ファイナンシャルプランナー(FP)2級試験では、「ライフプランニングと資金計画」が非常に重要な分野です。個人の人生設計に不可欠な社会保険や公的年金、教育資金、住宅ローンなど、日常生活に直結する論点が多く含まれています。幅広い制度や計算式を確実に押さえることが求められるため、苦手意識を持つ受験者も少なくありません。しかし、基本を着実に身につければ得点源にもなり得る分野です。本記事では、FP2級合格を目指す方へ向けて「ライフプランニングと資金計画」を攻略するための学習ポイントを体系的に紹介します。
Contents
- 1 全体像を把握する:試験で問われる主な範囲
- 2 重要論点1:社会保険の基礎を押さえる
- 3 重要論点2:公的年金の仕組みと計算式
- 4 重要論点3:教育資金と税制優遇
- 5 重要論点4:住宅ローンと返済方式
- 6 重要論点5:ライフイベント表とキャッシュフロー表
- 7 過去問の活用法:頻出パターンを把握する
- 8 初心者向けアドバイス:最初に抑えるべき論点と陥りがちなミス
- 9 効率的な学習コツ:インプット×アウトプットのバランス
- 10 まとめ:学習の指針と次のステップ
- 11 実践編
- 12 1. ライフプランニングと資金計画とは?
- 13 2. 公的年金や社会保険のしくみ
- 14 3. 生命保険や年金保険の基礎
- 15 4. 教育資金・住宅資金など将来に備えた資金計画
- 16 5. ライフプランニングに使える各種計算例(係数計算など)
- 17 6. 過去問から見る頻出テーマ
- 18 7. 試験対策・勉強法の具体例
- 19 まとめと直前アドバイス
- 20 注意喚起・免責事項
全体像を把握する:試験で問われる主な範囲
「ライフプランニングと資金計画」では、大きく以下のテーマが試験範囲となります。すべて連動している部分があるため、個別に暗記するだけではなく相互関係も意識しながら学びましょう。
- ファイナンシャルプランナーの役割・倫理
- 社会保険(健康保険、介護保険、雇用保険、労災保険など)
- 公的年金(国民年金、厚生年金、年金額計算式、在職老齢年金、繰上げ・繰下げなど)
- 企業年金・個人年金(企業型DC・iDeCoなど)
- 教育資金計画(児童手当、奨学金、教育ローン、贈与税の非課税制度など)
- 住宅資金計画(住宅ローン、フラット35、元利均等・元金均等返済など)
- ライフイベント表・キャッシュフロー表(将来の収支予測や資金不足の把握など)
- ローン・カード(カードローン、リボ払い、割賦販売法など)
- 中小法人の資金計画(中小事業主の資金繰りや財務指標の活用など)
なかでも「社会保険」「公的年金」「住宅資金」「ライフイベント表」は特に頻出で、これらの計算や用語を確実に理解しておくことが必要です。
重要論点1:社会保険の基礎を押さえる
社会保険は健康保険、介護保険、雇用保険、労災保険、厚生年金など多岐にわたります。以下に学習すべき主なポイントを示します。
健康保険
- 被用者保険(協会けんぽ、組合健保)の被保険者要件:週の所定労働時間や雇用期間など
- 保険料率と事業主と被保険者の折半負担
- 出産育児に関する給付(出産育児一時金、出産手当金)
- 高額療養費制度
介護保険
- 第1号被保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40歳以上65歳未満)の要件
- 保険料の納め方:健康保険料・国民健康保険料と合算など
- 要介護認定の仕組みと主な介護サービス
雇用保険・労災保険
- 失業給付(求職者給付)の受給要件と受給期間
- 育児休業給付金や介護休業給付金
- 労災保険の保険給付内容(療養・休業補償など)
試験では「被保険者資格」「保険料算定方法」「給付条件」の理解を求められます。選択肢の中で「誰が対象になるか」「どのような給付があるか」を正確に判別できるようにしてください。
重要論点2:公的年金の仕組みと計算式
公的年金は試験でも大きな比重を占めるテーマです。国民年金と厚生年金の両方を正確に押さえましょう。
国民年金
- 加入対象:日本国内在住の20歳以上60歳未満の全員
- 保険料:定額制(付加年金の仕組みもあり)
- 老齢基礎年金の満額:年額780,900円(2023年度価額、保険料納付済期間480月で計算)
- 年金額の簡易式:
老齢基礎年金額(年)= 780,900円 ×(保険料納付済月数 ÷ 480) - 繰上げ・繰下げ受給:1ヶ月あたり0.4%の増減率で調整
厚生年金
- 保険料率:現行18.3%(労使折半)
- 報酬比例部分:平均標準報酬月額 × 生年月日別の給付乗率 × 加入期間月数
- 在職老齢年金:収入(賃金+年金)により支給停止額が生じる仕組み。支給停止基準額47万円(60〜64歳)が引き上げられつつあり、今後の改正にも注意
年金制度は改正が続いており、繰下げ受給や在職老齢年金の支給停止基準額は頻繁に見直しが行われています。必ず最新情報を押さえましょう。計算問題では「どちらの年金の計算式か」を間違えないよう、問題文を丁寧に読むことが大切です。
重要論点3:教育資金と税制優遇
子どもの教育費は人生の三大支出(住宅・教育・老後)のひとつに挙げられるほど負担が大きいため、FP2級でもたびたび問われます。
児童手当
- 対象年齢:0歳から中学校修了前(15歳到達年度末)
- 支給額:3歳未満は月額15,000円など、年齢・子ども数・所得制限によって異なる
奨学金制度
- 給付型奨学金:返還不要
- 貸与型奨学金:返還義務あり(金利有無も含む)
教育資金贈与の非課税制度
- 祖父母など直系尊属から受け取る教育資金贈与は1,500万円まで非課税
- 対象となる費用:入学金、授業料、給食費、修学旅行費など
特に贈与税の非課税制度は細かい適用要件を問われることがありますので、制度の適用範囲や限度額を正確に把握しましょう。計算問題も出題されるため、児童手当や奨学金の返済総額などを算出できるようになっておくと安心です。
重要論点4:住宅ローンと返済方式
マイホーム購入にかかわる住宅資金は、FP2級の学科・実技ともに頻出項目です。返済方法や税制優遇制度は要チェックです。
フラット35
- 長期固定金利型住宅ローン
- 借入可能額:住宅価格の100%(諸条件あり)
- 団体信用生命保険は任意加入などの特徴
元利均等返済と元金均等返済
- 元利均等返済:毎回の返済額(元金+利息)が一定
- 元金均等返済:毎回返済する元金が一定で、最初の返済額が大きいが総返済額は低め
- 月利計算例:
毎月の利息= 直前のローン残高 × 月利
住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)
- 控除率:借入金残高の1%(年度による特別措置あり)
- 控除期間:13年間または10年間など、物件要件や時期によって異なる
- 適用要件:住宅の床面積、所得制限、居住開始時期など
住宅ローン関連は計算問題が毎回出題されると言っても過言ではありません。とくに返済方式(元利均等・元金均等)と住宅ローン減税の控除額計算は落とせないポイントです。
重要論点5:ライフイベント表とキャッシュフロー表
ライフプランニングを具体化するうえで欠かせないのが「ライフイベント表」と「キャッシュフロー表」です。実技試験では、これらの作成や数値の読み取りに関する問題が頻繁に出題されます。
ライフイベント表
- 家族の年齢、進学、住宅購入、退職などのイベントを年次で整理
- 各年に発生する大きな支出・収入を一覧にする
- 人生設計の全体像を把握するためのツール
キャッシュフロー表
- 将来の収入と支出を見積もり、貯蓄残高の推移を年単位で確認
- 「住宅資金」「教育資金」「老後資金」など大きな支出の時期を可視化
- 不足が見込まれる場合には、ローンや保険、資産運用などで対策を検討
実技試験では、試算したキャッシュフロー表から「不足額はいくらか」「何年後に赤字になるか」を問われたり、特定年度の貯蓄残高を求められたりします。計算手順を正確に行い、必要に応じて係数(複利現価係数や複利終価係数)を使いこなせるよう訓練しましょう。
過去問の活用法:頻出パターンを把握する
FP2級の「ライフプランニングと資金計画」は毎回似たような出題形式が多く、過去問演習が極めて有効です。以下の手順をおすすめします。
- まずはテキストで基礎を固める(用語定義、計算式の理解)
- 過去問を解き、得点率が低い論点を洗い出す
- 苦手分野を再学習し、再度過去問を解く
- 計算問題は必ず途中式をメモしながら解く(ケアレスミス防止)
- 過去3〜5年分(6回〜10回分)の問題を通しで解き、本番環境を想定
特に計算問題で使う数字はその都度変わっても、出題パターン自体はあまり変わりません。「定番の計算プロセス」を確立しておけば、どの数値が来ても対応しやすくなります。
初心者向けアドバイス:最初に抑えるべき論点と陥りがちなミス
ライフプランニングと資金計画をはじめて学ぶときに、初心者がつまずきやすいポイントを整理します。
1. 計算式の混同
- 老齢基礎年金と老齢厚生年金の計算式の取り違え
- 元利均等返済と元金均等返済の勘違い
- 複利現価係数と複利終価係数の逆使用
2. 制度の適用要件の覚え間違い
- 第1号被保険者と第2号被保険者、被扶養者の範囲
- 児童手当の所得制限や支給額表
- 教育資金贈与と住宅取得等資金贈与の非課税限度額の混同
3. 最新改正点の見落とし
- 在職老齢年金の支給停止基準額引き上げ
- 介護保険の要介護認定基準の微調整など
- 確定拠出年金(iDeCo)の加入可能年齢の変更
これらのミスを防ぐには、制度ごとの「目的・加入者・保険料・給付内容」を表やマインドマップで整理し、必要な計算式は公式と計算手順をセットで身につけることが大切です。
効率的な学習コツ:インプット×アウトプットのバランス
独学では、テキストを読み込むだけで満足してしまいがちですが、合格を確実にするためには「アウトプットの練習」も欠かせません。
- テキストを読む(インプット)
まずは基本用語と全体像を把握する。暗記事項は小分けにし、要点を抑える。 - 例題・過去問を解く(アウトプット)
基礎を理解したらすぐに問題を解き、理解度を確認する。ミスが多い箇所はテキストに戻って復習する。 - 問題解説を音読・書き写し(再インプット)
誤答の原因や正解に至る計算プロセスを改めて整理。余裕があれば何度も声に出す。 - 模擬試験を実施(最終アウトプット)
時間配分の練習や本番慣れを目的に、過去問や予想問題を本番同様に解く。
「インプット3割:アウトプット7割」を目安にすることで、定着率が格段に向上し、本番での得点力を大きく伸ばせます。
まとめ:学習の指針と次のステップ
FP2級の「ライフプランニングと資金計画」は、社会保険、公的年金、住宅資金、教育資金、そしてライフイベント表やキャッシュフロー表といった論点を広く扱いますが、ひとつひとつの知識を正しく習得すれば得点源となる分野です。初心者の方は、次の流れを心がけてください。
- まずテキストで全体像と重要用語を理解する
- 過去問や問題集を使って計算問題、制度要件を繰り返し練習
- ミスした問題は公式や適用要件を再確認し、再度解き直す
- 最新の法改正情報も常にチェックする
- 模擬試験を解き、時間配分や本番環境への対応力を養う
このプロセスを着実に回せば、「ライフプランニングと資金計画」が苦手な方でも必ず合格レベルに到達できます。学習を続けるうちに、保険や年金などの知識が日常生活にも大いに役立つことを実感できるはずです。
最後まで諦めず、継続的に学習を進めてください。FP2級の合格を心より応援しています!
せっかくなので、それぞれの論点をもう少し詳しく見ていきましょう
ここからはより実践編です
実践編
ファイナンシャルプランナー2級(以下、FP2級)の「ライフプランニングと資金計画」は、試験合格に直結しやすい重要分野です。ここをしっかり理解すれば、公的年金や社会保険、教育資金・住宅資金など、日常生活や将来設計にも役立つ知識を身につけられます。
本記事では、FP2級試験におけるライフプランニングと資金計画の広範囲な内容を体系的にまとめ、勉強法や頻出論点・試験対策まで網羅的にご紹介します。
この記事を読むと、以下のようなメリットが得られます。
- 重要項目が一目でわかる:公的年金・社会保険などの押さえるべきポイントを整理
- 計算問題に強くなる:年金計算や係数(終価係数、現価係数など)の使い方を把握
- 過去問対策がはかどる:頻出テーマから傾向を掴み、効率的に得点力アップ
- 最新情報にも注意:法改正や試験範囲の更新にも対応する視点を提供
- 実生活でも役立つ:ライフイベント(教育資金・住宅購入・老後資金)の具体的な備え方を学べる
ぜひ、本記事を“教科書”のように活用して、FP2級合格への最短ルートを歩んでください。
1. ライフプランニングと資金計画とは?
1-1. ライフプランニングの意義
ライフプランニングとは、人生の様々なイベント(結婚、出産、住宅取得、子どもの進学、老後など)を見据えて、必要となる資金を計画的に準備することです。人生100年時代と言われる現代、ライフプランニングの知識は今後さらに重要となります。
- ライフイベント例
- 結婚資金
- 住宅購入資金
- 子どもの教育資金
- セカンドライフ(老後)資金
- 介護にかかる費用 など
これらのイベントで必要なお金を事前に把握し、長期的に計画・準備することで、経済的な不安を軽減して安心した生活を送れるようになるのです。
1-2. 資金計画の基本プロセス
資金計画を立てる基本的なプロセスは、以下のステップに分けられます。
- 現状把握:家計の収支や貯蓄状況、資産・負債のバランスを確認
- 目標設定:ライフイベントごとに必要資金を具体的に設定(いつまでにいくら)
- シミュレーション:現在と将来の収支や資産残高を試算し、必要に応じて修正
- 実行・管理:家計改善や保険・金融商品による資金準備、定期的な見直し
FP2級では、「現在のキャッシュフロー(収入・支出)やバランスシート(資産・負債)」を把握しつつ、ライフプラン実現のための具体的な金額の試算を行うことが重要です。
2. 公的年金や社会保険のしくみ
2-1. 公的年金制度の概要
日本の公的年金制度は、国民年金(基礎年金)と厚生年金が中心です。会社員や公務員は厚生年金に加入し、自営業者などは国民年金のみに加入します。
- 国民年金(老齢基礎年金)
- 20歳以上60歳未満の全国民が原則加入
- 受給開始年齢は原則65歳
- 保険料は定額(年度ごとに金額が改定される)
- 厚生年金(老齢厚生年金)
- 会社員や公務員が加入
- 保険料は給与や賞与に応じて計算され、事業主と折半
- 報酬比例部分があり、加入期間・平均報酬月額などで年金額が変動
ポイント:繰上げ受給・繰下げ受給
- 60歳~65歳の間で年金を繰上げ受給すると、1カ月ごとに0.5%ずつ減額される
- 66~75歳の間で繰下げ受給すると、1カ月ごとに0.7%ずつ増額される
計算問題でもよく登場するので、「繰上げ・繰下げの率」や「受給開始を何歳にするか」をしっかり押さえましょう。
2-2. 社会保険のしくみ
社会保険には、主に以下のものがあります。
- 健康保険
- 会社員や公務員は勤務先が加入する健康保険組合、または協会けんぽ
- 病気・ケガ・出産に対して医療費を負担軽減
- 高額療養費制度:1ヶ月の医療費が高額になったとき自己負担額が一定上限で抑えられる
- 介護保険
- 40歳以上の国民が加入
- 要介護認定を受けた場合に介護サービスの給付が受けられる
- 65歳以上が第1号被保険者、40~64歳が第2号被保険者
- 雇用保険
- 失業給付・育児休業給付・介護休業給付などの給付が受けられる
- 育児休業給付金は「休業開始時賃金日額の67%(一定期間後50%)」など、計算問題も要注意
ポイント:適用拡大・料率改定のチェック
社会保険関連は法改正や料率改定が頻繁に行われます。毎年の保険料率変更や**適用拡大(短時間労働者への社会保険適用など)**に関する内容も試験に出やすいので、テキストや最新情報を確認しましょう。
3. 生命保険や年金保険の基礎
3-1. 生命保険の種類
ライフプランニングでは、リスク管理も重要です。家計を守るための保険商品として、生命保険には主に以下があります。
- 定期保険:一定の保険期間のみ死亡保障を確保(掛け捨て型)
- 終身保険:一生涯の死亡保障(貯蓄性もある)
- 養老保険:死亡保障と満期保険金を兼ね備えた保険
- 収入保障保険:被保険者が死亡した場合、一定期間・一定額の年金が支払われる
それぞれの特徴や保険料の違いを把握しておくと、家族構成や収入に合わせた保険設計を提案できるようになります。
3-2. 個人年金保険と企業年金
老後資金を補うために活用されるのが個人年金保険です。保険会社に保険料を積み立て、将来年金として受け取る仕組み。
また、会社員の場合は、企業年金(確定給付企業年金、確定拠出年金など)があるケースも。企業年金があるかないかで老後の受給額が大きく変わるため、制度内容をしっかり理解しましょう。
- 確定給付企業年金(DB):将来受け取る年金額があらかじめ決まっている
- 確定拠出年金(DC):拠出時点での掛金が決まり、運用結果次第で将来受取額が変わる
4. 教育資金・住宅資金など将来に備えた資金計画
4-1. 教育資金
子どもの進学に必要な学費は公立・私立で大きく異なります。試験では、「平均費用はいくらか」「高校無償化制度や奨学金制度」などがよく出題されます。
- 学資保険:子どもの教育資金を準備する代表的な手段
- 奨学金制度:日本学生支援機構(JASSO)の給付型・貸与型など
- 高校無償化(就学支援金制度):世帯年収に応じて支給対象や金額が変動
学習ポイント
- 公立と私立の学費比較(小・中・高・大学)
- 奨学金の種類と返済方式(第一種=無利子、第二種=有利子)
- 受験費用・生活費も含めたトータルの教育費
4-2. 住宅資金
住宅は人生最大の買い物とも言われます。住宅ローン、頭金、諸費用など資金計画が非常に重要です。
- 住宅ローンのタイプ
- 変動金利型・固定金利型(全期間固定/固定期間選択)
- フラット35(長期固定金利)
- 財形住宅融資 など
- 住宅ローン減税
- 一定要件を満たすと、年末ローン残高の一定割合を所得税などから控除
- 法改正により、期間や控除率、上限額などが変わるため注意
- 頭金・諸費用
- 頭金をどのくらい入れるかで将来返済額が大きく変動
- 諸費用(登記費用、ローン手数料、不動産取得税など)も忘れずに
4-3. 老後資金
人生100年時代で特に重要視されるのが老後資金です。公的年金だけでは不足するケースが多く、私的年金や資産運用による備えが必要になります。
- 公的年金の受給額シミュレーション:ねんきん定期便などを活用
- iDeCo(個人型確定拠出年金):掛金が全額所得控除、運用益非課税などの税制優遇
- つみたてNISAなど:長期投資で老後資金を形成する方法
5. ライフプランニングに使える各種計算例(係数計算など)
5-1. 6つの係数
FP2級では、将来価値や現在価値を求めるための係数を用いた計算問題が頻出です。代表的な6つを覚えましょう。
- 終価係数(FVIF):現在の元本を複利運用した将来価値を求める
- 現価係数(PVIF):将来のある金額を現在価値に割り戻す
- 年金終価係数(FVIFA):毎年一定額を積み立てた場合の将来価値
- 減債基金係数(SFF):目標額を貯めるために毎年いくら積み立てれば良いか
- 年金現価係数(PVIFA):一定期間、一定額を受け取るために必要な元本
- 資本回収係数(CAP):ある元本を一定期間で取り崩した場合、毎年いくら受け取れるか
例題:年金終価係数
毎年60万円を年利3%で10年間積み立てた場合、10年後はいくらになるか?
- 年金終価係数(3%、10年)=約11.464
- 答:60万円 × 11.464 ≈ 687.84万円
5-2. キャッシュフロー表とバランスシート
- キャッシュフロー表:年ごとの収入・支出・貯蓄額などを一覧で示す
- バランスシート:ある時点での資産・負債と純資産を整理する
試験では、「キャッシュフロー表を見て不足額を求める問題」「バランスシートから自己資本比率を計算する問題」などが出題される場合があります。流れを押さえておくと、実技試験で点が取りやすくなります。
6. 過去問から見る頻出テーマ
6-1. 公的年金制度
「老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期」「繰上げ・繰下げ受給の減額・増額率」「在職老齢年金の仕組み」などは、例年必ずといってよいほど出題されます。計算問題の精度が問われることもしばしばなので、条文や公式を正確に暗記しましょう。
6-2. 社会保険の給付内容
- 健康保険の傷病手当金や出産手当金・出産育児一時金
- 介護保険の要支援・要介護認定区分とサービス内容
- 雇用保険の失業給付や育児休業給付金など
社会保険の給付額や支給要件は論点が多いため、過去問で頻繁に登場する給付を中心に学習すると効率的です。
6-3. ライフイベント資金
教育費や住宅取得費、老後資金などの具体的な試算問題は頻出です。「学資保険の特徴」「住宅ローン減税の計算例」「iDeCoの拠出限度額・税制優遇」など、数字や仕組みを正確に押さえておきましょう。
6-4. FP業務と関連法規
FPが守るべき倫理や行為規範、金融商品取引法との関係なども、一定の割合で出題されます。特に「顧客情報の守秘義務」や「代理・代行行為」に関する内容などは暗記事項として覚えておきましょう。
7. 試験対策・勉強法の具体例
7-1. 学習スケジュールの立て方
- 1ヶ月前~2週間前
- テキストを通読し、主要論点を把握
- 公的年金・社会保険・計算問題など重点分野を中心に理解を深める
- 2週間前~1週間前
- 過去問や模擬問題を繰り返し解く
- 間違えた論点をノートや付箋にまとめ、集中的に復習
- 法改正情報や数値の変更点も最終チェック
- 直前1週間
- 暗記事項(年金の受給要件、給付率、社会保険料率など)を総仕上げ
- 実技試験対策として、記述式・計算式の練習を徹底
7-2. 過去問の使い方
FP2級試験では、過去問の類似問題や少しアレンジした問題が出ることが多いです。
- 3年分(6回分)程度は最低でも繰り返し解く
- 過去問で点数が伸びない部分をテキストに立ち戻り理解を深める
- 最新の法改正や数値が反映されている問題集やサイトを利用する
7-3. 計算問題に慣れる
ライフプランニングと資金計画では、年金額試算や係数計算など、計算問題が合否を分けるケースも多いです。
- 電卓操作をスムーズにする(割り算や掛け算の順序に注意)
- 計算式を紙に書いて、ケアレスミスを防ぐ
- 1問あたりに使う時間を意識(本番では時間制限があるため)
7-4. 実技試験の攻略
実技試験は、学科試験の知識を活用した総合問題が多いです。
- 協会実施(資産設計提案業務):キャッシュフロー表やリスク管理など総合的に出題
- きんざい実施(個人資産相談業務など):保険や住宅ローン、税金計算など実務に近い内容
実技は事例形式のため、「問題文の設定(家族構成、収入、資産内容)を理解→必要な計算や法制度を適用→アドバイスを導く」という流れを練習しましょう。
まとめと直前アドバイス
ここまで、FP2級のライフプランニングと資金計画に関する主要トピックを網羅的に解説してきました。最重要ポイントを振り返ると:
- 公的年金・社会保険は確実に押さえる
- 老齢年金の受給開始年齢や繰上げ・繰下げ率、傷病手当金・出産手当金などの給付額
- 計算問題(係数、年金額、保険料計算)に慣れる
- 終価係数・現価係数など6つの係数、在職老齢年金や雇用保険給付の計算を演習
- 教育資金・住宅資金・老後資金の備え方
- 学資保険、奨学金制度、住宅ローン減税、iDeCoなど資金準備の具体策
- 法改正・最新料率の確認
- 社会保険料の改定、年金制度の見直し、住宅ローン減税の要件などは変更が頻繁
- 過去問を中心に“合格点突破”を目指す勉強法
- 同じ問題を何度も解く、解説をよく読む、苦手論点を重点復習
試験直前は、暗記事項の総仕上げと計算問題の確認を中心に、焦らず落ち着いて学習を進めてください。過去問を繰り返すことで、問題形式にも慣れ、本番でも実力を発揮しやすくなります。
注意喚起・免責事項
- 本記事は2025年時点の情報をもとに作成しています。税制や法制度、社会保険料率などは改正される可能性があるため、最新の試験範囲や公式情報を必ずご確認ください。
- 本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の個人状況に対する具体的なアドバイスではありません。実際のライフプランや資産設計は、ファイナンシャルプランナーや専門家にご相談のうえ、最新の法令に基づいてご検討ください。
以上を踏まえ、本記事の内容を活用して「ライフプランニングと資金計画」の学習をスムーズに進め、ぜひFP2級試験合格を勝ち取ってください。試験合格後も、今回身につけた知識は、自身や家族の将来設計に大いに役立つはずです。応援しています!