Contents
繰上返済の基本 ── “利息カット”の仕組みを 2 分で理解
- 繰上返済は「利息の削減」が最大のメリット
- ローン全体の支払総額を抑える「期間短縮型」と、毎月返済額を下げる「返済額軽減型」が存在
- 手持ち資金とのバランスを見ながら、ライフイベントに合わせて実行することが重要
元金・利息の計算ロジック
- 住宅ローンは「元金」と「利息」を毎月返済していく仕組み
- 元利均等方式では月々返済額が一定だが、初期は利息分が大きく元金が減りづらい
- 繰上返済で元金を一気に減らすと、その後発生する利息も大きく減少
期間短縮型と返済額軽減型の違い
- 期間短縮型:毎月返済額を変えず、完済時期を早める
- 返済額軽減型:返済期間はそのまま、毎月返済額が減少
- 早期完済を目指すなら期間短縮型、家計のキャッシュフローを安定させるなら返済額軽減型
月1万円 vs ボーナス一括 ── 3つのモデルケースを数値比較
- 毎月1万円の繰上返済はコツコツ型
- 年2回、ボーナスで10万円ずつ繰上返済はドカンと一括型
- 下記の3パターンで総返済額・完済年齢を試算
モデル①:借入3,000万円・35年・金利1.0%(固定)
- 元利均等、毎月返済額は約8万4,000円(2025年4月 地方銀行シミュレーション)
- ボーナス併用なし、全期間固定の安定型
- 繰上返済のタイミングを「月1万円」or「年2回10万円」で比較
モデル②:共働き世帯・変動0.5%・借入4,000万円
- 夫婦合算年収800万円、返済比率は約25%
- 変動金利0.5%、毎月返済額は約10万6,000円(2025年4月 ネット銀行シミュレーション)
- 繰上返済額は「月1万円 × 35年」か「年2回10万円 × 35年」
モデル③:単身世帯・借入2,500万円・ボーナス比率高め
- 年収500万円、ボーナスが年2回計100万円以上
- 借入2,500万円を35年返済、固定金利1.2%想定
- ボーナス併用返済額を大きめに設定し、追加の繰上返済も実施
シミュレーション結果 ── 総利息・完済年齢がこう変わる
- 総返済額:金利・繰上返済額・タイミングで大きく変動
- 完済年齢:期間短縮型を選ぶほど早く終わるが、毎月返済額は変わらない
- 利息削減率:毎月繰上返済のほうが高い傾向だが、家計に無理が出ないか要検討
総返済額比較表
ケース | 毎月1万円 | 年2回×10万円 | 繰上なし |
---|---|---|---|
モデル①(3,000万円・1.0%固定) | 約3,500万円 | 約3,510万円 | 約3,556万円 |
モデル②(4,000万円・0.5%変動) | 約4,350万円 | 約4,360万円 | 約4,480万円 |
モデル③(2,500万円・1.2%固定) | 約2,850万円 | 約2,860万円 | 約2,964万円 |
期間短縮年数/完済年齢グラフ
- 月1万円繰上の場合、完済が1〜3年程度短縮
- ボーナス一括の場合、完済は1〜2年程度短縮
- 大きな差ではないが、早期完済を目指すなら月々上乗せのほうが効果的
利息削減率ランキング
- 1位:月1万円繰上(最も利息削減率が高い)
- 2位:ボーナス10万円繰上(年2回)
- 3位:繰上返済なし(最も総利息が多い)
家計へのインパクト ── 返済比率・生活防衛資金との最適バランス
- 返済比率とは「住宅ローン返済額 ÷ 手取り収入」の割合
- 教育費や緊急時資金を確保しながら繰上返済するのがベスト
- 返済比率が高すぎると生活防衛資金が不足し、家計破綻のリスクが増大
返済比率25%・30%・35%の安全圏シナリオ
- 手取り年収500万円:返済額の目安は月10〜12万円程度(25〜30%)
- 共働きで手取り年収700万円:返済額の目安は月14〜15万円程度(25%)
- 独身で年収400万円:返済額の目安は月8〜9万円以内が望ましい(30%超は要注意)
教育費ピークと繰上返済タイミング
- 教育費は公立中学〜高校、私立大学進学などで大きく増加(2023年 文部科学省調べ)
- 40代後半〜50代前半で支出がピーク化するケースが多い
- 繰上返済しすぎると、教育ローンを追加借入する事態になりかねない
緊急予備費6か月分を確保するコツ
- 生活費の6か月分を緊急予備費としてキープ
- 収入減やリストラ、病気など有事の備えに
- 先取り貯蓄・積立型の仕組みを活用し、確実に積み上げる
金融機関別 “繰上返済ルール” と手数料早見表(2025年版)
- ネット銀行は手数料無料が多く、1円単位で繰上返済可
- 地方銀行・メガバンクは窓口申込だと手数料が高め
- 繰上返済には「期間短縮型」「返済額軽減型」が選べるケースが主流
ネット銀行:1円単位・手数料無料が主流
- 住信SBIネット銀行:ネット手続きで一部繰上無料(2025年4月 現在)
- 楽天銀行:最低1万円単位で繰上返済、手数料無料
- auじぶん銀行:ネット申込なら無料、固定金利期間中の全額繰上のみ手数料あり
地方銀行/メガバンク:ネット専用ダイレクト vs 窓口申込手数料
- 窓口申込だと一部繰上で1〜2万円、全額繰上で3万円超の手数料が発生するケース多数
- ネット申込専用ダイレクトサービスなら手数料が半額または無料になることも
- ボーナス併用返済の手続き変更には追加手数料が必要な場合あり
ボーナス併用返済の注意点(元利均等に潜む落とし穴)
- ボーナス併用分の返済額が大きいほど、手数料負担や金利リスクの影響も大きくなる
- 変動金利の上昇局面では、ボーナス時返済額も増加する可能性がある
- ボーナスが減額または支給なしの場合、一気に家計が苦しくなるリスク
向いているのはどっち?月々派・ボーナス派のチェックリスト
- ライフスタイルや収入形態、貯蓄習慣で選ぶと失敗が少ない
- 「コツコツ毎月型」と「まとまって年2回型」で家計管理のしやすさが異なる
- 最終的にはシミュレーションを自分の収入と支出でカスタマイズしよう
月々派に向くライフスタイル・収支パターン
- 毎月一定の貯蓄をコツコツ続けられる人
- ボーナス支給額が少ない、もしくは不安定で当てにしづらい職場
- 手元資金を定期的に強制的に減らすほうがモチベーションを保ちやすいタイプ
ボーナス派に向く業種・収入変動リスク
- 大企業や公務員など、比較的ボーナスが安定している職種
- 「毎月返済を軽くしておき、ボーナス時にしっかり返済したい」という支出スタイル
- 短期間でガツンと返すほうが心理的にわかりやすい人
まとめ ── シミュレーションで“自分専用ベストルート”を設計しよう
ここまで「月1万円×35年」と「ボーナス一括(年2回×10万円)」で繰上返済した場合のシミュレーション比較を行い、総返済額や完済年齢、家計への影響を見てきました。 結論として、利息削減効果は毎月1万円のコツコツ繰上がやや有利となるケースが多いものの、ボーナス一括返済にも管理のしやすさなどのメリットがあります。 とはいえ、重要なのは「どれだけ継続しやすいか」「家族のライフイベントや教育費ピーク、緊急予備費の確保に影響がないか」を見極めることです。 日々の生活や将来計画との兼ね合いを考慮したうえで、繰上返済の時期や金額を柔軟に設定するのがベストといえます。 住宅ローンの返済は30年以上に及ぶ長いマラソンのようなもの。 ぜひシミュレーションツールや金融機関の相談窓口を活用しながら、“自分専用のベストルート”を探ってみてください。よくある質問(FAQ)
- Q: 月々プラス1万円の繰上返済とボーナス一括返済、どちらがお得ですか? A: モデルケースではボーナス一括返済のほうが総利息削減効果は大きい傾向があります。ただし家計に無理がないなら月々返済を継続しやすいメリットがあります。
- Q: 繰上返済の手数料はどれくらいかかりますか? A: ネット銀行は無料が主流ですが、メガバンクや地方銀行では窓口申込で数千円〜一万円台の手数料がかかることがあります。
- Q: 教育費がピークの時期に繰上返済をしても問題ありませんか? A: 教育費ピーク期は毎月の負担を減らせる「返済額軽減型」を優先し、教育費負担が落ち着いた後に「期間短縮型」で利息削減を図るのがおすすめです。
- Q: 緊急予備資金はどのくらい用意すべきですか? A: 月々の生活費の6ヶ月分を目安に別口座で確保しましょう。ボーナス時に一定割合を自動で貯蓄に回す仕組みが効果的です。
初心者のための用語集
- 繰上返済:ローンの支払い予定より早く元金を返済し、将来の利息負担を軽減する方法
- 元金:借入時に実際に借りたお金の残高部分
- 利息:借入元金に対して支払う金融機関への手数料相当額
- 期間短縮型:毎月の返済額は変えずに、返済期間を短くする繰上返済の方式
- 返済額軽減型:返済期間は据え置き、毎月の返済額を減らす繰上返済の方式
- 返済比率:年収に対する年間ローン返済額の割合
- 生活防衛資金:病気や失業などの緊急時に備え、生活費として確保する貯蓄
- 未払い利息:毎月の返済額では賄いきれずに発生する利息の未払い分
- 5年ルール:変動金利ローンで、契約後5年間は返済額を変更しない仕組み
- 125%ルール:5年後の返済額見直し時に、前回返済額の125%までしか増額できない制限
- ボーナス併用返済:年2回のボーナス支給時に、別途まとまった金額を返済に充てる方式
参考サイト
- 繰り上げ返済シミュレーション|知るぽると(金融広報中央委員会) ― 公的機関による安心の繰上返済シミュレーションです。
- 住宅ローンシミュレーション|住宅金融支援機構 ― フラット35で有名な機構の公式シミュレーターです。
- 住宅ローン繰上返済シミュレーション|三井住友信託銀行 ― 大手銀行が提供する信頼性の高いツールです。
- 住宅ローンの繰り上げ返済はした方がいい?得するためのコツを解説|SBI新生銀行 ― 繰上返済のメリット・デメリットをわかりやすく解説しています。
- 住宅ローンの繰上返済のタイミングを解説~自分の好きなタイミングでできる?金額や手続き方法もチェック~|SBI新生銀行 ― タイミングや手続き方法について詳しく知りたい方におすすめです。
- 住宅ローンの繰上返済シミュレーション|イー・ローン ― FP監修のもと、細かくシミュレーションできます。
- 繰上げローン返済|Keisan(カシオ) ― 計算サイトで高精度な繰上返済の効果をチェックできます。
不動産選びをもっと深く知りたい方へ
住宅ローンを調べているあなたは、マイホーム購入に関する情報もお役に立てると思います。 あなたにオススメ情報を書いた、記事をご紹介します。- 【保存版】失敗しないマイホーム購入完全ガイド・初心者でも安心!―住宅ローンの選び方から不動産契約の流れまで徹底解説
- 【マンション vs 戸建てどっちを選ぶ?】初めてのマイホーム比較ポイント
- 【新築 vs 中古住宅、結局どっちがお得?】初心者が知るべきメリット・デメリット
◇無料相談のご案内◇
住宅ローン選びや借り換えで、お金のことや手続きで不安や疑問をお持ちではありませんか?- 最適な住宅ローンプランの選び方や金利戦略
- ローン審査に通りやすくなるためのアドバイス
- 借り換え時の諸費用や節約できる金額の計算
- 返済計画の立て方や繰り上げ返済のタイミング
ABOUT ME
