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え?こんなに掛かるの?住宅ローン“諸費用”を総点検
月々返済だけでは済まない初期コストの全体像
住宅ローンというと、多くの方は「金利」や「月々の返済額」ばかりに目が行きがちです。しかし実際には、借入れ時に発生する「諸費用」が総支払額を大きく左右します。諸費用には主に下記のような項目が含まれ、合計すると物件価格の3~5%前後に及ぶことも珍しくありません。- 銀行に支払う事務手数料
- 保証料(あるいは金利上乗せ方式)
- 火災・地震保険料
- 登記関連費用(登録免許税・司法書士報酬など)
- 印紙税
- 仲介手数料(不動産業者に支払う手数料)
- 引越し費用や修繕積立基金など
諸費用平均はいくら? 全国調査データ(2024年〜2025年)
最新の調査(出典:2025年4月 ダイヤモンド不動産研究所)によると、首都圏の新築物件を3,500万円前後で購入するケースでは、以下のように諸費用だけで100万円〜150万円以上がかかる傾向があります。- 事務手数料:3.3万円〜66万円(借入額や銀行により変動)
- 保証料:0円〜約70万円程度
- 火災保険料(地震保険含む):15万〜40万円
- 登記費用(登録免許税・司法書士報酬):20万〜40万円
- 印紙税:2万円前後(借入額や契約書金額により変動)
- 仲介手数料:物件価格×3%+6万円(消費税別途)
代表的諸費用5つ&相場早見表
事務手数料(定率型/定額型)
住宅ローンにおける事務手数料は、大きく「定率型」と「定額型」の2種類に分かれます。- 定率型:借入金額に対して2.2%(税込)など一定の比率で計算される方式。 例)3,000万円借入 → 66万円(税込)の事務手数料
- 定額型:借入額に関わらず一定額で設定。 例)3.3万円、33万円など銀行ごとに大きな差がある
保証料(一括前払い/金利上乗せ)
住宅ローンには「保証人」をつける代わりに「保証会社と契約し、保証料を支払う」仕組みが一般的に導入されています。この保証料には支払い方法が2つあります。- 一括前払い:借入時に一度に支払うため、初期費用が高額になりやすいが、金利上乗せがなく月々の返済額を抑えられる。
- 金利上乗せ:初期費用を軽減できるが、返済期間が長引くと総支払額が大きくなる傾向がある。
団信追加保険料・火災保険・地震保険
団体信用生命保険(団信)は多くの住宅ローンで金利に含まれますが、ワイド団信やがん特約などを付ける場合、別途保険料が上乗せされる商品もあります。 さらに、火災保険・地震保険は購入・融資実行のタイミングで一括で契約し、保険料を前払いするケースが一般的です。 2024年10月から火災保険料が全国平均で9〜10%程度値上げされており、地域の水災リスクが高いエリアではさらに大幅な上昇が見込まれます(出典:損害保険料率算出機構 2024年改定)。印紙税・登録免許税・司法書士報酬
印紙税はローン契約書や売買契約書など、契約金額に応じて必要になる税金です。借入金額3,000万円~5,000万円の場合、2万円の印紙税がかかることが多いです(軽減措置期間中はさらに安くなる場合あり)。 登録免許税は、住宅ローンの抵当権設定や不動産取得の登記にかかる税金で、物件価格と借入額によって算出されます。また、司法書士報酬は登記手続きを司法書士に依頼する際の手数料で、合わせて数万円〜十数万円程度かかるのが一般的です。仲介手数料・引越し費用など“盲点コスト”
仲介手数料は不動産会社を通じて物件を購入する場合、売買価格×3%+6万円(税別)が上限とされます。物件価格が高いとその分手数料も高額になりがちです。 さらに、意外と見落としがちなのが引越し費用です。時期(繁忙期・オフシーズン)や物件の場所によって数万円〜十数万円かかることもあります。こうした“盲点コスト”も含めた総予算を組むことが大切です。事務手数料を下げる7つのコツ
ネット銀行“定額 33,000円”を活用
事務手数料を安く抑える代表例として、楽天銀行の定額型(33,000円)や、ソニー銀行の定額型(4.4万円)などが挙げられます。借入額が2,000万〜4,000万円程度と大きい場合、定率型2.2%だと数十万円の出費になってしまいますが、定額型を選ぶことで大幅に費用を削減できる可能性が高いです。金利引下げ交渉より手数料交渉が効くケース
「住宅ローン=金利の引下げ交渉が重要」というイメージがありますが、金利の優遇幅は各銀行でほぼ最大幅が決まっており、交渉により大きく変動させるのは難しいことが多いです。 一方、事務手数料や保証料は、キャンペーンや店舗独自の割引を利用したり、団体提携(勤務先・不動産会社など)を活用することで想像以上に下げられるケースがあります。特に地方銀行や信用金庫などでは、担当者と直接相談することで、事務手数料の一部が減免される事例も報告されています(2023年〜2024年の個人ブログ調査より)。キャンペーン/紹介プログラム徹底活用 ほか
銀行によっては、「紹介キャンペーン」を展開していることがあります。たとえば「家族や知人からの紹介で金利優遇プラス0.05%」や「事務手数料が1〜2万円割引になる」など、期間限定の特典が用意されている場合もあります。 また、住宅展示場の来場特典やハウスメーカーの提携ローンを活用すると、通常より低金利+手数料優遇が受けられるケースがあります。 フラット35を取り扱う金融機関でも、定額型の事務手数料を低く抑えるキャンペーンが不定期に実施されていますので、契約前に必ず最新情報を確認しておきましょう。保証料を“劇的ゼロ化”する or 最小化する方法
フラット35・一部ネット銀行は保証料不要
フラット35や住信SBIネット銀行、auじぶん銀行(一部商品)は「保証料が不要」な商品を扱っています。 ただし、保証料ゼロ=事務手数料が高めに設定されている場合が多く、例えば借入額3,000万円なら「2.2%=66万円」の事務手数料がかかるケースもあります。 一方、フラット35の定額型(4.4万円など)を選べば初期費用を大幅に抑えられますが、金利がやや高めになる場合もあるので注意が必要です。一括前払い vs 金利上乗せ──10年・35年総返済比較
保証料を「一括前払い」するか「金利上乗せ」で支払うかは、総返済額に大きな影響を与えます。 具体的には、借入3,500万円・返済期間35年・金利上乗せ0.4%のモデルケースで比較すると以下のような結果になります(出典:住宅金融支援機構シミュレーション 2025年版)。支払い方法 | 初期費用 | 金利 | 35年の総返済額 |
---|---|---|---|
一括前払い保証料 | 約60万円 | 例:年1.0% | 合計(返済額+60万円)=金利上乗せよりやや安いことが多い |
金利上乗せ | 0円 | 例:年1.0%+0.4%=年1.4% | 35年間返済すると一括前払いより高くなる |
借換えで保証料払い戻しを受ける裏ワザ
「外枠方式(一括前払い)で支払った保証料」は、借換えや全額繰上返済時に未経過期間分の保証料が返戻されます。 例えば、35年ローンを10年で借換えすると、残り25年分の保証料が一部戻ってくる仕組みです。ただし、保証会社の手数料(1万円ほど)や最低返戻額の設定などで、実際には思ったほど戻らないケースもあります。 また、金利上乗せ型で保証料を払っている場合は、原則として借換え時の返金がない点にも注意が必要です。支払い方式別“総コスト”シミュレーション
金利 0.4% 上乗せ vs 一括 60万円(3,500万/35年)
前述のように、借入3,500万円・35年返済で「金利上乗せ 0.4%」と「一括 60万円」の場合、長期返済では一括前払いの方が総支払額が安くなることが多いです。 ただし、短期間で売却や借換えを検討している人にとっては、一括で60万円を支払うよりも金利に上乗せした方が、手元資金を温存できるメリットがあります。 最終的には、「いつまで返済するか」「何年で借換えや売却をする可能性があるか」を考慮して選ぶことが大切です。固定 vs 変動 金利シナリオ 0.3%差でどう変わる?
住宅ローンを「固定金利」にするか「変動金利」にするかも、諸費用とセットで検討したいポイントです。 現在(2025年時点)、変動金利は0.3%台〜0.5%台が多く、固定金利(全期間固定)は1.0%〜1.5%程度が中心ですが、将来的に金利が上昇すると変動型は大きく負担が増えるリスクがあります。一方、固定金利は高めの金利をずっと支払い続けるため、当面金利が上がらなければ「総支払額」で変動より割高になる可能性があるわけです。 さらに、固定金利商品は「保証料込み」だったり、「定額型の手数料優遇」がある商品もあるため、諸費用の多寡やリスク許容度と合わせてトータルで判断する必要があります。手数料は「借換え後も残る」──将来設計まで含めた判断軸
定率型で数十万円払った事務手数料は、繰上返済しても戻ってこないことが多いです。 保証料のように一部返金がある制度とは異なり、「融資手数料型」のネット銀行商品などは借換え時に費用が回収できないため、将来借換えや売却の可能性が高い人は、できる限り手数料の負担を小さく抑えた金融機関を選ぶのが賢明です。節約成功&失敗事例──ここで差が付く!
成功例:ネット銀行活用で初期費用80万円→12万円に圧縮
ある共働き夫婦(30代・都内在住)の事例では、以下のような工夫により初期費用を約68万円カットできました。- ネット銀行で定額型事務手数料(33,000円)を選択
- 保証料不要のローンを活用(代わりに金利は少し高めだった)
- 火災保険は補償内容を最適化し、水災補償を外せるエリアだったため外すことで数万円削減
- 仲介手数料が割安の不動産仲介サービスを利用
失敗例:変動 0.3% に釣られ手数料 2.2%+保証料上乗せ
一方、金利だけに注目して契約した結果、諸費用が高額になったケースもあります。 例えば、変動金利0.3%という魅力的な数字に惹かれて契約したAさんは、- 借入額3,000万円×2.2%=66万円の事務手数料
- 保証料を金利上乗せで払う方式(初期費用は抑えられたが、トータルで見れば割高)
学び:金利と諸費用は必ず「総支払額」で比較する
以上の成功例・失敗例からも明らかなように、「諸費用まで含めて総支払額で比較する」ことが重要です。 とくにネット銀行の場合は、「保証料無料」や「定額手数料が安い」などのメリットがある一方で、金利やサービス内容がやや異なるため、複数社のシミュレーションを比較してみることが必要です。よくある Q&A──キャンセル料・一部繰上返済時の返戻金 etc.
Q1:本審査通過後にキャンセルすると費用は掛かる? A:契約(ローン契約書への署名捺印)前であればキャンセル料はほぼ発生しませんが、印紙代や不動産会社への支払いが一部発生する可能性があります。契約書にサインしてしまった後は銀行事務手数料や印紙税などが戻らないケースが多いので要確認。 Q2:一部繰上返済したとき、事務手数料や保証料は戻る? A:事務手数料は返金されないのが一般的です。一方、一括前払いした保証料は未経過期間分が戻ってくる場合があります。ただし最低返戻額の設定や保証会社手数料の控除があるため、必ず戻るわけではありません。 Q3:火災保険は高いが、どのくらい削減できる? A:最近は水災リスクの高まりを受け、火災保険料が急上昇しています。しかし物件やエリアによっては水災補償を外す、免責金額を上げるなどで保険料が下がります。ただしリスクと照らし合わせて慎重に検討しましょう。 Q4:ネット銀行にデメリットは? A:店舗対応や対面相談が少ない、審査が厳格などの特徴があります。保証料無料だが事務手数料が高い場合もあるため、金利・手数料・サポート体制を総合的に見極める必要があります。まとめ ── “諸費用は交渉と比較で半額も可能”を忘れずに
住宅ローンを選ぶ際には、まず金利が目に留まるのは当然ですが、実は「事務手数料・保証料・火災保険料・登記費用」などの諸費用こそが、総支払額に大きく影響します。銀行ごとの手数料形態や保証料の有無、キャンペーン活用の有無で「数十万円」単位の差が出ることも珍しくありません。 また、支払い方式(保証料一括前払い vs 金利上乗せ)や将来の借換え計画などによって最適解は変わります。短期的に見れば初期費用を抑える「金利上乗せ型」が有利に思えても、長期返済では一括前払いのほうが総額が安くなる可能性もあります。 最終的には、複数の銀行やネット銀行、フラット35などのシミュレーションを比較し、将来設計に照らし合わせることが大切です。諸費用は交渉・比較次第で「半額近くまで下がる」ケースもあるため、決して妥協せず、粘り強く情報収集と交渉を進めていきましょう。参考サイト
- 住宅ローンの諸費用って何?どれくらいかかる?節約する方法は?(リクルート) 住宅ローンの諸費用や節約方法がとてもわかりやすくまとめられています。
- 住宅ローンの諸費用・手数料はいくらかかる?内訳についても解説!(住信SBIネット銀行) 保証料や事務手数料の節約ポイントを具体的に知りたい方におすすめです。
- 住宅ローンの保証料とは?支払い方法や不要な場合について解説(住信SBIネット銀行) 保証料の仕組みや不要な場合の選び方を詳しく解説しています。
- 住宅ローンの諸費用の内訳と節約ポイント(フレンド不動産) 諸費用の内訳や金融機関ごとの違いを知りたい方にぴったりです。
初心者のための用語集
- 事務手数料:融資を申し込む際に金融機関へ支払う手数料。借入額×〇%の「定率型」や金額固定の「定額型」がある。
- 定率型:借入金額に対して一定の割合(例:2.2%)で手数料が決まる方式。
- 定額型:借入金額にかかわらず固定の手数料(例:33,000円)がかかる方式。
- 保証料:保証会社を利用する際の料金。借入時に「一括前払い」または「金利上乗せ型」で支払う。
- 一括前払い:保証料を借入時にまとめて支払う方法。
- 金利上乗せ型:保証料相当分を金利に上乗せして毎月返済する方法。
- 抵当権設定登記:金融機関が住宅を担保に取るために行う登記手続き。
- 所有権保存登記:新築物件などの所有権を公的に証明するために行う登記手続き。
- 印紙税:契約書に貼る印紙にかかる税金。契約金額に応じて金額が変動する。
- 仲介手数料:不動産会社が売買を仲介した際に支払う報酬。物件価格×3%+6万円が上限。
- 団信(団体信用生命保険):ローン返済中に借主が死亡・高度障害などに陥った際、残債を保険で返済する制度。
- Web完結:オンラインで必要書類の提出から契約までを完了できる手続き方式。
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今回は住宅ローン返済表についての基本と活用法をご紹介しました。私自身、初めて住宅ローンを組んだ時、返済表をじっくり見ることで将来の家計計画が明確になったことを思い出します。特に元金と利息の内訳を理解することで、繰上返済のタイミングを検討するきっかけになりました。実は先日、友人が新居購入のため銀行巡りをしていたのですが、返済表の見方が分からずに困っていたそうです。多くの方が同じように悩んでいるのではないでしょうか。返済表という数字の羅列に見えるものが、実はあなたの家計を守る大切な道しるべになるのです。この記事が住宅購入という人生の大きな決断の一助になれば幸いです。次回は住宅ローン控除の申請方法について詳しく解説する予定ですので、引き続きご覧いただければと思います。皆さんの素敵な住まいづくりを心より応援しています。◇無料相談のご案内◇
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