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【2025最新版】相続税はいくら?計算シミュレーションと最強節税術10選

【2025最新版】相続税はいくら?計算シミュレーションと最強節税術10選

この記事の要点・結論

  • 2025 年時点の相続税率・基礎控除は従来どおりで、大幅改正はありません
  • 生前贈与加算期間が最長7 年(2024-01 税制改正で段階的延長)へ改正され、生前贈与を活用した節税策の見直しが進んでいます
  • 基礎控除は 3,000 万円+600 万円×法定相続人(変更なし)
  • 小規模宅地等の特例や生命保険非課税枠など、多彩な節税策を組み合わせることが重要です
  • 申告・納付期限は死亡から 10 か月以内。延納・物納制度を活用できる場合もあります
  • 相続税申告は年々増加傾向にあり、2024-12 国税庁統計では課税割合 9.6%に上昇しています

相続税を「ざっくり自分で計算」しつつ「主な節税策」を理解した上で、最終的には専門家に相談することが基本的な流れです。
本記事では 2025 年最新版の相続税計算手順やシミュレーション、そして節税テクニックをわかりやすく解説します。

相続税計算の全体像を3ステップで把握

① 課税遺産総額 ② 各人の取得額 ③ 税額控除

  • 課税遺産総額=遺産総額−非課税財産−債務・葬式費用+生前贈与分
  • 仮の法定相続分に応じて各相続人の課税額を算出
  • 配偶者控除や未成年控除など各種税額控除を差し引く

相続税は最初に遺産総額を把握し、そこから基礎控除などを差し引いて「課税遺産総額」を求めます。
その後、法定相続人が仮に「法定相続分どおりに取得した」ものとして税率を当てはめ、合計した金額が「相続税の総額」です。
実際には、遺産分割内容に応じて各相続人ごとの負担額を割り振り、最終税額が決定します。

2025 年版 相続税率と基礎控除

基礎控除 3,000 万円+600 万円×法定相続人

  • 改正はなく、従来の基礎控除額が継続
  • 法定相続人の数で総額が大きく変わる

相続税の基礎控除は「3,000 万円+600 万円×法定相続人の数」が原則です。
たとえば相続人が配偶者と子 2 人の計 3 人なら「3,000 万+600 万×3=4,800 万円」が基礎控除額です。
これは 2024-12 国税庁公表の資料でも変更なしと示されています。

税率早見表(10%〜55%)を表形式で掲載

相続税の速算表(法定相続分ごとの取得金額に応じた税率)

取得金額 税率 控除額
1,000 万円以下 10% なし
1,000 万円超〜3,000 万円以下 15% 50 万円
3,000 万円超〜5,000 万円以下 20% 200 万円
5,000 万円超〜1 億円以下 30% 700 万円
1 億円超〜2 億円以下 40% 1,700 万円
2 億円超〜3 億円以下 45% 2,700 万円
3 億円超〜6 億円以下 50% 4,200 万円
6 億円超 55% 7,200 万円

この表は、まず「課税遺産総額をいったん法定相続分で分割した場合」に適用される税率を示しています。
その合計額が「相続税の総額」であり、実際の遺産分割によって相続人ごとの税額を割り振る仕組みです。

ケース別シミュレーション3選

ケースA:遺産 5,000 万円・相続人 2 人

  • 遺産総額:5,000 万円
  • 相続人:配偶者1人、子1人

まず基礎控除は「3,000 万円+600 万円×2=4,200 万円」です。
課税対象は 5,000 万円−4,200 万円=800 万円になります。
これを法定相続分どおり「配偶者 1/2、子 1/2」と仮定すると、それぞれ 400 万円に対して税率は 15%(ただし控除 50 万円あり)です。

計算上の相続税総額はごくわずかで、さらに配偶者には「配偶者控除」が適用され実質無税になる可能性が高いです。
このように遺産総額がそれほど大きくなければ、相続税がかからないケースも多く見られます。

ケースB:遺産 1.2 億円・小規模宅地適用

  • 遺産総額:1.2 億円
  • 自宅の土地評価:6,000 万円
  • 小規模宅地等の特例 80%減を適用

基礎控除はたとえば相続人 3 人(配偶者+子 2 人)で「3,000 万円+600 万円×3=4,800 万円」。
土地 6,000 万円のうち 80%が減額されると「4,800 万円の減額」となるため、課税財産は実質 1.2 億円−4,800 万円=7,200 万円程度まで圧縮されます。
ここからさらに基礎控除 4,800 万円を差し引いて、課税対象は約 2,400 万円です。

小規模宅地特例は利用件数も多く、国税庁「令和4年分 相続税の申告事績の概要」によれば適用件数は年間 92,839 件 にのぼり、平均評価減額は ▲1,260 万円 とされています。
このように土地評価を大幅に下げられる分、相続税節税に非常に有効です。

ケースC:遺産 3 億円・養子1人を含む

  • 遺産総額:3 億円
  • 相続人:配偶者 1 人、実子 1 人、養子 1 人(計 3 人)

養子がいる場合、基礎控除を増やせるメリットがあります。
実子がいる場合、養子として基礎控除に含められるのは 1 人までなので、「3,000 万円+600 万円×3 人=4,800 万円」が控除額です。
さらに生前対策として養子縁組を検討している方は、生前贈与や家族信託などとの組み合わせを意識するとよいでしょう。

このケースでは課税遺産総額は 3 億円−4,800 万円=2 億 5,200 万円。
法定相続分で分割し、税率を当てはめると相続税総額は高額になりますが、配偶者控除や生命保険の非課税枠などを使うと最終的な税負担が抑えられる可能性があります。

節税術6選【2025 改正対応】

① 生前贈与 7 年加算ルールと新控除枠

  • 2024-01 改正で贈与加算期間が「3 年→最長 7 年」に延長(経過措置あり)
  • 年間 110 万円の基礎控除 + α の新特例を検討

2024 年 1 月 1 日以降の贈与については、加算期間が段階的に延長され、最長 7 年 までの贈与額が相続財産に加算されるようになります(2027 年 1 月 1 日以降に相続が発生した場合に完全適用)。
経過措置期間中(2024〜2026 年死亡分)は 3〜7 年分の贈与のうち 100 万円を控除後に加算する仕組みです。
加算期間が長くなるにつれ、生前贈与で大きく財産を移転する効果は相対的に小さくなるため、より早期の対策が重要です。

② 生命保険非課税枠 500 万円×人数

  • 死亡保険金には人数分の非課税枠
  • 「500 万円×法定相続人の数」が最大限度

生命保険金は「受取人固有の財産」とみなされますが、相続税の課税対象に含められる場合でも「500 万円×法定相続人の数」だけは非課税となる特例があります。
家族が多いほど非課税枠が増えるため、大きな死亡保障を確保しつつ節税にもつながります。

③ 小規模宅地等の特例 80%評価減

  • 特定居住用宅地:最大 330㎡ まで 80%評価減
  • 事業用宅地等にも最大 80%の減額が適用

先ほどのケース B でも触れたとおり、小規模宅地等の特例は「自宅用地」「事業用地」を相続する際に評価額を大きく引き下げられます。
2023 年の国税庁統計によれば、小規模宅地特例の適用件数は年間 約9.3 万件 で、1 件あたり ▲1,260 万円 の評価減効果が見られました(2024-12 報告)。

④ 家族信託&民事信託

  • 認知症対策や資産承継の長期管理に有効
  • 家族信託口座開設数は年率 +18%(2025-03 信託協会)

高齢化に伴い、認知症リスクによる「資産凍結」を避けるため、家族信託を活用するケースが増加中です。
2025-03 信託協会のデータでは、家族信託口座開設数が前年比 +18% と伸びています。
節税面では直接のメリットは小さいものの、資産管理を柔軟に継続できる点が魅力です。

⑤ 教育・結婚資金一括贈与特例(2025 延長)

  • 祖父母等からの教育資金非課税特例は一部延長
  • 結婚・子育て資金一括贈与の非課税枠も継続

教育資金や結婚・子育て資金を一括で贈与する場合、一定の非課税措置があります。
これは 2025 年以降も延長される見込みで、子や孫への早期資金援助を検討している場合には有力な選択肢です。
ただし要件が厳格なため、実際に利用する際は制度内容をしっかり確認しましょう。

⑥ 非上場株式の納税猶予

  • 事業承継で大きな節税効果を期待
  • 事業継続要件の要件緩和も行われています

非上場株式を相続または贈与する場合、要件を満たせば納税を猶予できる特例があります。
これにより、多額の相続税・贈与税を一度に納める負担が軽減され、後継者は事業継続に専念できます。
要件を守れなければ猶予分を一括で納める必要があるため、慎重な検討が必要です。

申告・納付タイムラインと必要書類

死亡→10 か月以内申告の流れ

  • 相続発生日(死亡日)の翌日から 10 か月以内が基本期限
  • 財産目録作成・評価・分割協議・申告書作成

被相続人の死亡があったら、まずは役所などへの届出、遺言書の確認、財産の調査を進めます。
税理士に依頼しない場合でも、財産目録の作成や不動産評価、分割協議書の作成が必要となり、10 か月はあっという間です。
財産が多い場合や海外資産がある場合は早めにプロへ相談するとよいでしょう。

延納・物納の要件

  • 金銭一括納付が困難な場合に延納を申請
  • さらに厳しい要件を満たすと物納も認められる

相続税の納付方法としては、基本は現金一括納付ですが、大きな財産価値を持つ不動産中心の場合は資金繰りが難しいケースもあります。
2023 年の納税実績(国税庁)によると、延納は5,968 件、物納は40 件 が利用されています。
延納の要件や担保提供、利子税などのルールがあるため、計画的に検討してください。

専門家に相談するタイミングと費用目安

税理士報酬:財産総額×0.5~1.2%のレンジ

  • 財産総額や難易度で報酬は変動
  • 数百万円~数千万円の報酬が生じるケースも

相続税申告を税理士に依頼した場合の費用は、一般的には「財産総額の 0.5~1.2%程度」が目安とされています。
たとえば遺産総額 1 億円であれば、50 万~120 万円前後の報酬となる計算です。
不動産評価や非上場株式評価が絡む場合はさらに上乗せされることもあります。

相談のタイミングとしては「相続発生後すぐ」が理想です。
財産の把握や書類収集に時間を要するため、早めに動き出すことで手続きがスムーズになります。
また生前対策として「贈与」や「家族信託」の相談をする場合も、なるべく余裕をもって計画を立てることが効果的です。

まとめ

以上が「2025 最新版」の相続税計算シミュレーションと節税術の概要です。
基礎控除や税率そのものは大きく変わらず、生前贈与加算期間が最長 7 年へ延長されるなど制度見直しが進んでいます。
小規模宅地等の特例、生命保険非課税枠、家族信託など多彩な仕組みを組み合わせることで、相続税負担を大幅に軽減することも可能です。
実際の財産評価や書類作成は複雑ですが、専門家へ早めに相談すれば最適なプランを立てられます。
ぜひ本記事を参考に、ご自身の相続対策を進めてみてください。

よくある質問

  • 相続税の基礎控除はいくらですか?
    「3,000万円+600万円×法定相続人」です。詳しくは国税庁タックスアンサーをご覧ください。
  • 2025年時点の相続税率は変わりましたか?
    税率(10%〜55%)と控除額は令和7年度も据え置きです。速算表は財務省資料で確認できます。
  • 生前贈与は何年前まで相続税に加算されますか?
    2024年改正で段階的に最長7年(+総額100万円控除)まで延長されます。詳細は国税庁Q&Aを参照してください。
  • 小規模宅地等の特例を使うとどのくらい節税できますか?
    居住用宅地なら評価額を最大80%減額できます。適用要件はOAG税理士法人解説が参考になります。
  • 生命保険の非課税枠は?
    「500万円×法定相続人」まで非課税です。仕組みはチェスター税理士法人の解説が分かりやすいです。
  • 申告・納付までの期限は?
    死亡を知った翌日から10か月以内に申告・納付が必要です。延納・物納の手引きは国税庁手続案内を確認してください。
  • 税理士に依頼すると費用はいくらですか?
    一般的に遺産総額の0.5〜1.2%が報酬相場です。相談タイミングと料金例はアルマ会計で紹介されています。

参考サイト

初心者のための用語集

  • 正味遺産額 … 相続財産の総額から借金・葬式費用などを差し引き、一定の贈与財産を加算した実質的な遺産額。
  • 課税遺産総額 … 正味遺産額から基礎控除を差し引いた、相続税の計算対象となる金額。
  • 基礎控除 … 「3,000万円+600万円×法定相続人」で算定する非課税枠。
  • 法定相続人 … 民法で定められた相続人。配偶者は常に含まれ、子・直系尊属・兄弟姉妹が順位で続く。
  • 累進税率 … 取得金額が大きいほど税率も高くなる段階式の税率(10%〜55%)。
  • 生前贈与加算 … 相続開始前に受けた贈与を相続財産に加算する仕組み。2024改正で最長7年分に延長。
  • 小規模宅地等の特例 … 被相続人の自宅や事業用土地を最大80%評価減できる節税制度。
  • 生命保険非課税枠 … 「500万円×法定相続人」までの生命保険金が相続税非課税となる特例。
  • 延納・物納 … 相続税を分割払い(延納)や不動産などで納付(物納)できる制度。要件あり。
  • 家族信託 … 資産管理や承継を目的に、家族を受託者として財産を信託する契約。認知症対策にも活用。
  • 相続時精算課税 … 生前贈与を相続時に一括精算する課税方式。贈与時は2,500万円まで非課税。

編集後記

Aさんは65歳、東京都内で30年間働いた会社を今年3月に退職し、退職金2,000万円を受け取りました。持ち家は路線価評価で6,000万円、預貯金と有価証券が4,000万円あり、総資産は1億2,000万円。配偶者と子2人の4人家族です。

当初Aさんは「基礎控除4,200万円だから課税対象は7,800万円程度か」と自己計算しました。しかし都心の自宅は小規模宅地等の特例で80%評価減が狙えると知り、税理士の助言で家族信託も組成。評価額6,000万円の宅地が1,200万円まで圧縮でき、課税対象は一気に2,800万円へ。

さらに生命保険を活用し、500万円×相続人3人=1,500万円の非課税枠を設定。結果、概算相続税はゼロまで縮小しました。準備に要した専門家費用は約80万円でしたが、「生前贈与や信託を含め総額700万円超の節税効果が出た」とAさんは満足気。手続きは退職直後から7月まで約4か月で完了し、税理士との打ち合わせは延べ6回。書類作成や登記費用も含めた総コストは約120万円でしたが、遺された家族は『これで安心して暮らせる』と語っています。
相続は亡くなる直前ではなく、元気なうちの準備が肝心――編集部が繰り返し強調する理由が、Aさんの事例で改めて裏付けられました。

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松田 悠寿
㈱ビーシーアップ代表。宅建士・FP2級。人材採用・営業・Webマーケ・資産形成を支援し、採用コンサルやマネープラン相談も対応。株12年・FX7年のスイングトレーダー。ビジネス・投資・開運術を多角的に発信し、豊かな人生を後押しします。