2月14日(金)の日本株式市場は、前日の大幅高からの反動や円高進行への警戒感が強まり、日経平均株価が4日ぶりに反落しました。ここでは、主要株価指数の動きや市場全体の状況、業種・個別銘柄の値動き、そして注目の「ホンダ(7267)」に関するトピックスを整理し、明日の投資判断に役立つポイントをまとめます。
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今日の株価概況:日経平均は4日ぶりに反落
今日の株価概況
- 日経平均株価:39,149.43円(前日比 -312.04円)
- TOPIX:2,759.21(前日比 -6.38)
- JPX日経インデックス400:24,693.90(前日比 -4.72)
前日の米国市場が上昇した流れを受けて、寄り付きはやや高く始まりましたが、円高進行への警戒や前日までの株高に対する利益確定売りが優勢となり、日経平均は下げ幅を拡大。大引けにかけても売りが続き、最終的に312円安で4日ぶりの反落となりました。TOPIXやJPX日経インデックス400も小幅安で推移しており、利益確定売りとセクター間の循環物色が同時に進んだ印象です。
日経のチャート分析

日経平均について見ていきます。未だレンジ相場が続いており、エントリーしにくい状況です。40,000円ジャストで推移しており、下値は38,000円前後で抑えられて動きがほとんどありません。このような状況下では、個別銘柄によって上昇するもの、下降するもの、横ばいのものなど、さまざまな動きが混在します。それぞれが個別に動いているため、トレンドを捉えにくく、悩ましい相場と言えるでしょう。こんな時は無理をする必要はありません。
市場全体の取引状況:値下がりがやや優勢
本日の東証プライム市場の出来高は約82億株、売買代金はおよそ3兆円超と推定されます。決算シーズン最終盤のため、決算内容を受けて大きく上昇または下落する銘柄が目立ちました。
- 値上がり数・値下がり数:全体では値下がり銘柄数のほうがやや多い状況
- 出来高上位:NTT(9432)やジャパンディスプレイ(6740)、日産自動車(7201)が出来高上位にランクイン
- 値上がり率上位:高砂香料工業やライオンが好決算・増配を材料に急騰
- 値下がり率上位:ミガロホールディングスなど減益決算を嫌気して急落
全体としては、前日の大幅上昇分を調整するような動きと、円高進行が輸出関連セクターに重くのしかかったことが相まって、日経平均の上値が抑えられた格好です。
業種別の動向
本日は以下のように業種ごとで明暗が分かれました。
- 繊維製品・医薬品:円安一服で採算性向上が期待される繊維株や、新薬開発の進展が伝わった医薬品株が堅調。
- 非鉄金属・サービス:中国経済の減速懸念や利益確定売りに押され、値下がりが目立ちました。
- バリュー株中心の買い:TOPIXが日経平均に比べ下げ幅が小さいのは、バリューや金融セクターに買いが入ったため。
このように、個人投資家・機関投資家ともに「業績の裏付け」や「相対的な割安感」を重視する動きが続いていると見られます。
今日の注目銘柄:ホンダ(7267)
本日特に注目を集めたのが、ホンダ(7267)です。四輪車や二輪車、パワープロダクツ、さらには航空機「HondaJet」など多角的に事業を展開し、国内外の投資家から常に注目される企業です。本日の終値は以下の通りです。
- 終値:1,469.5円(前日比 +35.5円 / +2.48%)
- 高値:1,498.0円、安値:1,464.5円
- 出来高:37,236,700株、売買代金:約55,093,603千円
4-1. 決算内容
ホンダは2月13日に2025年3月期 第3四半期決算を発表。売上収益が前年同期比8.9%増と好調で、営業利益も5.9%増と底堅い数字を示しました。ただし、累計最終利益は前年同期比7.4%減となっており、中国やアジア地域での四輪販売が伸び悩んだ影響がうかがえます。一方、二輪車は世界販売台数1,550万台の勢いで、過去最高更新を狙う状況です。
4-2. 経営統合協議「白紙化」のニュース
一部報道によると、ホンダと日産の経営統合協議が白紙に戻ったことで、ホンダが単独で成長戦略を加速させるのでは、という見方が浮上。日産を子会社化する提案に日産側が反発したという背景もあり、両社間の協議は決裂した模様です。これをポジティブに捉える投資家もおり、ホンダの株価にはプラス材料とされました。
4-3. 財務指標と割安感
- PER:約7.34倍(自動車業界平均よりやや低め)
- PBR:0.52倍(解散価値下回り)
- ROE:9.27%(まずまずの収益性)
- 配当利回り:約4.63%(高配当水準)
PBRが0.52倍というのは市場評価が低いとも言えますが、同時に「割安株」としての魅力も感じさせます。今後、電動化戦略の進展や二輪事業の好調持続が確認されれば、バリュエーション見直しが進む可能性も考えられます。

ホンダのチャートについて見ていきます。緩やかな下降トレンドから、5日線、75日線を上抜け、さらに25日線にも乗っかるような流れとなりました。
ちょうどこの位置で出来高が溜まっているため、上に抜けるなり、下に抜けるなり、方向性が定まったら一気に展開していきそうなチャートです。
日産との話にも決着がついたので、これからとても楽しみな銘柄の1つです。
今晩の米国市場の注目ポイント
1. 経済指標
22:30(日本時間)
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1月の小売売上高
- 前回:-0.1%
- 今回予想:0.0%
- ここ数カ月、米国の個人消費に減速感が見られており、景気の方向性を占う重要指標として注目されています。小売売上高が市場予想より強ければ、FRBの追加利上げ継続観測が高まる可能性があります。一方、弱ければ利上げ停止または利下げへの期待が再燃し、株式市場にプラス材料となる場合があります。
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輸入物価指数(同時刻)
- 輸入品の価格変動を示し、インフレ動向を推し量るうえでもチェックすべきデータ。予想以上に上昇すると、インフレ懸念が高まる可能性も。
2. 企業決算
今晩は、以下の企業の決算発表が予定されています。いずれも米国市場に直接上場しているわけではありませんが、医薬品セクターの動向や、新興市場(インド)の消費トレンドを占ううえで参考になる可能性があります。
- グレンマーク・ファーマシューティカルズ
- グラクソスミスクライン・ファーマシューティカルズ
- イージー・トリップ・プランナーズ
これら製薬・旅行サービス企業の決算内容次第では、アジア新興国(特にインド)市場への投資マインドに影響を与えるかもしれません。
3. 市場環境
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S&P500
- 現在、6,100ポイント付近で推移(20日・50日移動平均線の上をキープ)。
- ここ数週間、インフレ指標とFRBの利上げペースを巡る思惑が交錯し、ボラティリティがやや高まりつつあります。小売売上高が予想を大きく上回れば、一時的な利上げ観測強化→ハイテク株中心に調整、というシナリオも。
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トランプ大統領の関税政策
- 相互関税に関する大統領令への署名などが報じられており、具体的な内容・発動時期が不透明な状況。
- 輸出関連企業への心理的な圧迫要因となっており、発表内容次第で市場の変動性が一段と高まる可能性があります。
インド市場の動向
1. GIFT Nifty先物と主要指数
- GIFT Nifty先物:+88ポイント高の23,195で取引
- センセックス:76,138.97
- ニフティ50:23,031.40
インド株式市場は、世界的な経済回復への期待とインド国内の堅調な消費需要を背景に、上昇傾向を維持しています。特にITセクターや消費関連企業への投資が集まりやすい環境が続いており、今後の経済指標や新興国への資金フローが継続するか注目されます。
今後の見通しと日本株への影響
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米国小売売上高の結果
- 予想を上回る数字 → FRBの利上げ継続観測 → 長期金利上昇 → 一時的にハイテク株売りが出る可能性。ただしドル高が進む場合は、円安メリットで輸出株(自動車・機械など)に追い風となり、日本株にはプラスに働くシナリオも。
- 予想を下回る数字 → 利上げ停止・ペースダウン観測 → 株式市場全体に買いが入りやすい。しかしドル安・円高に振れれば、日本の輸出銘柄にはネガティブ要因となる。
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トランプ大統領の関税政策発表
- 具体的な対象品目や発動時期が明確化すれば、グローバルなサプライチェーンに影響が及び、日本の輸出企業株価が揺さぶられる可能性。
- 発動が先送りされる、あるいは規模が限定的なら、リスク後退として市場に安心感を与えるかもしれません。
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インド市場の堅調さ
- インドのGIFT Nifty先物が堅調に推移しているのは、新興国マーケットへの資金流入継続を示唆。一部の日本企業にとっても、インド市場が中期的な成長ドライバーとなる期待が高い。
- 製薬やIT分野への需要が伸びれば、アジア地域での日本企業展開にもプラス効果があるか注視したいところ。
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全体的なセンチメント
- 今週は米経済指標(特に小売売上高)と関税政策が大きなテーマ。
- S&P500が節目の6,100ポイント付近を維持できるか、NY市場の引け後にNASDAQやダウ平均が大きく変動するようなら、翌日の東京市場にも高ボラティリティが波及しうる。
週明けのトレード戦略:ポイントまとめ
週明けの日本株市場で注目すべきポイントを箇条書きで整理します。
- 日経平均の下値メド:39,000円前後を割り込むとテクニカル的に売りが加速する恐れあり。
- ホンダの動向:本日の上昇で1,500円台を伺う展開も。二輪好調と独自路線への期待継続か、あるいは利益確定売りに押されるか注視。
- 決算シーズン終盤:まだ一部の企業が決算を控えており、個別銘柄の値動きが激しい。好決算銘柄への物色が続くか。
- 米国CPI・PPI結果の影響:インフレ高止まりなら米株下落→ドル安・円高リスク。日経平均の重しとなる可能性。
- リスク管理:急落リスクに備えたロスカット設定は必須。海外要因でボラティリティが高まりやすい状況は継続。
円高が一時的に強まるようなら輸出銘柄の一部は売られやすくなりますが、その分内需株やバリュー株へ資金が流れるシナリオもありえます。流れを見極めるためにも、朝方の先物・為替の動きをチェックすることが欠かせません。
まとめ
2月14日(金)の日本株式市場は、前日までの大幅高の反動と円高警戒感、そして一部決算銘柄への失望売りなどが重なり、日経平均株価は4日ぶりに反落しました。輸出関連やサービス業などが軟調に推移する一方、好決算銘柄やバリュー株には物色が向かうなど、セクター間で明暗が分かれた一日となっています。
そんな中で注目銘柄「ホンダ(7267)」は好調な決算と二輪事業の伸び、そして日産との統合協議白紙化による独自戦略への期待感が株価を支える形で大幅上昇しました。PBR0.52倍という割安感や高配当利回りも魅力として再認識され、個人投資家・機関投資家からの買いが集まった可能性があります。
今後の焦点は、今晩の米国株式市場におけるCPI・PPIなどインフレ指標の結果や、米長期金利の動向です。インフレが予想以上に強ければFRBの利上げ観測が後退しづらく、世界的な株式市場のセンチメントに影響を及ぼすかもしれません。また、関税政策や米企業決算も注目される要素です。これらが明日の日本市場でのリスクオン・リスクオフを左右する可能性があるため、投資家の皆さんは夜間のニュースをこまめにチェックしながら、リスク管理を徹底していきましょう。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断は、必ずご自身の責任と判断で行ってください。