ファイナンシャルプランナー試験(FP試験)の「厚生年金」を徹底攻略するためのポイントを網羅。最新法改正や計算問題の出題パターン、過去問対策のコツなど、合格に必要な情報を集約した必読ガイドです。
Contents
この記事を読むと分かること
- ファイナンシャルプランナー試験の「厚生年金」分野で高得点を取るための学習ポイント
- 頻出テーマ(老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金)と出題傾向
- 最新の法改正(繰下げ受給増額率・在職老齢年金の基準額変更など)をどう試験対策に活かすか
- 過去問から見る具体的な計算問題の対処法と苦手克服のコツ
- 学習スケジュール例・モチベーション維持策
厚生年金は試験でも点を取りやすく、さらに合格後も実務・生活で必ず役立つ分野です。古い情報に惑わされないように、最新の改正を反映した知識を押さえて得点源にしましょう。
ファイナンシャルプランナー試験における厚生年金の重要性
ファイナンシャルプランナー試験(特に2級・3級)の「ライフプランニングと資金計画」では、公的年金が大きな比重を占めます。その中でも厚生年金は、会社員や公務員を中心に多くの方が当事者となるため、必ずと言っていいほど出題されます。
- 老齢厚生年金:将来の老後生活資金
- 障害厚生年金:病気やケガによる障害があった場合の生活保障
- 遺族厚生年金:被保険者が死亡した際、残された家族の生活保障
これらはそれぞれ支給要件や計算方法が異なり、法改正も頻繁であるため、「正確な最新情報の理解」が試験対策では大変重要です。厚生年金は苦手意識を持つ受験生が多い分、攻略すると得点差がつきやすい領域でもあります。
厚生年金の位置づけ:国民年金との2階建て
日本の年金制度は大きく「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」を合わせた2階建て構造です。会社員や公務員の場合、
- 1階部分:国民年金(老齢基礎年金)
- 2階部分:厚生年金(老齢厚生年金)
のように重なります。まずはこの全体像をしっかり理解しておくと、厚生年金の仕組みや特徴を掴みやすくなります。
頻出テーマ1:老齢厚生年金の仕組みと計算
厚生年金の中でも試験で最も頻出なのが「老齢厚生年金」です。65歳から支給され、報酬比例で年金額が決まる点が特徴です。
報酬比例部分の計算
老齢厚生年金は、被保険者期間中の標準報酬月額・賞与などをもとに計算されます。公式を暗記するより、
- 給与・賞与の総報酬を平均化
- 生年月日や加入期間に応じて積算
という流れを理解することが大事です。計算問題は実技試験で頻出なので、公式と流れをしっかり把握しておきましょう。
加給年金
老齢厚生年金で受給権を取得した時点で、一定の年齢未満の配偶者や子がいる場合には「加給年金」が加算されます。加給年金は老齢基礎年金の振替加算と混同しがちなので、以下の点を整理しましょう。
- 加給年金:老齢厚生年金に対する加算
- 振替加算:老齢基礎年金に対する加算
試験では「支給要件」や「対象となる家族の年齢」が狙われやすいポイントです。
特別支給の老齢厚生年金
60歳から一部の老齢厚生年金(報酬比例部分など)を受給できる制度ですが、生年月日によって受給開始年齢が段階的に65歳へ引き上げられています。昭和36年4月1日以前の男性・昭和41年4月1日以前の女性など、対象者が限られており、年齢に応じた開始時期を押さえる必要があります。試験問題では「この生年月日の人は何歳から受給可能か」がよく問われます。
頻出テーマ2:障害厚生年金の計算と受給要件
病気やケガで障害状態になった際に支給されるのが障害厚生年金です。試験でも出題率は高く、障害等級による給付額の違いなどを問われる場合があります。
障害等級と給付額のしくみ
- 1級:報酬比例部分が1.25倍になる
- 2級:報酬比例部分そのまま+配偶者の加給年金あり
- 3級:報酬比例部分が最低保障額に満たない場合は障害手当金(原則一時金)
試験では「1級=1.25倍」が定番のキーワードです。報酬比例部分の計算式は老齢厚生年金と同じ基礎をもとにしているため、両方をセットで押さえましょう。
受給要件と今後の改正動向
障害厚生年金を受け取るには、「初診日が厚生年金加入中」である必要があります。さらに、2025年以降、障害認定基準を緩和して受給しやすくする案が検討されています。試験時期によっては「障害厚生年金をめぐる最新の改正点」が問われる可能性もあるため、テキストや公式情報でアップデートしておきましょう。
頻出テーマ3:遺族厚生年金の要点
被保険者が死亡した際、その遺族に支給されるのが遺族厚生年金です。受給できるのは配偶者や子ども、一定要件を満たす父母・孫などで、試験では「受給資格」や「受給できる金額(報酬比例の3/4相当)」が問われます。
中高齢寡婦加算・経過的寡婦加算
- 中高齢寡婦加算:40歳以上65歳未満の配偶者がいる場合など
- 経過的寡婦加算:老齢基礎年金への振替が一定年齢まで行われないケース
こちらも加給年金や振替加算との混同に注意しましょう。試験では「どの加算がどの年金に乗るのか」という点が選択肢でよく出題されます。
最新法改正を試験対策に活かすポイント
年金制度は毎年のように改正がありますが、「試験にどう影響するか」が重要です。以下に2022年以降の主な改正や今後予定されている変更点を、試験勉強に落とし込むコツとあわせて整理します。
繰下げ受給の増額率:2022年4月以降は1か月あたり0.5%
- 試験では、繰下げを1年遅らせると何%増額かを問われることがある
- 古い情報(0.7%)と混同しないよう、最新は0.5%と押さえる
在職老齢年金の支給停止基準額:65歳以上は47万円→2025年4月から51万円
- 60~64歳:28万円超
- 65歳以上:47万円超(2025年4月から51万円超)
- 今後、試験で「2025年以降の基準」を問われるかどうかは試験団体のアナウンスを確認
- 過去問を解くときは従来の数字で出題されているケースがほとんどだが、最新情報も頭に入れる
障害厚生年金の受給要件緩和(2025年以降)
- 改正が正式決定すれば、試験で「改正後のポイント」を問われる可能性あり
- 現行の受給要件はしっかり理解しつつ、変更点にも注意
基礎年金加入期間の延長(40年→45年)は断念
- 「加入期間延長」は2025年改正の目玉案だったが、現時点で白紙化
- 混乱しないよう、「今のところ採用されていない」と押さえる
改正項目は多いですが、試験では「現行の制度」ベースで問われることが多い点に留意しましょう。ただし、公式アナウンスで「〇月以降は改正内容も出題対象」など明示される場合は、その情報に合わせて学習範囲を変えてください。
過去問から学ぶ:厚生年金の出題パターンと勉強法
ファイナンシャルプランナー試験(2級・3級)では、厚生年金に関して以下のような問題が繰り返し出題されています。
- 計算問題:老齢厚生年金の報酬比例部分や在職老齢年金の支給停止額を計算させる
- 正誤判定問題:「加給年金は老齢基礎年金に加算される」など誤った内容を混ぜて選ばせる
- 年齢・生年月日指定:「昭和〇年生まれのAさんはいつから特別支給を受け取れるか」
- 障害等級:1級・2級・3級の給付額の違いを具体的に問う
効果的な勉強ステップ
- テキストを読む:公的年金の全体像を把握し、厚生年金に関わる項目をざっくり理解
- 過去問を解く:自分の苦手論点を発見(計算なのか、受給要件なのかなど)
- ノート整理:苦手箇所や重要論点(加給年金、障害等級など)を1ページにまとめる
- もう一度過去問:再度解いてみて、解けるようになっているか確認
- 最新改正チェック:間違った旧情報で覚えていないかを必ず確認
特に計算問題は、本番の実技試験で時間を使いやすい部分です。落ち着いて処理するためにも、繰り返し演習して慣れておくことが大切です。
学習スケジュール例(2ヶ月プラン)
ファイナンシャルプランナー3級に2ヶ月で合格したい場合、総学習時間80~150時間のうち20~30時間を厚生年金に使うイメージです。
- 1~2週目:公的年金(国民年金・厚生年金)の概要・基礎知識をテキストで学習
- 3週目:老齢厚生年金・在職老齢年金の計算問題+過去問演習
- 4週目:障害厚生年金・遺族厚生年金の要点+過去問演習
- 5~6週目:苦手分野のノート整理&再度過去問演習
- 7週目:模擬試験や直近の過去問を本番と同じペースで解く
- 8週目:最新改正や細かな点(特別支給の年齢表など)を最終チェック
2級受験の場合は、3級相当の基礎を短期間で復習しつつ、より応用的な計算問題や事例問題の演習量を増やすのがおすすめです。
モチベーション維持と試験当日の注意点
厚生年金の分野は数字や要件が多く、苦手意識を持ちやすいところです。しかし、下記のような方法でモチベーションを維持しながら学習を続ければ、合格は見えてきます。
- 具体的にイメージ:将来自分や家族が年金を受け取る場面や、実務でお客様に説明する場面などを想像すると、学習の意義が高まります。
- 勉強会やSNSの活用:同じ目標を持つ受験者との情報交換は良い刺激になります。
- 短い単位で勉強:スキマ時間に計算式を確認したり、用語を暗記するなど、こまめに取り組む習慣づくりが大切です。
試験当日は、計算問題で手が止まってしまうと時間ロスが大きいので、分からない問題は一旦飛ばして後から戻るなど、時間配分に気をつけましょう。
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厚生年金だけでなく、他の科目や試験全体の戦略を学ぶことで、合格に近づきます。ぜひ併せてチェックしてみてください。
まとめ:厚生年金を攻略して合格ラインへ!
ファイナンシャルプランナー試験における「厚生年金」は、数字や要件が多く一見難しそうですが、反復演習で十分対応可能な分野です。
- 老齢厚生年金:報酬比例計算・特別支給の年齢表・加給年金を押さえる
- 障害厚生年金:障害等級ごとの給付額・今後の改正動向
- 遺族厚生年金:受給資格や中高齢寡婦加算との組み合わせ
- 在職老齢年金:支給停止額の基準(28万円・47万円・将来的には51万円)
- 繰下げ受給:2022年4月以降は0.5%増額
これらの項目は過去問でも頻繁に問われます。最新の法改正にアンテナを張りつつ、テキストや問題集を活用して勉強を進めましょう。合格後も、公的年金の知識はFPとして必ず役立ちます。厚生年金をしっかり理解して、ライフプランニング全体の得点力をアップさせてください。あなたの合格を心から応援しています!
オリジナル練習問題
問題1: 厚生年金の被保険者資格
厚生年金の被保険者は、適用事業所で働く70歳未満の労働者である。
◯または×
【解答】◯
【解説】厚生年金の被保険者は、適用事業所で常時使用される70歳未満の労働者です。ただし、65歳以上の場合は老齢厚生年金の受給資格に応じて異なる場合があります。
問題2: 厚生年金保険料の負担割合
厚生年金保険料は、被保険者が全額を負担する。
◯または×
【解答】×
【解説】厚生年金保険料は、事業主と被保険者が半分ずつ負担する「労使折半」の仕組みになっています。
問題3: 老齢厚生年金の受給開始年齢
老齢厚生年金は原則として65歳から受給できる。
◯または×
【解答】◯
【解説】老齢厚生年金は原則65歳から支給されます。ただし、特別支給の老齢厚生年金など例外もあります。
問題4: 繰下げ支給による増額
老齢厚生年金を繰下げて受給すると、1か月につき0.7%増額される。
◯または×
【解答】×
繰下げ支給は2022年4月以降、1か月ごとに0.5%増額される。よって最大5年間(60か月)繰下げた場合の増額率は30%となる(以前は0.7%で42%増だったが改正により変更)。
従来の「0.7%増で42%増」としている説明は誤りで、現在は「0.5%で最大30%増」が正しい。
問題5: 第2号被保険者と国民年金
厚生年金の第2号被保険者は、同時に国民年金の第2号被保険者でもある。
◯または×
【解答】◯
【解説】厚生年金の加入者(第2号被保険者)は、自動的に国民年金の第2号被保険者に該当します。
問題6: 適用事業所の要件
従業員が5人未満の個人事業所は、すべて任意適用事業所となる。
◯または×
【解答】×
【解説】個人事業所でも農林水産業や旅館業など特定の業種を除き、常時5人以上の従業員を使用している場合は強制適用事業所となります。
問題7: 在職老齢年金制度
在職中でも一定以上の収入がある場合、老齢厚生年金が全額支給される。
◯または×
【解答】×
【解説】在職老齢年金制度では、一定以上の収入がある場合、老齢厚生年金が一部または全額停止されることがあります。
問題8: 育児休業中の保険料免除
育児休業期間中も厚生年金保険料を支払う必要がある。
◯または×
【解答】×
【解説】育児休業期間中(満3歳未満)は、申請により健康保険および厚生年金保険料が免除されます。
問題9: 離婚時の年金分割
離婚時には必ず夫婦間で厚生年金分割が行われる。
◯または×
【解答】×
【解説】離婚時には合意や裁判所命令に基づいて厚生年金分割を行うことができます。ただし、必ず分割されるわけではありません。
問題10: 賞与と厚生年金保険料
賞与にも標準報酬月額に基づく厚生年金保険料が課される。
◯または×
【解答】◯
【解説】賞与にも標準賞与額に基づいて厚生年金保険料が課されます。ただし、上限額(150万円)が設定されています。
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