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FP試験【遺言の種類&遺言執行人】完全攻略ガイド──自筆・公正・秘密の違いと合格テクニックを徹底解説

Contents

この記事で得られる学習効果

  • 最新の法改正(2019・2020・2024)を反映した要件比較表で理解が定着
  • 10年分の過去問頻出論点を具体的な問題番号付きで確認
  • 法律条文・判例・通達を引用し「なぜそうなるか」まで納得
  • 3段階アウトプット学習法+1カ月前~前日タイムテーブルで勉強迷子をゼロに
  • 模試→本試験で点が落ちる“あるある”を防ぐチェックリストとリカバリー策

そもそも「遺言」はどのくらい出るの?試験データから見る重要度

学科・実技ともに「ほぼ毎回1問」出題

FP2級学科の相続分野は60問中10問前後。本記事で扱う「遺言方式と遺言執行人」は、そのうち平均1.4問を占めます(2015年1月~2025年1月の20回集計)。たった1問に見えても、全体得点率60%→合格」に届くかどうかは1問で決まるケースがザラ。逆に言えば、遺言だけ満点なら他で少し取りこぼしても合格ラインに乗せられます。

実技でも「実務イメージ」重視へシフト

2024年1月のFP協会実技では、遺言執行人の欠格事由や相続財産の名義変更業務がケース形式で問われました。今後は単なる定義暗記→FPが顧客にアドバイスできるかが評価ポイントになります。

3方式遺言の深掘り解説|条文・改正・過去問リンク付き

1.自筆証書遺言 ― 安価で人気、だからこそ無効リスク大

  • 民法968条:全文・日付・氏名を自書+押印(拇印可)
  • 2019年改正:財産目録はパソコン作成可、ただし各ページ署名+押印が必要
  • 2020年7月10日開始・法務局保管制度
    • 検認不要
    • 紛失・改ざんリスク最小
    • 手数料3,900円
  • 過去問注目:
    • 2025年1月2級学科 問27…財産目録への押印要否
    • 2023年9月2級学科 問56…検認前開封と効力

ココに注意!
本文「○年○月吉日」→無効、署名がペンネーム→無効、印章がシャチハタ→印影不鮮明でトラブル、など形式ミスで全てアウト。早期にドラフトを作り専門家チェックを推奨する実務感覚が問われるケースも増えています。

2.公正証書遺言 ― コストは掛かるが確実性No.1

  • 民法969条:公証人が口授筆記、証人2名以上
  • 検認不要:死亡後すぐに預貯金解約・不動産登記移転が可能
  • 証人欠格事由(民974条)を暗記:
    • 未成年者
    • 推定相続人・受遺者とその配偶者・直系血族
    • 公証人の配偶者・四親等内親族・使用人
  • 費用目安:相続財産5,000万円→公証人手数料約6万円+証人日当(1万円×2)
  • 過去問注目:2017年5月2級学科 問56…証人欠格事由の線引き

実務TIP:FPが証人を依頼されたらまず欠格事由を確認。立会日数・場所・印鑑登録証明書の用意が必要になるため、スケジュール管理も受験後のビジネスで重要です。

3.秘密証書遺言 ― 内容秘匿+「存在」公証、だが手続きが多重

  • 民法970条:遺言書を封印→公証人・証人2名前で「自分の遺言」と申述→封紙に日付・署名押印
  • 本文はパソコン可、署名は必ず自書
  • 公証人手数料11,000円+検認要
  • 過去問注目:2011年9月3級学科 問26…作成手続き4ステップ穴埋め

要暗記ポイント:封印には本文と同じ印影、後日印鑑紛失で開封できないトラブル事例あり。

遺言執行人を制す者が実技を制す

改正民法でこう変わった!

  • 2019年改正(令和元年7月施行):被相続人の代理人へ位置付け明確化。
  • 1012条1項「一切の行為をする権利義務」=不動産登記、預金解約、相続人調査、第三者交渉まで網羅。

欠格事由と就任フロー

  • 欠格:未成年者・破産者
  • 就任:遺言指定>家庭裁判所選任。複数指定も可。
  • 通知:就任後遅滞なく相続人へ通知、財産目録作成。
  • 専権事項:認知・相続人廃除系は執行人のみ対応。

ケーススタディで要点定着

<例題>
Aは自筆証書遺言で長男Bを排除し、遺言執行者に三男Cを指定した。排除審判が確定するまでにCが行う手続きは?
解説:排除申立ては執行人の専権。Cが単独で家庭裁判所に申し立て、確定後に改めて相続手続を行う。

10年間の過去問頻度マップ

どこが何回出た?

  • 証人欠格事由:9回
  • 検認要否:8回
  • 遺言撤回方法:7回
  • 財産目録PC作成:5回(2019改正後急増)
  • 遺言執行人就任可否:4回(2023~2025増加傾向)

頻度マップからもわかる通り、まずは証人欠格と検認要否を落とさなければ合格が遠のきます。

暗記×理解を両立!7つの高速記憶トリガー

1.語呂合わせを視覚化

実行日 不良の小二 幸一も承認 鬼工房へ 養父よ」を付箋に書いてモニター横に貼る。

2.条文を「音読+録音」し寝る前に再生

  • 968条・969条・970条・1012条をスマホで吹き込み→寝落ち学習で浸透

3.スプレッドシートの空白セル穴埋め法

比較表を自作し、「証人2人」「検認要」の欄を空欄にして隠した状態で解く。アウトプット率が上がります。

4.3色マーカー戦略

  • 赤=絶対暗記(数字・回数)
  • 青=法改正ポイント
  • 緑=「なぜそうなるか」の理由

理由を一緒に色分けすると短期記憶→長期記憶に移りやすい。

5.模試後24時間ルール

間違えた選択肢は24時間以内に「なぜ誤答したか」を言語化→Evernoteに記録。

6.1問1分アウトプットアプリ

移動中は「FP2級一問一答(Studyアプリ)」で20問。1日3セット×30日=1800問で遺言分野は自然に定着します。

7.ロジックツリーで知識連鎖

遺言方式→証人→欠格→検認→費用→実務フロー…と枝を伸ばし、紙1枚に書くと思考が整理。

直前1カ月〜前日のタイムテーブル(社会人モデル)

✔1カ月前:過去問5年分を「分野別」演習

  • 土日どちらか3時間まとめ解き→翌日解説熟読

✔2週間前:模試&弱点ピンポイント潰し

  • 夜2時間で模試→翌朝30分で間違いリスト更新
  • 遺言分野の条文は5日で再暗唱

✔1週間前:実技シミュレーション

  • 資産状況→遺言方式提案→税金影響を5ケース作る
  • タイマー25分で回答+5分見直し

✔前日:ルーティン最終確認

  • 欠格事由・検認要否・撤回方式の表だけ眺める
  • 睡眠6時間確保、カフェイン取りすぎNG

合格者のリアルボイスでやる気をブースト

「財産目録に押印忘れを本試験で聞かれ、この記事通りに覚えていて助かった」(2025年1月2級合格/Tさん)
「模試では毎回6割止まりだったが、記事のアウトプット比率を真似したら8割安定!」(2024年9月2級合格/Kさん)

内部リンクで相続以外も得点底上げ

公的機関&一次情報リンクで信頼性MAX

まとめ|6000字でも要点はシンプル

  • 自筆・公正・秘密の要件/証人/検認/費用を比較表と語呂合わせで一気暗記
  • 遺言執行人は欠格2パターンだけを覚え、改正1012条で権限イメージを持つ
  • 過去問→アウトプット7割→模試→弱点ノート…学習フローを固定
  • 内部リンク&一次情報で横断学習し、法律改正にも即対応

ここまで読めば、相続分野の遺言問題は“得点源”に変わります。次は「行動」。まずは過去問1セットをタイマー付きで解き、弱点を可視化しましょう。そして完全攻略ガイドで6科目の学習計画を組み直してみてください。

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オリジナル練習問題

問題1 自筆証書遺言の財産目録

自筆証書遺言に添付する財産目録は、ワープロやエクセルで作成し、遺言者が署名・押印をしなくても有効である。
解答:×

解説:財産目録をパソコン等で作成することは認められるが、各ページに遺言者の署名と押印が必要(民法968条2項)。

問題2 自筆証書遺言の保管制度

法務局での自筆証書遺言の保管を申請した場合、家庭裁判所の検認手続は不要となる。
解答:◯

解説:自筆証書遺言保管制度(2020年開始)を利用すれば検認は省略される(遺言書保管法11条)。

問題3 秘密証書遺言の証人要件

秘密証書遺言を作成するには、最低でも2名以上の証人が必要である。
解答:◯

解説:秘密証書遺言は遺言者が封じた遺言を公証人と2名以上の証人に提出して作成する(民法970条)。

問題4 公正証書遺言の作成方法

公正証書遺言は公証人1名と証人2名が立会い、遺言者が口授した内容を公証人が筆記・読み聞かせ・承認・署名押印する手順を踏む。
解答:◯

解説:民法969条が定める典型的な方式要件をまとめた記述であり正しい。

問題5 公正証書遺言の証人資格

遺言者の相続人となる推定相続人でも証人として公正証書遺言に立ち会うことができる。
解答:×

解説:遺言の利害関係者(推定相続人・受遺者など)およびその配偶者・直系血族は証人になれない(民法974条)。

問題6 遺言執行人の就職

遺言で指定された遺言執行人は、特別の事情がない限り就職を拒否できない。
解答:×

解説:遺言執行人は就職を承諾するかどうか自由に決められ、拒否も可能(民法1012条1項)。

問題7 遺言執行人の権限

遺言執行人が就職すると、相続人は遺言の執行に関し遺言執行人の権限を妨げる処分行為をしてはならない。
解答:◯

解説:遺言執行の専権を確保するため、相続人の処分行為禁止を規定(民法1013条1項)。

問題8 秘密証書遺言の署名

秘密証書遺言はパソコンで全文を作成し、封印さえすれば遺言者が自署(署名)しなくても有効である。
解答:×

解説:秘密証書遺言は、遺言書本文に遺言者が必ず自署(署名)しなければならない(民法970条1項)。

問題9 自筆証書遺言の訂正

自筆証書遺言の文字を訂正する際は、訂正箇所に二重線を引き、遺言者がその部分に押印し、欄外に「○字削除」「○字加入」といった訂正の旨を付記して署名すれば足りる。
解答:◯

解説:民法968条3項により、①訂正箇所を明示(通常は二重線)し、②欄外に訂正の旨を付記、③その付記部分に署名し、④訂正箇所に押印する――という4要件をすべて満たす必要がある。

問題10 遺言執行人の複数指定

遺言で2人以上の遺言執行人を指定した場合、遺言に特別の定めがなくても各遺言執行人は単独で職務を行える。
解答:×

解説:複数の遺言執行人は、遺言で別段の定めがない限り共同で職務を行う(民法1015条)。

参考サイト

よくある質問

  • FP試験では遺言の問題が何問程度出題されますか?
    FP2級・3級ともに毎回1〜2問出題されるのが一般的ですが、法改正直後は3問に増えた実績もあります。
  • 自筆証書遺言の財産目録は手書きでなくても大丈夫ですか?
    はい。2019年改正により、財産目録のみパソコン作成や通帳コピー添付が可能になりました。ただし各ページへの署名・押印は必須です。
  • 自筆証書遺言書保管制度を利用すると、どんなメリットがありますか?
    法務局で保管することで検認が不要になり、紛失や改ざんリスクが大幅に低減します。手数料は1通3,900円程度と公正証書より安価です。
  • 公正証書遺言の証人は誰でもなれますか?
    未成年者や推定相続人・受遺者、その配偶者・直系血族などは欠格事由に該当し証人になれません。詳しくは民法974条をご確認ください。
  • 遺言撤回は同じ方式でないと無効ですか?
    いいえ。公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回するなど方式は自由です。新しい遺言が古い遺言に優先します。
  • 遺言執行者には誰を選ぶと良いですか?
    信頼できる推定相続人でも専門家でも構いませんが、三井住友信託銀行の解説にもある通り、相続手続きをスムーズに進められる第三者専門家が推奨されるケースが増えています。
  • FP試験の相続分野を短期間で仕上げるコツは?
    まずはFP試験完全攻略ガイドで学習全体像を把握し、表で遺言3種類を比較→過去問道場を3回転するのが最速ルートです。
  • 相続分野は何時間くらい勉強すれば合格ラインに届きますか?
    合格者平均では約25時間が目安です。うち遺言関連に5〜8時間を充てるとバランス良く得点できます。

初心者のための用語集

  • 自筆証書遺言:遺言者が全文・日付・氏名を自書し押印する最も手軽な遺言方式。財産目録はPC作成可だが各ページ署名押印が必要。
  • 公正証書遺言:公証人が内容を筆記し作成する遺言。証人2人以上が立会い、検認は不要。原本は公証役場で長期保管される。
  • 秘密証書遺言:内容を秘匿したまま存在だけを公証人・証人に証明してもらう方式。署名自書と封印が必須で、検認が必要。
  • 検認:家庭裁判所が遺言書の形式・状態を確認する手続。自筆・秘密証書遺言で必要だが、公正証書遺言と保管制度利用時は不要。
  • 遺言執行者:遺言内容を実現するため相続財産を管理・処分する人。未成年者と破産者以外なら個人・法人を問わず就任できる。
  • 証人欠格事由:公正・秘密証書遺言で証人になれない条件。未成年者、推定相続人や受遺者、その配偶者・直系血族などが該当。
  • 自筆証書遺言書保管制度:法務局が遺言書を預かる制度。検認不要になり、紛失・改ざんリスクを軽減できる。
  • 撤回:後の遺言で先の遺言を取り消すこと。方式は自由で新しい遺言が優先する。
  • 遺留分:一定の相続人が法律上確保される最低限の取り分。侵害されても遺言は有効で、請求により調整される。
  • 推定相続人:現時点で相続が開始した場合に相続人となる予定の人。証人欠格事由には該当するが遺言執行者には就任可能。

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松田 悠志
㈱ビーシアップ代表。宅建士・FP2級。人材採用・営業・Webマーケ・資産形成を支援し、採用コンサルやマネープラン相談も対応。株12年・FX7年のスイングトレーダー。ビジネス・投資・開運術を多角的に発信し、豊かな人生を後押しします。
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