「債券の償還価格」=「額面金額100円につき100円が返ってくる」という基本をしっかり押さえておく必要があります。しかし、流通市場での取引価格発行時の価格は常に100円とは限らず、ここに債券投資の勉強で避けて通れないポイントがあります。

債券額面価格(パー)とは

「額面価格が100円」と表現される場合、1債券=100円の価値が基本形とされています。多くの試験問題や参考書では、計算の便宜上「1債券を100円」で表現し、満期日に100円が返ってくる前提で問題を解くことになります。ただし、実際の投資では最低投資額が何百万円単位になるケースもあり得ますが、試験問題では100円ベースで計算されることが多いです。

償還価格が100円に固定されている理由

債券の契約では、通常「満期日にいくらを返すか」をあらかじめ約束しています。企業や政府は「何年後の満期日に額面金額を返します」と宣言しており、これが「償還価格=100円」という原則の根拠になっています。

しかし、市場の金利が上昇したり、発行体の信用リスクが変化したりすると、債券の取引価格は上がったり下がったりします。これらの価格変動要因については後述するリスクの章で掘り下げましょう。


アンダーパー・パー・オーバーパー発行の違い:損益や計算の基本

債券を買うときや発行されるとき、下記の3パターンが存在します。

  • アンダーパー:額面100円より低い価格(例:95円)で購入(または発行)
  • パー:額面100円で購入(または発行)。いわゆる「等価発行」
  • オーバーパー:額面100円より高い価格(例:105円)で購入(または発行)

アンダーパー発行の例

  • 購入時価格:95円
  • 額面・償還時価格:100円
  • 償還差益:100円 - 95円 = 5円

債券を95円で買って満期まで保有し、100円で償還を受ければ5円の差益となります。また、これに加えてクーポン(利子)収入も入るので、トータルリターンはさらに増えます。

オーバーパー発行の例

  • 購入時価格:105円
  • 額面・償還時価格:100円
  • 償還差損:100円 - 105円 = -5円

この場合、購入した段階でクーポン(利子)が比較的高いことが期待されます。しかし、満期償還で受け取る金額が100円なので、購入価格の105円より5円損する形です。最終的にはクーポンと差損の合計を総合的に考慮して利回りを計算します。

パー発行の例

  • 購入時価格:100円
  • 額面・償還時価格:100円
  • 償還差損益:なし

差損益はないものの、クーポン収入(表面利率×額面)を受け取れるのがメリットです。なお、クーポン(表面利率)は、債券発行時の金利情勢によって高い・低いが変わってきます。

試験で狙われるポイント

  • 「アンダーパー=償還差益のプラス」「オーバーパー=償還差益のマイナス」を正確に把握する
  • 購入価格とクーポン、残存期間を組み合わせた最終利回りの計算問題が頻出
  • 「クーポンが高い債券ほど発行価格が高くなりやすい」など、市場金利との連動を理解する

債券の「利回り」計算を完全攻略:応募者利回り・所有期間利回り・最終利回り

債券投資の醍醐味であり、FP試験の計算問題の中心となるのが「利回り」の概念です。利回りは「投資金額に対して、どのくらい収益を得られるか」をパーセンテージで示したもの。ここでは、代表的な3つの利回りを押さえましょう。

1. 応募者利回り

文字通り、「募集に応募した投資家」が債券を償還まで保有した場合の利回りです。新規発行時に債券を購入し、クーポンを受け取りながら満期で償還されるまで持ち続けたケースを想定します。「発行時~満期まで」の投資成果を見る指標です。

2. 所有期間利回り

途中で売却する可能性を加味した概念。「実際に保有していた期間のクーポンや、売却時の価格」で利回りを求めます。満期まで持たずに途中で売却した場合、その売却価格を考慮する点が特徴。

3. 最終利回り

途中で購入した債券を「満期まで持った場合」に得られる利回りです。市場価格が変動する債券を購入した時点から償還時点までの収益率を考える形。試験問題では、次の単利ベースの式がよく使われます:

最終利回り(%) = {表面利率 + (償還価格-購入価格) ÷ 残存期間} ÷ 購入価格 × 100

最終利回りの計算例

例:ある債券の

  • 表面利率(クーポン):年1%(1円/年)
  • 残存期間:5年
  • 現在の購入価格:98円
  • 償還価格:100円

この場合、

  • 年1円のクーポンが5年間で合計5円受け取れる
  • 償還差益は100円-98円 = 2円
  • 1年あたりの償還差益は2円 ÷ 5年 = 0.4円

よって、

(表面利率1円 + 0.4円) ÷ 98円 × 100 = (1.4円 ÷ 98円) × 100 ≒ 1.4286%

これが最終利回り(単利)となります。試験では小数点以下を四捨五入するなどの指定がある場合もありますので、問題文の指示に合わせましょう。


個人向け国債の特徴・年数・覚え方を徹底解説

個人向け国債は、国が個人投資家に向けて発行する国債で、価格変動リスクなどを抑えた仕様になっています。FP試験の「金融資産運用」分野では毎回のように「年数」「金利タイプ」「中途換金」の部分が出題されがち。ここをしっかり覚えておきましょう。

個人向け国債の種類と年数

  • 変動10年型(変動金利、満期10年)
  • 固定5年型(固定金利、満期5年)
  • 固定3年型(固定金利、満期3年)

まず、この3種類があることを押さえましょう。とくに試験で頻出なのは変動10年と固定5年です。固定3年は選択肢に出ることはあるものの、5年・10年よりはやや比重が低めです。

特徴と金利の仕組み

  • 変動10年型:半年ごとに利率を見直す。市場金利(指標金利)に連動して金利が変わる
  • 固定5年型・固定3年型:発行時に定めた金利が満期まで変わらない
  • 最低金利保証:年率0.05%(金利が下がりすぎて0%になることはない)
  • 購入単位:額面1万円から1万円単位

中途換金ルール

個人向け国債は、基本的に発行後1年が経過すればいつでも中途換金できます。ただし、直前2回分の利子(税引前)相当額が差し引かれるペナルティがあります。そのため、極端に短期で売却すると手取りがほとんど出ない場合もある点を理解しておきましょう。

実際の試験問題では「購入直後に中途換金はできるか?」という選択肢が出ることがあり、もちろん「できない」が正解です。1年ルールを忘れないようにしましょう。

覚え方のコツ

  • 5年は固定、10年は変動 → 「ご(5)てい(固定)」「じゅう(10)どう(変動)」
  • 「最低金利0.05%保証」「1万円から購入」「1年経過後に換金OK」といった数字をまとめて暗記
  • 中途換金時のペナルティ=直近2回分の利子相当額が差し引かれる点もセット

さらに詳しい商品概要や最新の金利情報は、財務省の公式サイトなどを参照すると実務にも役立つ知識が得られます。


具体的計算例:個人向け国債の利子と中途換金ペナルティ

個人向け国債は「元本割れしない」「最低金利保証」が強みですが、試験問題でよく狙われるのが「中途換金時にいくら受け取れるか?」というパターンです。例を用いて確認しましょう。

例題:固定5年型の個人向け国債を中途換金する

  • 購入額:額面100万円分
  • 表面利率:年0.2%(単純化のため)
  • 購入後2年経過時点で中途換金
  • ペナルティ:直近2回分の税引前利息が差し引かれる

この場合、年0.2%の利子が半年ごとに支払われるので、半年での利子は

  • (0.2% ÷ 2) × 100万円 = 1,000円(税引前)

直近2回分をあわせると2,000円です。これがペナルティとして差し引かれます。実際にはこのペナルティ額から税金を考慮し、受取額を求める問題が出ることもあるので、計算過程をしっかり押さえましょう。


債券投資のリスクと試験で問われやすいポイント

債券投資は「株式投資と比べて安全」と言われることが多いですが、全くリスクがないわけではありません。FP試験では、以下のリスクに関する正誤問題や概念把握が頻出です。

1. 金利変動リスク

市場金利が上昇すると債券価格は下落、金利が下がると債券価格は上昇という逆相関関係が基本中の基本。この点を問う問題が毎回と言っていいほど出ます。

  • 長期債(残存期間が長い債券)の方が、金利変動による価格変動幅が大きくなる
  • 表面利率が低い債券ほど、金利変動による価格変動が大きくなる

これらのポイントを混同しないように注意しましょう。

2. 信用リスク

発行体(国、企業など)が債務不履行(デフォルト)に陥るリスクです。国債の場合は比較的低いとされますが、企業の場合は財務状況が悪化すると価格が急落することも。

  • 格付けが高い企業・国ほど信用リスクが低く、価格が高くなりやすい
  • 劣後債などは普通社債よりも弁済順位が低いためリスクが高い

3. 流動性リスク

売買が活発に行われていない債券は売りたいときに売れない(あるいは売れても極端に安い価格でしか売れない)可能性があります。公募国債などは市場流動性が比較的高いですが、私募債や小口債券などは注意が必要です。

4. 為替リスク(外貨建て債券の場合)

米ドルやユーロなど外貨建ての債券を購入した場合、利子や償還差益が為替レート変動の影響を受けます。試験ではTTS(電信売相場)TTB(電信買相場)を使った円貨換算の問題が出されることが多いです。


計算過程を具体例で強化:最終利回り・税金計算までやってみよう

もう少し踏み込んで、最終利回り税金の関係も見ておきましょう。FP試験では利回り計算に加えて、税引き後の受取金額を問う問題が出ることもあります。

例題:オーバーパー債券を購入して満期まで保有

  • 購入価格:105円
  • 額面・償還価格:100円
  • 残存期間:5年
  • 表面利率(年):1.5%(額面100円に対して、年1.5円)
  • 税率:20.315%(利子・譲渡益課税。復興特別所得税含む)

まずは税引き前ベースで最終利回りを計算します。

  1. 1年あたりのクーポン収入(税引き前)は1.5円
  2. 償還差損:100円-105円 = -5円(マイナス差損)
  3. 1年あたりの償還差損:−5円 ÷ 5年 = −1円
  4. 1年あたりの「クーポン+償還差損」= 1.5円 + (−1円) = 0.5円
  5. 購入価格105円に対して0.5円が毎年の見かけ収益 → 0.5円 ÷ 105円 × 100 = 約0.476%

ここまでが税引き前の最終利回り(単利ベース)です。しかし、実際にはクーポンに対して税金がかかるので、税引き後だと手取りはもっと下がります。

  • クーポン年1.5円 × (1 - 0.20315) ≈ 1.1953円(1年あたり)
  • 残存期間5年で合計約5.9765円

償還差損に関しては、以前は利子などとの損益通算ができませんでしたが、近年の制度改正で一定条件下では損益通算が可能になっています。試験問題では細かい通算の可否が問われるケースもあるので、最新版のテキストや条文を確認してください(金融庁など公的機関サイトも参照)。

注意点:試験によっては細かい税計算を要求しないことも

FP試験では、学科試験と実技試験で問われ方が異なります。学科試験では「税引き前ベースでの計算」を問うことも多いですし、実技試験やケーススタディ形式では税引き後を聞かれる場合もあるため、問題文の指示出題形式をよく読み取る必要があります。


よくある間違いとその対処法:具体的事例と試験でのひっかけ対策

債券投資における計算問題や概念問題で、受験生がつまずきがちな典型例を紹介します。ここを押さえておくと、本番でのケアレスミスを減らせます。

1. 「市場金利が上がると債券価格が上がる」と勘違い

実際は逆です。「市場金利↑ → 債券価格↓」が基本法則。過去問を解いていると、選択肢に「市場金利が上昇すれば債券価格も上昇する」とあえて逆のことが書かれているケースがよくあります。必ず逆相関関係を覚えておきましょう。

2. 「残存期間が短い債券のほうが価格変動リスクが大きい」と勘違い

これも逆。「残存期間が長い債券ほど、金利変動リスクが大きい」です。長期国債ほど金利変動による価格の上下が大きくなり、デュレーション(債券の平均回収期間)も長くなります。

3. 「クーポンが低いほど金利変動の影響は小さい」と勘違い

実際は逆です。クーポン(表面利率)が低い債券は、相対的に将来受け取るキャッシュフローが小さいため、金利変動の影響を受けやすく、価格変動が大きくなります。

4. 「個人向け国債は最低金利0%」

いいえ、最低金利は0.05%です。数字をしっかり覚えましょう。また「購入後1年経過前でも中途換金できる」という誤答にも注意。「最低1年は保有」が正しいです。


過去問攻略:債券投資分野の出題傾向とおすすめ演習法

債券投資分野は、過去問を繰り返し解くことで効率よく得点アップが望めます。以下の手順で演習することをおすすめします。

  1. まずは「アンダーパー」「オーバーパー」「パー」の3形態の基本を暗記
  2. 最終利回り所有期間利回りなどの計算式を図解・語呂合わせで定着
  3. 古い年度から解いてもよいですが、直近3~5年の問題を優先し、出題パターンを把握
  4. 「個人向け国債の中途換金」や「債券の税金計算」は定番テーマなので特に注意して演習
  5. 解いたあとは解説を熟読し、計算過程をノートに書いてチェック

「計算が苦手」という声をよく聞きますが、実は債券の利回り計算はパターンが限られており、慣れればスムーズに解けるようになります。何度も繰り返すことで「このタイプはこう解く」という型が身につくはずです。


FP試験対策の学習スケジュール例:より詳細に

ここでは、債券投資を含む「金融資産運用」分野にしっかり時間を割きながら、合格に必要な学習時間を確保するスケジュール例を、さらに詳しくご紹介します。試験日まで2~3か月の想定です。

  • ~試験2か月前
    • 科目全体をざっとインプットし、債券投資の大枠(パー、クーポン、利回り計算のイメージ)をつかむ
    • 同時に他科目(ライフプランニング、リスク管理など)の基礎も並行学習
  • 試験2か月前~1か月前
    • 債券投資の基本計算問題を集中的に演習(アンダーパー、オーバーパーの最終利回りなど)
    • 個人向け国債や外貨建て債券の特徴を整理し暗記
    • 過去問演習を始め、頻出パターンを把握
  • 試験1か月前~2週間前
    • 過去問を2~3周しつつ、計算問題の正答率を向上させる
    • 苦手な計算パターンをノートにまとめて反復
    • この段階で最低限「パーフェクトに近い状態」に持っていく意識
  • 試験2週間前~前日
    • 模擬試験や直近の本試験問題を通して総合的に時間配分の確認
    • 債券投資分野でケアレスミスの多い箇所(計算式の暗記、数字の取り違え)を最終チェック
    • 暗記系の総仕上げ(語呂合わせ・チェックリストなど)

さらにスキルアップするには?関連分野との相乗効果とおすすめ記事

債券投資を学ぶと、金利の変動要因為替レートの仕組みにも強くなれます。金融資産運用分野は相互関連が強いので、債券を起点に株式・投資信託・保険・不動産などへ知識を広げていくと、試験全体の得点力がアップするでしょう。

また、次の記事もあわせて読むと理解が深まります。

さらに、以下の公的機関をチェックするのがおすすめです。

  • 金融庁:金融行政や制度改革の最新動向が分かる
  • 財務省:国債発行の仕組みや税制改正などの情報が得られる
  • 日本FP協会:試験要項や過去問題、最新の試験関連ニュースを確認

よくある質問(Q&A)コーナー:明日から役立つ疑問解消

最後に、債券投資に関して受験生からよく寄せられる質問と、その回答をまとめました。

  • Q:「利回り計算の公式を全部暗記しきれません。どうすればいいですか?」
    A:丸暗記が苦手な場合は、「利益 ÷ 投資額 × 100」という大原則に立ち返りましょう。分子にクーポンや償還差益・差損を年換算して足し算し、分母を「購入額」で割るだけ。そこに年数や課税をどう反映させるかを頭に入れれば、問題ごとに応用できます。
  • Q:「個人向け国債と普通の国債の違いは何ですか?」
    A:個人向け国債は、価格変動リスクがなく、額面で償還される点や、最低金利保証がある点などが特徴です。通常の固定利付国債は、途中売却時に市場金利や需給状況によって価格が変動するため、元本割れのリスクもあります。
  • Q:「アンダーパー債を選ぶと必ず得をするのですか?」
    A:満期まで保有すれば償還差益はプラスですが、市場金利がさらに上昇して途中で売却する場合は、もっと価格が下がる可能性があります。また、クーポンの低さを総合的に考慮すると必ずしもトータルリターンが最良になるわけではありません。
  • Q:「過去問を解いていると、実際の取得単価や経過利息などの細かい要素が省略されている気がします。実務とは違うのですか?」
    A:試験問題では計算をシンプル化するために細かい実務要素が省略されることが多いです。実務では経過利息清算金などを考慮する必要がありますが、FP試験ではまず提示された前提をもとに計算するスタイルが主流です。
  • Q:「債券投資は初心者でも利益を出しやすいですか?」
    A:相対的にリスクは小さいとされますが、金利変動リスクや信用リスク、為替リスク(外貨建ての場合)もあります。FPとしては、顧客のリスク許容度投資目的を総合的に判断しながら債券を提案することが重要です。

まとめ:債券投資をマスターしてファイナンシャルプランナー試験(FP試験)の得点源に!

ここまで「債券投資」に関する償還価格やアンダーパー・パー・オーバーパー発行、個人向け国債の特徴や年数の覚え方、そして計算問題への対策を、具体的な例やQ&Aを交えて詳しく解説してきました。債券は金利と価格の逆相関、利回り計算、個人向け国債の年数と中途換金ルールなど覚えることが多いように見えますが、一度仕組みを理解すれば得点源にしやすい分野です。

改めて、次のアクションプランをご提案します。

  • テキストや過去問を用いて、「利回り計算の基本式」を確実に押さえる
  • アンダーパー・パー・オーバーパーの違いを「償還差損益」とセットで暗記
  • 個人向け国債は「5年=固定」「10年=変動」「最低金利0.05%」「1年後から中途換金」を丸暗記
  • 金利変動リスクや信用リスクなども含めた債券の特性を把握し、ひっかけ問題に対応
  • 過去問を繰り返し解く(正答だけでなく、選択肢全体を吟味し学習効果を高める)

債券投資の知識は、資格試験だけでなく、実務で顧客の資産運用をサポートしたり、自分自身の投資判断を行う上でも大いに役立ちます。じっくりと腰を据えて学び、ファイナンシャルプランナー試験(FP試験)の合格に向けた強力な武器にしていきましょう。皆さんの合格を心から応援しています!

さらに深く学びたい場合は、以下の記事もあわせてチェックしてみてください。

合格へ向けて、着実にステップアップしていきましょう!

オリジナル練習問題

問1

【問題】
普通社債(ストレートボンド)の償還価格は、通常、額面金額と同額である。
【解答】◯
【解説】
多くの社債は額面金額(パー)で発行され、償還時にも同額が返金されるのが一般的である。社債によってはアンダーパーやオーバーパー発行もあるが、基本的には償還価格は額面金額と同額となる。

問2

【問題】
債券がパー発行される場合、発行価格は額面100円に対して100円で設定される。
【解答】◯
【解説】
パー発行とは、額面金額と同額で債券が発行されることである。額面100円の債券であれば、発行価格も100円となる。

問3

【問題】
債券がアンダーパー発行される場合、償還金額は発行価格よりも低くなる。
【解答】×
【解説】
アンダーパー発行とは額面よりも低い価格で発行されることであるが、償還時には通常、額面金額が返金される。そのため、償還金額は発行価格よりも高くなる。

問4

【問題】
債券がオーバーパー発行される場合、発行価格は額面金額を上回るが、償還価格は額面金額であるため、償還差損が発生することがある。
【解答】◯
【解説】
オーバーパー発行とは額面よりも高い価格で発行されることであり、償還時の受取額(額面)は発行価格よりも低くなる。そのため、購入者は償還時に差損が生じる可能性がある。

問5

【問題】
個人向け国債の変動10年型は、半年ごとに利率が見直される。
【解答】◯
【解説】
個人向け国債(変動10年)は、半年に1度利率が見直されるタイプであり、市場金利の動向を反映して利率が上下する特徴がある。

問6

【問題】
個人向け国債の固定3年型は、購入後1年経過すれば中途換金が可能である。
【解答】◯
【解説】
個人向け国債は、購入後1年を経過すれば中途換金が認められている。ただし、中途換金に伴い一定のペナルティ(直近2回分の利子相当額)が差し引かれる点に注意が必要。

問7

【問題】
個人向け国債の利子は、源泉分離課税ではなく申告分離課税のみが適用される。
【解答】×
【解説】
個人向け国債の利子は、通常20.315%の源泉徴収(所得税及び復興特別所得税、住民税相当分を含む)が行われ、原則として申告不要となる。申告分離課税や総合課税を選択することも可能だが、「源泉分離課税ではない」という記述は誤り。

問8

【問題】
表面利率(クーポン)が高い債券ほど、市場金利が上昇した際には価格が大きく下落しやすい。
【解答】×
【解説】
一般に、クーポンが低い債券ほどデュレーションが長くなり、金利変動による価格変動リスクが大きい。逆にクーポンが高い債券は金利上昇時の下落幅が比較的緩やかになる傾向がある。

問9

【問題】
債券の利回りは、表面利率だけでなく、償還差損益や経過利息なども考慮して算出される。
【解答】◯
【解説】
債券の最終利回りなどを計算する場合は、購入価格と償還価格の差額(キャピタルゲイン・ロス)や保有期間中のクーポン受取額(経過利息を含む)などを総合的に考慮して算出する。

問10

【問題】
国内債券の利息や償還差益には、通常20.315%の税率が課税される。
【解答】◯
【解説】
国内債券の利息には、所得税及び復興特別所得税と住民税相当分を合わせた20.315%が源泉徴収される。償還差益や売買差益についても上場株式等と同様の税率(申告分離課税20.315%)がかかるのが原則である。

初心者のための用語集

  • アンダーパー:額面100円よりも低い価格(例:95円)で発行または購入する債券。満期償還時には差益が生じる。
  • オーバーパー:額面100円よりも高い価格(例:105円)で発行または購入する債券。満期償還時には差損が生じる。
  • パー発行:額面金額と同じ100円で発行される債券。債券価格と償還額が同じため、クーポン(利子)以外の差損益は発生しない。
  • クーポン(表面利率):債券の額面に対して定期的に支払われる利息の率。たとえば年1%なら額面100円につき年1円の利子が出る。
  • 償還価格:満期日に債券の発行体が投資家に返す金額。通常は額面100円につき100円で返済される。
  • 残存期間:債券の発行から満期までの残りの期間。一般に残存期間が長いほど金利変動リスクが大きくなる。
  • 利回り:投資金額に対する収益率のこと。クーポンや償還差損益を年間ベースで計算してパーセンテージで示す。
  • 応募者利回り:新発債券(新たに発行された債券)を発行価格で購入し、満期まで保有した場合の利回り。
  • 所有期間利回り:途中購入や途中売却など、実際に保有していた期間に基づいて計算する利回り。
  • 最終利回り:中途購入した債券を満期まで保有した場合の利回り。購入価格と償還価格、クーポン、残存期間をもとに計算する。
  • 信用リスク(デフォルトリスク):発行体が経営悪化などで利子や元本を支払えなくなるリスク。
  • 金利変動リスク:市場金利の変動によって債券価格が上昇・下落するリスク。金利が上昇すると債券価格は下がり、金利が下がると債券価格は上がる。
  • 流動性リスク:債券を売却したいときに買手が見つからず、希望価格で売れない可能性があるリスク。
  • TTS/TTB:外貨建て債券の取引時などに用いられる為替レート。TTSは銀行が外貨を「売る」際のレート、TTBは銀行が外貨を「買う」際のレートを指す。
  • 個人向け国債:国が個人投資家向けに発行する国債。中途換金可能(1年経過後)で、最低金利保証(0.05%)などの特徴がある。
  • 中途換金:満期を迎える前に債券を売却すること。個人向け国債の場合は発行から1年経過後であれば途中換金ができるが、ペナルティが発生する。

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