ファイナンシャルプランナー(FP)試験において特に「タックスプランニング」の分野は、専門用語や細かい数字が多くて、頭が混乱しがちですよね。
中でも、多くの受験生が壁にぶつかるのが「人的控除」の範囲です。
- 「基礎控除、扶養控除、配偶者控除…種類が多すぎて、どれがどれだか分からない!」
- 「所得要件や年齢の数字がごちゃごちゃで、どうしても覚えられない…」
- 「毎回、似たようなひっかけ問題に引っかかって点数を落としてしまう」
もしあなたが一つでも当てはまるなら、この記事はまさにあなたのために書かれました。
この記事を最後まで読めば、あなたの悩みはスッキリ解決します。
- FP試験における人的控除(基礎控除、扶養控除、配偶者控除、寡婦控除、ひとり親控除、障害者控除)の全体像と各要件が完全に理解できます。
- 過去問を徹底分析した最新の出題傾向と頻出論点がわかります。
- 「なるほど!」と膝を打つ覚えやすい語呂合わせや暗記術で、学習の負担が劇的に軽くなります。
- 受験者がハマりがちな「ひっかけ問題」の典型パターンとその対策法が身につきます。
- 合格に向けた具体的な学習スケジュールや、明日から実践できる勉強法が見つかります。
「税金は苦手…」そんなあなたも、この記事を読み終える頃には「人的控除は得点源だ!」と自信を持てるようになっているはずです。それでは、一緒にFP試験合格への最短ルートを駆け上がりましょう!
Contents
FP試験における人的控除の重要性と最新出題傾向
まずは、なぜFP試験で「人的控除」がこれほどまでに重要なのか、その理由と最新の出題傾向から見ていきましょう。ここを理解するだけで、学習の優先順位が明確になります。
なぜ人的控除はFP試験で最重要なのか?
FP試験の「タックスプランニング」分野では、所得税の計算が中心となります。その計算過程で必ず登場するのが「所得控除」です。
(総所得金額 - 所得控除) × 税率 = 所得税額
所得控除は、納税者の個人的な事情(家族構成など)を考慮して税負担を軽くするための制度。その中でも、人に関する控除である「人的控除」は、出題頻度が非常に高く、タックスプランニング分野の得点を左右する最重要項目と言えます。
実際に、大手資格予備校の分析でも、所得控除は「毎回複数問出題される」頻出テーマとして挙げられています。つまり、人的控除を制する者がタックスプランニングを制するのです。
【過去問分析】基礎控除からひとり親控除まで!近年の出題パターン
直近のFP試験(2級・3級)では、人的控除は様々な角度から出題されています。ただ暗記するだけでなく、「どのように問われるか」を知ることが合格への近道です。
- 基礎控除:令和2年の改正で所得制限が導入された点が頻出。「納税者は、その年分の合計所得金額の多寡にかかわらず、基礎控除の適用を受けることができる」といった選択肢が「不適切」として出題されます(2022年9月 FP2級 問33)。
- 扶養控除:年齢要件、特に「特定扶養親族」の定義が狙われます。「16歳以上23歳未満の者は、特定扶養親族に該当する」は誤りで、正しくは「19歳以上23歳未満」です(2019年9月 FP2級 問35)。
- 配偶者控除・配偶者特別控除:納税者本人と配偶者、両方の所得要件が問われます。特に納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超えると適用できない点は、実技試験の計算問題でも重要な論点です(2020年9月 FP2級 実技)。
- 障害者控除:「所得制限がない」こと、「本人だけでなく、控除対象配偶者や扶養親族が障害者の場合も適用できる」ことがポイントです。
- 寡婦控除・ひとり親控除:後述する税制改正後の新しい論点として、出題が増加傾向にあります。所得制限(500万円以下)や、両制度の併用ができない点などが問われます(2023年5月 FP1級 基礎編)。
このように、各控除の「適用要件」「所得制限」「年齢」が複合的に問われるのが最近の傾向です。
【要注意】令和2年度税制改正の影響(ひとり親控除の新設)
FP試験対策で絶対に外せないのが「税制改正」です。特に、令和2年度の税制改正は人的控除に大きな影響を与えました。
【主な改正内容】
- ひとり親控除の新設:婚姻歴や性別にかかわらず、生計を一にする子がいる単身者を対象とする「ひとり親控除(35万円)」が創設されました。
- 寡婦(寡夫)控除の見直し:従来の寡夫控除は廃止され、ひとり親控除に統合。寡婦控除は、所得制限(500万円以下)が加わるなど要件が見直されました。
(参考:国税庁 No.1171 ひとり親控除)
この改正により、ひとり親控除と寡婦控除の違いや適用要件を問う問題が頻出となっています。古いテキストを使っている方は特に注意が必要です。
【FP試験対策】基礎控除や扶養控除など7つの人的控除を完全マスター!
ここからは、FP試験で問われる7つの主要な人的控除について、一つひとつ丁寧に解説していきます。それぞれの定義、適用要件、控除額をしっかり押さえましょう。
各控除を覚える際は、「誰が(対象者)」「いくらの所得まで(所得要件)」「いくら控除されるか(控除額)」の3点セットで整理するのがコツです。
控除の種類 | 主な適用要件(納税者本人) | 主な適用要件(親族等) | 控除額(最大) |
---|---|---|---|
① 基礎控除 | 合計所得金額2,500万円以下 | – | 48万円 |
② 扶養控除 | – | 16歳以上、合計所得48万円以下 | 63万円 |
③ 配偶者控除 | 合計所得金額1,000万円以下 | 合計所得48万円以下 | 38万円(※) |
④ 配偶者特別控除 | 合計所得金額1,000万円以下 | 合計所得48万円超133万円以下 | 38万円 |
⑤ 寡婦控除 | 合計所得金額500万円以下 | (離婚の場合)扶養親族あり | 27万円 |
⑥ ひとり親控除 | 合計所得金額500万円以下 | 生計一の子(所得48万円以下)あり | 35万円 |
⑦ 障害者控除 | – | 本人、配偶者、扶養親族が障害者 | 75万円 |
※配偶者が70歳以上の場合は48万円
それでは、各控除の詳細を見ていきましょう。
① 基礎控除|すべての納税者の基本となる控除
基礎控除は、原則としてすべての納税者が適用を受けられる基本的な控除です。ただし、合計所得金額に応じた所得制限があるのが最大のポイントです。
- 控除額:
- 合計所得金額2,400万円以下 → 48万円
- 2,400万円超 2,450万円以下 → 32万円
- 2,450万円超 2,500万円以下 → 16万円
- 2,500万円超 → 0円
試験のポイント:「合計所得金額が2,500万円を超えると適用できない」という数字は絶対に覚えてください。
(参考:国税庁 No.1199 基礎控除)
② 扶養控除|家族を支える人を応援する制度
納税者に所得税法上の控除対象扶養親族がいる場合に適用されます。ポイントは「年齢」によって控除額が変わることです。
- 扶養親族の要件:
- その年の12月31日時点で16歳以上の親族
- 納税者と生計を一にしている
- 年間の合計所得金額が48万円以下(給与収入のみなら103万円以下)
- 控除額(年齢区分が最重要!):
- 一般の控除対象扶養親族(16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満) → 38万円
- 特定扶養親族(19歳以上23歳未満) → 63万円
- 老人扶養親族(70歳以上)
- 同居老親等 → 58万円
- 同居老親等以外 → 48万円
試験のポイント:「16歳未満」は児童手当との兼ね合いで扶養控除の対象外です。そして、大学生の子供などが該当する「特定扶養親族」の63万円は超頻出です!
(参考:国税庁 No.1180 扶養控除)
③ 配偶者控除|パートナーの所得に応じた控除
納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合に適用されます。納税者本人と配偶者の両方に所得要件があります。
- 適用要件:
- 納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下
- 配偶者の合計所得金額が48万円以下(給与収入のみなら103万円以下)
- 民法の規定による配偶者であること(内縁関係は不可)
- 控除額:納税者本人の所得に応じて変動しますが、最大38万円です(配偶者が70歳以上の老人控除対象配偶者なら最大48万円)。
④ 配偶者特別控除|配偶者控除から漏れても使える控除
配偶者の所得が48万円を超えたために配偶者控除を受けられない場合でも、一定の範囲内であれば適用できる控除です。
- 適用要件:
- 納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下
- 配偶者の合計所得金額が48万円超 133万円以下
- 控除額:納税者本人と配偶者の所得金額に応じて、1万円~38万円の間で段階的に変動します。
配偶者控除と配偶者特別控除は、併用できません。また、どちらの制度も納税者本人の所得が1,000万円を超えると使えないという共通のルールをしっかり押さえてください。
(参考:国税庁 No.1195 配偶者特別控除)
⑤ 寡婦控除|夫と離死別した女性のための控除
いわゆる「寡婦」に該当する女性が受けられる控除です。ひとり親控除と混同しないように注意が必要です。
- 対象者:その年の12月31日時点で「ひとり親」に該当しない女性
- 適用要件(いずれかに該当):
- 夫と離婚後、婚姻しておらず、扶養親族がいる。
- 夫と死別後、婚姻していない。(扶養親族の有無は問わない)
- 共通要件:
- 合計所得金額が500万円以下
- 事実上婚姻関係と同様の事情にある者がいない
- 控除額:27万円
⑥ ひとり親控除|未婚の親などを支える新しい控除
令和2年度の改正で新設された、最も新しい人的控除です。婚姻歴や性別を問わないのが特徴です。
- 適用要件(すべてに該当):
- 現に婚姻をしていない、または配偶者の生死が不明
- 生計を一にする子(総所得金額等が48万円以下)がいる
- 合計所得金額が500万円以下
- 事実上婚姻関係と同様の事情にある者がいない
- 控除額:35万円
⑦ 障害者控除|障害のある方や家族の負担を軽減
納税者自身や、同一生計配偶者、扶養親族が障害者である場合に適用されます。所得制限がないのが特徴です。
- 控除額:
- 一般の障害者 → 27万円
- 特別障害者 → 40万円
- 同居特別障害者 → 75万円
試験のポイント:扶養控除の対象とならない16歳未満の扶養親族が障害者であっても、障害者控除は適用できます。
FP試験で差がつく!人的控除の「覚え方」と「ひっかけ問題」対策
各控除の要件がわかったところで、次はいよいよ実践編です。「どうやって覚えるか」「どんな罠が仕掛けられているか」を知り、ライバルに差をつけましょう!
ゴロ合わせで攻略!数字地獄から解放される暗記術
複雑な数字は、イメージや語呂合わせで覚えるのが鉄則です。多くの合格者が使ってきたテクニックを伝授します。
- 特定扶養親族(63万円):「高校・大学の息子はムサ(63)くるしい」
- 老人扶養親族:「じいちゃんは、同居してるとコワ(58)いけど、別居したならヨワ(48)い人」
【ひとり親控除・寡婦控除の覚え方】
- ひとり親控除(35万円):「親」という字なので男女・婚姻歴は関係なし。子の扶養が必須。「ひとりおやはサ(3)ンゴ(5)の海へ」
- 寡婦控除(27万円):「婦」という字なので女性のみ。「寡」という字なので婚姻歴が必要。「かふ(2)はな(7)く」
最初はバカバカしく感じるかもしれませんが、試験本番で「どっちだっけ?」と迷ったときに、このイメージがあなたを救ってくれます。
【過去問から学ぶ】受験者がハマる典型的な「ひっかけ問題」5パターン
FP試験の選択問題は、巧妙な「ひっかけ」が満載です。よくあるパターンを知っておけば、冷静に対処できます。
- パターン1:所得制限のすり替え
ひっかけ例:「納税者は、その年分の合計所得金額の多寡にかかわらず、基礎控除の適用を受けることができる。」
→【解答】×。基礎控除には2,500万円以下の所得制限があります。配偶者控除・ひとり親控除など、所得制限がある控除で同じパターンのひっかけが出されます。 - パターン2:扶養控除の年齢ワナ
ひっかけ例:「控除対象扶養親族のうち、その年の12月31日現在の年齢が16歳以上23歳未満の者は、特定扶養親族に該当する。」
→【解答】×。特定扶養親族は「19歳以上23歳未満」です。16歳から、と範囲を広く見せるのが定番の手口です。 - パターン3:配偶者控除の「本人」の所得見落とし
ひっかけ例:(問題文で配偶者の所得は48万円以下だが、納税者本人の所得が1,100万円の場合)「配偶者控除の適用を受けることができる。」
→【解答】×。配偶者の所得ばかりに気を取られていると、納税者本人の所得制限(1,000万円以下)を見落とします。実技試験で特に注意が必要です。 - パターン4:寡婦控除とひとり親控除の混同
ひっかけ例:「夫と離婚し、生計を一にする子がいるAさん(所得400万円)は、寡婦控除とひとり親控除の両方の適用を受けることができる。」
→【解答】×。ひとり親控除の要件を満たす場合、寡婦控除は適用されません。両制度は併用不可です。 - パターン5:障害者控除の対象者限定
ひっかけ例:「障害者控除は、納税者本人が障害者に該当する場合にのみ適用される。」
→【解答】×。同一生計配偶者や扶養親族が障害者の場合も対象となります。
間違いを防ぐための最終チェックリスト
問題を解くときに、以下の順番でチェックする癖をつけるだけで、ケアレスミスが激減します。
✅ 【所得】次に配偶者・扶養親族の所得は48万円以下?
✅ 【年齢】扶養親族の年齢は?(16歳未満じゃない? 19~23歳? 70歳以上?)
✅ 【要件】ひとり親?寡婦?子の有無、婚姻歴の要件は満たしてる?
✅ 【用語】問われているのは給与「収入」? それとも「所得」?
この5つの視点を常に持つようにしましょう。
【FP試験合格へ】人的控除をマスターするための具体的な学習プラン
最後に、人的控除、ひいてはタックスプランニング分野を確実に得点源にするための学習戦略をお伝えします。
合格者の勉強時間は?学習スケジュールの立て方
一般的に、FP試験の合格に必要な勉強時間は以下の通りです。
- FP3級:80~150時間
- FP2級:150~300時間
タックスプランニング分野は全6分野の中でも覚えることが多いため、全体の学習時間の20%~25%を割り当てるのが一つの目安です。
例えば3ヶ月(90日)でFP2級合格を目指すなら、
300時間 × 20% = 60時間
これをタックス分野に充て、その中で人的控除には15~20時間ほど集中して取り組む、といった計画を立てると良いでしょう。
おすすめの学習ステップ|インプットからアウトプットへ
やみくもに勉強しても知識は定着しません。以下のサイクルを回すのが最も効率的です。
- 【インプット】テキストで全体像を理解する
まずはこの記事やお手持ちのテキストで、各控除の役割や概要をざっくりと掴みます。 - 【整理・暗記】要件を整理し、暗記する
この記事の表やゴロ合わせを活用し、各控除の「所得要件」「年齢要件」「控除額」を整理して覚えます。 - 【アウトプット】過去問をひたすら解く
知識が固まったら、すぐに過去問題集に取り組みます。FP試験は過去問と類似の問題が繰り返し出題されるため、これが最も効果的な対策です。 - 【フィードバック】間違えた箇所を完璧にする
間違えた問題は、なぜ間違えたのかを徹底的に分析します。解説を読み、テキストの該当箇所に戻って知識を再確認。この繰り返しが、あなたの実力を確実なものにします。
この学習法についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
▼おすすめ記事
・独学でも最短合格!FP試験の“合格率を劇的に上げる”完全攻略ガイド:学習スケジュールから過去問活用まで徹底解説
・初心者でも最短合格!FP試験の“6科目徹底攻略”と合格率UPの秘訣を完全公開
モチベーションを維持するコツと合格者の声
長い勉強期間、モチベーションを保つのは大変です。しかし、多くの合格者が「FPの勉強で一番実生活に役立ったのが税金の知識」と口を揃えます。
自分の給与明細を見て「あ、これが配偶者控除か」「扶養控除はこうやって計算されてるんだ」と実感できるようになると、学習が途端に面白くなります。
合格後の自分を想像してみてください。年末調整や確定申告の書類がスラスラ理解でき、家族や友人に税金のアドバイスができるようになっているかもしれません。その具体的なメリットを思い描くことが、最高のモチベーション維持に繋がります。
まとめ:FP試験「人的控除」を制して合格を掴み取ろう!
今回は、FP試験の最重要テーマである「人的控除」について、網羅的に解説しました。最後に、絶対に押さえておくべきポイントをまとめます。
- 人的控除はFP試験タックス分野の最重要頻出テーマであり、合否を分けるカギとなる。
- 基礎控除、扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除、寡婦控除、ひとり親控除、障害者控除の7つは、それぞれの「適用要件」「所得制限」「年齢要件」「控除額」を正確に覚えることが基本。
- 令和2年度の税制改正で新設された「ひとり親控除」と、見直された「寡婦控除」の違いは特に狙われやすいポイント。
- 数字の暗記はゴロ合わせを活用し、典型的なひっかけ問題のパターンを事前に把握しておくことで、本番での失点を防げる。
- 最強の対策は過去問演習の繰り返し。インプットとアウトプットのサイクルを回して、知識を完璧に定着させよう。
複雑に見える人的控除も、一つひとつ分解して整理すれば、決して難しい分野ではありません。むしろ、ルールが明確なため、一度覚えてしまえば安定した得点源になります。
この記事を何度も読み返し、あなたの知識を盤石なものにしてください。
人的控除をマスターしたら、次はタックスプランニング全体の攻略に進みましょう!以下の記事では、所得税の全体像から法人税、消費税まで、税金分野を完全攻略するためのガイドを提供しています。
あなたの努力が実を結び、FP試験合格の吉報が届くことを心から応援しています!
オリジナル練習問題(修正版)
問題1 基礎控除と所得制限
居住者の合計所得金額が二千四百万円を超える場合でも、基礎控除の控除額は一律四十八万円である。
【解答】×
【解説】基礎控除は合計所得金額二千四百万円以下で四十八万円。二千四百万円超~二千四百五十万円以下は三十二万円、二千四百五十万円超~二千五百万円以下は十六万円、二千五百万円超では控除なしとなる。
問題2 配偶者控除の適用要件
納税者本人の合計所得金額が一千万円を超える場合であっても、配偶者控除(二段階減額後)は受けられる。
【解答】×
【解説】配偶者控除は、納税者本人の合計所得金額が一千万円を超えると適用できない(控除額はゼロ)。九百万円以下なら三十八万円、九百万円超~九百五十万円以下は二十六万円、九百五十万円超~一千万円以下は十三万円。
問題3 配偶者特別控除の対象となる配偶者の所得
配偶者の合計所得金額が四十八万円以下である場合、配偶者特別控除が適用できる。
【解答】×
【解説】配偶者の合計所得金額が四十八万円以下なら配偶者控除の対象であり、配偶者特別控除は適用しない。特別控除は四十八万円超~百三十三万円以下の範囲で段階的に適用される。
問題4 扶養控除の適用年齢
満十五歳以下の扶養親族についても、扶養控除(二十七万円)の対象となる。
【解答】×
【解説】扶養控除は十六歳未満の扶養親族には適用されない。
十六歳以上十九歳未満は三十八万円、十九歳以上二十三歳未満(特定扶養親族)は六十三万円、二十三歳以上六十九歳以下は三十八万円、七十歳以上(老人扶養親族)は四十八万円(同居老親等は五十八万円)。
問題5 国外居住親族と扶養控除
国外に居住する親族について扶養控除を受けるには、原則として「親族関係書類」と「送金関係書類」の二種類の証明書類が必要である。
【解答】◯
【解説】国外居住親族を扶養控除の対象とする場合、親族であることを示す書類(戸籍謄本・戸籍抄本・出生証明書等)と、生活費・学費などを送金した事実を示す書類(金融機関の送金記録等)が必要。
なお、30歳以上70歳未満の国外居住親族については、年間38万円以上の送金等があることも追加要件となる。
問題6 障害者控除の金額
特別障害者に該当する納税者本人が控除できる金額は二十七万円である。
【解答】×
【解説】障害者控除は一般障害者二十七万円、特別障害者は四十万円。さらに同居特別障害者の場合は七十五万円控除できる。
問題7 ひとり親控除の所得上限
ひとり親控除を受けるためには、合計所得金額が五百万円以下でなければならない。
【解答】◯
【解説】ひとり親控除(控除額三十五万円)は、婚姻歴の有無にかかわらず、合計所得金額五百万円以下かつ「生計を一にする子(合計所得金額四十八万円以下)」がいる単身者であることなどが要件となる。
問題8 ひとり親控除の控除額
ひとり親控除の控除額は三十五万円であり、男女を問わず同額である。
【解答】◯
【解説】二〇二〇年分以後、男女を問わず該当すれば控除額は一律三十五万円。従来の寡婦(夫)控除との性別格差が解消された。
問題9 寡婦控除の対象者
夫と死別して再婚していない女性で、扶養親族がいなくても合計所得金額五百万円以下であれば寡婦控除(二十七万円)を受けられる。
【解答】◯
【解説】寡婦控除は次のいずれかを満たす女性が対象。
(1)夫と死別し、再婚していない & 合計所得金額五百万円以下(扶養親族の有無は問わない)
(2)夫と離婚し、再婚しておらず & 扶養親族がいる & 合計所得金額五百万円以下
なお、扶養親族がいる場合で要件を満たせば、ひとり親控除(三十五万円)が優先される。
問題10 障害者控除とひとり親控除の重複適用
納税者本人が特別障害者であり、かつひとり親控除の要件にも該当する場合、両方の控除を同時に受けることができる。
【解答】◯
【解説】障害者控除とひとり親控除は重複適用が認められているため、要件を満たせば両方の控除額(四十万円+三十五万円)を所得から差し引くことができる。
よくある質問
- Q:基礎控除はすべての納税者が48万円受けられるのですか?
A:合計所得金額が2,400万円以下なら48万円受けられますが、2,400万円超で段階的に減額され、2,500万円超になると0円になります。 - Q:配偶者控除と配偶者特別控除の最大の違いは何ですか?
A:配偶者の所得48万円以下なら配偶者控除、48万円超133万円以下なら配偶者特別控除が適用されます。どちらも納税者本人の所得が1,000万円以下であることが共通要件です。 - Q:扶養控除の「特定扶養親族」は何歳から何歳まで?
A:その年の12月31日時点で19歳以上23歳未満の扶養親族です。16〜18歳は一般扶養親族(38万円控除)となるので注意しましょう。 - Q:寡婦控除とひとり親控除を同時に受けることはできますか?
A:できません。子を扶養している単身者は原則ひとり親控除(35万円)が優先され、寡婦控除(27万円)との併用は不可です。 - Q:人的控除対策の過去問はどの順番で解くと効率的ですか?
A:まず基礎控除・扶養控除・配偶者控除を押さえ、次に配偶者特別控除→障害者控除→寡婦控除/ひとり親控除の順に進めると数字の混同を防げます。詳しい学習ステップはFP試験完全攻略ガイドで解説しています。
参考サイト
- 国税庁「No.1199 基礎控除」 — 基礎控除額と所得制限を公式データで確認できます。
- 国税庁「No.1180 扶養控除」 — 年齢区分や控除額の詳細が掲載されています。
- 国税庁「No.1190 配偶者控除」 — 配偶者の所得48万円基準を確認できます。
- 国税庁「No.1191 配偶者特別控除」 — 48万円超133万円までの控除額早見表付き。
- 国税庁「No.1160 障害者控除」 — 一般・特別・同居特別の3区分を公式解説。
- 国税庁「No.1170 寡婦控除」 — 寡婦控除の要件と27万円控除額を確認。
- 国税庁「No.1171 ひとり親控除」 — 2020年新設のひとり親控除35万円を解説。
- 日本FP協会「試験問題・模範解答」 — 過去問をダウンロードして本記事の対策を実践できます。
初心者のための用語集
- 合計所得金額 — 10種類の所得(給与・事業など)を合算し、損益通算前の総額で判定指標に使われます。
- 控除額 — 所得から差し引ける金額のこと。税負担を軽減する「差し引き枠」です。
- 所得制限 — 控除を受けるために設けられた所得の上限。超えると控除が縮小または適用外になります。
- 扶養親族 — 生計を一にする親族で合計所得金額48万円以下の人を指し、16歳以上が扶養控除の対象です。
- 特定扶養親族 — 19歳以上23歳未満の扶養親族で、大学等の教育費負担を配慮して控除額が63万円に引き上げられています。
- 老人扶養親族 — 70歳以上の扶養親族。同居老親等は58万円、別居の場合は48万円の控除額です。
- 配偶者控除 — 配偶者の所得48万円以下で適用される控除。納税者本人の所得が1,000万円以下であることも条件です。
- 配偶者特別控除 — 配偶者の所得が48万円超133万円以下の場合に段階的に受けられる控除で、控除額は最大38万円です。
- 同居特別障害者 — 特別障害者と同居する場合に適用される区分で、障害者控除額が75万円まで拡大します。
- 課税所得 — 合計所得金額から各種所得控除を差し引いた後に残る金額。ここに税率を掛けて所得税額を計算します。
- 年末調整 — 給与所得者が1年分の所得税を会社経由で精算する手続き。人的控除の申告はこの時点で行います。
- 確定申告 — 年末調整で完結しない人や追加控除を受けたい人が所得・税額を自ら計算・申告する手続きです。
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