FP

【FP試験・分散や標準偏差、シャープレシオ、相関係数】ファイナンシャルプランナー試験対策完全ガイド

【FP試験・分散や標準偏差、シャープレシオ、相関係数】ファイナンシャルプランナー試験対策完全ガイド

Contents

はじめに:この記事を読むメリット

ファイナンシャルプランナー試験(FP試験)における金融資産運用分野のなかでも、とくに多くの受験生がつまずくのが「分散や標準偏差、シャープレシオ、相関係数」といった統計関連の指標です。
これらは一度理解すると得点源となる反面、公式や考え方を曖昧に覚えていると計算問題で大きく失点してしまう箇所でもあります。

この記事では、以下のようなメリットを得られます。

  • 難解に感じやすい分散や標準偏差、シャープレシオ、相関係数の計算式や意味がスッキリ理解できる
  • 過去問でよく出題されるパターンや注意点がわかり、効率的に学習できる
  • 計算ミスを防ぐ具体的な勉強方法とポイントが把握できる
  • 本番で迷わないための試験直前対策や学習スケジュールのヒントを得られる

この記事で学んだ知識を土台に、あなたの「ファイナンシャルプランナー試験(FP試験)」合格をしっかりサポートいたします。

ファイナンシャルプランナー試験(FP試験)における「分散や標準偏差、シャープレシオ、相関係数」とは

ファイナンシャルプランナー試験の金融資産運用分野では、投資のリスクとリターンを客観的に評価するために用いられる統計指標の理解が欠かせません。その中心的な存在が下記の4つです。

  • 分散
  • 標準偏差
  • シャープレシオ
  • 相関係数

これらは「資産の値動きをどの程度正確に把握し、効率良く運用できるか」を示すための重要な要素であり、実務においてもFPが顧客の資産をアドバイスする際によく使われます。

分散と標準偏差

分散と標準偏差は「リスクの大きさ」を定量的に示す指標です。
分散とは「データが平均からどの程度ばらついているか」を示す値であり、その平方根を取ったものが標準偏差です。ファイナンシャルプランナー試験では主に標準偏差を用いて「リスクの大きさ」を比較する問題が頻出です。

ポイント!

  • 分散=「ばらつきの二乗」を平均したもの
  • 標準偏差=分散の平方根(元の単位に戻す役割)
  • 値が大きいほどリスク(変動)が大きい

シャープレシオ

シャープレシオは「リスク1単位あたりでどれだけ超過リターン(無リスク資産を上回る収益)を獲得したか」を示す指標です。「大きいほど効率的な投資」と覚えておきましょう。
計算式は以下の通りです。

シャープレシオ = (ポートフォリオの収益率-無リスク資産収益率)÷(ポートフォリオの標準偏差)

ポイント!

  • 分母は「リスク(標準偏差)」、分子は「ポートフォリオの収益率-無リスク金利」
  • 値が大きいほど「少ないリスクで高いリターンを得られている」状態
  • 比較対象が異なるファンドやポートフォリオの判断に用いる

相関係数

相関係数は「2つの資産の値動きの連動性」を示す指標で、-1~+1の範囲で変動します。

  • +1:完全に同じ方向に動く(分散投資効果がほぼなし)
  • 0:それぞれの値動きに関連がない(一定の分散投資効果あり)
  • -1:完全に逆の方向に動く(分散投資効果が最大)

ポートフォリオを組む際に、相関関係が低い(負に近い)資産を組み合わせることで、リスクを下げつつリターンを狙う手法がよく用いられます。

分散や標準偏差、シャープレシオ、相関係数の過去問出題傾向

ファイナンシャルプランナー試験(FP試験)の過去問を振り返ると、ここ10年で以下のような共通傾向があります。

  • 計算問題が頻出:求められるのは公式の暗記だけでなく、電卓を使った正確な計算力
  • 出題形式のバリエーション:単純な公式暗記問題だけでなく、複数資産を組み合わせたポートフォリオ計算や数値の比較問題が増加
  • 繰り返し登場するテーマ:相関係数や標準偏差を用いてポートフォリオのリスクを計算する問題、シャープレシオの数値比較問題

金融資産運用分野では「2~3問の計算問題が大きな比重を占める」と言われるほど、数字の扱いが得点を左右します。特にFP1級の応用編では2資産や3資産の組合せによるポートフォリオの分散(標準偏差)の問題がたびたび出題されるため、しっかり対策をしておきたいところです。

分散や標準偏差を攻略するための勉強法

計算式を段階的に覚える

標準偏差を求めるステップは以下のとおりです。

  • 収益率の平均(期待収益率)を求める
  • 各データ(実現収益率)から平均を引いた値を「偏差」と呼ぶ
  • 偏差を二乗して「二乗偏差」を求める
  • 二乗偏差を平均した値が「分散」
  • 分散の平方根が「標準偏差」

見慣れない人にはやや抽象的に映りますが、「平均」「偏差」「二乗偏差」「分散」「標準偏差」の順番を丁寧に踏むのが計算ミスを防ぐコツです。

計算過程でのミス防止テクニック

  • 小数点以下の処理:試験問題によっては「小数点第○位を四捨五入」などの指定があるため注意
  • 符号の取り扱い:特に負の収益率を扱う場合、マイナス符号を見落としやすい
  • 電卓操作の順序を確立:手順が複雑な場合、あらかじめ紙に計算順を書いておくと良い

シャープレシオを得点源にするための攻略法

「大きいほど効率的」の意味を理解する

シャープレシオは「分母が標準偏差、分子が(ポートフォリオの収益率-無リスク金利)」という構造です。
つまり、同じリスク(標準偏差)でも超過リターンが大きいほどシャープレシオは高くなり、効率がいい運用だと言えます。

ファンド比較問題のよくあるパターン

FP試験では、次のような比較問題が出題されやすいです。

  • ファンドA:収益率が高いが、リスクも大きい
  • ファンドB:収益率はAより低いが、リスクが小さい
  • 無リスク金利(例:1%)が与えられている

この場合、シャープレシオを両方で計算したうえで、

シャープレシオ = (ファンドの収益率 - 無リスク金利)÷ 標準偏差

値が大きいほうが「少ないリスクで効率よく収益を上げている」として正解選択肢となることが多いです。

相関係数とポートフォリオ計算:リスク低減効果を理解する

相関係数で変わる「分散投資効果」

相関係数は-1~+1の範囲で値をとり、主に下記のように覚えておくと便利です。

  • +1:同じ動き(リスク低減効果なし)
  • 0:無相関(一定のリスク低減効果あり)
  • -1:逆方向(リスク低減効果最大)
  • 注意! 相関係数が0であっても、ある程度の分散投資効果は期待できます。誤って「相関係数0だから分散投資の意味がない」と思い込まないようにしてください。

ポートフォリオのリスク計算式

2資産のみのポートフォリオでリスク(標準偏差)を求める際の基本公式は、次の通りです。

ポートフォリオの分散 =
  (A資産の組入比率)² × (A資産の標準偏差)²
+ (B資産の組入比率)² × (B資産の標準偏差)²
+ 2 × (A比率) × (B比率) × (Aの標準偏差) × (Bの標準偏差) × (A・Bの相関係数)

そして、標準偏差は分散の平方根を取ることで求められます。ここでも小数点の扱いや掛け算・割り算の順番でミスが多発しやすいため、練習あるのみです。

過去問対策の重要性と勉強スケジュール例

過去問演習は必須

金融資産運用の計算問題は「問題形式がパターン化」されているケースが多々あります。同じ計算式で数値が変わるだけ、といった問題も珍しくありません。
そのため、過去問を何度も繰り返して解き、計算手順を身体に染み込ませることが有効です。

1日の学習スケジュール例

  • 平日(1時間~2時間)
    • インプット:テキストの該当箇所30分
    • アウトプット:過去問演習30分~1時間
  • 休日(2時間~4時間)
    • 復習:前日までの不正解問題を再度解く(1時間)
    • 新規問題演習:分散・標準偏差の計算問題、シャープレシオの比較問題など(1~2時間)
    • 余力があれば他の科目にも着手

ファイナンシャルプランナー試験は6科目ありますが、金融資産運用は計算問題を徹底的にやることで得点しやすい分野でもあります。

よくある間違いとその対策

間違い1:相関係数の誤解

  • 誤解:相関係数が0だと、分散投資効果がない。
  • 対策:相関係数0でもリスク分散効果は存在する。相関係数が+1のとき分散効果が失われる点に注意。

間違い2:シャープレシオが小さいほど効率的

  • 誤解:値が小さいほうがリスク管理ができていると勘違いする。
  • 対策:実際は「値が大きいほどリスク1単位あたりのリターンが大きい」ことを意味する。

間違い3:標準偏差と分散を同一視する

  • 誤解:分散と標準偏差を「同じようなもの」だと思い、数値を混同する。
  • 対策:標準偏差=√分散。単位も異なるので、計算途中で変換を忘れない。

分散や標準偏差、シャープレシオ、相関係数を学ぶ際の参考リソース

こうした情報源を組み合わせて活用することで、基礎から応用まで幅広い理解を得られます。

合格者の声:明日から実践できるアドバイス

合格者の多くは「計算式の暗記」だけにとどまらず、「繰り返し演習で計算手順を身体に染み込ませる」大切さを挙げています。
また、「試験直前期に過去問を解くと、どこで間違いやすいかが見えてくるので、そこを集中対策するのが合格のカギ」という声も多数です。

具体的な勉強時間の例

  • 1日1~2時間を3ヶ月継続:平日は1時間、休日は3~4時間かけて計算問題を集中学習
  • 電卓操作に慣れる:シャープレシオや相関係数などは慣れればスピーディに計算可能

まとめ:次のアクションとさらなるステップ

金融資産運用分野の「分散・標準偏差・シャープレシオ・相関係数」は、ファイナンシャルプランナー試験(FP試験)で高得点を狙いやすいポイントです。公式と計算手順をマスターすれば、他の受験生と大きく差をつけることができます。

要点整理

  • 分散・標準偏差:リスクの大きさを数値化する基本
  • シャープレシオ:大きいほど効率の良い運用
  • 相関係数:資産同士の値動きを示す(-1が最大の分散効果、+1が分散効果なし)
  • 過去問演習と計算手順の確立が得点アップの近道

これで基礎はバッチリです。さらに深掘りしたい方は、下記のリンク先のほかの関連記事もぜひご覧ください。

これらの記事を読むことで、学習効率をさらに高め、ファイナンシャルプランナー試験合格に向けた盤石な知識を築くことができます。最後までお読みいただきありがとうございました。明日からの学習に、ぜひ役立ててください!

オリジナル練習問題

問題1:分散と標準偏差の関係

標準偏差は分散の平方根であり、分散が大きいほど標準偏差も大きくなる。
◯か×か。

【答え】◯

【解説】分散はデータのばらつきを二乗で表した値であり、標準偏差はその平方根を取ることで元の単位に戻した指標である。したがって分散が増えれば標準偏差も必ず増える。

問題2:投資割合とポートフォリオ分散

2資産のポートフォリオで、他の条件が同じなら、分散を最小化する投資割合は常に各資産を50%ずつにすることである。
◯か×か。

【答え】×

【解説】最小分散比率は各資産の分散・共分散に依存するため、相関係数や各資産のリスクが異なる場合、50%ずつが最適とは限らない。

問題3:相関係数の範囲

相関係数は −1.0 から +1.0 の範囲で値を取り、−1.2 や +1.1 といった値は理論上取り得ない。
◯か×か。

【答え】◯

【解説】相関係数は共分散を標準偏差で除した比率であり、定義上 −1 ≤ ρ ≤ +1 の範囲に必ず収まる。

問題4:負の相関とリスク低減

相関係数が負である2資産を組み合わせると、単独資産よりポートフォリオの標準偏差が必ず低下する。
◯か×か。

【答え】×

【解説】負の相関はリスク低減効果をもたらす可能性がありますが、以下の条件ではリスクが増加する場合があります:

  • 片方の資産のボラティリティが極端に高い
  • 投資比率が最適配分から外れている

例:資産A(σ=5%)、資産B(σ=50%)を同額で組み合わせると、相関係数が負でもポートフォリオ全体のリスクは上昇します。

問題5:シャープレシオの基本式

シャープレシオは「(ポートフォリオ期待収益率 − 無リスク利子率) ÷ ポートフォリオの標準偏差」で計算される。
◯か×か。

【答え】◯

【解説】分子は超過収益(リターンプレミアム)で、分母はリスクの代理変数として standard deviation を用いるのがシャープレシオの定義である。

問題6:シャープレシオの解釈

シャープレシオが高いほど、単位リスク当たりの超過収益が低いことを示す。
◯か×か。

【答え】×

【解説】値が高いほど同じリスク量でより高い超過収益を上げたことを示すため、パフォーマンスは優れていると解釈される。

問題7:分散の単位

株価の単位が円であれば、分散の単位は円である。
◯か×か。

【答え】×

【解説】分散は偏差を二乗して平均するため、単位は元データの単位の二乗(円²)になる。標準偏差を取って初めて元の単位(円)に戻る。

問題8:完全正の相関ポートフォリオ

相関係数が +1.0 の2資産でポートフォリオを組むと、標準偏差は単純加重平均になる。
◯か×か。

【答え】◯

【解説】完全正の相関では共分散が σ₁σ₂ となり、分散式が (wσ₁ + (1-w)σ₂)² に帰着します。標準偏差は wσ₁ + (1-w)σ₂ となり、単純加重平均となります。

問題9:シャープレシオとリスクフリーレート

無リスク利子率が上昇すると、その他が一定のとき、ポートフォリオのシャープレシオ値は低下する。
◯か×か。

【答え】◯

【解説】分子の「超過収益」は期待収益率から無リスク利子率を差し引くため、利子率が上がると超過収益が縮小し、シャープレシオは小さくなる。

問題10:相関係数ゼロと分散低減効果

相関係数がゼロの2資産を等分散で組み合わせた場合、ポートフォリオ分散は各資産分散の半分になる。
◯か×か。

【答え】◯

【解説】共分散がゼロの場合、ポートフォリオ分散は重み²×各分散の和(0.25σ₁² + 0.25σ₂²)となります。σ₁=σ₂の「等分散」条件では、分散は元の半分になります。

参考サイト

初心者のための用語集

  • 分散:データのばらつき具合を数値化した指標。値が大きいほど結果が散らばりリスクが高い。
  • 標準偏差:分散の平方根で単位を元に戻したもの。投資リスクを「%」で直感的に示せる。
  • 共分散:2つの資産の値動きが平均からどれだけ同時に上下するかを表す指標。正なら同方向、負なら逆方向に動きやすい。
  • 相関係数:共分散を標準偏差で割って−1〜+1に正規化した指標。+1は完全同調、−1は完全逆相関、0は無関係。
  • シャープレシオ:リスク1単位あたりの超過リターンを測る指標。(収益率−無リスク金利)÷標準偏差で計算し、大きいほど効率的。
  • 期待収益率:将来得られる収益を確率加重平均した数値。投資の「平均的なもうけ」を示す。
  • 無リスク金利:理論上リスクがゼロの資産(例:短期国債)で得られる利回り。比較基準として使う。
  • ポートフォリオ:複数資産を組み合わせた投資の集合体。リスク分散の基本単位。
  • 分散投資:「卵は1つのかごに盛るな」の原則。相関が低い資産を組み合わせリスクを抑える手法。
  • システマティックリスク:市場全体に伴う避けられないリスク。β(ベータ)で測定される。
  • 非システマティックリスク:個別企業や業種に固有のリスク。分散投資で低減できる。
  • 正規分布:平均値を中心に左右対称の釣鐘形分布。標準偏差±1σに約68%のデータが収まる。
  • 加重平均:各要素に重み(割合)を掛けて平均を求める方法。ポートフォリオの期待収益率計算に使う。
  • 2資産ポートフォリオの標準偏差:2資産のリスクと相関係数を用いて求めるポートフォリオ全体のリスク指標。

ファイナンシャルプランナーの勉強に関する無料相談、随時受付中!

ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。当ブログでは、ファイナンシャルプランナー試験に関するあらゆるお悩みにお応えします。

無料とはいえ、もちろんファイナンシャルプランナー試験の資格の保有者である著者が直接お答えさせていただきます。

初学者から再受験を目指す方まで幅広く対応していますので、どうぞお気軽にご相談ください。無料で学習のコツやスケジュールの立て方などをアドバイスさせていただきます。あなたの合格を全力でサポートいたしますので、一緒に合格への最短ルートを走り抜きましょう!FP試験に関する無料相談はこちら

ABOUT ME
アバター画像
松田 悠志
㈱ビーシアップ代表。宅建士・FP2級。人材採用・営業・Webマーケ・資産形成を支援し、採用コンサルやマネープラン相談も対応。株12年・FX7年のスイングトレーダー。ビジネス・投資・開運術を多角的に発信し、豊かな人生を後押しします。