相続

【2025年最新版】生前贈与110万円で相続税ゼロ!5ステップ完全ガイド

この記事の要点・結論

  • 年間110万円まで非課税となる「暦年贈与」を毎年続けることで、相続税圧縮争族防止を同時に実現しやすくなります。
  • しかし、名義預金リスク契約書の不備に注意しないと、追徴課税や贈与そのものの否認に繋がる恐れがあります。
  • 2024年以降は生前贈与加算期間が拡大(最大7年)されるため、早期に贈与を開始するメリットがさらに大きくなります。
  • 具体的な実行手順は5ステップで整理するとスムーズで、通帳や印鑑の管理をきちんと受贈者側が担うことが肝心です。
  • 教育資金贈与特例や家族信託などの併用テクニックを取り入れれば、より大きな非課税枠管理の安定が期待できます。

この記事では、「相続前にやるべき生前贈与5ステップ【年間110万活用】」を、初級者から中級者レベル向けに詳しく解説します。2025-01 国税庁公表の基礎控除情報や「3年ルール」改正動向、名義預金に関する最新の税務調査データも踏まえ、読後にすぐ実践できる具体策をまとめました。

贈与の目的は単なる節税だけでなく、後々の「争族」を防ぐ点にもあります。大切な家族が揉めずに財産を継承できるよう、基礎から丁寧に確認していきましょう。

なぜ“年間110万円”が王道なのか

  • 贈与税の基礎控除110万円が適用され、贈与税がかからない
  • 1回の贈与金額を抑えられるので、子や孫側の資金管理もしやすい
  • 遺産総額を生前に抑えておくほど、相続税額が減る効果が高い

生前贈与の代表的な手法として「年間110万円」の贈与が挙げられます。これは、贈与税における基礎控除(110万円)をフル活用することで、毎年コツコツ財産を移転しながら贈与税がゼロで済む仕組みです。

実際に2025-01 国税庁の基礎控除規定に照らしても、この110万円枠内の贈与は非常に有利です。家族内で「どうせあげるなら、一度にまとめて大金を渡したほうが良いのでは?」と考える方もいますが、多額の一時贈与は高い贈与税率が適用されるリスクが大きくなります。したがって、毎年110万円までを区切りよく贈与する“暦年贈与”が、現在も「王道」の節税手段とされているのです。

また、この方法は形式をきちんと整えれば「本当に贈与が完了したのか」を税務署に対して説得力ある形で示せます。名義預金リスクとの闘いは生前贈与において非常に重要な論点ですので、後述の方法論を踏まえて慎重に進めましょう。

基礎控除と生前贈与加算3年ルール

  • 基礎控除110万円を超えた部分は贈与税の課税対象
  • 死亡前3年(将来7年)以内の贈与は生前贈与加算として相続財産に再計上
  • 2024年~2030年にかけて段階的に加算期間が拡大

贈与税には、一人の受贈者につき年間110万円までの非課税枠が存在します。しかし、この制度を過信すると「どうせ110万円なら相続税計算に入らないんでしょ?」という誤解が起きやすい点に注意が必要です。実は、被相続人が死亡する前3年以内(改正後は最大7年以内)に行われた贈与は、金額の大小に関わらず相続税計算で加算対象になる仕組みがあります。

これは通称「3年ルール」と呼ばれ、今後は改正の経過措置を経て「7年ルール」へ移行する予定です(2024年以降、国税庁Q&Aなどで詳細公表)。ただ、相続開始前から贈与を早めに始め、一定期間を経た財産については相続税に加算されない可能性が高まるため、やはり早期着手こそ効果的です。

特に、3年・7年のどちらが適用されるかは、相続開始日や贈与日で変わります。法改正が段階的に実施される分、分かりづらい面もあるので、税理士へ相談しておくのも手です。

5ステップで実践!暦年贈与フロー

続いて、具体的に生前贈与を進めるうえで押さえておきたい5ステップを解説します。各ステップを適切にこなせば、名義預金否認リスクを抑えつつ、スムーズに贈与完了まで辿り着けます。

STEP1 銀行口座の分離・開設

  • 贈与者・受贈者それぞれの専用口座を用意
  • 通帳・印鑑は必ず受贈者が管理
  • キャッシュカード発行やオンラインバンキング設定も受贈者名義で

まずは、贈与専用の銀行口座を分けておきましょう。贈与者側の資金を移す口座と、受贈者が受け取るための口座をはっきり区別しておくことで、資金の流れを客観的に示しやすくなります。

一番多い失敗例が「受贈者名義の口座を作ったが、実際には贈与者が通帳と印鑑をずっと管理していた」というケースです。これでは名義だけ変えた形式的なもので、税務調査で名義預金として否認される確率が高まります。実際、2024年 税務調査の報告データによると、名義預金認定率は12%に達しており、うかうかしていると取り締まりの対象になりかねません。

加えて、口座を分けることで財産の移転を「見える化」できます。後々、証拠資料として振込明細や通帳記帳の記録を示しやすくなるため、開設段階から計画的に進めることが大切です。

STEP2 贈与契約書を作成

  • 契約日贈与日をしっかり明記
  • 贈与金額・方法・当事者の住所氏名・押印
  • 年単位で継続するなら、毎年分の契約書を作成がおすすめ

贈与契約書は、後に「いつ」「誰が」「誰に」「いくら」贈与したのかを示す最重要書類です。内容に不備があると「書類は作ったが実行されたか怪しい」という認定を受けるリスクが高まります。注意点は以下の通りです。

第一に日付です。契約日と実際の振込日があまりに乖離していると、不自然と判断されることがあります。第二に金額を正しく記入し、両者の押印を済ませること。実印が望ましいですが、実印登録が難しい場合はせめて認印ではなく銀行印など改ざんリスクの低い印鑑で対応すると良いでしょう。

さらに、毎年110万円ずつ贈与を行う場合は毎年分の契約書を作成しておくとベターです。1年目だけ契約書を作って、2年目以降は作らない…というやり方だと「本当は毎年贈与していないのでは?」という疑いを持たれる可能性があります。

STEP3 110万円を振込で送金

  • 必ず銀行振込で履歴を残す
  • 「振込依頼人名」が贈与者本人になっているか確認
  • 現金手渡しは証拠不十分となりやすくリスク大

生前贈与の実行は、現金手渡しではなく銀行振込が原則です。なぜなら、振込記録が強力な証拠として機能し「いつ」「誰が」「いくら」送金したかがデータで残るからです。

なお、振込依頼人名を正しく指定しないと「誰が入金したのか不明」な状態になり、後の税務署説明で苦労します。贈与者自身の口座から受贈者名義の口座へ送金する形が最も分かりやすいでしょう。

2024年税制改正の観点から言えば、今から少しでも早く暦年贈与を始めておくほど、将来の生前贈与加算対象になる期間を短縮できる可能性があります。特に大規模な相続が予想されるご家庭は、振込のタイミングを計画的に考えてください。

STEP4 受贈者による管理・通帳保存

  • 受贈者が通帳や印鑑、ネットバンキングIDを管理
  • 贈与後の預金を自由に使える状態を確立
  • 未成年の場合は親権者のサポートが必要だが、実質管理者が贈与者にならぬよう注意

贈与したお金を実際に誰が管理しているかが、税務署の最大のチェックポイントです。もし、通帳も印鑑も贈与者が持っていて、受贈者は全く使えないとなれば「名義預金」扱いにされる可能性が高いです。

未成年の子や孫へ贈与するケースでは、親権者がサポートすることが避けられませんが、それでも「贈与者がアクセスできる状態」にしないよう気を配りましょう。たとえば、実際に子の生活費として使うための口座として管理し、キャッシュカードも子名義で発行するなど、形だけでなく中身も受贈者管理にしておくことが重要です。

STEP5 贈与申告と領収保管

  • 年間110万円以下なら贈与税申告は不要
  • ただし、住宅取得資金や教育資金特例を使う場合は申告が必要
  • 振込明細契約書は必ず保管しておく

暦年贈与であっても、教育資金贈与特例や住宅取得資金非課税制度などを併用すると、申告書の提出が必須となる場合があります。一切申告不要というわけではありませんので注意してください。

また、税務調査が入るタイミングは予測が難しいです。契約書振込明細などのエビデンスは、少なくとも7年程度は保存しておくと安心です。特に大型贈与を行った年は、念入りに証拠固めをしましょう。

シミュレーション:10年間でいくら節税?

では、実際にどの程度の節税効果が期待できるのでしょうか。ここでは、相続人が複数人いるモデルケースを使って概算を示します。

相続人3人=非課税枠1,100万円/税率20%なら節税額220万円

  • 1人あたり年間110万円×10年=合計1,100万円を生前贈与
  • 課税対象から1,100万円分が減少
  • 相続税率20%で計算すると220万円の節税

たとえば、相続人が3人いる家庭で、各人に対して10年間毎年110万円ずつ贈与したとすると、ひとり当たり1,100万円を移転可能です。もし相続税率が20%と仮定した場合、この1,100万円に対して課されるはずだった相続税は約220万円となります。

実際には細かな控除や各種特例、財産の構成によって税率は前後します。また、生前贈与加算により死亡前3年(将来的には7年)以内の贈与分は相続税に合算されるため、必ずしも全額が節税対象になるとは限りません。しかし、長期的に贈与を継続できれば、その分「加算されずに済む贈与額」が増えるため、大きな節税につながる可能性が高いです。

さらに2023 信託銀行調査によると、暦年贈与の平均利用額は370万円ほどというデータがあります。数年間の贈与を組み合わせれば、平均よりも大きい金額をコツコツ移転し、相続時にまとまった節税が見込めるわけです。

【10年間で1人に1,100万円贈与するケース(相続税率20%)】

贈与累計 想定相続税率 節税額(概算)
1,100万円 20% 220万円

上記はあくまで概算シミュレーションです。法定相続人の数や他の特例、財産状況に応じて結果は変動しますので、正確な試算は税理士等の専門家へ相談してください。

落とし穴4つと対策

  • 名義預金
  • 契約書日付ミス
  • 加算対象外誤解
  • 管理権干渉

生前贈与は非常に有効な節税手段ですが、手続きや管理を疎かにすると、せっかくの贈与が認められなかったり、追徴課税を受けたりするリスクがあります。ここでは代表的な4つの落とし穴を確認しましょう。

名義預金

  • 実質的な管理者が贈与者であれば名義預金認定
  • 通帳・印鑑を誰が持っているかを重視される
  • 税務調査では管理実態を厳しくチェック

名義預金とは、単に通帳名義が子や孫になっているだけで、実質的な管理・使用を親が行っている状態を指します。税務当局は「通帳・印鑑を誰が保管しているか」「受贈者はその口座の存在を知り、自由に使えるのか」などを確認し、形式だけの名義変更を厳しく否認する傾向があります。

特に「贈与者が全ての入出金をコントロールしている」「受贈者が口座の暗証番号すら知らない」といったケースは完全アウト。名義預金を回避するためには、STEP1~4を確実に実行し、贈与後の資金が受贈者の意思で管理・運用されていると示すことが重要です。

契約書日付ミス

  • 契約日と実行日(振込日)の整合が取れない
  • 契約書の作成日を後付けで偽装するとリスク倍増
  • 公正証書にすれば確定日付を確保できる

契約書の作成日や贈与実行日の整合性が取れず、税務署から「後出し書類では?」と疑われることはよくあるトラブルです。贈与契約は口頭でも成立し得るものの、税務的には書面化して正確な日付を記録することが不可欠です。

より確実にしたい場合は公正証書にするという手段もあります。公正証書を作成すると「確定日付」が得られ、契約日や署名捺印の真正性を強力に証明できます。公証役場の費用は贈与額に応じて変動しますが、将来のトラブルを考えれば検討に値します。

加算対象外誤解

  • 加算対象=死亡前3年以内(2024年以降は最大7年)
  • 金額が少なくても加算対象になる点に注意
  • 経過措置が複雑なので専門家への相談推奨

暦年贈与では「110万円までなら税金がかからない」というイメージが先行しがちですが、相続税計算時の「生前贈与加算」は贈与税とはまた別の仕組みです。結果的に、相続税を計算する段階で「この贈与は死亡前3年(将来7年)だから含めますね」と言われれば、その分相続財産が増えて相続税が高くなる場合もあります。

とはいえ、早めに贈与を開始しておけば、加算されない年数の分は節税効果を享受できるので、結局は早いスタートが大切です。経過措置の年ごとに取り扱いが変わる部分もあるため、改正情報を見逃さないようにしましょう。

管理権干渉

  • 贈与後の使途を贈与者が口出ししすぎる
  • 「自由に使えない」状態は実質的に贈与が完成していない
  • どうしても条件を付けたいなら負担付贈与で明文化

贈与とは「あげる人が一方的に財産権を失い、もらう人が自由に使える状態」にすることが法律上の条件です。そのため、「使い方はこれだけに限定」「いざというときは返してもらう」など贈与者が必要以上に干渉すると、「本当に贈与といえるのか?」と疑いを持たれかねません。

教育資金だけに使ってほしいなど目的が明確な場合は、「負担付贈与」として契約書に条件を記載する方法もあります。ただし、形式面を疎かにすると結局同じように否認リスクが生まれるので注意してください。

その他の併用テクニック

  • 教育資金贈与・結婚資金贈与の特例
  • 家族信託を利用した財産管理・認知症対策
  • 相続時精算課税制度や保険活用なども選択肢に

暦年贈与だけでなく、他の制度を組み合わせることで、より大きな非課税額や管理面のメリットを得られる場合があります。例えば、教育資金特例は30歳未満の子・孫に最大1,500万円を非課税贈与できます。結婚・子育て資金特例を併用すればさらに1,000万円、合計2,500万円まで非課税枠が広がる可能性があります(2024 文科省)。

また、家族信託は「認知症対策」や「共有財産の管理一本化」に強力な効果を発揮します。2025 信託協会の調査では、家族信託導入により財産管理上のトラブルが80%程度減少したという報告もあります。遺産分割協議で揉めやすい不動産や事業資産を、早めに信託で管理しておくと、相続開始後の混乱をかなり防げるでしょう。

教育資金贈与・結婚資金贈与との組合せ/家族信託

  • 教育資金一括贈与特例利用件数は8.6万件(2024 文科省)
  • 家族信託により管理権を集約し、認知症リスクにも備える
  • 「受益者連続型」などを活用すれば二次相続対策にも

具体例として、孫の大学資金や留学資金を教育資金特例で渡しつつ、年間110万円の暦年贈与を子へ行うなど、贈与先や制度を分散させることでファミリー全体の節税額を最大化できるケースがあります。また、家族信託を設定しておけば、贈与者本人が認知症などで判断能力を失っても、受託者が適法に管理・処分できる点が強みです。

ただし、これら特例や家族信託には細かい要件や手続きがあるため、制度を十分理解した専門家と相談しながら進めるのが無難です。

※相続の手続き・節税対策にあたっては以下の記事も参考にしてください

まとめ

「年間110万円の基礎控除」を使った暦年贈与は、相続税の圧縮と家族間トラブル防止に繋がる王道的な手法です。しかし、名義預金と認定されないようにするためには、贈与契約書の作成や通帳管理の分離、振込証拠の保存など形式面を徹底する必要があります。

2024年以降は生前贈与加算期間の段階的拡大(最大7年)が予定されており、特に大きな財産を持つ方や相続争いが懸念される家庭ほど、早期対策が得策といえます。10年以上かけて少しずつ贈与を続ければ、合計で数千万円規模の財産を非課税で移転することも可能です。

さらに、教育資金贈与や家族信託など他の制度を上手く併用すれば、相続税節税額をより大きくし、同時に将来の管理トラブルを抑える効果が期待できます。ぜひ本記事で紹介した5ステップを参考に、税理士や司法書士などの専門家と連携しながら、計画的で安心な生前贈与プランを実行してみてください。

よくある質問

  • 110万円は現金で手渡ししても良い?
    現金手渡しでも贈与は法的に有効です。ただし振込や受領書などの客観的証拠を残す方が立証しやすく、国税庁も証拠書類の保存を推奨しています。
  • 110万円以内でも贈与契約書は必要?
    法的義務ではありませんが、贈与契約書を作成しておくと税務調査で名義預金否認を防ぎやすく、確定日付を付与すれば証拠力が高まります。
  • 未成年の子や孫に贈与する場合の注意点は?
    通帳・印鑑を親権者ではなく受贈者本人が将来管理できるよう、成人後に名義変更や権限移譲を行いましょう。
  • 年内のいつまでに贈与すれば当年度扱い?
    贈与日は資金が受贈者口座に入金された日です。12月31日入金分までがその年の暦年贈与としてカウントされます。
  • 110万円を超えたらどうなる?
    超過額に対して贈与税が課税されます。翌年2月1日〜3月15日に受贈者が申告・納税してください(国税庁)。
  • 生前贈与加算3年→7年延長の影響は?
    2024年以降の贈与は段階的に最大7年まで相続財産へ加算されます。ただし死亡前4〜7年目の各年の贈与額から100万円ずつ控除(最大400万円)があります。
  • 名義預金と見なされないためのポイントは?
    受贈者が通帳・印鑑を管理し、資金を自由に使用している実態を作ること。贈与者の支配が残ると否認リスクが高まります。
  • 110万円以下でも申告した方が良い?
    義務ではありませんが、申告書を提出しておくと贈与の事実を裏付けられ、後日の税務調査対応が容易になります。
  • 教育資金・結婚資金一括贈与と併用できる?
    併用自体は可能ですが、同一支出への重複適用は不可。残高が相続財産に戻るリスクも考慮し、用途を明確に区分しましょう。
  • 家族信託と暦年贈与はどう組み合わせる?
    毎年贈与する現金以外の資産(不動産・株式など)は家族信託で管理一元化し、共有トラブルと認知症リスクを同時に回避する方法が有効です。

参考サイト

初心者のための用語集

  • 暦年贈与:1月1日から12月31日までの1年間を区切り、年間110万円以内なら贈与税が課税されない制度。
  • 基礎控除(110万円):暦年贈与で毎年非課税となる上限額。超えた部分にのみ贈与税がかかる。
  • 生前贈与加算:相続開始前3年(段階的に7年へ延長中)以内の贈与を相続財産に戻して課税するルール。
  • 名義預金:通帳名義は子や孫でも、実際の管理・原資が贈与者にあると相続財産とみなされる預金。
  • 贈与契約書:贈与者と受贈者が贈与の内容・金額・日付を合意したことを証明する書面。
  • 確定日付:公証役場などが書面に押す「この日に存在した」ことを証明する公的な日付印。
  • e-Tax:国税庁が提供するオンライン申告システム。贈与税や所得税をWeb上で申告できる。
  • 家族信託:家族を受託者にして不動産や株式を管理・承継させる民事信託の一種。
  • 受益権:信託財産から利益を受け取る権利。相続時の受益権承継も設計できる。
  • 債務控除:相続税計算で被相続人の負債(借入金など)を差し引ける制度。マンション建設時などに活用される。

編集後記

今回は、実際に暦年贈与を10年以上続けているAさん(68歳)のケースを取材しました。Aさんは都内で会社を経営してきましたが、退職を機に「将来の争族は避けたい」と考え、2015年から毎年110万円を長女と長男に現金振込しています。

当初は「贈与契約書は要らないのでは」と思っていたそうですが、2018年に同業の知人が名義預金を否認され、追徴課税を受けた事例を聞き考えを一変。顧問税理士と相談し、翌年からは確定日付付きの贈与契約書を必ず作成し、さらにe-Taxで「非課税申告」も提出する体制を整えました。

2022年にはAさん自身が軽度の認知症と診断され、将来的な口座管理に不安を抱いたため、司法書士とともに家族信託を設計。暦年贈与で移転した資金とは別に所有していた区分マンションを信託財産とし、長女を受託者、長男を信託監督人に設定しました。これにより賃料収入は子ども達で管理しつつ、Aさんの生活費を安定的に捻出できています。

2025年時点で累積贈与額は2,200万円。もし相続時に加算されたとしても4〜7年目分は100万円控除の対象となるため、税負担増は限定的です。何より「毎年家族で通帳を見せ合うことで、資金移転が目に見え、親子関係がむしろ良くなった」とAさんは語ります。

制度は改正が続きますが、早く・小さく・長く贈与を行う姿勢は今後も変わりません。Aさんの事例が、読者の皆さまの実践ステップを後押しするヒントになれば幸いです。

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松田 悠寿
㈱ビーシーアップ代表。宅建士・FP2級。人材採用・営業・Webマーケ・資産形成を支援し、採用コンサルやマネープラン相談も対応。株12年・FX7年のスイングトレーダー。ビジネス・投資・開運術を多角的に発信し、豊かな人生を後押しします。