本日(2025年2月20日)の日本株式市場は、日経平均株価が38,678.04円(前日比-486.57円、-1.24%)と大幅下落し、心理的な節目である39,000円台を終値で割り込みました。TOPIXも2,734.60(前日比-1.18%)まで下落し、東証プライムでは約8割の銘柄が値を下げる売り優勢の展開となっています。
市場では円高進行や米国通商政策への懸念が重しとなり、輸出関連株を中心に幅広く売りが出ました。一方で、外部環境を受けにくい内需系銘柄の一部には買い戻しが入り、上昇するものも見られました。
Contents
本記事のトピックス
本記事では、以下の情報を詳しくまとめています。
- 各種チャート情報、今日の日本株市場ニュース・ヘッドライン
- 今晩のアメリカ市場の注目ポイント
- 注目銘柄「ブリヂストン(5108)」の網羅的な分析
読者の皆さまが明日以降の投資やトレード戦略を組み立てる際のヒントにしていただければ幸いです。
1. 今日の日本株式市場概況
1-1. 日経平均・TOPIXの動向
- 日経平均株価:終値38,678.04円(前日比-486.57円、-1.24%)
- 日中高値:38,967.01円、日中安値:38,468.72円
- TOPIX:終値2,734.60(前日比-1.18%)
朝方は海外株の堅調さを背景に小高く寄り付いたものの、買い一巡後は短期筋の先物売りが主導して水準を切り下げました。為替相場では一時1ドル=150円を割り込み円高が進行。これが自動車など輸出関連の業績懸念を強める格好となり、日経平均の下げ幅が広がりました。
1-2. 主な値動きの要因
- 円高進行:ドル円は一時1ドル=149円台まで円高が進み、輸出採算悪化懸念が重しになりました。
- 米国の通商政策懸念:トランプ米大統領が自動車、半導体、医薬品などへの関税を1か月以内に発動するとの報道が引き続き嫌気されています。
- 日銀の政策転換観測:高田委員の「段階的な利上げの必要性」に言及した発言が報じられ、長期金利上昇や金融政策転換の思惑が強まりました。
1-3. セクター・個別株の動向
- 自動車株:トヨタ自動車(-1.63%)、日産自動車(-2.83%)、ホンダ(-1.37%)と揃って下落。
- 銀行株:三菱UFJ(-1.94%)、みずほ(-1.93%)と下落。日銀の政策修正観測に伴う金利上昇メリットで買われていた銀行株でしたが、全体相場のリスク回避に押される形となりました。
- 値上がり銘柄:TOTO(+5.02%)、ルネサスエレクトロニクス(+4.29%)、M3(+3.34%)が買われました。
1-4. 東証プライム全体の値上がり・値下がり状況
- 値上がり銘柄:15%
- 値下がり銘柄:81%
- 変わらず:4%
このように売り優勢の展開となり、大型株から中小型株まで幅広く売りが広がりました。もっとも値下がりした業種は自動車関連や輸出系セクターで、関税リスクや円高が嫌気される形となりました。
日経平均のチャート分析

日経平均は下ヒゲを形成したものの、比較的しっかりとした陰線となりました。5日線も下向きで、38000円に迫る下落局面にあります。まだレンジブレイクはしていないため方向感は出にくいですが、チャートとしては要注意の状態です。今晩のアメリカ市場の動向次第では、大きく下げる可能性もあります。
2. 債券・為替市場の状況
- 長期金利:日本の10年国債利回りは1.440%まで上昇。2009年11月以来の高水準。
- 為替相場:ドル円は一時149円台へ円高が進行。ユーロ円も156円台で推移。
日銀の金融政策転換を織り込む動きと海外金利の上昇を見極める動きが交錯し、国内金利も上昇。円高が進む局面では輸出株が売られやすい一方、輸入企業にとってはコスト負担の低下が期待されます。
3. 今晩のアメリカ市場の注目ポイント
3-1. 主要指数の動向に注目
- ダウ平均:前日終値44,627.59ドル(前日比+71.25ドル)
- S&P500:史上最高値を更新中、6100ポイントを突破
- ナスダック総合:前日終値20,056.25ポイント(前日比+14.99ポイント)
直近のFOMC議事録では、根強いインフレを抑制するために引き締め策を継続する姿勢が示される一方、バランスシート縮小ペースを減速するプランが議論されたことも明らかになりました。市場では、利上げ継続と利下げ観測が混在する格好で、相場はやや神経質な展開になると予想されます。
3-2. トランプ大統領の関税政策
- 自動車・半導体・製薬への25%の関税を検討
- 「1か月以内に実施か」という報道もあり、世界的に株式市場に不透明感を与えています
日本株だけでなく、米国株式市場でも自動車産業・半導体関連の売り圧力が高まるリスクがあります。
3-3. 直近の米国イベントスケジュール
- 2月21日(米国時間)に発表予定のフィラデルフィア連銀製造業景気指数、新規失業保険申請件数などが注目。
- 2月22日には1月PCEコア価格指数(前年同月比)、個人消費支出などが発表予定。
- 雇用指標や物価指標が市場予想を上回る場合、追加利上げ観測が一段と高まる可能性。
もし強い経済指標が出れば、金利上昇=ドル高要因にもなり得ますが、FOMCが引き続きインフレ抑制に本腰を入れるとの見方が強まって株式市場にはマイナス材料となるかもしれません。
ダウ平均のチャート

現在44627ポイントのダウ平均は、ここ数日下落基調にあります。しかし、下ヒゲを形成し25日線に支えられているため、下値は堅調と見られます。ただし、この25日線を割り込むと、一気に下降トレンドへ移行する可能性もあります。S&P500が最高値を更新し勢いを見せているため、上昇にも下落にも展開する可能性のあるチャートとなっています。
ナスダックのチャート

ナスダックは20056ポイントで、こちらも5日線に下値を抑えられています。今年に入ってはレンジ相場が継続中で、広い目で見ると三角持ち合いの形状になっています。上値をブレイクすれば、強い上昇が期待できるでしょう。
S&P500指数のチャート

S&P500は昨日最高値を更新し、上昇の勢いが強まっています。5日、25日、75日の移動平均線がすべて上向きのパーフェクトオーダーを形成しており、上昇への意識が非常に高い状況です。
注目銘柄:ブリヂストン(5108)最新動向
最近のニュース・ヘッドライン
決算発表と自社株買い(2月17日発表)
- 2024年12月期決算:増収減益で着地。原材料高や欧米事業の減損が響き、従来計画を下回りました。
- 大規模な自社株買いを発表:発行済株式数の約11%にあたる最大7,500万株(上限3,000億円)を、2月20日から12月23日まで取得し、取得株式はすべて消却予定。
- 配当方針:前期比+20円の年間230円配当を計画(1株あたり)。増配により株主還元を強化するとしています。
自社株買いや増配発表が市場で好感され、決算そのものの減益傾向にもかかわらず、総じてポジティブな評価につながりました。
株価推移
当日の株価動向(2月20日・木)
- 始値:5,858円
- 高値:5,911円
- 安値:5,776円
- 終値:5,859円(前日比 +38円 / +0.65%)
- 出来高:約356万株
取引開始直後は5,858円で寄り付き、一時5,911円まで上昇する場面がありました。終値は5,859円と小幅ながらプラス圏で引けています。出来高は約356万株と直近では比較的活況な水準でした。
週間・月間の変動
- 前週末(2月14日)終値:5,711円 → 本日終値:5,859円(約+2.6%)
- 1月下旬に5,300円台まで下押しする場面があったため、そこからはおよそ+9%の上昇となっています。
- 2月17日の決算発表直後には、自社株買い発表を好感して一時6,237円(前日比で9%以上の上昇)をつけましたが、利益確定売りに押されてやや水準を切り下げた形です。
業績・決算情報
2024年12月期(連結)
- 売上収益:4兆4,301億円(前年同期比 +2.7%)
- 調整後営業利益:4,833億円(同 +0.6%)
- IFRSベース営業利益:4,433億円(同 -8%)
- 最終利益(純利益):2,849億円(同 -14.0%)
販売数量の伸びと値上げ効果で増収を確保する一方、原材料費や減損計上などが重石となり、最終利益は前年を下回りました。また、従来予想を下回る着地となったことで増益見通しが一転して減益となっています。
2025年12月期業績予想
- 売上収益:4兆3,300億円(前期比 -2.3%)
- 調整後営業利益:5,050億円(同 +4.5%)
- 最終利益(純利益):2,530億円(同 -11.2%)
売上収益の減少を見込む一方、原材料価格転嫁やコスト削減施策により営業利益は増益予想としています。ただし、大規模な事業再編費用などを織り込む影響で、純利益はさらに減益を見込む保守的な内容です。
なお、市場予想平均(アナリストによるIBES集計)を下回る数字であるため、決算発表時には警戒感もありましたが、自社株買いと増配策がサプライズ材料となり、株価下支え要因となっています。
主要指標
- PER(会社予想ベース):約15.9倍
- PBR(実績ベース):約1.08倍
- EPS(2025年12月期会社予想):369.44円
- 配当利回り(会社予想):約3.93%(配当230円予定)
- 信用倍率:4.41倍(2月14日現在)
自社株買い実施後は発行済株式数が減少し、EPS向上が見込まれます。配当金230円による利回りは4%近くに達し、高水準といえます。
事業内容・市場での位置づけ
- 世界最大級のタイヤメーカーとして、乗用車用・トラック用を中心に高い世界シェアを持ち、ミシュランなど海外大手と首位を争う存在です。
- 多角化事業では産業用品、スポーツ用品なども展開し、近年はモビリティソリューションに注力。車両管理サービスや高付加価値タイヤを提供することで、差別化と収益率向上を図っています。
- EVや自動運転の進展に伴い、耐摩耗・低燃費・軽量化技術などの需要が高まると見られ、中長期的には追い風が期待されます。
今後の見通し・アナリスト評価
- 会社方針:2025年を事業再編と構造改革の集中実施期間と位置づけ、不採算事業・工場閉鎖などを通じて収益基盤を強化する方針。併せて高付加価値製品へのシフトや価格改定で利益率向上を図ります。
- アナリスト評価:決算発表後、証券会社各社のレーティングは「やや強気~中立」が多い状況。業績見通しの保守化を指摘する声がある一方、大規模な自社株買いと増配で総還元利回りが高まる点をプラス評価とする見方も。IFIS株予報による目標株価コンセンサスは6,000円台半ば~後半で、最新では6,700~6,800円まで引き上げる外資系証券も見られます。
総じて、ブリヂストンは安定した財務基盤と世界トップクラスの市場地位を有し、EV・高性能タイヤへの需要が追い風になる可能性が大きい一方、欧州などの景気減速や原材料コスト上昇、競合激化といったリスクも抱えています。短期的には減益予想で警戒感が残る半面、高水準の配当利回りや大規模自社株買いによる下支えが期待される局面といえるでしょう。今後は、実際の業績推移と株主還元策の進捗が株価パフォーマンスのカギを握るとみられます。
ブリヂストンのチャート分析

ブリヂストンは高値も安値も切り上げながら上昇トレンドを継続しています。決算発表後には大きくジャンプアップしましたが、本日は不気味な十字線を形成。明日以降、5日線を下回る動きが出ると、大きく一気に戻しが入る可能性があります。銘柄としては要注意です。
5. まとめと明日以降の戦略
5-1. 今日のポイント
- 日経平均は前日比486円安の38,678円と大幅下落。TOPIXも2,734.60で終了。
- 円高進行や米国の関税懸念を受けて輸出関連株が幅広く売られた。
- ブリヂストン(5108)は2.8%下落の5,874円。減益決算と2025年通期予想の下振れで売りに押される展開。
5-2. 明日以降の注目ポイント
- 為替動向:1ドル=150円を下回る円高が続くかどうか。輸出関連企業の業績懸念が引き続き焦点。
- 米国株動向:FOMC議事録、トランプ政権の追加関税策次第で大きく変動する可能性あり。
- 日銀政策:利上げ観測が高まるかどうか。債券市場と銀行株の動向にも要注目。
- 企業決算や材料:国内企業の決算発表シーズンが一巡しましたが、米国企業の決算動向も含め外部環境を注視したい。
相場全体は、米国の金融政策と通商政策、さらに日銀の金融政策転換観測が交錯し、不安定な値動きが続きそうです。輸出関連株には逆風が吹きやすい半面、内需・ディフェンシブ株や高配当株などを物色する動きが強まるかもしれません。
6. 参考情報・出典元
以下に、本記事執筆時に参照した主要サイトやデータソースをまとめます。情報の正確性には万全を期しておりますが、最新情報や詳細は各リンク先をご確認ください。
- 日本株・株式指標データ:
Nikkei公式データ,
JPX(東京証券取引所),
Yahoo!ファイナンス - 米国市場関連:
CNBC,
Bloomberg,
ロイター - ブリヂストン(5108)株価・決算情報:
株探,
Yahoo!ファイナンス,
ブリヂストンIR - 為替・債券情報:
日本銀行,
Yahoo!ファイナンス(ドル円)
7. 免責事項
本記事は情報提供を目的として作成したものであり、特定の金融商品や銘柄の売買を推奨するものではありません。株式投資や日本株・ブリヂストン(5108)への投資に関する最終的な意思決定は、読者ご自身の判断と責任で行ってください。相場状況や経済情勢は刻々と変化するため、投資にあたっては最新の情報のご確認を強くおすすめいたします。
以上が、2025年2月20日の日本株式市場のまとめとブリヂストン(5108)の徹底分析でした。明日以降も、米国市場動向や為替の変化、企業決算の内容などを注視しながら、柔軟かつ慎重にトレード戦略を検討してみてください。皆さまの投資に少しでもお役に立てれば幸いです。
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