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【FP試験】純損失・雑損失の繰越控除と繰戻還付を3ステップで完全攻略!

FP試験の頻出論点『純損失・雑損失の繰越控除と繰戻還付』に苦手意識はありませんか?この記事では、最新の出題傾向、図解や語呂合わせを使った覚え方、過去問のひっかけパターンまでプロが徹底解説。タックス分野の得点源に変える具体的な勉強法と攻略法を6000字超で伝授します。

ファイナンシャルプランナー(FP)試験の学習において、数ある科目の中でも、多くの受験生が「ややこしい…」「数字や要件が覚えられない…」と頭を悩ませるのが、タックスプランニング分野の「純損失や雑損失の繰越控除と繰戻還付」ではないでしょうか。

「純損失と雑損失って何が違うの?」
「繰越控除と繰戻還付の条件がごちゃごちゃになる…」
「過去問でいつもひっかけ問題に引っかかってしまう」

もしあなたが一つでも当てはまるなら、この記事はあなたのためのものです。
この論点は、FP試験の合格を左右する重要な得点源でありながら、対策が後回しにされがちな分野。しかし、正しい知識と攻略法さえ知っていれば、誰でも確実にマスターできます。

Contents

記事を読むと得られるメリット

  • 純損失・雑損失・繰越控除・繰戻還付の複雑な制度の違いが、図解や表でスッキリ整理できる
  • 「3年」「青色申告」など、頻出する数字や要件を忘れない最強の暗記術が身につく
  • 過去問の「よくあるひっかけパターン」を瞬時に見抜けるようになり、ケアレスミスを防げる
  • 具体的な学習計画を立て、苦手分野を得点源に変える自信がつく

今回は、圧倒的な情報量で「純損失・雑損失」のすべてを解説します。試験本番でライバルに差をつけるための知識を、ぜひこの記事で手に入れてください!

FP試験における「純損失や雑損失の繰越控除と繰戻還付」の超重要性

まず、なぜこの論点がFP試験でこれほど重要視されるのかを知っておきましょう。

結論から言うと、「全級で安定して出題される、合否を分ける頻出論点」だからです。

日本FP協会の試験問題や過去問の分析データを見ても、3級から1級まで、学科・実技を問わず形を変えて繰り返し出題されています。

特に、2020年以降は新型コロナウイルスの影響で事業所得に損失を抱える個人事業主が増えたこともあり、実務上の重要性が高まりました。FPとして顧客に適切なアドバイスをする上で必須の知識であるため、試験でもその理解度が厳しく問われる傾向にあります。

つまり、この分野を攻略することは、単なる試験対策に留まらず、将来FPとして活躍するための土台作りにも繋がるのです。

ゼロから理解!ファイナンシャルプランナー試験のための「純損失・雑損失」基本のキ

「そもそも純損失と雑損失の違いが曖昧…」という方、ご安心ください。ここですべてクリアにしましょう。この2つの損失は、発生原因と救済の対象者が全く異なります。

純損失とは?【事業の赤字は青色申告で救済】

純損失とは、簡単に言うと「事業などで発生した赤字」のことです。
具体的には、以下の4つの所得(損益通算の対象所得)で損失(赤字)が生じ、給与所得など他の黒字所得と相殺(損益通算)しても、まだマイナスが残ってしまった場合の、その残りの損失額を指します。

  • 動産所得
  • 業所得
  • 林所得
  • 渡所得

具体例:個人事業主Aさんのケース年間売上が500万円、経費が600万円かかった場合、事業所得は100万円の赤字です。Aさんに他の所得がなければ、この100万円が「純損失」となります。

この純損失に関する救済措置は、真面目に帳簿をつけている「青色申告者」への特典という位置づけです。

雑損失とは?【災害や盗難は誰でも救済】

一方、雑損失は「予期せぬ災害や犯罪による損失」を指します。
事業の赤字とは全く異なり、個人の生活資産に降りかかった災難に対する救済措置です。

  • 災害(震災、風水害、火災など)
  • 盗難
  • 横領

具体例:会社員Bさんのケース台風で自宅の屋根が壊れ、修理に50万円かかった。この50万円は「雑損失」の基になります。(厳密には、ここから保険金などを差し引いた額が対象)

この雑損失に関する救済措置は、予測不能な災難に見舞われた国民を広く救うための制度なので、青色申告者か白色申告者かは問いません。

最重要ポイント!純損失と雑損失の決定的な違いを一覧表で整理

FP試験で問われるのは、まさにこの2つの違いです。以下の表で頭を完璧に整理しましょう。ここが理解できれば、学習効率は一気に跳ね上がります。

項目 純損失 雑損失
原因 事業の赤字など 災害、盗難、横領
対象者 青色申告者のみ 青色・白色問わない
繰越控除 3年間 3年間
繰戻還付 あり なし

この表の赤字部分が、試験で最も狙われるポイントです。特に「雑損失は青色申告者でなくてもOK」「雑損失に繰戻還付はない」という2点は絶対に覚えてください。

【FP試験対策】純損失や雑損失の「繰越控除」と「繰戻還付」を徹底解剖

次に、損失をどう処理するのか、2つの制度「繰越控除」と「繰戻還付」を詳しく見ていきましょう。

未来の税金を減らす「繰越控除」の仕組み

繰越控除は「今年使い切れなかった赤字を、来年以降の黒字と相殺して税金を安くする」制度です。時系列で言うと、未来に向かって損失を持ち越すイメージです。

繰越控除のイメージ2023年:100万円の赤字(純損失)が発生
↓ 損失を繰り越す
2024年:300万円の黒字が出た!
→ 去年の赤字100万円と相殺して、課税対象は200万円に減額!

純損失の繰越控除の要件

  • 対象者:青色申告者のみ
  • 繰越期間:損失が発生した年の翌年以後3年間
  • 申告要件:損失が発生した年に青色申告書を提出し、その後も連続して確定申告書を提出する必要がある(その後の申告は白色でもOK)

雑損失の繰越控除の要件

  • 対象者:青色・白色を問わない
  • 繰越期間:損失が発生した年の翌年以後3年間
  • 申告要件:損失が発生した年以後、連続して確定申告書を提出する必要がある
ポイント!
繰越期間は、純損失も雑損失も「3年間」です!FP試験では「5年」や「7年」といったひっかけ選択肢が頻出しますが、個人所得税では「3年」と覚えておきましょう。(法人税の欠損金繰越は10年なので混同しないように!)

過去の税金を取り戻す「繰戻還付」の仕組み

繰戻還付は「今年の赤字を、去年払った税金から取り戻す」制度です。時系列で言うと、過去に遡って税金の還付を受けるイメージです。

この制度は、資金繰りが悪化しがちな中小企業や個人事業主を救済する目的が強いため、適用条件が厳しくなっています。

繰戻還付のイメージ2023年:100万円の黒字が出て、所得税を納付した。
2024年:200万円の赤字(純損失)が発生してしまった…
→ 今年の赤字を去年の黒字と相殺!払い過ぎた2023年分の税金が戻ってくる!

純損失の繰戻還付の要件

  • 対象者:純損失のみ(雑損失にはこの制度はありません!)
  • 申告要件損失が発生した年(当年)と、その前年の両方で青色申告書を提出していること
  • 手続き:確定申告期限内に「純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書」を提出する必要がある
注意!
繰戻還付で最も重要なのが「前年も青色申告」という条件です。繰越控除は損失発生年だけでOKでしたが、繰戻還付は前年も青色であることが必須です。この違いは試験で必ず狙われます。

根拠も知って理解を深める!関連する法律(所得税法)

これらの制度は、すべて法律で定められています。知識の信頼性を高めるために、根拠となる条文も軽く知っておくと理解が深まります。

  • 純損失の繰越控除:所得税法 第70条
  • 雑損失の繰越控除:所得税法 第71条
  • 純損失の繰戻還付:所得税法 第140条~第142条

より詳しい情報を確認したい方は、国税庁のタックスアンサー「純損失の繰越控除」「災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」のページが参考になります。

ファイナンシャルプランナー試験の過去問から分析!「純損失・雑損失」の出題傾向とひっかけパターン

理論をインプットしたら、次は敵(試験問題)を知る番です。過去問を分析すると、出題者の「ワナ」が見えてきます。

【級別】近年の出題実績まとめ

資料にある通り、この論点は各級でコンスタントに出題されています。

  • FP3級:繰越期間の年数(3年か5年か)を問う正誤問題が頻出。
  • FP2級:純損失と雑損失の適用要件の違いを問う問題や、実技で繰戻還付の申告期限を問う問題など、より実践的な内容が増える。
  • FP1級:法人税の欠損金繰越との違いや、複数の繰越損失がある場合の控除順序など、より複雑で詳細な知識が問われる。

級が上がるにつれて問われる知識の深さが変わりますが、基礎となる「純損失と雑損失の違い」「繰越期間」「繰戻還付の要件」は全級共通の重要ポイントです。

受験者が9割ハマる!頻出ひっかけ選択肢TOP3

過去問を徹底分析して見えてきた、受験生が間違いやすい「ひっかけ選択肢」を3つご紹介します。これを知っているだけで、本番での失点を劇的に減らせます。

パターン1:繰越期間の数字マジック

【ひっかけ例】「青色申告者である個人事業主は、事業所得の金額の計算上生じた純損失の金額を、その損失が生じた年の翌年以後、5年間にわたって繰り越して控除することができる。」(2022年9月 FP3級 問20などを改題)

→ 正解は「3年間」です。「5年」という数字は、どこかで聞いたことがあるような気がして、つい選んでしまいがち。これは絶対に「3年」と覚えてください。

パターン2:適用要件のすり替え

【ひっかけ例】「雑損失の繰越控除は、青色申告者に限り、その適用を受けることができる。」(2014年5月 FP2級 問33などを改題)

→ 正解は「青色・白色を問わない」です。「繰越控除=青色申告者の特典」という大雑把な覚え方をしていると、このワナにハマります。「雑損失」は災害救済なので誰でもOK、と正確に区別しましょう。

パターン3:繰戻還付の条件緩和

【ひっかけ例】「純損失の繰戻還付は、損失が生じた年分について青色申告書を提出していれば、その前年分が白色申告であっても適用を受けることができる。」

→ 正解は「前年も青色申告である必要がある」です。「前年も」という細かい条件を見落としがちですが、ここが繰越控除との大きな違いであり、出題者が狙うポイントです。

解答力を上げる!過去問を解く際の思考プロセス

ひっかけ問題に打ち勝つためには、問題を解く際の「思考のクセ」を身につけることが重要です。

  1. 問題文の主語を確認:問われているのは「純損失」か「雑損失」か?「青色申告者」か「白色申告者」か?まず主語に丸をつけましょう。
  2. キーワードに印をつける:文章中の「3年間」「5年間」といった数字や、「~に限り」「~にかかわらず」「~及び~」などの限定・接続詞に線を引きます。ここが正誤の分かれ目になることが多いです。
  3. 消去法で絞り込む:「これは絶対に違う」と断言できる選択肢から消していくことで、正答率が上がります。

この3ステップを意識するだけで、ケアレスミスが減り、冷静に問題と向き合えるようになります。

FP試験合格者が実践!「純損失・雑損失」を忘れない最強の勉強法&暗記術

ここからは、この複雑な論点を脳に刻み込むための具体的な勉強法をご紹介します。

ステップ1:まずは全体像をインプット(動画・テキスト活用)

いきなり暗記しようとせず、まずは全体像を「イメージ」で掴むことが大切です。

超おすすめ動画リソースYouTubeの「ほんださん/東大式FPチャンネル」は、多くの合格者が絶賛する鉄板教材です。特に以下の動画は、なぜそのような制度になっているのかという「本質」から解説してくれるため、丸暗記が苦手な方に最適です。

テキスト学習では、図解やイラストが豊富なものを選びましょう。『合格のトリセツ』シリーズや『史上最強のFPテキスト』などが人気です。

ステップ2:記憶に定着させる暗記術(語呂合わせ&白紙再現法)

全体像を掴んだら、次は試験で使える知識として定着させるフェーズです。

使える語呂合わせ

  • 損益通算の対象所得「富士山上(ふじさんじょう)」動産、業、林、渡)
  • 繰越と繰戻の期間「さん(3)ねん みらい(繰越)、いち(1)ねん むかし(繰戻)」
  • 純損失の繰越控除の申告「青色で始まり、白でも続く」(初年度は青色必須、その後は白色でも確定申告を続ければOK)

最強アウトプット術「白紙再現法」

これは非常に効果的な学習法です。

  1. 何も見ずに、真っ白な紙を用意します。
  2. 「純損失と雑損失の繰越控除・繰戻還付」について、自分が覚えていることをすべて書き出します。(表形式で書くのがおすすめ)
  3. 書き終わったら、テキストやこの記事と見比べて、抜けていた部分や間違っていた部分を赤ペンで追記します。

これを繰り返すことで、自分がどこを理解できていないかが明確になり、知識の穴を効率的に埋めることができます。

ステップ3:知識を確実にするアウトプット(過去問演習)

インプットと暗記術で知識を仕入れたら、すぐに過去問を解いて実践力を養いましょう。知識は使わないと錆びついてしまいます。間違えた問題は、なぜ間違えたのかを必ず分析し、解説を読んで納得するまで繰り返すことが重要です。

税金分野全体の攻略法については、こちらの記事もぜひ参考にしてください。

【おすすめ記事】FP試験「税金」超徹底攻略!初心者から最短合格へ導く決定版ガイド

スキマ時間を制する!おすすめ学習アプリ

通勤時間や休憩時間などのスキマ時間を活用できる学習アプリも強力な味方です。
「スマ学FP3級」や「STUDYing」などのアプリは、一問一答形式で手軽に知識を確認でき、AIによる復習機能で効率的に記憶を定着させてくれます。

FP試験「純損失・雑損失」対策のための具体的学習スケジュール

最後に、この論点をいつ、どのように学習計画に組み込むか、具体的なモデルケースをご紹介します。

モデルケース:3ヶ月でFP2級合格を目指す学習計画

  • 1ヶ月目:基礎固め期
    タックスプランニングの学習を開始。まずは所得税の10種類の所得や所得控除、税額控除といった全体の仕組みを理解します。この段階ではまだ純損失には深入りしません。
  • 2ヶ月目:重点学習期
    所得税の応用論点として「損益通算」を学習します。その直後に、損益通算とセットで「純損失・雑損失の繰越控除と繰戻還付」を学びます。流れで学習することで、知識が繋がりやすくなります。この時期から過去問演習を本格化させましょう。
  • 3ヶ月目:直前対策期
    全科目の総復習と並行して、これまで間違えた問題を繰り返し解きます。特に「ひっかけパターン」をまとめたノートを見返し、同じミスをしないように最終チェックを行います。

学習全体の進め方に不安がある方は、以下の完全攻略ガイドが役立ちます。

【おすすめ記事】独学でも最短合格!FP試験の“合格率を劇的に上げる”完全攻略ガイド:学習スケジュールから過去問活用まで徹底解説

学習の効率を上げる時間管理術「ポモドーロ・テクニック」

集中力が続かない方には、「25分集中して学習→5分休憩」を1セットとして繰り返す「ポモドーロ・テクニック」がおすすめです。暗記が多いタックス分野では、短時間集中を繰り返すことで記憶の定着率が上がると言われています。

モチベーションを維持するコツ

長い試験勉強では、モチベーションの維持が不可欠です。「合格してクライアントに的確なアドバイスをする自分」を想像したり、SNSで同じ目標を持つ仲間と励まし合ったりするのも良いでしょう。時には合格者の体験記を読んで、「自分もこうなれるんだ!」と士気を高めるのも効果的です。

もっと深く知りたい方へ:関連知識と実務での活用イメージ

試験範囲を少し超えますが、関連知識や実務での活用イメージを持つと、学習の意義が深まります。

他の繰越控除との違い(上場株式等、居住用財産の譲渡損失)

FP試験では、他にも「上場株式等の譲渡損失の繰越控除」や「居住用財産の譲渡損失の繰越控除」といった制度が登場します。これらは純損失とは異なり、損益通算できる所得の範囲が限定されていたり、所得制限があったりします。それぞれの制度の違いを意識することで、より知識が立体的になります。

実務ではどう使う?FPとしての活かし方

この知識は、FPとして独立したり、顧客相談に乗ったりする際に非常に役立ちます。

  • 個人事業主のクライアント:「今年は赤字でしたが、青色申告をすれば来年以降3年間、税金を安くできますよ」とアドバイスできる。
  • 災害に遭った顧客:「大変でしたね。雑損控除という制度を使えば、税金の負担を軽くできます。申告のお手伝いをしますよ」と寄り添える。

このように、試験勉強は未来のあなたへの投資そのものなのです。

まとめ:もう「純損失・雑損失」は怖くない!

長い記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
最後に、この記事の最重要ポイントをもう一度おさらいしましょう。

  • 純損失と雑損失の最大の違い:純損失は「事業の赤字」で青色申告者の特典。雑損失は「災害など」で誰でもOK。
  • 繰越控除の期間:どちらも「3年間」。5年や7年はひっかけ!
  • 繰戻還付の条件「純損失」のみ適用可能。かつ「前年も当年も青色申告」が必須。雑損失にはない!
  • 頻出ひっかけパターン「期間の数字」「適用要件のすり替え」「繰戻還付の条件」に集中している。
  • 最強の学習法:「インプット(動画・テキスト)→ 暗記術(語呂・再現法)→ アウトプット(過去問)」のサイクルを回すこと。

「純損失や雑損失の繰越控除と繰戻還付」は、一見すると複雑で難解に思えるかもしれません。しかし、一つひとつのルールを分解し、違いを明確に整理すれば、必ず得意分野に変えることができます。

この記事が、あなたのFP試験合格への確かな一歩となることを心から願っています。ぜひこの記事をブックマークして、試験直前の見直しにもご活用ください。

あなたの挑戦を応援しています!


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オリジナル練習問題

問題1 青色申告と純損失の繰越期間

期限内申告の青色申告者が生じた純損失は、翌年以後三年間にわたって各年分の総所得金額から控除できる。
【解答】◯
【解説】個人所得税における純損失の繰越控除は、青色申告書を期限内に提出した場合のみ適用され、期間は最長三年。青色申告要件と期限内申告が満たされていることが前提条件。

問題2 白色申告者の純損失繰越

白色申告者であっても、期限内申告をしていれば純損失の繰越控除を受けられる。
【解答】×
【解説】純損失の繰越控除は青色申告者に限定される。白色申告者には適用されない。

問題3 雑損失と申告の色

災害・盗難・横領による雑損失は、青色申告か白色申告かにかかわらず繰越控除の対象となる。
【解答】◯
【解説】雑損失の繰越控除は申告の色を問わず適用可能で、翌年以後三年間控除できる。

問題4 純損失の繰戻還付請求期限

青色申告者は、純損失が生じた年の翌年以後二年間に限り、前年度への繰戻還付を請求できる。
【解答】×
【解説】純損失の繰戻還付は、青色申告者が損失が生じた年の確定申告期限から一年以内に請求する。期間は「一年以内」であり、二年ではない。

問題5 給与所得の赤字と純損失

給与所得で源泉徴収税額よりも経費が上回って赤字が生じた場合、その赤字は純損失として繰越できる。
【解答】×
【解説】純損失に算入できるのは事業、不動産、山林などの所得の赤字であり、給与所得の赤字はそもそも認められないため繰越は不可。

問題6 損失控除の順序

純損失が発生した年分では、当年分の各種所得から控除しきれなかった残額のみが繰越控除の対象となる。
【解答】◯
【解説】まず当年分の総所得から控除し、なお控除しきれない部分が繰越・繰戻の対象となる。

問題7 繰戻還付と繰越控除の併用

同一の純損失について、繰戻還付を受けた残額をさらに翌年以後に繰越控除することはできない。
【解答】×
【解説】繰戻還付に充当した部分はすでに控除済みのため二重適用はできないが、前年所得を上回る未充当の損失額が残る場合には、翌年以降3年間の繰越控除が認められる(所法70①)。

問題8 雑損失繰戻還付の要件

雑損失による繰戻しを請求する場合、前年度に所得金額がゼロであっても還付を受けられる。
【解答】×
【解説】前年度に所得がなければ充当する税額が存在しないため、繰戻還付は発生しない。

問題9 繰越控除の適用漏れ

繰越控除を適用すべき年に控除を失念しても、法定申告期限後五年以内であれば更正の請求で控除できる。
【解答】×
【解説】繰越控除は申告書への記載が要件。申告時に控除しなかった場合、その年分については権利喪失となり、更正の請求でも適用できない。

問題10 盗難損失と雑損失控除

自宅の家財が盗難に遭い損失が生じた場合、その損失は雑損控除の対象とされ、繰越控除も可能である。
【解答】◯
【解説】盗難による損害は「災害等」に該当するため雑損控除の対象。控除しきれない残額は翌年以後三年間の繰越控除が認められる。

よくある質問

  • Q. 純損失と雑損失の最大の違いは?
    A. 純損失は青色申告者のみが対象で事業所得などの赤字が原因、雑損失は申告方式を問わず適用でき災害・盗難などによる損失が対象です。
  • Q. 繰越控除の期間は本当に3年間だけ?
    A. 原則3年間です。法人税の欠損金(10年)や住宅ローン控除の期間と混同しやすいので注意してください。
  • Q. 繰戻還付はいつ使えばいい?
    A. 損失が発生した年と前年の両方で青色申告書を提出している場合に、前年の所得税を取り戻すために活用できます。
  • Q. 雑損失には繰戻還付がないの?
    A. ありません。雑損失は繰越控除のみで繰戻還付の制度は設けられていません。
  • Q. 損失の繰越控除を受けるための申告手続きは?
    A. 損失が生じた翌年以後も連続して確定申告書を提出する必要があります。青色申告の継続は要件ではありません。
  • Q. 効率よく得点源にする勉強法は?
    A. FP試験の完全攻略ガイドで紹介している「白紙再現法」と過去問のパターン分析が最短ルートです。
  • Q. さらに詳しく学ぶには?
    A. 国税庁タックスアンサーの制度解説や、東大式FPチャンネルの解説動画が理解を深めるのに役立ちます。

参考サイト

初心者のための用語集

  • 純損失 ─ 事業所得などの赤字が他の所得と相殺しきれずに残った損失。青色申告者のみが翌年以降3年間繰り越して控除できる。
  • 雑損失 ─ 災害や盗難などで被害を受けた住宅・家財の損失額。申告方法を問わず3年間繰り越し控除が可能。
  • 繰越控除 ─ ある年に控除しきれなかった損失を、翌年以降に繰り越して所得から差し引く制度。
  • 繰戻還付 ─ 損失が発生した翌年度ではなく前年の所得にさかのぼって控除し、払い過ぎた税金を還付してもらう制度。
  • 損益通算 ─ 同一年内で黒字の所得と赤字の所得を相殺(通算)して所得税の負担を軽減する仕組み。
  • 青色申告 ─ 一定の帳簿付けを行うことで特別控除や損失繰越などの優遇措置を受けられる申告方法。
  • 雑損控除 ─ 雑損失をその年の所得から差し引く制度。控除しきれない分が「雑損失の繰越控除」となる。
  • 欠損金 ─ 法人税で用いられる用語で、会社の赤字のこと。個人の純損失と混同しないよう注意。
  • ポモドーロテクニック ─ 25分集中+5分休憩を1セットとし、短時間集中を繰り返す学習法。
  • 白紙再現法 ─ 参考書を見ずに紙へ制度の概要を再現して書き出し、理解度をチェックするアウトプット学習法。

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松田 悠志
㈱ビーシアップ代表。宅建士・FP2級。人材採用・営業・Webマーケ・資産形成を支援し、採用コンサルやマネープラン相談も対応。株12年・FX7年のスイングトレーダー。ビジネス・投資・開運術を多角的に発信し、豊かな人生を後押しします。