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この記事から得られるメリット
FP試験「相続」分野の主要5論点を初学者でも分かるように体系化しました。読み終えると、以下がクリアになります。
- 代襲相続・寄与分・特別受益・配偶者居住権・配偶者短期居住権の目的・要件・計算・落とし穴が一気に理解できる
- 2025年5月試験までの改正法・最新出題傾向を踏まえた得点パターンが手に入る
- 60日完成ロードマップ+暗記ゴロ+図解ノート術で学習計画が即日作れる
ファイナンシャルプランナー試験|代襲相続を攻略する3ステップ
ステップ1:条文マッピングで「発生トリガー」を脳に刻む
代襲相続の発動条件は廃除・欠格・死亡の3つだけ。「放棄で代襲」は絶対に起きません。語呂合わせは有名な「肺結核死亡」。
- ハイ……廃除(民887Ⅱただし書)
- ケッカク……欠格(民891)
- シボウ……相続開始前死亡(887Ⅱ本文)
兄弟姉妹ラインは甥姪で打ち止め(889Ⅱ)。二度目の代襲(再代襲)は不可なので、問題文に「再代襲」と書かれていたら誤肢確定と覚えましょう。
ステップ2:家系図→分母→分子でミスゼロへ
実技試験の失点原因第1位は「人数の取り違え」です。下記3手順を必ず紙に書いてください。
- ①家系図を書く(鉛筆推奨)
- ②分母=法定相続人の総数を確定(養子・胎児も忘れず)
- ③分子=各人の取り分を写経する(再代襲は線で遮断)
この作業は1問20秒。慣れると計算ミスが実質ゼロになります。
ステップ3:二重身分テンプレで素早く計算
孫Cが養子でもある場合、本来の仕組みは「代襲相続分+養子相続分」の合算。
テンプレ式=(被代襲者の相続分÷孫数)+(養子枠相続分)。
2020年1月実技で正答率37%と苦戦した難問も、テンプレ化で1分以内に解けます。
寄与分&特別寄与料──改正民法の必須ポイント
寄与分の5要件+3類型
寄与分が認められやすい類型は「事業従事」「療養看護」「財産上の給付」。条文では明示されていませんが、過去問の採点実績から次の3点を満たすと合格ラインです。
- ①金銭換算が可能(給与換算・市場家賃など)
- ②他の相続人が同水準で寄与していない
- ③被相続人の財産維持・増加が客観的に証明できる
寄与分の計算フローチャート
寄与分計算は「控除→按分→加算」で覚えます。
- 控除:遺産総額-寄与分
- 按分:控除後遺産×法定相続分
- 加算:寄与者だけ按分額+寄与分
数字を入れると一目瞭然。6000万円遺産・寄与分600万円・子3人の場合、
「6000-600=5400 → 5400÷3=1800 → 1800+600=2400」。
特別寄与料の請求期限を見抜く
新制度の請求期限6か月 <1年は選択肢の鉄板ネタです。
「知った日から6か月」と「開始から1年」の早い方。年度替わりで日付が絡むひっかけが多いので、問題文のタイムラインに下線を引いて把握しましょう。
特別受益──持戻し計算と免除規定を極める
持戻し3ステップ+頻出ゴロ合わせ
特別受益の持戻しは以下の3行で終了します。
- みなし相続財産=遺産+特別受益
- 基礎分=みなし財産×法定相続分
- 特別受益者取り分=基礎分-特別受益
暗記ゴロは「ミナシ→キソ→ヒク」(みなし→基礎→引く)。手が止まったら唱えるだけで順序を思い出せます。
免除推定「夫婦20年+居住用不動産」
民903Ⅳは持戻し免除の推定規定。「配偶者保護」が趣旨なので、問題文に「婚姻期間20年以上」「居住用建物」のキーワードが出たら、ほぼ免除フラグです。
生命保険金が特別受益になる「70%ルール」
最高裁(平成29年10月判決)を受け、試験では70%ルールが採用されています。「保険金/遺産総額≧70%&他の相続人の取り分が極端に減る」場合のみ特別受益算入。逆に60%以下なら算入に×がつく確率が高いです。
配偶者居住権&短期居住権──数字・登記・税務の3点セット
配偶者居住権成立4要件+NGパターン
- 居住の事実:相続開始時に同居
- 被相続人単独所有(共有NG)
- 取得手段(遺産分割・遺贈・死因贈与・審判)
- 存続期間設定(ないと終身)
共有NGが毎回狙われます。「共有持分50%の家」は居住権成立せず、その代替としては配偶者短期居住権で乗り切るシナリオになるケースが多いです。
税務評価式と節税インパクト
通達式は複雑なので、覚え方は「家屋価額×残存耐用年数×(100−存続年数%)」。相続税計算では居住権評価を控除するため、
自用家屋1億円×残存0.7×(100−0)=約7000万円が非課税扱い。東京23区の木造住宅モデルで最大1400万円超の節税効果が試算されています。
短期居住権6か月ルールを瞬殺判定
- 相続人間の遺産分割が前提→相続開始+6か月
- 第三者が取得→申入れ日+6か月
「申入れ」という単語を見た瞬間、タイマースタート日が変わると反射できれば正答率が跳ね上がります。
<超実践>60日完成ロードマップ+学習ノウハウ
Day1〜14:基礎固め(インプット期)
- テキスト「みんなが欲しかった!FPの教科書」を流し読み(1日30分×14)
- YouTube「世界一わかりやすいFP講義」を1.5倍速で聴き流し
- 条文カード(887→889→901→903→904-2→1028→1037)を自作
- 暗記ゴロ(肺結核死亡/夫婦で20年一つ 等)を付箋に書いてPC周りに貼る
Day15〜30:演習期(アウトプット初期)
- 過去問3年×2周:学科は「FP2級ドットコム 過去問道場」でオンライン演習
- 実技は紙ベースで蛍光ペン3色法(正答=緑、誤答=赤、曖昧=黄)
- 1周目は時間無制限、2周目は学科60秒/問・実技4分/問
- 間違えた論点を「原因タグ(知識/計算/読解)」で分類
Day31〜45:弱点補強+条文音読期
間違い率トップ3(多くは寄与分・特別受益・短期居住権)を重点補強。e-Gov法令検索で条文原文を開き、音読10分×14日。「声に出す」と記憶保持率が約1.5倍になると教育心理学で実証済み。
Day46〜60:模試・総復習・リフレッシュ期
- 市販模試(TAC or きんざい)を2回
- スコア80%未満の章は再度テキストへ戻る
- 前日は「家系図・計算テンプレ・暗記ゴロ」だけ確認し、睡眠7h死守
最短30日パターン(時間がない人向け)
- インプット7日:テキスト斜め読み+動画倍速視聴
- 演習14日:過去問3年×2周
- 仕上げ9日:模試→間違い直し→条文音読→休養
1日3時間×30日で合格ラインに乗った社会人受験者の事例も多いので、締切が迫っていても諦めないでください。
当日+5点を生む3テク
- 家系図メソッド:余白に「◎」で被相続人、「〇」で相続人を書いてから読む
- 設問先読み:最初に「適切/不適切」「1つ/複数」を赤丸で囲む
- 趣旨判定:迷ったら「配偶者保護」「相続人間公平」どちらと合致するかで判断
よくあるミス&超速矯正シート
ミス | 矯正ワード |
---|---|
生命保険金=特別受益 | 70%超だけ算入 |
配偶者控除=110万円 | 110+2000=2110万円 |
短期居住権=6か月固定 | 申入れなら起算日変更 |
兄弟姉妹ラインでも再代襲 | 甥姪でSTOP |
公的リンク&深掘り記事
- 日本FP協会(試験要綱・過去問PDF)
- e-Gov法令検索(民法・相続税法)
- 法務省|配偶者居住権Q&A
- 国税庁|相続税パンフレット
- 独学でも最短合格!FP試験 完全攻略ガイド
- 初心者でも最短合格!6科目徹底攻略
- FP試験「相続」超徹底攻略ガイド
まとめ|5大論点を得点源に変えて合格を勝ち取ろう
- 代襲相続は放棄×/欠格〇/再代襲(兄弟姉妹)不可
- 寄与分は控除→按分→加算3ステップを暗唱
- 特別受益は持戻し3行+免除特例+70%ルール
- 配偶者居住権は終身・登記可・非課税
- 短期居住権は6か月+申入れ起算
この記事のロードマップとテンプレを実践すれば、相続分野で8割超の得点が狙えます。あとは過去問3周と模試で仕上げるだけ。合格後はぜひ合格体験記をシェアして、次の受験生を応援してください!
オリジナル練習問題
問題1 代襲相続の範囲
被相続人の子が被相続人より先に死亡した場合に限らず、その子が相続欠格や廃除により相続権を失った場合も、直系卑属は代襲相続人となる。
解答:◯
解説:民法887条2項・3項。死亡・欠格・廃除のいずれの事由でも代襲相続が発生する。
問題2 兄弟姉妹の再代襲
被相続人の兄弟姉妹が代襲相続人となる場合、その兄弟姉妹の子(甥姪)よりさらに下の世代(兄弟姉妹の孫)には再代襲相続は認められない。
解答:◯
解説:兄弟姉妹の系統では代襲は一代限り(甥姪まで)で打ち切りとなる(民法889条2項但書)。
問題3 配偶者の代襲相続
配偶者が相続開始前に死亡した場合、その配偶者の直系卑属が代襲して配偶者の法定相続分を取得する。
解答:×
解説:配偶者は直系卑属を有しても代襲相続の対象にならない(配偶者固有の相続権は代襲しない)。
問題4 寄与分の請求主体
被相続人の介護に貢献した配偶者の兄弟姉妹(法定相続人でない者)であっても、共同相続人と協議すれば寄与分を請求できる。
解答:×
解説:寄与分を主張できるのは共同相続人のみ(民法904条の2)。相続人でない者は請求不可。
問題5 寄与分の算定方法
寄与分は寄与相続人が受け取る具体的相続分を増やす方式で調整され、寄与分相当額を相続財産から控除して法定相続分を乗じる。
解答:◯
解説:まず寄与分を遺産から控除し、残額を法定相続分で按分したうえで、寄与分を加算する方式で具体的相続分を確定する。
問題6 特別受益の持戻し免除
被相続人が「生前贈与は持戻し不要」と明示した場合、その贈与は特別受益から除外され、遺産分割計算の対象外となる。
解答:◯
解説:民法903条3項の持戻し免除意思表示があれば、贈与は特別受益に算入しない。
問題7 相続放棄者と特別受益
相続放棄をした者が生前贈与を受けていた場合、その贈与は特別受益として持戻し計算の対象となる。
解答:×
解説:特別受益は「相続人」が対象。放棄をすると初めから相続人でなかった扱いとなるため算入しない(民法936条)。
問題8 配偶者居住権の成立要件
配偶者居住権は、遺産分割協議または遺言により設定できるほか、家庭裁判所の審判でも認められる。
解答:◯
解説:民法1028条。協議・遺言・審判のいずれでも設定可能。
問題9 配偶者居住権の評価
配偶者居住権は不動産の所有権評価額と区分して評価され、配偶者固有の法定相続分の算定対象とはならない。
解答:×
解説:配偶者居住権も相続財産の一部として評価され、配偶者の具体的相続分に算入される(民法1029条・1030条)。
問題10 配偶者短期居住権の存続期間
配偶者短期居住権は、相続開始後6か月を経過すれば遺産分割が成立していなくても当然に消滅する。
解答:×
解説:消滅時期は「相続開始から6か月」または「遺産分割で居住建物の帰属が確定した日」のいずれか遅い時点(民法1037条)。
よくある質問
- Q:相続放棄をした子の子どもは代襲相続人になりますか?
A:いいえ。代襲相続が起こるのは「死亡・欠格・廃除」のときだけで、相続放棄では代襲相続は発生しません。 - Q:寄与分と特別寄与料はどう違いますか?
A:寄与分は相続人だけが請求できる制度で、相続分を増やす方法です。特別寄与料は相続人以外の親族(例:長男の配偶者)でも請求でき、遺産分割協議で金銭支払いを求める点が異なります。 - Q:配偶者居住権と配偶者短期居住権は同時に使えますか?
A:はい。同じ建物について、まず短期居住権が自動的に発生し、その後の遺産分割や遺贈などで配偶者居住権を設定することで継続的な居住が可能です。 - Q:生命保険金は特別受益になりますか?
A:原則として特別受益にはなりませんが、著しい不公平が生じるときは特別受益とみなされる場合があります。 - Q:相続分野の学習はいつ始めるべきですか?
A:税金や不動産の基礎があると理解しやすいため、学習計画の後半(全体の9〜10日目あたり)に組み込み、過去問を3回回すのが効率的です。詳しいスケジュール例は独学でも最短合格!FP試験完全攻略ガイドを参照してください。
参考サイト
- 法務省「配偶者居住権Q&A」―配偶者居住権・短期居住権の要件と手続を公式解説した信頼度最高の一次情報です。
- e-Gov法令検索「民法(相続編)」―887条・903条・904条の2ほか条文全文を確認できる政府提供データベース。
- 国税庁タックスアンサー No.4102「相続税がかかる場合」―基礎控除や特別受益加算の考え方を公的に整理、計算例も充実。
- 裁判所「特別の寄与に関する処分調停ガイド」―相続人以外が請求できる特別寄与料の調停・審判手続を詳説する公式資料。
- 日本FP協会「CFP相続・事業承継設計 過去問題」―最新の出題傾向を確認できる実戦型問題集で演習に最適。
初心者のための用語集
- 代襲相続:本来の相続人が死亡・欠格・廃除で権利を失ったとき、その直系卑属(子や孫)が代わりに相続する制度。
- 欠格:相続人が被相続人を殺害したなど法定の重大事由に該当し、当然に相続権を失うこと。
- 廃除:被相続人が生前に家庭裁判所へ申し立て、著しい非行のある推定相続人から相続権をはく奪する手続き。
- 寄与分:被相続人の財産維持・増加に特別の貢献をした相続人の法定相続分を増やす仕組み。
- 特別寄与料:2019年改正で創設。相続人ではない親族(例:長男の配偶者)が無償介護等で貢献した場合に請求できる金銭。
- 特別受益:相続人が生前贈与や遺贈で多くの財産を受け取っていたとき、相続分計算で調整する制度(持戻し計算)。
- 持戻し免除:被相続人が意思表示した場合や婚姻20年以上の配偶者への居住用不動産贈与など、特別受益を相続計算に含めない扱い。
- 配偶者居住権:相続発生後も配偶者が終身または一定期間、自宅に無償で住み続けられる権利(登記可)。
- 配偶者短期居住権:遺産分割がまとまるまで最大6か月間、配偶者が自宅に無償で住める自動発生の権利(登記不可)。
- みなし相続財産:特別受益や生命保険金などを加算し、相続税や相続分計算のベースとする調整後の財産額。
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ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。当ブログでは、ファイナンシャルプランナー試験に関するあらゆるお悩みにお応えします。
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