この記事では、来週（2025年5月5日～）のドル円相場について、明日からのトレード判断に役立つ情報を網羅的に解説します。
Contents
この記事を読むメリット
- 最新のファンダメンタルズ・テクニカル分析に基づいたドル円の動向がわかる
- デイトレ～2週間程度のスイングトレードを想定した具体的な売買シナリオ（エントリー、損切り、利確）がわかる
- 注目すべき経済指標やイベント、重要な価格帯を把握できる
- リスク管理のポイントを押さえ、冷静なトレード判断ができるようになる
先週は日銀金融政策決定会合後の円安進行と、米雇用指標の交錯する結果を受け、ドル円は一時145円台後半まで上昇後、144円台へ反落するなど不安定な動きを見せました。来週はFOMC（米連邦公開市場委員会）という最重要イベントを控えており、その結果次第で新たなトレンドが発生する可能性があります。この記事を参考に、冷静かつ戦略的なトレードプランを立てていきましょう。
結論・来週のドル円FX 注目ポイント
- 最重要イベント： 5月6日～7日開催のFOMCと政策金利発表（日本時間8日午前3時）。声明文とパウエル議長会見に注目。
- その他注目イベント： 5日 米ISM非製造業景況指数、9日 FRB理事複数名の講演、日本 景気動向指数。
- ファンダメンタルズ： 日銀の追加利上げ慎重姿勢は円安要因。一方、米国の弱い経済指標や通商政策への懸念はドル売り・円高要因。FRBの金融政策スタンスが鍵。
- テクニカル： 週足・日足は下降トレンド継続の可能性も、4時間足では上昇トレンドへ転換中。短期的には押し目買い狙い。
- 重要価格帯（上値）： 145円手前、145.9円台（直近高値付近）、148円台。
- 重要価格帯（下値）： 144円付近（心理的節目）、143.8円付近（4時間足の押し目候補）、141.8円台（下値目途）。
- トレード戦略： トレンドフォローを基本とし、4時間足の上昇トレンドに沿った押し目買いを主軸に検討。ただし、FOMCの結果次第ではトレンド転換も視野に入れる必要あり。
ファンダメンタルズ分析：先週の振り返りと今週の重要イベント
先週（4月27日～5月4日）のドル円相場は、日米の金融政策と経済指標に大きく揺さぶられました。今週のトレード戦略を練る上で、これらの要因をしっかり把握しておくことが重要です。
先週の重要ニュース・経済指標（4月27日～5月4日）
- 4月30日(水) 21:15 米4月ADP雇用統計：予想下回る
結果：+6.2万人（予想 +11.5万人）—昨年7月以来で最も低い伸び。
影響：ドル売りが強まり、ドル円は143.00円付近から142.80円へ下落。
出典：Reuters - 5月1日(木) 21:30 米新規失業保険申請件数：予想を大幅に上回る
結果：24.1万件（予想 22.4万件）。継続申請件数も2021年11月以来の高水準。
影響：労働市場の減速懸念からドル売り要因。
出典：Reuters - 5月1日(木) 23:00 米4月ISM製造業景気指数：予想を上回るも50割れ継続
結果：48.7（予想 48.0、前月 49.0）。景気後退を示す50を依然下回る。
影響：反応限定的。
出典：Reuters - 5月1日(木) 12:00頃 日銀金融政策決定会合：現状維持、追加利上げに慎重姿勢
内容：政策金利（無担保コールレート O/N物）を0.50％程度で推移させる方針を維持。経済・物価見通しを下方修正し、植田総裁は会見で追加利上げに慎重な姿勢を示唆。
影響：円売りが加速し、日米金利差拡大観測が強まる。
出典：Reuters - 5月2日(金) 14:00頃 日銀会合後に円安が加速
動向：日銀の発表を受け、ドル円は一時145.92円と約3週間ぶりの円安水準をつけた。
影響：3円以上の急激な円安進行。
出典：Reuters（USD/JPY リアルタイム） - 5月2日(金) 21:30 米4月雇用統計：予想を上回るも反応は限定的
結果：非農業部門雇用者数 +17.7万人（予想 +13万人）、失業率 4.2％（横ばい）。平均時給は予想を下回る。
影響：発表直後はドル買いで145円手前まで上昇したが、すぐに失速し144円台へ下落。
出典：Reuters - 日本のGDP見通し
2025年1〜3月期実質GDPは4四半期ぶりのマイナス成長予測（ニッセイ基礎研究所）。中長期的な円安要因となる可能性。
出典：ニッセイ基礎研究所 - 地政学リスク
ウクライナ情勢は停戦協議への期待感から一時円売り要因となったが、依然として不透明。「有事の円買い」よりも「有事のドル買い」が意識されやすい状況変化も指摘されている。
出典：Reuters
今週（5月5日～11日）の主な経済指標・イベント
- 5月5日(月)
- 日本 市場休場（こどもの日）
- 23:00 米国 ISM非製造業景況指数（4月） (影響度：中) – サービス業の景況感を示す重要指標。
- 5月6日(火)
- 日本 市場休場
- 米国 FOMC（～7日） (影響度：高) – 金融政策決定会合。
- 21:30 米国 貿易収支 (影響度：中)
- 5月7日(水)
- 10:45 中国 Caixinサービス部門PMI (影響度：中)
- 5月8日(木)
- 03:00 米国 FOMC政策金利発表、パウエルFRB議長記者会見 (影響度：高) – 今週最大の注目イベント。政策金利は据え置き予想だが、声明文のトーンや今後の利上げ・利下げに関する議長発言が焦点。
- 21:30 米国 新規失業保険申請件数 (影響度：中)
- 5月9日(金)
- 05:55 FRB バー理事講演 (影響度：中～高)
- 06:45 FRB クーグラー理事講演 (影響度：高) – 「最大雇用」がテーマ。
- 11:30 FRB ウォラー理事講演 (影響度：高) – 「金融政策研究」がテーマ。タカ派として知られる理事の発言に注目。
- 14:00 日本 景気動向指数（CI先行指数） (影響度：中)
- 19:45 FRB クック理事講演 (影響度：中)
- 5月11日(日)
- 23:50 日本 経常収支 (影響度：中)
ファンダメンタルズの総括： 日銀が追加利上げに慎重な姿勢を示したことで円売りの地合いは継続しやすい一方、米国では雇用統計がまだら模様となり、ISM指数も50割れが続くなど、景気減速の兆候も見え隠れします。最大の焦点はFOMCです。市場は利上げサイクルの終了を織り込みつつありますが、インフレ再燃への警戒感も残っています。パウエル議長の記者会見や声明文で、今後の金融政策の方向性（利下げ開始時期やペースなど）についてどのようなヒントが示されるかによって、ドル円相場は大きく動く可能性があります。また、週末にかけてFRB高官の発言が相次ぐため、FOMC後の市場の解釈を確認する上で重要になります。
テクニカル分析：マルチタイムフレームで見るドル円
現在のドル円相場を、長期的な視点から短期的な視点へと、複数の時間軸（マルチタイムフレーム）で分析し、トレード戦略の精度を高めます。
週足：140円～160円のレンジ相場か
- 現状、140円～160円という広いレンジ内での推移が意識されます。
- 移動平均線を見ると、80週MAが下向きに転じ、20週MAとのデッドクロスが迫っています。これは長期的な下落トレンドへの移行を示唆するサインとなり得ます。
- ただし、直近2週間は陽線で反発しており、MAのクロスが確定するかはまだ不透明です。
- ロング戦略： 20週MAが明確に上向きに転じるのを確認したいところです。
- ショート戦略： デッドクロスが確定し、その後の戻りを試す動き（リターンムーブ）を待ってから仕掛けたい局面です。
日足：下落トレンド継続も反発の兆し？
- 20日MAと80日MAの乖離が大きい状態であり、ややエントリーしにくい状況です。20日MAは横ばいからやや下向きで、トレンドはまだ下方向を示唆しています。
- しかし、先週金曜日に長い下ヒゲをつけて反発しており、買い意欲の強さも伺えます。
- ロング戦略： ダウ理論に基づき、高値と安値の切り上げが明確に確認され、上昇トレンドが確定するのを待つのが安全策です。
- ショート戦略： 20日MAが明確なレジスタンスとして機能し、上値が抑えられる展開となれば、再度下落を試す可能性があります。
4時間足：上昇トレンドへ転換中
- 4月23日頃を底値として、高値・安値を切り上げる短期的な上昇トレンドが形成されています。
- 現在、20MAと80MAが収束してきており、エネルギーを溜めている状態と考えられます。この収束後の放たれる方向についていくのがトレンドフォローの基本です。
- 押し目買い候補： 143.8円付近。ここは過去のレジスタンスラインであり、サポートとして機能するか注目される節目です。ここで反発を確認できれば、ロングエントリーの好機となる可能性があります。
- 現状認識： 週足・日足では下落トレンド、4時間足では上昇トレンドと、時間軸によって方向感が異なります。このような状況では、より短期的なトレンド（4時間足）に乗りつつも、上位足の抵抗（日足・週足のMAなど）を意識した慎重なトレードが求められます。
月曜日からのドル円FX 売買シナリオ
上記のファンダメンタルズ分析、テクニカル分析を踏まえ、来週（5月5日～）の具体的な売買シナリオを提示します。デイトレード～2週間程度のスイングトレードを想定したトレンドフォロー戦略を主軸とします。
ロング（買い）シナリオ
- 基本戦略： 4時間足の上昇トレンドに沿った押し目買い。
- エントリーポイント候補：
- 144.53円付近での反発を確認後。1時間足などでダブルボトムなどの反転パターン形成を待つ。エントリー目安：144.369円。
- より深い押し目を待つ場合、143.8円付近（4時間足の押し目候補）まで引きつけてからの反発を確認。
- 損切りライン：
- エントリー根拠とした押し目（例：144.53円や143.8円）の少し下に設定。例えば、144.369円でエントリーした場合、直近安値の少し下（例：144.0円割れなど）に置く。
- 利確目標：
- 第一目標：145.947円（直近高値付近）。リスクリワード1:1程度で半分利確を検討。
- 第二目標：148.226円（1時間足レベルの節目）。残りのポジションは、1時間足の20MAを明確に下抜けるなどのトレンド転換サインが出るまで保有を検討。
- 代替プラン：
- 押し目をつけずに上昇した場合：ブレイクアウトを狙う戦略もあるが、高値掴みになるリスクも。その場合は、ブレイク後の小さな押し目を待つなど、慎重に判断。
- ロングが失敗した場合：損切り後、すぐにショートに転換する（ドテン）のではなく、相場の状況を再度分析し、次のシナリオを検討する。
ショート（売り）シナリオ
- 基本戦略： 4時間足の上昇トレンドが崩れ、下落トレンドへ転換した場合。
- エントリーポイント候補：
- ローソク足が1時間足や4時間足の20MA・80MAを明確に下抜け。
- その後、20MAと80MAのデッドクロスを確認。
- 144.0円を割り込み、戻りを試す動き（リターンムーブ）で144円付近がレジスタンスとして機能するのを確認してからエントリー。
- 損切りライン：
- エントリー根拠としたレジスタンス（例：144.0円～144.2円）の少し上に設定。
- 利確目標：
- 141.867円（1時間足レベルの節目）。リスクリワード1:2程度を狙う。
- 注意点：
- このシナリオが実現する場合、日足の20MAを下抜ける動きとなるため、その付近（142円台半ば～後半？）で一旦反発する可能性も考慮。プライスアクションを見ながら、無理せず利確することも重要。
- FOMCの結果が市場予想よりもハト派（利下げ期待が高まるなど）だった場合に、このシナリオの確度が高まる可能性がある。
リスク管理・トレードの注意点
為替相場は常に不確実性を伴います。特に重要な経済イベントを控える週は、以下の点に注意し、リスク管理を徹底しましょう。
- FOMC前後の急変動リスク： FOMCの発表（日本時間8日午前3時）やパウエル議長会見（同午前3時半）の前後、およびFRB高官講演時には、相場が急変動する可能性があります。スプレッドの拡大やスリッページ（注文した価格と約定した価格のずれ）が発生しやすくなるため、注意が必要です。 対策例：イベント前はポジションを軽くする、またはノーポジションで様子見する。重要なラインに指値・逆指値注文を事前に入れておく場合も、スリッページのリスクを考慮する。
- 要人発言リスク： FOMCメンバーを含む金融当局者や政府関係者の突発的な発言によって、相場が大きく動くことがあります。特にトランプ政権下の政策運営（FRB議長人事への言及など）に関する報道には注意が必要です。
- 地政学リスク： ウクライナ情勢や米中関係の緊張などが再び高まると、リスク回避の動きが強まる可能性があります。かつての「有事の円買い」は鳴りを潜め、「有事のドル買い」が優勢となる場面も増えています。関連ニュースには常にアンテナを張っておきましょう。
- 資金管理の徹底：
- ロット管理： 1回のトレードで許容できる損失額を事前に決め、それを超えないようにロットサイズを調整する。
- 損切り設定： エントリーと同時に必ず損切り注文を入れる。損切りラインを感情的に動かさない。
- ポジション調整： 含み益が出ている場合でも、重要なイベント前には一部利確してリスクを軽減することも有効な戦略です。
まとめ・明日以降の注目ポイント
来週のドル円相場は、5月6日～7日のFOMCが最大の焦点となります。FRBの今後の金融政策スタンスを見極めようと、市場は神経質な展開となる可能性があります。
- 週明けの動き： 日本市場は5日(月)・6日(火)が休場のため、海外市場の動向、特に5日(月)の米ISM非製造業景況指数の結果を受けた動きに注目です。
- テクニカル的な注目点： 4時間足の上昇トレンドが継続するか、それとも日足・週足レベルの下落圧力に押されるか。144円～145円の攻防が当面のポイントとなりそうです。押し目買いを狙うなら144.5円や143.8円付近のサポートを確認。下落に転じる場合は144円割れがサインとなるか。
- ファンダメンタルズ的な注目点： FOMC声明文とパウエル議長会見の内容、そして9日(金)に集中するFRB高官らの講演で、市場の利下げ観測がどう変化するか。日銀の追加利上げ観測の後退と合わせて、日米金利差の動向が引き続きドル円の方向性を左右します。
トレンドフォロー戦略を基本としつつも、FOMCという重要イベントを通過するまでは決め打ちせず、シナリオに応じた柔軟な対応と徹底したリスク管理を心がけましょう。
免責文
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。本記事の情報に基づいて被ったいかなる損害についても、筆者および情報提供元は一切の責任を負いません。
参考サイト
- 日本銀行「当面の金融政策運営について（2025年5月1日）」 ― 日銀の公式声明全文で金融政策の一次情報を確認できます。
- ロイター「午後3時のドルは145円前半に小幅安、一時3週間ぶり高値」 ― 市場実勢と専門家コメントを把握したいときに便利です。
- Bloomberg「円は145円台半ば、関税交渉期待で一時3週ぶり安値」 ― 円安要因を複合的に整理した解説記事です。
- みずほ銀行「外国為替ダイジェスト（2025年5月2日号）」 ― メガバンクの市況レビューとドル円レンジ予想が掲載されています。
- みんかぶFX「ドル円、145円台半ばまで上げ幅拡大＝NY為替」 ― ISM指標後の実需動向を詳細にレポート。
- IG証券「円安進行どこまで 日銀決定会合で145円台」 ― プロ分析付きで今後のシナリオを掴めます。
よくある質問
- Q．FOMCとは何ですか？ A．米国の金融政策を決定する会合で、年8回開催されます。日程や声明文はFRB公式ページで確認できます。
- Q．日銀の次の金融政策決定会合はいつですか？ A．スケジュールは日本銀行の会合予定表に掲載されています。
- Q．ドル円の主要経済指標の発表日時をまとめて見る方法は？ A．時事通信の経済指標カレンダーが日本時間表記で便利です。
- Q．リアルタイムのドル円レートと板状況を確認できる無料ツールは？ A．Yahoo!ファイナンスでティックチャートと気配値が閲覧できます。
- Q．日本の祝日で東京市場が休場のとき、為替の流動性はどうなりますか？ A．東京時間の取引ボリュームが大幅に減少するため、急な値動きが起きやすくなります。祝日一覧はJPXの取引カレンダーをご確認ください。
初心者のための用語集
- FOMC：米国の金融政策を決める会合。政策金利や資産購入方針が発表され、ドル円の最大イベント。
- NFP（非農業部門雇用者数）：米雇用統計の主要指標。増減幅が景気と金利見通しを左右する。
- ISM指数：米サプライマネジメント協会が公表する景況感指数。50を境に景気拡大・縮小を判断。
- MA（移動平均線）：一定期間の終値平均を線で表示したトレンド指標。20MAは短期、200MAは長期を示す。
- ゴールデンクロス／デッドクロス：短期MAが長期MAを上抜けると上昇シグナル（ゴールデン）、下抜けると下降シグナル（デッド）。
- ダウ理論：高値・安値の切り上げ（上昇）、切り下げ（下降）でトレンドを判定するチャート分析の基本。
- サポート／レジスタンス：サポートは下値を支える買い帯、レジスタンスは上値を抑える売り帯。
- 押し目買い／戻り売り：上昇中の一時的下落で買う手法が押し目買い、下降中の一時反発で売る手法が戻り売り。
- ボラティリティ：価格変動の大きさ。大きいほど短時間で値幅が広がりやすい。
- スリッページ：注文価格と実際の約定価格の差。指標発表直後など流動性低下時に拡大しやすい。
- リスクリワード比：想定損失（リスク）と想定利益（リワード）の割合。1：2なら利益目標が損切り幅の2倍。
編集後記
ようやく、エントリーしやすい形にもなってきました。しかし、まだ日足以上と4時間足以下で方向性が中途半端なので、もう少し集約されたポイントを狙っていきたいところ。
トランプ関連による大荒れの相場も一段落し、本格的にここから調子を上げていきたいところです。
全体的にエントリーしやすい通貨ペアも増えてきて、特にゴールドは大きく狙いたいところ。まさにチャンス相場がやってきているといえます。
しばらくは必ず定時にチャートチェックをして、タイミングを逃さないようにしましょう。
しっかりシナリオを描いてアラームを置き、自分のシナリオ通りにチャートが動き始めたところでエントリー。思いつきではエントリーしないことが重要です。
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