特定技能記事

2026年最新版・特定技能制度のまとめ、関連法改正一覧

1. 結論:2026年版の特定技能は「手続き簡素化+運用の厳格化(責任明確化)」が軸

  • 2025年度から定期届出が「年1回」に統合され、2026年4月が初回の提出ピークとなる
  • 手続きが楽になる反面、電子届出システムの利用や地域共生への協力義務が強化された
  • 制度の過渡期であり、2027年開始予定の「育成就労制度」を見据えた準備が必要になる

2026年時点における特定技能制度は、制度創設以来、最も大きな転換点を迎えています。
これまでの細かい運用変更の積み重ねに加え、実務負担を減らす「簡素化」と、コンプライアンスを徹底させる「厳格化」が同時に進行しているのが特徴です。

特に人事・総務担当者が意識すべきは、定期的な行政報告のサイクルが大きく変わったことです。
これまでは四半期ごとに追われていた書類作成が年1回になったことで、逆に「管理の抜け漏れ」や「期限の失念」がリスクとして浮上しています。

また、出入国在留管理庁は書類のペーパーレス化を強力に推進しており、優良な企業に対する審査の簡略化も進んでいます。
本記事では、2026年の最新ルールに基づき、企業が直面する法改正のポイントと、現場で今日から見直すべき実務運用について網羅的に解説します。

2. 特定技能制度の全体像(2026年時点の基本)

  • 特定技能1号は「相当程度の技能」、特定技能2号は「熟練した技能」を持つ人材
  • 受入れ機関(企業)には、支援計画の作成・実施と各種届出の義務がある
  • 制度運営は「法律(入管法)」→「運用要領」→「分野別要領」の3層構造で決まる

特定技能制度は、国内の人手不足が深刻な産業分野において、即戦力となる外国人材を受け入れるための在留資格です。
2019年の創設から数年が経過し、制度は「拡大と定着」のフェーズに入っています。

特定技能1号特定技能2号の最大の違いは、在留期間の上限と家族帯同の可否にあります。
1号は通算5年が上限で原則として家族帯同が認められませんが、2号は在留期間の上限がなく、配偶者や子の帯同が可能です。
2023年の閣議決定により、介護以外の全分野で2号への道が開かれたことで、長期的なキャリア形成が可能になりました。

受入れ機関(企業)の役割は、外国人と適正な雇用契約を結び、職業生活だけでなく日常生活や社会生活の支援を行うことです。
自社で支援体制を整えることが難しい場合は、登録支援機関に支援計画の全部を委託することが可能です。
ただし、支援を委託した場合でも、法令遵守の最終的な責任は受入れ企業にあることを忘れてはいけません。

また、この制度を理解する上で重要なのが「分野(産業分野)」の概念です。
基本ルールは全分野共通ですが、具体的な業務範囲や設備要件などは、各省庁が所管する分野別運用要領(および要領別冊)によって細かく規定されています。

3. 2024〜2026の主な動き:制度改正の「年表」的整理

  • 2024年:自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の4分野が追加された
  • 2025年4月:定期届出が四半期ごとから「年1回」に変更された
  • 2025年9月:特定技能1号の在留期間が「最長3年」へ延長された

ここ数年の改正は、制度の使い勝手を向上させつつ、将来的な「育成就労制度」との接続を意識したものになっています。
時系列で重要な変更点を整理すると、以下のようになります。

2024年の主な動き
3月の閣議決定により、新たに「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野が追加されました。
また、工業製品製造業(旧:素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)などの既存分野でも、業務区分の再編や追加が行われています。

2025年の主な動き
4月1日の省令改正により、受入れ企業の実務に直結する大きな変更が行われました。
最も影響が大きいのは、定期届出の頻度が「四半期ごと」から「年1回」に変更された点です。
また、9月には運用要領が改正され、特定技能1号の在留期間が従来の「1年・6か月・4か月」から「3年・2年・1年・6か月・4か月」へと選択肢が広がり、更新の手間が軽減されました。

2026年の現状
これらの改正が定着し始める時期であり、新ルールに基づく最初の「年1回の定期届出」が行われるタイミングです。
また、2027年開始予定の「育成就労制度」に向けた準備期間として、キャリアパスの整備や日本語教育の在り方が問われています。

4. 関連法改正・運用変更の一覧(2026年最新版)

  • 省令改正:定期届出の年1回化と提出時期の統一(2025年4月・出入国在留管理庁)
  • 運用要領改正:通算在留期間の特例措置(産休・育休の除外)(2025年9月・出入国在留管理庁)
  • 分野別要領別冊:自動車運送業等の業務要件と安全管理体制の具体化(2024年以降順次・国交省等)

ここでは、実務担当者が必ず押さえておくべき法的変更の詳細を解説します。
出典は一次情報をベースとし、推測を含まない確定事項のみを記載します。

① 定期届出の年1回化(2025年4月施行・省令改正)
これまで四半期ごとに提出していた「受入れ・活動状況に係る届出」等が、年1回に集約されました。
対象期間は「毎年4月1日から翌年3月31日まで」で、提出期限は「翌年度の5月31日まで」です。
つまり、2026年の4月1日から5月31日の間に、前年度(2025年度)分の報告を行う必要があります。
この変更により、事務負担は大幅に減りましたが、1年分のデータをまとめて処理するため、日々の記録管理がより重要になりました。

② 通算在留期間の特例措置(2025年9月施行・運用要領改正)
特定技能1号の通算在留期間(上限5年)の計算において、労働基準法に基づく産前産後休業や、育児・介護休業法に基づく育児休業の期間を算入しないこととされました。
また、労働災害による療養期間なども除外対象となります。
これにより、女性の特定技能外国人が出産・育児を経て職場復帰しやすくなり、企業としても長く雇用できる環境が整いました。

③ 地域共生施策への協力義務(2025年4月施行・省令改正)
受入れ機関は、事業所がある自治体(市区町村)に対して「協力確認書」を提出し、地域住民との共生施策に協力することが義務付けられました。
自治体が行う防災訓練や生活オリエンテーション等の情報を把握し、外国人に提供・参加推奨することが求められます。
これは在留諸申請時の提出書類にも関わるため、新規受入れ時のフローに必ず組み込む必要があります。

5. 実務への影響が大きい変更点(チェックポイント)

  • 電子届出システムの利用が、書類省略等の優遇措置を受ける必須条件に
  • 定期面談のオンライン実施が条件付きで恒久化された
  • 支援実施状況の報告も、受入れ企業がとりまとめて提出する形式へ統一

制度改正に伴い、企業の人事担当者が具体的に「やり方」を変えなければならないポイントを整理します。

届出の電子化とメリット
2026年現在、出入国在留管理庁は手続きのオンライン化を強く推奨しています。
一定の優良な受入れ機関については、更新申請時などの提出書類(納税証明書など)を省略できる特例がありますが、この適用を受けるためには「オンライン申請・電子届出を利用していること」が要件となっています。
まだ紙で提出している企業は、早急に出入国在留管理庁電子届出システムへの利用者登録を済ませるべきです。

定期面談の運用見直し
3ヶ月に1回以上義務付けられている定期面談について、一定の条件を満たせばオンライン(ビデオ通話)での実施が可能であることが明確化されました。
ただし、単に電話をするだけでは認められず、表情が確認できること、本人の同意があること、録画等の記録を残すことなどが条件です。
また、少なくとも年1回は対面で実施することが推奨されており、全回オンラインで済ませる運用はリスクが残ります。

支援委託時の報告ルート変更
以前は登録支援機関が単独で提出していた「支援実施状況に係る届出」も、受入れ企業(特定技能所属機関)がとりまとめて提出する形に変更されています(2025年4月改正)。
これにより、企業側は登録支援機関から確実にデータを受け取り、内容を確認した上で提出する責任が生じます。
「委託しているから任せきり」という運用は、届出漏れや内容不備の原因となるため厳禁です。

6. 分野別に“起きがちな落とし穴”と回避策

  • 外食・飲食料品製造:業務区分の混同による「資格外活動」のリスク
  • 建設・製造:安全衛生教育の記録不足とキャリアアップシステムの未登録
  • 自動車運送:運転免許取得までの期間と実業務開始のタイムラグ

分野ごとの特性に応じた運用ルール(要領別冊)を守らないと、知らぬ間に不法就労助長罪などに問われる可能性があります。

外食・飲食料品製造分野の注意点
最も誤解が多いのが、スーパーマーケット等のバックヤード業務です。
「飲食料品製造業」の在留資格では、惣菜の製造や加工は可能ですが、店頭でのレジ打ちや陳列(販売業務)は認められません。
一方、「外食業」であれば、調理・接客・店舗管理のすべてが業務範囲に含まれます。
自社の店舗形態や業務内容がどの分野に該当するのか、厳密に線引きをしておく必要があります。

建設・製造分野の注意点
建設分野では、建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録が受入れの必須要件です。
また、特定技能外国人の昇給基準なども細かく定められており、日本人と同等以上の処遇を客観的に証明する必要があります。
製造現場においては、労働安全衛生法に基づく教育(母国語での実施が望ましい)を行い、その実施記録を必ず保存してください。

自動車運送業分野の特異性
新たに追加された自動車運送業では、日本の運転免許証への切替えや取得がハードルとなります。
免許取得前の期間をどう扱うか(研修中の在留資格や給与扱い)については、国土交通省のガイドラインに従い、慎重に設計する必要があります。
単なる助手席での同乗業務だけでは「特定技能」としての要件を満たさない場合があるため注意が必要です。

7. 受入れ企業が2026年に整えるべき社内ルール

  • 社内体制:支援責任者と担当者の役割分担とバックアップ体制
  • 教育・定着:年1回の定期届出に向けた、月次のデータ集計フロー
  • コンプライアンス:外部委託先の監査と、証跡(ログ)の保存ルールの徹底

制度が成熟してきた今、企業に求められるのは「属人化の排除」と「監査に耐えうる記録管理」です。

月次運用の確立
定期届出が年1回になったからといって、管理を1年に1回にまとめて行うのは危険です。
毎月の給与支払い実績、支援実施記録(面談記録など)、休暇取得状況などを月次で締め、データ化しておくフローを確立しましょう。
これにより、翌年4月の繁忙期に慌てて書類を作成する事態を防げます。

外部委託先の管理強化
登録支援機関に業務を委託している場合、その機関が適切に支援を行っているか定期的にチェックする義務が企業側にあります。
「支援実施記録」の提出を毎月求め、内容(面談時の相談内容や対応結果)を社内で確認する会議を設けるなど、実質的な管理体制を構築してください。

緊急時対応の見える化
外国人の急病、事故、あるいは失踪などのトラブルが発生した際の連絡網(警察、入管、家族、大使館等)をフローチャート化し、現場責任者が即座に動けるようにしておくことも重要です。

8. よくある質問(FAQ)で誤解を潰す

  • Q. 運用要領の改正は、法改正と何が違うのですか?
  • Q. 分野が増えたとき、既存の外国人を新しい分野に異動できますか?
  • Q. 制度改正への対応は、いつから始めればよいですか?

Q. 運用要領の改正は、法改正と何が違うのですか?
A. 法改正は国会での審議を経て法律が変わることですが、運用要領の改正は法務省(出入国在留管理庁)が定める「実務上の審査基準」の変更を指します。
企業の実務にとっては、運用要領の変更のほうが頻繁であり、かつ審査の合否に直結するため、非常に重要です。
「法律が変わっていないから大丈夫」と考えず、常に最新の要領を確認する必要があります。

Q. 分野が増えたとき、既存の外国人を新しい分野に異動できますか?
A. 単なる異動(配置転換)ではできません。
特定技能は「分野」を指定して許可される在留資格だからです。
別の分野の業務に従事させる場合は、新たにその分野の技能試験に合格(または免除要件を満たす)した上で、在留資格変更許可申請を行い、許可を得る必要があります。

Q. 制度改正への対応は、いつから始めればよいですか?
A. 施行日(改正ルールが適用される日)の前から準備が必要です。
例えば「4月1日施行」の場合、3月中には社内マニュアルの改訂や、新様式のダウンロード、担当者への周知を済ませておくべきです。
常に出入国在留管理庁のウェブサイトで「お知らせ」をチェックする習慣をつけましょう。

9. まとめ:2026年版は“最新情報の追い方”まで仕組み化が重要

  • 一次情報(出入国在留管理庁HP)を確認するルーティンを作る
  • 定期届出の年1回化に伴い、日々の記録管理をデジタル化・自動化する
  • 制度は「育成就労」など今後も変化し続けるため、柔軟な社内体制を維持する

2026年の特定技能制度は、手続きのデジタル化と効率化が進んだ一方で、企業側の「自律的な管理能力」がより強く求められる形になっています。
「届出が年1回になったから楽になった」と油断せず、日々の支援や雇用管理の質を落とさないことが、安定した外国人材の受入れにつながります。

また、2027年には技能実習制度に代わる「育成就労制度」のスタートが控えており、特定技能への移行ルートや人材育成のあり方がさらに変化する可能性があります。
今回の記事で解説した2026年時点のルールを盤石にした上で、次の制度変更にもスムーズに対応できるよう、社内の情報収集・共有の仕組みを整えておくことを強く推奨します。

特定技能制度は、正しく運用すれば企業と外国人の双方に大きなメリットをもたらす制度です。
法令遵守(コンプライアンス)を土台とし、外国人材が能力を最大限発揮できる環境づくりを進めていきましょう。

よくある質問

  • Q. 定期届出が年1回に変更されましたが、提出期限はいつですか?
    A. 毎年度の「4月1日から5月31日の間」に、前年度(4月1日~翌年3月31日)の活動状況等を報告する必要があります。対象期間が長くなったため、出入国在留管理庁の公式サイト等で最新様式を確認し、毎月の記録を整理しておくことが重要です。
  • Q. 電子届出システムの利用は必須ですか?
    A. 必須ではありませんが、優良な受入れ機関として提出書類の省略措置などを受けるためには、オンライン申請・電子届出の利用が要件となります。業務効率化のためにも電子届出システムへの登録を強く推奨します。
  • Q. 違う分野の業務を兼務させることはできますか?(例:飲食料品製造と外食)
    A. 原則としてできません。特定技能は許可された「特定の分野」の業務のみに従事可能です。もし他分野の業務を行わせたい場合は、その分野の試験に合格した上で「在留資格変更許可申請」を行う必要があります。
  • Q. 「育成就労制度」が始まると、特定技能はどうなりますか?
    A. 特定技能制度自体は存続し、育成就労制度からのスムーズな移行先として位置づけられます。両制度は連動して運用されるため、今後の制度改正情報に注意してください。

参考サイト

初心者のための用語集

  • 受入れ機関(特定技能所属機関):特定技能外国人を実際に雇用する企業や個人事業主のことです。法律上は「所属機関」と呼ばれます。
  • 登録支援機関:受入れ企業に代わって、外国人の生活サポート(支援計画の実施)を行う民間の機関です。出入国在留管理庁の登録を受けています。
  • 運用要領(うんようようりょう):法律(入管法)や省令だけでは書ききれない、細かい審査基準や手続きのルールをまとめた公式マニュアルのことです。実務ではこの変更が非常に重要になります。
  • 分野別要領別冊(ぶんやべつようりょうべっさつ):外食、建設、介護など、産業分野ごとの特有のルール(業務範囲や必要な設備など)を定めた詳細資料です。
  • 定期届出:受入れ企業が入管庁に対して行う定期的な報告のことです。2025年度からは原則「年1回」に頻度が変更されました。
  • 随時届出:雇用契約の変更や外国人の退職、支援委託先の変更など、状況が変わったときにその都度行う報告のことです。原則として事由発生から14日以内に行う必要があります。
  • 育成就労制度:従来の「技能実習制度」に代わって導入される予定の新しい制度です。特定技能へのスムーズな移行(キャリアアップ)を前提としており、2027年頃の開始が見込まれています。

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松田 悠志
㈱ビーシアップ代表。宅建士・FP2級。人材採用・営業・Webマーケ・資産形成を支援し、採用コンサルやマネープラン相談も対応。株12年・FX7年のスイングトレーダー。ビジネス・投資・開運術を多角的に発信し、豊かな人生を後押しします。