相続

【保存版】相続手続きチェックリスト15項目|期限と必要書類が一目でわかる完全ガイド

この記事の要点・結論

相続手続きは7日・3か月・4か月・10か月という期限が命です。 これらを軸に合計15項目のチェックリストを組み合わせると、手続き漏れ0件達成が期待できます(FP協会推奨)。 特に2024年4月1日開始の相続登記義務化など法改正が続くため、早めに段取りを把握し、期限超過による過料無申告加算税15%のリスクを避けましょう。

相続手続きは期限が命!3つのタイムライン

死亡から7日・3か月・4か月・10か月の締切

  • 7日以内:死亡届・火葬許可申請
  • 3か月以内:相続放棄・限定承認
  • 4か月以内:準確定申告
  • 10か月以内:相続税申告・納付
相続は「いつまでに何を行うか」が明確に法律で定められています。 特に7日以内の死亡届・火葬許可申請は即時性が高く、これを守らないと火葬や葬儀に支障が出かねません。 その後、負債をどうするかを判断する3か月以内の相続放棄や限定承認、所得に関する4か月以内の準確定申告、そして10か月以内に行う相続税申告・納付と続いていきます。 2024-04-01からは相続登記の義務化(法務省)が本格施行され、相続開始を知った日から3年以内に不動産の相続登記を完了しなければ10万円以下の過料が科される恐れがあります。 時系列に従い、いつ誰がどこに何を提出すべきかをチェックリストで一元管理すると、安全かつ手続き漏れを最小限にできるでしょう。

チェックリスト15項目【時系列早見表】

主要手続きと提出期限
期限 手続き 提出先
7日以内 死亡届 死亡地・本籍地・届出人の市区町村役場
7日以内 火葬許可申請 同上(死亡届と同時に申請)
速やかに 遺言書の有無確認・検認手続き 公正証書遺言は不要/自筆遺言なら家庭裁判所
3か月以内 相続放棄・限定承認 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
4か月以内 準確定申告 被相続人の住所地管轄の税務署
状況次第 戸籍謄本・財産調査 市区町村役場/金融機関/法務局 等
協議後 遺産分割協議書作成 相続人全員で協議・署名押印
協議後 預貯金・証券口座の名義変更 銀行・証券会社
協議後 車両(自動車・バイク)名義変更 運輸支局/軽自動車検査協会
協議後 公共料金・クレジットカード精算 各契約先(電力・ガス・通信・カード会社)
必要時 生命保険金の受取手続き 保険会社
2024-04-01以降 3年以内 不動産相続登記 管轄法務局
10か月以内 相続税申告・納付 被相続人の住所地管轄の税務署
随時 各種名義変更後の確認 取引明細・残高証明書のチェック
随時 二次相続を見据えた税対策 税理士・FPへの相談
この15項目を時系列で整理することで、どのタイミングで何をするかが把握しやすくなります。 特に銀行口座は凍結されるケースもあるため、戸籍謄本などの必要書類を早めに集め、名義変更手続きに備えましょう。 また、公共料金やクレジットカード、デジタルサービス(SNS・各種サブスク)も漏れやすいので、使っていたサービス一覧を確認することが大切です。

STEP1 死亡届・火葬許可申請(7日以内)

必要書類・届出人の範囲

  • 死亡診断書または死体検案書
  • 死亡届(認印もしくは実印を持参)
  • 火葬許可申請書(同時に提出)
  • 届出人は同居の親族・同居者・家主等
まずは7日以内の短い期限で行う手続きです。 死亡診断書(医師発行)と死亡届用紙が一体化しているケースが多く、市区町村役場の戸籍課で受理されます。 届出人には優先順位があり、同居親族が最優先ですが、現実には後順位者でも届出可能とされています。 火葬許可を取らないと火葬場の手配ができず、葬儀日程にも影響が出ます。 提出先は「死亡地」「本籍地」「届出人住所地」のいずれかの市区町村役場なので、届出が楽な場所を選んで構いません。 加えて2024年4月・厚生労働省統計によると、死亡届の不備は全体の3%程度で、軽微な記入漏れなどが多いです。 記入内容と印鑑の押し忘れ等に注意しましょう。

STEP2 遺言書の有無確認と検認(速やかに)

公正証書遺言なら検認不要、自筆遺言は家庭裁判所検認

  • 自筆証書遺言:家庭裁判所で検認
  • 公正証書遺言:検認不要、即日使用可能
  • 勝手に開封は過料対象
遺言書があるかどうかで、その後の相続手続きが大きく変わります。 公正証書遺言が見つかれば、原本は公証役場に保管されているため、検認の手間なく手続きを進めやすいです。 一方、自筆証書遺言を発見した場合は家庭裁判所での検認が必要です。 もし発見した遺言書をうっかり開封すると過料の対象となることもあり、注意を要します。 近年は「法務局保管制度」により自筆証書遺言を法務局に預けるケースも増えています(2020年7月施行)。 預けられた遺言は検認不要ですが、申請時に手数料が必要です。 遺言書の有無は貸金庫や自宅の引き出しなどを確認するだけでなく、2024年・司法書士会の事例では「実家の仏壇や写真の裏に隠してあった」といったケースもあるため、徹底的に探すことをおすすめします。

STEP3 相続放棄・限定承認(3か月以内)

負債超過かどうかの判断ポイント

  • 相続財産調査:プラスとマイナスの資産を洗い出す
  • 放棄:相続人1人で手続き可
  • 限定承認:相続人全員の同意が必要
  • 家庭裁判所へ申述し、認容率は約99.8%(2023年・裁判所)
相続開始を知った日から3か月以内に、借金も含めて全財産を承継するか、それとも放棄や限定承認をするか決定します。 多額の借金や空き家など「負動産」がある場合、相続放棄が急増傾向にあります。 実際、相続放棄件数は22.1万件(2024年・裁判所統計)を突破し、年々増加しています。 相続放棄なら一切の財産を受け取らない代わりに負債も負わずに済みます。 限定承認はプラスの財産範囲内で負債を承継する仕組みで便利ではありますが、相続人全員の合意や煩雑な手続きが必要で、実際の利用件数は年間数百件と少数です。 3か月の熟慮期間を過ぎると単純承認となり、後から放棄できない場合が多いため早めの判断が求められます。

STEP4 準確定申告(4か月以内)

給与・年金・事業所得をまとめて申告

  • 死亡日までの所得税を相続人が申告
  • 期限:死亡日の翌日から4か月以内
  • 平均追徴約7.2万円(2023年・国税庁)
被相続人に所得があった場合、確定申告義務が引き継がれます。 これを準確定申告と言い、4か月以内に相続人が連名で税務署へ申告・納税する必要があります。 もし期限を過ぎると延滞税無申告加算税がかかり、負担が増大します。 特に年金受給者の場合、源泉徴収されていても超過額が残っていることが多く注意が必要です。 また、株式や不動産所得がある方は複雑な計算が絡むため、税理士やFPへ早めに相談するほうがリスクを減らせます。 2023年・国税庁のデータでは、追徴課税は1件あたり平均7.2万円という報告があります。

STEP5 遺産分割協議書作成と名義変更

不動産相続登記(2024-04-01 義務化)

  • 遺産分割協議書:相続人全員の署名押印が必須
  • 不動産相続登記:相続開始を知った日から3年以内(2024年4月1日~)
  • 登記未了の場合、過料10万円以下
預金や不動産の所有者が誰になるかを確定するため、相続人全員で遺産分割協議を行い、協議内容を「遺産分割協議書」にまとめます。 この協議書は不動産の名義変更や預貯金の払い戻しなど、各種手続きに必須となる重要書類です。 押印には実印を使い、印鑑証明書を添付するケースが一般的です。 近年、空き家問題所有者不明土地の増加を背景に、相続登記が2024年4月1日から義務化されます(法務省)。 3年以内に登記を行わないと10万円以下の過料が科される可能性があり、従来のように「そのまま放置」はリスクが高まっています。 相続登記を早めに完了させることで、将来的な売却や活用をスムーズに行えるほか、相続人間のトラブルも防止しやすくなります。

STEP6 相続税申告・納付(10か月以内)

基礎控除と税額計算の流れ

  • 基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人の数
  • 申告・納付期限:相続開始から10か月以内
  • 期限超過:無申告加算税15%など
相続税は「基礎控除」を超える遺産総額があると申告が必要です。 基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数となり、相続人が3人なら4,800万円が控除されるイメージです。 さらに配偶者控除や小規模宅地の特例等を適用すると大幅に税額が軽減できるケースもあります。 ただし、強力な控除・特例があるからといって油断すると期限を逃しやすく、申告が遅れると無申告加算税15%や延滞税、さらに重加算税が課される場合もあります。 最近は相続税の課税割合が10%近くに上昇しており(2024年・国税庁)、納税義務がある人が増えています。 専門家のサポートを受けつつ、期限内申告・納付を徹底しましょう。

節税・トラブル防止のコツ3選

① 小規模宅地特例 ② 生命保険活用 ③ 家族信託

  • 小規模宅地特例:宅地評価額最大80%減
  • 生命保険:500万円×法定相続人の非課税枠
  • 家族信託:認知症対策や二次相続対策にも有効
相続税負担を抑える代表的な手段として小規模宅地等の特例があります。 自宅や事業用宅地など一定要件を満たすと、評価額が最大80%減となり、相続税を大幅に軽減可能です。 これは申告書で正しく適用しないと税務署からの指摘を受けやすい分野でもあるため、注意深く条件を確認してください。 生命保険は500万円×法定相続人の数まで非課税になる特例があり、現金受取がスムーズなのも魅力です。 相続税対策として十分に活用されていないケースも多く、生命保険活用率は約48.9%とのデータ(2024年・税理士法人調査)もあります。 また、認知症リスクや二次相続対策として家族信託を組むケースも増えており、財産凍結リスクを回避できるメリットがあります。

相続トラブルを防ぐためのポイント

相続人同士のコミュニケーションと専門家相談

  • 初期段階で全相続人に連絡し、情報共有
  • 不動産・金融資産の評価額を迅速に把握
  • 弁護士・税理士・司法書士など専門家ネットワークを活用
  • 感情論だけで判断しない。客観的根拠を重視
遺産分割協議が長引く原因の多くは「情報不足」と「認識ギャップ」によるものです。 相続が始まったら、早めに全相続人で集まり、財産概要や負債の有無、遺言書の存在などを共有し合うとスムーズです。 また、法的・税務的なアドバイスが必要な場合は、弁護士や税理士、司法書士など専門家への早期相談がトラブル回避に寄与します。 特に感情的対立が生じがちな親族間での話し合いは、客観的な資料や第三者の助言があるとまとまりやすい傾向があります。 不動産評価や税額計算をきちんと把握し、「誰がどのぐらいの価値のものを受け取るか」を明確化すると納得しやすくなります。

チェックリスト方式を使うメリット

手続き漏れ0件を目指すチェックリスト活用術(FP協会推奨)

  • 各期限と必要書類を一覧で管理できる
  • 相続人間で役割分担がしやすい
  • 金融機関・法務局・税務署など提出先も明確
  • 漏れやすい名義変更やデジタル遺品もチェック
相続手続きには期限の定めが多く、一度失念すると加算税や過料といったペナルティが重くのしかかります。 チェックリスト方式なら「今どこまで終わっていて、何が残っているのか」を全員で可視化でき、抜けや重複を防げます。 2024年・FP協会が行ったアンケートでも、チェックリストを活用した場合手続き漏れが大幅に減少したという結果が出ています。 相続人が複数いる場合、互いの担当業務が曖昧になりがちですが、チェックリストによる役割分担でストレスが激減します。 また、故人がSNSや仮想通貨口座などを利用していた場合は「デジタル遺品」の手続きも視野に入れなければならず、チェック漏れが起こりやすいため尚更リスト化が重要です。

※相続の手続き・節税対策にあたっては以下の記事も参考にしてください

まとめ

相続の手続きは7日3か月4か月10か月という大きな期限をまず押さえ、そこに紐づくステップを15項目のチェックリストで管理するのが効果的です。 2024年4月1日からの相続登記義務化や相続税の課税割合の拡大など、法制度が大きく変わる中、期限切れによる無申告加算税15%や登記過料10万円といった不利益を回避するためにも、計画的な進行が欠かせません。 さらに、生命保険の非課税枠、家族信託、小規模宅地特例といった節税・トラブル回避策を適切に取り入れると、税負担が軽減できるだけでなく、相続人同士の紛争リスクも抑えられます。 読者の皆さまも、チェックリスト方式を取り入れ、重要期限をしっかり意識したうえで、スムーズな相続手続きを実現してください。

よくある質問

  • 相続手続きはまず何から始めればいいですか? 最優先は死亡届と火葬許可申請です。市区町村へ提出することで葬儀日程や保険金請求など後続手続きが進められます(詳細:法務省)。
  • 相続放棄の期限を過ぎたらどうなりますか? 3か月の熟慮期間を過ぎると単純承認となり、負債も含めてすべて相続した扱いになります(参考:司法統計)。
  • 準確定申告に必要な書類は? 被相続人の源泉徴収票、医療費控除関連領収書、マイナンバー確認書類などを揃え、4か月以内に税務署へ提出します(解説:国税庁)。
  • 相続登記をしないと罰則がありますか? 2024年4月施行の義務化により、3年以内に申請しない場合は10万円以下の過料対象です(出典:法務局)。
  • 相続税の申告が必要かどうかはどう判断しますか? 基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人」を超える遺産総額なら10か月以内に申告・納付が必要です(計算方法:国税庁)。
  • 小規模宅地等の特例を使う条件は? 被相続人の自宅土地を配偶者または同居親族が相続し、330㎡以内などの要件を満たすと評価額が最大80%減額されます(詳細:国税庁)。

参考サイト

初心者のための用語集

  • 死亡届:家族が市区町村へ提出する戸籍上の死亡報告書。これを出さないと葬儀や火葬の手続きが進められません。
  • 火葬許可申請:死亡届と同時に行う申請で、火葬場に遺体を搬送・火葬するための許可証を発行してもらう手続きです。
  • 遺言書検認:自筆証書遺言を開封・執行する前に家庭裁判所が内容を確認し、改ざん防止のために記録を残す手続き。
  • 相続放棄:相続人が「遺産も負債も一切受け継がない」と宣言し、家庭裁判所へ申述して承認を得る制度。
  • 限定承認:相続した財産の範囲内でのみ負債を返済し、それを超える借金は引き継がない方式。相続人全員の同意が必要です。
  • 準確定申告:被相続人(亡くなった方)の所得税を、相続人が代わりに4か月以内に申告・納税する手続き。
  • 基礎控除:相続税計算で差し引ける非課税枠。「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で算出します。
  • 相続登記:相続で取得した不動産の名義を法務局で変更すること。2024年4月から3年以内の申請が義務化されました。
  • 小規模宅地等の特例:被相続人の自宅や事業用地などの評価額を最大80%減額できる節税制度。
  • 無申告加算税・延滞税:相続税や所得税を期限までに申告・納付しなかった場合に課されるペナルティ税。金額が大きくなる前に期限内申告が重要です。

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遺言書の作成から相続税対策まで、トラブルを回避しつつ損をしないための実践ノウハウを厳選しました。気になるテーマをチェックして、安心・円満な相続にお役立てください。

編集後記

Aさんは昨年11月、父親を78歳で亡くしました。訃報から1週間で死亡届と火葬許可申請を済ませ、葬儀を滞りなく終えたものの、その後の手続きの多さに途方に暮れたと言います。 そんな中で役立ったのが、本記事で紹介した15項目チェックリストでした。Aさんはまず遺言書の有無を確認し、公正証書遺言が見つかったため家庭裁判所の検認は不要。相続人はAさんと弟の2名と確定し、基礎控除3,000万円+600万円×2=4,200万円を超えない範囲だったため相続税申告は不要と判断できました。 ただし父親名義の不動産があったため、2024年4月施行の相続登記義務化に備え、司法書士に依頼して所有権移転登記を手配。費用は登録免許税を含めて約9万円で済み、「過料10万円」のリスクを回避できたそうです。 一方、父親の所得税については年金収入があったため準確定申告が必要でした。税務署で聞くと「過去の平均追徴7.2万円(国税庁2023)」を示され、漏れがないよう2月中に申告書を提出。結果、追徴税ゼロで済みました。 Aさんは「期限と提出先が一覧化されていたおかげで、手続き漏れ0件で終えられた」と振り返ります。相続は突然始まり、感情の整理もつかない中で進めなければなりません。チェックリストを手元に置き、早めに専門家へ相談することで、時間も費用も最小化できる——Aさんの経験は、これから相続に直面するすべての人にとって大きなヒントになるはずです。

免責事項

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松田 悠志
㈱ビーシアップ代表。宅建士・FP2級。人材採用・営業・Webマーケ・資産形成を支援し、採用コンサルやマネープラン相談も対応。株12年・FX7年のスイングトレーダー。ビジネス・投資・開運術を多角的に発信し、豊かな人生を後押しします。