この記事を読むと分かること
- 死亡保険金・退職金・贈与財産の税務判定フローと非課税枠の覚え方
- 2024年施行の生前贈与加算7年ルールと相続時精算課税 年110万円控除の詳細
- 過去10年分の出題傾向から導いた頻出パターンと満点を狙う計算手順
- 2か月120時間で合格点を突破する学習ロードマップ
- 実務で役立つ生命保険・退職金の納税資金対策まで網羅
Contents
- 1 ファイナンシャルプランナー試験で「相続税の計算」が重要な3つの理由
- 2 まず押さえる公式&数字 ― 一覧で暗記
- 3 みなし相続財産(死亡保険金・死亡退職金)の完全理解
- 4 生前贈与加算を7年分クリアにする方法
- 5 相続時精算課税:2,500万円+年110万円の最短マスター
- 6 相続税計算フロー ─ 実技試験の解答用紙を書く順序
- 7 過去10年の出題傾向まとめ
- 8 学習ロードマップ:120時間・8週間プラン詳細
- 9 実務Tips:合格後に必ず役立つ知識
- 10 よくある質問(FAQ)
- 11 おすすめ内部リンクでさらに深掘り
- 12 まとめ:公式・期限・枠を制する者が合格を制す
- 13 オリジナル練習問題
- 14 よくある質問
- 15 初心者のための用語集
- 16 参考サイト
- 17 ファイナンシャルプランナーの勉強に関する無料相談、随時受付中!
ファイナンシャルプランナー試験で「相続税の計算」が重要な3つの理由
計算問題の配点が高い
FP2級(日本FP協会実技)の「資産設計提案業務」では、相続分野が20〜24点を占め、その半分以上が計算問題です。学科でも毎回4問前後が「課税価格の合計額」や「非課税限度額」に関する設問です。計算を落とすと一発不合格にもつながるため、重点的に得点源化する必要があります。
改正が多く最新情報が差になる
2024年以降の贈与税・相続税一体課税に伴う改正で、生前贈与加算は7年に延長、相続時精算課税は年110万円控除創設など大幅にルールが変わりました。試験問題も改正点を即座に反映させるため、最新年度の教材・情報を使った学習が合否を分けます。
実務で必須の相談分野
日本FP協会の「相談実績トップ5」に毎年ランクインするのが相続・贈与分野。合格後のキャリアでも必ず役立つため、資格学習の段階で体系的理解を固めておくと顧客対応で大きな差を付けられます。
まず押さえる公式&数字 ― 一覧で暗記
- 基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
- 死亡保険金 非課税枠=500万円×法定相続人の数
- 死亡退職金 非課税枠=500万円×法定相続人の数
- 生前贈与加算期間=相続開始前3年 → 7年(2024年贈与から段階適用)
- 相続時精算課税 特別控除=2,500万円+年110万円(2024年以降の贈与)
- 死亡退職金 “3年以内支給確定” 判定
語呂合わせ
- 基礎控除「サブロク(3,000+600×人数)」
- 保険・退職金「ゴーマル(500)は命と退職」
- 生前贈与加算「サンネンが ナナネン」
- 精算課税「ニセンゴ・ヒャクジュウ」
みなし相続財産(死亡保険金・死亡退職金)の完全理解
みなし相続財産とは?
民法上は相続財産に含まれないが、税法上は相続税の課税対象とする財産を指します。代表例が死亡保険金と死亡退職金です。FP試験では「誰が契約者か」「受取人は誰か」「支給確定時期はいつか」を読み取れば正解できます。
死亡保険金の判定フロー
1. 契約者・保険料負担者が被相続人か? → YESならみなし相続財産
2. 受取人が法定相続人か? → YESなら非課税枠適用
3. 非課税枠 500万円×人数 を保険金総額から控除
4. 控除し切れない部分を課税価格へ加算
具体例
- 父(被相続人兼契約者)死亡、保険金総額3,000万円
- 法定相続人:母・長男・長女(3人) → 非課税1,500万円
- 課税価格:3,000万円-1,500万円=1,500万円
受取人が相続放棄した長女でも、人数には含めるが枠は使えない点が引っかけです。
死亡退職金の判定フロー
1. 支給確定が死亡後3年以内? → YESでみなし相続財産
2. 500万円×法定相続人の数を控除
3. 3年超なら一時所得として所得税課税
弔慰金は業務上死亡:3年分給与、業務外死亡:6か月分給与まで非課税で、それを超える部分が死亡退職金扱いとなります。
生前贈与加算を7年分クリアにする方法
改正のスケジュールを図解覚え
- 2023年12月31日以前の贈与 → 3年持ち戻し
- 2024~2026年贈与 → 4~6年前の贈与は100万円控除後持ち戻し
- 2027~2030年贈与 → 4~7年前分に拡大(各年100万円控除)
- 2031年相続開始分から完全7年ルール
学習TIP:表を一枚作り、縦に「贈与年」、横に「相続年」を書き、色分けして貼ると一目で分かります。
過去問での出題例
2024年1月学科 問55:「相続開始前4年前に父から1,200万円贈与を受けた長男」という設問。正解は「100万円控除後の1,100万円を加算」。選択肢には「全額加算」や「加算不要」が紛れています。
相続時精算課税:2,500万円+年110万円の最短マスター
制度概要
- 贈与者:60歳以上の父母・祖父母
- 受贈者:18歳以上の子・孫
- 選択は贈与税申告書で届出(撤回できない)
- 累計2,500万円までは贈与税0円・申告のみ
- 2024年贈与から年110万円は申告不要&相続時も持ち戻さない
- 超過分は20%の贈与税
計算例
- 2024年:父→子に500万円贈与(選択1年目)
・110万円控除後390万円 → 累計390万円(贈与税0円) - 2025年:父→子に3,000万円贈与
・110万円控除後2,890万円 → 累計3,280万円 - 贈与税=(3,280万円-2,500万円)×20%=156万円
- 相続時:110万円×2年分=220万円は持ち戻さない、残り3,060万円を加算
相続税計算フロー ─ 実技試験の解答用紙を書く順序
①正味遺産額の算定
総財産(+みなし+贈与加算)-債務-葬式費用
②課税遺産総額の算定
上記① - 基礎控除(3,000+600×人数)
③法定相続分で按分
配偶者1/2、子均等、直系尊属1/3・傍系1/4 など
④相続税総額の計算
各法定取得分ごとの累進税率(10~55%)で算出後合計
⑤各人の税額
実際の取得財産割合で按分 → 税額控除(配偶者・未成年・障害者・贈与税額控除)適用
FP2級の実技では、①と②を丁寧に書くと部分点を確実に拾えます。
手書きテンプレート
- A4横向きに5本の縦線を引き「財産」「加算」「非課税」「債務」「課税対象」と列を作る
- 数字を書き込みながら電卓2度打ちで検算
- 各列の小計に二重線を引き計算過程をアピール
過去10年の出題傾向まとめ
- 2020年以降、毎回500万円×人数の非課税枠計算が出題
- 2022・23年は死亡保険金+小規模宅地を組み合わせた総合問題が増加
- 2024年1月から生前贈与加算改正を反映した問題が初出
- 2025年度試験では相続時精算課税の110万円控除を題材にした新作問題が予想
対策:最新2回分+コロナ前後の2019・2018年を重点演習し、改正前後の比較を体で覚えましょう。
学習ロードマップ:120時間・8週間プラン詳細
週 | 時間配分 | 具体的タスク |
---|---|---|
1 | 15h | 基礎控除・相続法概論、語呂合わせ暗記 |
2 | 15h | 死亡保険金・退職金の計算例10題 |
3 | 15h | 生前贈与加算の改正条文読み込み+図解 |
4 | 15h | 相続時精算課税の申告書サンプル作成 |
5 | 15h | 過去問(学科)5回分を時間計測で解く |
6 | 15h | 過去問(実技)5回分+ミス分析ノート |
7 | 15h | 模試2回+弱点補強(YouTube講義視聴) |
8 | 15h | 直前総まとめ&前日ルーティン最終確認 |
レコメンド教材
- TAC「みんなが欲しかった!FPの教科書・問題集」
- Web:FP2級ドットコム 過去問道場
- 動画:YouTube「ほんださん FPチャンネル」
- アプリ:オンスク「FP2級一問一答」
実務Tips:合格後に必ず役立つ知識
納税資金対策としての生命保険活用
相続税の納税期限は10か月。即時の現金が必要になるため、非課税枠を活用した死亡保険金は現金化しやすい納税資金として人気です。FPとしては「保険金=非課税」で終わらず全体のキャッシュフロー設計を提案できると信頼度が高まります。
退職金と弔慰金の税務コンサル
中小企業オーナーの相続では、役員退職慰労金や弔慰金規程の整備が重要。非課税枠を超える部分がみなし相続財産になるため、社内規程を見直し生前に限度額を決めておくことで節税と資金繰りを同時に改善できます。
よくある質問(FAQ)
Q. 相続放棄した人の保険金はどうなる?
A. 相続放棄していても受取人固有の権利として保険金は受け取れます。ただし非課税枠は適用不可。課税価格に全額算入します。
Q. 基礎控除額と保険金非課税枠は併用できる?
A. できます。まず保険金から500万円×人数を差し引き、残余と他財産を合算した正味遺産額が基礎控除額を超えたら課税対象です。
Q. 相続時精算課税と暦年課税は併用できる?
A. 同一の贈与者については併用不可。ただし父には精算課税・母には暦年課税というように贈与者ごとに選択可能です。
おすすめ内部リンクでさらに深掘り
まとめ:公式・期限・枠を制する者が合格を制す
本記事では、基礎控除・非課税枠・7年ルール・110万円控除という4大キーワードを中心に、計算例・改正スケジュール・学習法を6500文字超で解説しました。
- 数字は語呂合わせ+毎朝音読で定着
- 改正条文は必ず一次情報を確認(国税庁・金融庁)
- 過去問は最新3回+改正前後で比較演習
すべて完了したら、模試で70%を超えるまで繰り返しましょう。あなたの合格を応援しています。合格後はぜひ体験記をシェアしてください!
オリジナル練習問題
問題1 死亡保険金の課税区分
被相続人を契約者・被保険者とし、相続人が受取人となって支払われる死亡保険金は、原則として「みなし相続財産」として相続税の課税対象となる。
解答:◯
解説:死亡保険金は民法上の遺産ではないが、相続税法により相続財産とみなされ課税対象となる。
問題2 死亡保険金の非課税限度額
死亡保険金のうち500万円 × 法定相続人の数を上限に非課税となり、残額のみが課税価格に算入される。
解答:◯
解説:相続税法12条に定められた非課税枠で、実際に相続を放棄した者も「法定相続人の数」に含めて計算する点が重要(欠格者・廃除者は含めない)。
問題3 死亡退職金の課税区分
会社から遺族に支給される死亡退職金は、相続税の課税対象外である。
解答:×
解説:死亡退職金も「みなし相続財産」とされ、死亡保険金と同様に500万円 × 法定相続人の数まで非課税となり、超過分が課税価格に加算される。
問題4 暦年贈与の生前贈与加算
被相続人が死亡前7年以内(2024年1月1日以降の贈与が対象)に相続人へ行った贈与財産は、その価額を贈与時の価額で相続税の課税価格に加算する(死亡前3年超部分については100万円控除を適用)。
解答:◯
解説:相続税法19条の「生前贈与加算」。2024年改正で加算期間が3年から7年に延長された。加算する評価額は贈与時価であり、贈与から死亡までの値上がり分は含めない。
問題5 3年以内贈与の対象者
死亡前3年以内の贈与は、相続人以外の受贈者であっても相続税の課税価格に加算される。
解答:×
解説:加算対象となるのは「相続人(受遺者を含む)」に限られる。
問題6 相続時精算課税の取扱い時価
相続時精算課税制度を選択して贈与された財産は、贈与時の価額で相続財産に加算される。
解答:◯
解説:同制度では「贈与時価」で相続財産に組み入れ、既に納付した贈与税額は相続税から控除する。
問題7 相続時精算課税の加算期間
相続時精算課税で贈与を受けた財産は、贈与後20年を経過すると相続税の課税価格に加算しなくてよい。
解答:×
解説:加算期間の制限はなく、贈与者が死亡した時点で必ず遺産に合算する。
問題8 基礎控除の計算式
相続税の基礎控除額は3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数で計算する。
解答:◯
解説:令和6年現在の基礎控除式。被相続人が外国籍でも国内財産に課税される場合は同額が適用される。
問題9 課税遺産総額の計算
課税遺産総額は、課税価格合計額から基礎控除を差し引いた金額であり、債務控除や葬式費用控除はこの後に控除する。
解答:×
解説:債務・葬式費用控除は課税価格合計額の算定段階で差し引き済み。基礎控除はその後に控除して「課税遺産総額」を求める。
問題10 法定相続分課税方式
相続税の一次計算では、課税遺産総額を実際の取得割合で分割し、それぞれに税率を適用して「総額」を求める。
解答:×
解説:一次計算は「法定相続分」を用いて各相続人に仮分割し、累進税率を適用して相続税の総額を算出する。
よくある質問
- Q. 死亡保険金の非課税限度額「500万円×法定相続人」の“法定相続人”には、相続放棄した人も数に含めますか?
A. 含めます。相続放棄者は非課税の適用は受けられないものの、人数カウントには入るため見落としに注意しましょう。 - Q. 死亡退職金の「死亡後3年以内」という判定は、支給日と確定日どちらを見ますか?
A. 支給が確定した日で判定します。支給予定でも確定していなければ3年判定の対象外です。 - Q. 令和6年以降に相続時精算課税を選択した場合でも、毎年110万円の基礎控除は本当に申告不要ですか?
A. はい。選択後でも110万円までの贈与は申告不要として取り扱われます(ただし超過部分の贈与は申告要)。 - Q. 生前贈与加算の期間が3年から7年へ延長される移行措置が複雑で覚えにくいのですが、簡単に確認できる資料は?
A. 国税庁のパンフレット「贈与財産の加算と税額控除」(最新版)に図表付きで掲載されています。記事中でもリンクした贈与加算の解説ページを参照すると便利です。 - Q. 過去問のどこから着手すれば効率が良いですか?
A. まずはFP協会実技(資産設計提案業務)の直近3回分を解き、次に学科で相続の計算問題だけをピックアップする方法がおすすめです。具体的な手順は独学でも最短合格!FP試験完全攻略ガイドにまとめています。
初心者のための用語集
- みなし相続財産:民法上は相続財産に含まれないが、相続税法で課税対象とされる財産。典型例は死亡保険金と死亡退職金。
- 基礎控除額:正味遺産額から必ず差し引ける金額。計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」。
- 非課税限度額:死亡保険金や死亡退職金に設けられる税金がかからない枠。「500万円×法定相続人の数」で計算。
- 法定相続人:民法で定められた相続の順位に基づく相続人。相続放棄者も人数のカウントには含む。
- 支給確定日:死亡退職金の「死亡後3年以内」判定で用いられる基準日。支給予定ではなく確定日で判断する。
- 生前贈与加算:相続開始前一定期間(現行3年→段階的に7年)に受けた贈与を相続財産に合算する制度。
- 相続時精算課税:2,500万円の特別控除+年110万円基礎控除を使い、贈与時に課税を繰り延べて相続時に清算する方式。
- 課税遺産総額:正味遺産額から基礎控除額を差し引いた後の金額。ここに税率を適用して相続税総額を計算する。
- 一時所得:退職金の支給確定が死亡後3年を超えた場合など、相続税ではなく所得税の対象となる所得区分。
参考サイト
- 国税庁「死亡保険金が相続税の対象になる場合」 ― 非課税限度額500万円×法定相続人数の公式を確認できます。
- 国税庁「相続税の計算(生前贈与加算等を含む)」 ― 基礎控除後の課税遺産総額計算や税額控除の順序を詳説。
- 国税庁「贈与者が贈与した年に死亡した場合の取扱い」 ― 相続時精算課税を選択したときの清算方法がわかります。
- 生命保険文化センター「死亡保険金に相続税がかかる場合の具体例」 ― 図表で見る非課税枠の適用イメージが学習に最適。
- りそな銀行「相続税はいくらからかかる?特例・控除は?」 ― 改正後の7年贈与加算ルールを銀行目線で解説。
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ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。当ブログでは、ファイナンシャルプランナー試験に関するあらゆるお悩みにお応えします。
無料とはいえ、もちろんファイナンシャルプランナー試験の資格の保有者である著者が直接お答えさせていただきます。
初学者から再受験を目指す方まで幅広く対応していますので、どうぞお気軽にご相談ください。無料で学習のコツやスケジュールの立て方などをアドバイスさせていただきます。あなたの合格を全力でサポートいたしますので、一緒に合格への最短ルートを走り抜きましょう!
