ファイナンシャルプランナー

FP試験・公的年金の併給調整・雇用保険の基本手当・高年齢雇用継続給付との調整・年金の税金制度を徹底解説

FP試験・公的年金の併給調整・雇用保険の基本手当・高年齢雇用継続給付との調整・年金の税金制度を徹底解説

ファイナンシャルプランナー試験(FP試験)「ライフプランニングと資金計画」で頻出の公的年金の併給調整、雇用保険の基本手当、高年齢雇用継続給付との調整、年金の税金制度をわかりやすく解説。過去問の出題傾向や勉強のコツも盛り込み、短期合格を目指す受験生の方はぜひ最後までご覧ください

Contents

この記事を読むとわかること・得られるメリット

  • ファイナンシャルプランナー試験(FP試験)における「公的年金の併給調整」「雇用保険の基本手当」「高年齢雇用継続給付との調整」「年金の税金制度」の要点を網羅できる
  • 各テーマで多くの受験生が躓きやすいポイントを把握し、得点源に変えるコツを習得できる
  • 具体的な勉強スケジュールや過去問分析、合格ラインに向けた攻略法を知ることで、合格までの学習効率が上がる
  • 専門用語や制度をわかりやすく噛み砕いて解説しているので、初心者でも理解しやすい
  • おすすめの参考書・教材・関連ブログ記事などから、試験合格後のさらに深い学習の道筋を示せる

ファイナンシャルプランナー試験(FP試験)における「ライフプランニングと資金計画」の重要性

ファイナンシャルプランナー試験では、試験範囲が大きく6科目に分かれています。その中でも「ライフプランニングと資金計画」は、公的年金や雇用保険など、私たちの生活に深く関わる社会保障制度が出題される範囲であり、多くの受験生が難しく感じる分野です。

特に「公的年金の併給調整」「雇用保険の基本手当」「高年齢雇用継続給付との調整」「年金の税金制度」は細かいルールや数字が多く、試験本番でもひっかけ問題として出題されやすいテーマです。しかし、これらをしっかり学習して理解できれば、安定的に得点を積み上げやすいため、合格ラインを超える大きな武器になるでしょう。

公的年金の併給調整:複数の年金を同時に受給する際のルール

ポイント!公的年金は原則「1人1年金」ですが、65歳以上で併給が認められるケースや、障害基礎年金が関わる場合など、例外的に複数受給が可能なケースもあります。

1人1年金の原則とは?

日本の公的年金制度は、基本的に「1人1年金」です。これは、複数の年金を同時に受け取れる状態にあっても、通常は1つの年金しか選択できないという大原則を指します。たとえば、老齢厚生年金遺族厚生年金の両方を受け取る資格がある場合でも、いずれか一方しか受給できない仕組みです。

例外的に併給できるケース

  • 老齢基礎年金+老齢厚生年金:同じ「老齢」を支給事由とするため同時に受給可能
  • 障害基礎年金+障害厚生年金:同じ「障害」が支給事由であり、併給が認められる
  • 65歳以上の老齢年金+遺族厚生年金:65歳以降は差額支給という形で遺族厚生年金を受け取ることが可能
  • 障害基礎年金+遺族厚生年金:障害基礎年金は、他の年金と併給しやすい特例

併給調整でよくある間違い

  • 65歳未満でも「老齢基礎年金と遺族厚生年金」を併給できると思い込む(正しくは65歳以上から差額分を受給)
  • 障害基礎年金の併給ルールを忘れ、他の年金と一律に併給不可と誤解する

注意!年齢や支給事由が微妙に違うだけで受給の可否が変わるので、表や図で整理するのが試験対策のコツです。たとえば「障害基礎年金だけは65歳を問わず併給できる」など、特殊なパターンを暗記しましょう。

具体的事例:老齢厚生年金と遺族厚生年金

「夫が亡くなり遺族厚生年金を受給中の妻が、65歳に達して自分の老齢厚生年金の受給権を得たケース」を考えてみましょう。

  • まず、老齢基礎年金+老齢厚生年金が支給対象
  • 遺族厚生年金は、老齢厚生年金との差額支給となる

妻の老齢厚生年金が遺族厚生年金より少額であれば、差額が遺族厚生年金として支給されます。これは実務でも非常に大切な仕組みなので、試験でもよく出題されます。

雇用保険の基本手当:失業中の生活を支える重要制度

雇用保険の「基本手当」は、離職した人が再就職するまでの生活を支える給付金です。ファイナンシャルプランナー試験では、受給資格、給付日数、給付制限などが頻出ポイントとして挙げられます。なお、法改正や雇用情勢の変化により制度が見直されることも多く、最新情報を押さえておくのが合格の鍵です。

受給資格と給付日数のポイント

  • 働く意思と能力がある(直ちに就職できる状況である)
  • 離職日前の2年間に、被保険者期間が通算12か月以上(会社都合の場合は1年間に6か月以上)
  • 受給期間:原則として離職日の翌日から1年間(病気やケガなどで働けない期間が30日以上あれば延長可)

待機期間・給付制限

  • 待機期間:7日間
  • 給付制限:自己都合退職の場合、待機期間終了後さらに2か月(現行制度。令和7年4月以降は改正予定あり)

注意!「会社都合(特定受給資格者)」と「自己都合退職」では給付制限の有無や期間が大きく変わります。過去問でもよく問われるポイントなので要チェックです。

令和7年4月以降の法改正に注意

自己都合退職の給付制限が現行3か月から、1か月へ短縮(ただし一定の条件あり)といった改正が予定されています。試験の出題範囲に該当するタイミングであれば、改正後のルールをテキストや公式情報で必ず確認しましょう。

就職促進給付の活用

雇用保険には、早期再就職をサポートするための「再就職手当」「就業促進定着手当」などがあります。これらは基本手当の残日数が規定以上残っている場合に支給されるなど、細かい条件があるため、過去問演習を通じて理解を深めておくとよいでしょう。

高年齢雇用継続給付との調整:60歳以降も働く人への支援

少子高齢化や年金受給開始年齢の段階的引き上げなどにより、60歳以降も働き続ける人が増えています。そこで注目されるのが「高年齢雇用継続給付」です。賃金が60歳到達時点より低下している場合、その差額を埋めるような形で給付金が支給されます。

支給要件と2種類の給付

  • 60歳以上65歳未満の一般被保険者
  • 雇用保険の被保険者期間が5年以上
  • 60歳到達時と比べて、賃金が75%未満に低下している

高年齢雇用継続給付には、「高年齢雇用継続基本給付金」「高年齢再就職給付金」の2種類があります。

  • 高年齢雇用継続基本給付金:60歳以降も同じ事業所などで雇用継続されている人が対象
  • 高年齢再就職給付金:60歳到達後にいったん離職し、基本手当を受給したあとに再就職した人が対象

老齢厚生年金との支給調整

この給付を受けていると、在職老齢年金の仕組みにより、老齢厚生年金の一部が支給停止となります。停止額の上限は標準報酬月額の6%など、細かい数字が設定されており、過去問でもよく問われます。「高年齢雇用継続給付」+「老齢厚生年金」の計算問題は定番です。

今後の制度変更と注意点

高年齢者の雇用促進策として、法改正が検討・実施されることも多く、「高年齢雇用継続給付の縮小」や「支給率の見直し」といったニュースが随時報道されます。試験前には厚生労働省のサイト(https://www.mhlw.go.jp/)などで最新情報を確認しましょう。

年金の税金制度:課税・非課税の仕組みを押さえる

ファイナンシャルプランナー試験では、「年金の種類ごとの課税・非課税」「公的年金等控除」「確定申告の有無」が頻出ポイント。老齢年金は課税対象、障害年金・遺族年金は非課税、といった基本ルールをしっかり区別する必要があります。

課税対象となる年金

  • 老齢基礎年金
  • 老齢厚生年金
  • 企業年金(厚生年金基金や確定給付企業年金など)の年金部分

これらは雑所得として課税されます。公的年金等控除が適用され、年金収入によって控除額が異なるのが特徴です。

非課税の年金

  • 障害基礎年金・障害厚生年金
  • 遺族基礎年金・遺族厚生年金

障害年金と遺族年金は「非課税」なので、試験でもよくひっかけ選択肢として登場します。しっかり覚えておきましょう。

源泉徴収と確定申告不要制度

老齢基礎年金や老齢厚生年金は、一定の金額以上であれば源泉徴収されます。また、年金収入が400万円以下、かつその他所得が20万円以下の場合、確定申告不要制度が適用される場合があります(実務では住民税の申告が必要なケースもあるため注意)。

個人年金保険料控除や社会保険料控除

民間の個人年金保険に加入している場合、個人年金保険料控除の要件を満たせば所得控除が受けられます。また、国民年金・厚生年金保険料などは社会保険料控除の対象です。こちらも試験で頻出なので、区別して暗記しておきましょう。

過去問や試験出題傾向・勉強法のポイント

「ライフプランニングと資金計画」分野は、単に制度名や数字を暗記するだけでは太刀打ちできません。過去問演習をしっかり行い、出題形式傾向を体で覚えていく作業が欠かせません。

過去問を繰り返し解くメリット

  • 制度のルールや計算方法が問題形式で頭に入りやすい
  • どの数字や要件がひっかけやすいかを把握しやすくなる
  • 問題文の言い回しに慣れ、本番で焦らなくなる

特に、計算問題が苦手な方は、1つひとつステップを分解して理解しましょう。たとえば、雇用保険の基本手当日額は「離職前6か月の賃金合計 ÷ 180日」→「給付率を掛ける」など、公式を正確に暗記することが大切です。
また、公的年金の併給調整では65歳以降かどうかが鍵になる問題が多いので、問題文の年齢設定を見落とさないようにするだけで誤答を避けられます。

語呂合わせ・図表化で暗記をラクに

「障害基礎年金だけは上皇様(老齢・遺族厚生年金)と一緒でもOK」などの語呂合わせを使うと、混同しやすいルールを効率的に覚えられます。さらに、図や表で「老齢・障害・遺族」を縦軸にし、基礎年金・厚生年金を横軸にして整理するなど、ビジュアルでまとめるのも学習効果が高い方法です。

試験当日までにやっておきたい具体的学習スケジュール例

  • 1か月前~2週間前:まずはテキストや参考書で公的年金・雇用保険・高年齢雇用継続給付・年金税制の基礎を一通り理解
  • 2週間前~1週間前:過去問・模擬問題で反復練習し、苦手分野を洗い出す
  • 1週間前:表や図で要点を再確認。暗記が曖昧な数字やルールの再チェック
  • 前日~当日:詰め込みすぎに注意し、苦手ポイントの最終確認

よくある勉強の悩み・間違いと対策

  • 「数字が多すぎて覚えられない!」
    → まずは基本的な数字だけに絞って暗記。その後、過去問で頻出の数字を重点的に覚える
  • 「制度改正があって、どこまで覚えたらいいの?」
    厚生労働省日本年金機構など公的機関の情報を確認。出題範囲の改正日程をテキストや公式サイトでチェック
  • 「計算問題が苦手…」
    → 計算ステップを細分化して理解し、電卓の使い方と問題文の読み取り練習を重ねる

おすすめ記事・関連リンク

もっと詳しい勉強スケジュールや過去問活用法を知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

他にも、以下の公的サイトも随時チェックしましょう。

まとめ:公的年金と雇用保険・年金の税金をマスターすれば得点アップ

「ライフプランニングと資金計画」分野の中心ともいえる公的年金や雇用保険、高年齢雇用継続給付、年金税制は、ルールが複雑だからこそ、一度理解してしまえば逆に安定的に得点しやすい分野です。

  • 公的年金の併給調整では「65歳以上」や「障害基礎年金」など例外パターンを整理
  • 雇用保険の基本手当は「受給資格」「給付制限」「日数と計算公式」を重点的に暗記
  • 高年齢雇用継続給付は「支給要件」「老齢厚生年金との調整」の仕組みが重要
  • 年金の税金制度は「老齢年金は課税」「障害・遺族年金は非課税」「控除制度あり」を押さえる

まずは最低限の数字や要件をおさえ、過去問で繰り返し演習しましょう。最新の法改正情報も、厚生労働省など公的機関サイトでチェックしておけば、試験本番でも落ち着いて対応できます。

次のアクション:あなたの合格へ近づくために

  • 過去問を一度通して解き、間違えた問題を重点的に復習する
  • 併給調整や雇用保険などは事例形式で問題を解き慣れておく
  • 年金の税金計算問題は「公的年金等控除」の早見表を活用し、正確に計算する練習をする
  • 独学に不安がある方は、通信講座やオンライン学習サービスを検討してみる

ファイナンシャルプランナー試験に合格するためには、基礎知識のインプット過去問や模擬試験でのアウトプットをバランスよく行うことが重要です。ぜひ本記事で紹介したポイントを軸に、日々の学習を進めてみてください。「公的年金・雇用保険・年金の税金制度」など、複雑に見えるテーマも、必ずあなたの得点源に変えられます!

合格後に自分自身のライフプランや、クライアントの人生設計に活かせるよう、ぜひ最後まで学習をやりきって合格をつかみ取りましょう。

最後にもう一度、学習を深めたい方は以下の記事もおすすめです。

あなたのファイナンシャルプランナー試験合格を心から応援しています!

オリジナル練習問題

問題一

【問題】 老齢基礎年金と老齢厚生年金は、原則として同時に受給することができる。

【答え】◯ 【解説】 老齢基礎年金(国民年金相当)と老齢厚生年金(厚生年金相当)は、それぞれの受給要件を満たせば併せて受給することが認められている。

問題二

【問題】 65歳以降に新たに障害基礎年金の受給権が発生した場合、すでに受給中の老齢厚生年金とは必ず満額で併給できる。

【答え】× 【解説】 65歳以降は障害基礎年金と老齢厚生年金は併給可能ですが、必ずしも満額で併給できるわけではありません。例えば、障害基礎年金に子の加算額がある場合は、老齢厚生年金の子に対する加給年金額は支給停止されます。また、障害の状態や所得によっても調整が行われる場合があります。

問題三

【問題】 高年齢雇用継続給付を受給中の場合、老齢厚生年金が一部または全部支給停止となる場合がある。

【答え】◯ 【解説】 在職老齢年金の仕組みにより、賃金や高年齢雇用継続給付の支給状況に応じて、老齢厚生年金の支給額が調整(支給停止を含む)されることがある。

問題四

【問題】 雇用保険の基本手当(失業給付)を受給している間は、原則として老齢厚生年金が支給停止される。

【答え】◯ 【解説】 65歳未満で雇用保険の基本手当を受給している期間中は、老齢厚生年金との併給を防ぐため、老齢厚生年金が原則支給停止となる。ただし、65歳以上の場合は老齢厚生年金と失業等給付(基本手当、高年齢求職者給付金)は併給可能である。

問題五

【問題】 老齢基礎年金は自分の加入実績によって受給権が認められる年金であり、配偶者の加入実績に基づく遺族厚生年金とは同時に受給できる。

【答え】◯ 【解説】 遺族厚生年金は被保険者が死亡した場合に遺族が受け取る年金であり、老齢基礎年金は本人の国民年金加入期間に基づく年金なので、両方の要件を満たせば同時に受給可能である。

問題六

【問題】 国民年金の保険料に未納期間があると老齢基礎年金の支給額に影響が出るが、老齢基礎年金と老齢厚生年金を併給する権利そのものが失われるわけではない。

【答え】◯ 【解説】 未納期間があると老齢基礎年金額は減少するが、老齢厚生年金と併給する権利の有無には直接影響しない。両方の受給要件を満たせば併給は可能である。

問題七

【問題】 老齢厚生年金の受給者が失業し、基本手当を受給するかどうか選択できる場合、本人の申し出によってあえて基本手当を受給せずに年金を継続受給することも可能である。

【答え】◯ 【解説】 雇用保険の基本手当と老齢厚生年金は併給調整が行われるため、本人の選択によって基本手当の受給をしないことで、老齢厚生年金の支給を続けることができる場合がある。

問題八

【問題】 公的年金等に係る所得は「雑所得」に区分されるが、給与所得など他の所得と合算して課税所得を算出する際には、公的年金等控除が適用される。

【答え】◯ 【解説】 公的年金等は雑所得として扱われ、給与所得などとは区分して収入額を計算するが、最終的には合算して総所得金額を算出する。その際、公的年金等控除を適用して課税所得を求めることになる。

問題九

【問題】 老齢基礎年金の受給資格期間は、2017年8月以降の制度改正により25年から10年に短縮され、改正前は受給要件を満たせなかった人でも新たに受給できる可能性がある。

【答え】◯ 【解説】 2017年の改正によって受給資格期間が10年に短縮された結果、改正前には資格期間を満たしていなかった人も、改正後に改めて資格を満たす場合が出てきている。

問題十

【問題】 老齢厚生年金は非課税扱いとなるため、所得税や住民税の課税対象から除外される。

【答え】× 【解説】 老齢厚生年金は課税対象となる公的年金であり、一定額までは公的年金等控除が適用されるが、非課税ではない。一定以上の年金収入があれば所得税や住民税が課される場合がある。

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