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ローン残債がある物件も売れるの?まずは全体像を理解しよう
住宅ローンが残っていても売却自体は可能
多くの方が「ローンを払い終えていない物件は売れないのでは?」と心配されますが、住宅ローンが残っている状態でも売却は可能です。ただし、売買契約を成立させるためには、決済時にローンを完済し、抵当権を抹消する必要があります。
– 住宅ローンを利用している場合、金融機関が抵当権という担保を設定しています。
– 抵当権がついたままでは買主へ所有権移転ができないため、売却のタイミングで抵当権の抹消手続きを行わなければなりません。
売却代金でローンを完済(不足なら住み替えローンなど)
売却時点で住宅ローンの残高(残債)を、売却代金から差し引いて支払いできる場合は、問題なく完済できます。しかし、残債が売却価格を上回るオーバーローン状態の場合は、不足分をどのように補うかがポイントです。
不足分を補う主な方法としては以下が挙げられます。
- 自己資金を用意し、不足分を一括返済する
- 住み替えローン(買い替えローン)を利用して、売却物件の残債と新居購入資金をまとめて借りる
- 任意売却を検討する(ただしローン滞納等の条件がある)
全体の流れを簡潔にまとめた図やリスト
ローン残債がある物件を売却する一般的なステップをリスト化すると、以下のようになります。
- 【ステップ1】ローン残高の把握(金融機関の残高証明や返済予定表を確認)
- 【ステップ2】不動産会社に査定を依頼し、売却価格の目安を知る
- 【ステップ3】媒介契約を締結し、売り出し活動スタート
- 【ステップ4】買主と売買契約を締結(手付金を受領)
- 【ステップ5】決済・引渡し
– 売却代金でローン完済
– 抵当権抹消手続き
– 所有権移転(買主名義へ変更)
– 引渡し完了 - 【ステップ6】確定申告や各種手続きを忘れずに
売却時に抵当権を抹消する必要がある理由
抵当権とは何か、残債完済が条件で抹消手続き
抵当権とは、ローンを貸し付けた金融機関が、返済が滞った際に物件を競売にかけて優先的に返済を受け取るための担保権利です。
物件に抵当権が設定されているままだと、買主に所有権移転ができず、不動産売買が成立しません。よって、決済日に残債を完済し、抵当権を抹消しなければ、売却は完了しないのです。
金融機関や司法書士が関わるプロセス
実際の抹消手続きでは、
- 金融機関(債権者) … 残債完済後、「抵当権抹消に必要な書類」を発行
- 司法書士 … 法務局に「抵当権抹消登記」を申請
という流れになります。
売主自身が書類を揃えて法務局へ申請することもできますが、書類不備を防ぐため、多くの場合は司法書士に依頼することが一般的です。
トラブル事例:抹消を忘れて売却が成立しなかった例
以前に組んだローンの抵当権を抹消し忘れたままになっていたため、新しい買主が所有権移転を嫌がり、売買契約直前に白紙解除になったという事例があります。
一度設定した抵当権は、ローン完済後も自動的には消えません。完済後に手続きをしないまま放置すると、将来の売却や新規ローン利用時に大きな支障となるため、必ず抹消手続きを行いましょう。
どのくらいの価格で売ればローンを完済できる?試算のポイント
ローン残高と売却価格の差額を確認
まずは現在のローン残債を把握し、いくらで売ればローンを完済できるのかを試算しましょう。
ローン残債は、毎年届く「残高証明書」や金融機関が発行する「返済予定表」で確認できます。
売却価格から諸費用を引いた「手取り額」
売却金額(売却価格)をそのまま全部受け取れるわけではありません。売却時にはさまざまな費用がかかり、実際に手元に残るのは「売却価格 ー 諸費用」となります。代表的な諸費用は以下のとおりです。
- 仲介手数料(売却価格の3~3.3%程度が目安)
- 印紙税(売買契約書に貼る収入印紙)
- 抵当権抹消費用(登録免許税や司法書士報酬など)
- ハウスクリーニング費用や引越し費用など
ローン残債よりも手取り額が多ければ完済可能ですが、もし手取りが残債に届かない場合はオーバーローンとなり、追加で資金が必要です。
ケース別(残債より高く売れる/足りない場合)
アンダーローン(売却価格>ローン残債+諸費用):
→ 売却代金でローンを完済できるので、通常どおりに抵当権抹消手続きし、売却が成立します。
オーバーローン(売却価格<ローン残債+諸費用):
→ 自己資金を投入したり、住み替えローンを利用して不足分を借りるなどの対策が必要になります。
オーバーローン(売却額が残債を下回る)時の対処法
自己資金を用意する/住み替えローンを検討
オーバーローン状態で売却する場合、次のような対策があります。
- 自己資金で不足額を補う: 預貯金や退職金等を使って補填する
- 住み替えローン: 売却物件の残債と新居購入費用をまとめて借り入れる
住み替えローンは、金融機関の審査が通常よりも厳しく、金利もやや高めになる傾向があります。利用条件やメリット・デメリットを把握したうえで検討しましょう。
買い替え(住み替え)時のローン審査
すでに残債がある状態で新たにローンを組むため、買い替えローンの審査は通常より厳しくなります。特に以下のポイントがチェックされます。
- 年収・勤続年数・雇用形態
- 他の借入状況(カードローン・車のローンなど)
- 返済負担率(年間返済額÷年収)が基準を満たしているか
また、同時に旧ローンと新ローンの返済が重なる「ダブルローン」状態になる期間が発生する場合もあり、返済計画をしっかり立てる必要があります。
任意売却という選択肢とリスク
もしローン滞納等により支払いが困難で、通常売却も困難な状況に陥ったら「任意売却」という方法がある場合があります。金融機関の同意を得て物件を売却し、不足分を分割返済する仕組みです。ただし、
- 信用情報(いわゆる“ブラックリスト”)にキズがつく可能性
- 競売回避の最終手段であるため条件が厳しい
といったリスクや制約があるため、早めに専門家に相談しましょう。
実際の売却手続き – 流れと注意点
①不動産会社に査定を依頼して相場を把握
まずは複数の不動産会社に査定を依頼し、どのくらいで売れそうかを把握します。無料査定サイトの活用や、地元に強い不動産会社をいくつかピックアップして、価格だけでなく信頼できる対応かどうかも見極めましょう。
②媒介契約・売り出し活動→売買契約→決済・引渡し
- 媒介契約
– 一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3種類から選ぶ
– どの程度の期間で売るのか、仲介手数料はいくらか、などを確認 - 売り出し活動
– チラシ、ポータルサイト、内覧会などで買主を探す - 売買契約
– 買主との価格・引渡し条件等が合意したら契約
– 手付金を受領 - 決済・引渡し
– 売却代金の残代金を受け取り
– 同時に金融機関へローン完済
– 抵当権抹消→所有権移転→物件引渡し
③決済時に金融機関でローン完済し、抵当権抹消手続き
決済当日は、売主・買主・不動産会社・司法書士が一堂に会し、以下の流れで行うのが一般的です。
- 買主が残代金を支払う(売主の口座へ振込または銀行内で振替)
- 売主はその資金を使って住宅ローンを完済
- 金融機関から「抵当権抹消に必要な書類」を受領
- 司法書士が抹消登記と所有権移転登記を申請
- 鍵や関係書類を買主へ引き渡す
図やフローでわかりやすく
テキストベースですが、ざっとしたフローを再掲すると以下のイメージです。
“`
売主・買主・司法書士・不動産会社が集合
↓
売買代金の支払い・ローン完済
↓
抵当権抹消+所有権移転登記の申請
↓
鍵の引渡し
↓
売却完了!
“`
住み替えローンやリスケジュールなど“特別なローン”の概要
住み替えローン=旧ローンと新ローンを合わせる仕組み
住み替えローン(買い替えローン)は、旧居のローン残債と新居購入資金をまとめて借り換えるローン商品です。
利点:
- 不足分を一括で借りられるため、自己資金が少なくても住み替えが可能
- 売却・購入を同時に行える(仮住まい不要)
難点:
- 審査が厳しく、金利がやや高め
- ローン総額が大きくなるので返済計画を入念に立てる必要
リスケジュール=金融機関と交渉して返済計画を変更
リスケジュール(リスケ)は、返済期限や返済額を金融機関と再交渉することを指します。収入ダウンなどで支払いが厳しくなった場合に返済額を減らしたり、返済期間を延長してもらう方法です。ただし、
- 一定期間、借り入れやカード発行などで制約を受ける可能性
- リスケの実行にも審査がある
などの点を理解しておきましょう。
メリット・デメリットを簡潔に
メリット
- 住み替えローン:一括で借りられるので残債不足を解消しやすい
- リスケジュール:競売や差押えを回避しつつ返済を続けられる
デメリット
- 審査が厳しく、場合によっては高金利
- 信用情報に影響が出る可能性
- 借り換えやリスケの手数料・諸費用の負担
成功&失敗事例 – ローン残債物件を売却した人の体験談
成功例:売却価格で完済でき、次の住まいへの住み替えもスムーズ
あるご夫婦は、マンションを数年前に購入。当時より地価が上昇しており、売却査定額が残債より高くなったため完済が容易に。さらに住み替え先となる戸建住宅への購入もスムーズに進み、ローン完済と購入を同日に実行できたそうです。
ポイント: マンション相場を早めに調査し、値上がり傾向を逃さなかったこと。
失敗例:ローン完済に不足、任意売却に…
一方、購入直後にリストラで収入が激減し、オーバーローン状態かつ滞納が続き、任意売却せざるを得なくなった事例も。信用情報に傷がついたため、新たなローン審査が通らず、賃貸へ転居を余儀なくされました。
ポイント: 収入が不安定になった段階で早めに金融機関や専門家へ相談すれば、競売を回避しつつ別の方法を模索できた可能性があった。
教訓:早めに金融機関&不動産会社へ相談が大事
売却価格と残債の差額を埋めるためのアイデアは、金融機関や不動産会社が熟知しています。「支払いが厳しいかも」と感じたら、滞納前に相談しておくと選択肢が広がるでしょう。
売却後の確定申告や手続き – 忘れがちなポイント
譲渡所得税の申告や3000万円特別控除が使える可能性
自宅(マイホーム)を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、不動産譲渡所得税が発生する可能性があります。ただし、マイホームを売ったときの3,000万円特別控除など各種特例を活用できれば課税を大幅に抑えられる場合もあります。
これらの特例を受けるには確定申告が必要です。売却年の翌年2月16日~3月15日までの間に税務署へ申告を行いましょう。
公共料金や住所変更など、他の手続きもチェック
売却後は、さまざまな名義変更・住所変更を忘れずに行いましょう。
- 電気・ガス・水道の利用停止・清算
- 固定電話やインターネット回線の解約または移転
- 郵便物の転送届(郵便局への届け出)
- 運転免許証の住所変更(最寄りの警察署や免許センター)
また、マンションの場合は管理組合へ連絡し、管理費・修繕積立金などの清算も確認しておきましょう。
トラブル回避に必要な最終確認
- 家財道具やゴミの処分が済んでいるか
- 買主へ引き渡す物(鍵や保証書、取扱説明書など)を用意したか
- 残代金の振り込みを確認できる銀行口座の通帳や印鑑
これらを不備なく用意しておくことで、決済~引渡し当日もスムーズに進行しやすくなります。
まとめ – ローン残債のある物件を上手に売るために
必ず残債額と売却相場を事前把握→不足なら住み替えローン等検討
まずは住宅ローンの残債を正確に把握し、不動産会社の査定によりおおよその売却価格を知ることが第一ステップ。
もしオーバーローンなら、以下のように複数の選択肢を検討しましょう。
- 自己資金の投入
- 住み替えローンで不足分を借り入れ
- 金融機関へ返済計画のリスケジュールを相談
- やむを得ない場合は任意売却
金融機関との連携&不動産会社のサポートが不可欠
物件を売るだけでなく、ローン完済や抵当権抹消などの手続きで金融機関との連絡が欠かせません。
また、売却活動では不動産会社の仲介が基本となります。信頼できる会社を見つけ、早い段階で相談することで「早めの査定」や「的確なアドバイス」が得られます。
関連記事・専門家紹介・免責文
関連記事の例
- 「任意売却の仕組みとリスクを解説」
- 「住み替えローンを賢く使う!審査のポイント」
- 「不動産売却後の確定申告:3,000万円特別控除の手続き方法」
専門家の紹介
- 不動産会社 … 査定や売却活動のプロ
- 司法書士 … 抵当権抹消や名義変更(登記)の専門家
- ファイナンシャルプランナー … 住み替え時の資金計画やライフプラン設計
- 弁護士 … 任意売却や法的トラブル対応が必要な場合
免責表現
本記事の内容は、あくまで一般的な情報提供を目的としたものであり、法律や税務上の最終的な判断は必ず専門家へご相談ください。適用される法令や制度は随時変更される可能性があるため、最新情報や個別事情については金融機関や専門家とご確認をお願いいたします。
【まとめ】
ローン返済中の不動産でも、売却そのものは可能です。しかし売却完了には住宅ローン完済と抵当権抹消が不可欠で、オーバーローンの場合は追加で自己資金や住み替えローンの検討が必須となります。
売り時を逃さず、適切な不動産会社や専門家に相談して着実に進めれば、スムーズかつ納得のいく売却が実現しやすくなります。ローン残債があるからといって諦めるのではなく、早めの情報収集と連携が成功のカギとなるでしょう。
参考サイト
- 住宅ローン返済中の家を売るには?不動産の売却方法やケース別の注意点を解説(三菱地所グループ リハウス)
住宅ローンが残っている場合の売却手順や注意点が詳しく解説されています。 - マンション売却時に住宅ローン残債がある場合の対処法を解説(三菱地所グループ リハウス)
マンション売却時のローン残債処理や抵当権抹消について説明しています。 - 家を売却して住宅ローンが残った!返済しないとどうなる?(東急リバブル)
アンダーローン・オーバーローンの違いや、残債がある場合の対処法がわかりやすいです。 - 住宅ローンが残っている家を売るには?売却方法や注意点を解説(東急の住まいと暮らしのコンシェルジュ)
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銀行とのやり取りや必要な手続きについて詳しく解説しています。 - 住宅ローン残債があるマンションも売却できる?ローン途中に売る方法(グロベルスプロジェクト)
マンション特有の注意点やローン完済のタイミングについて説明しています。 - ローン残債があっても不動産売却は可能!安心の手順と注意点(積和ハウス)
売却価格と残債のバランスや手続きの流れが分かりやすいです。 - 住宅ローン返済中でも家は売却できる!残債状況別に5つの方法を解説(すまいの相談窓口)
残債状況ごとの売却方法が具体的に紹介されています。 - ローン残債があってもマンションは売却できる?やるべきことや注意点を紹介(ザ・ジーホールディングス)
決済時の一括返済や注意点について分かりやすく解説しています。
初心者のための用語集
- ローン残債:住宅ローンなどの借入金のうち、まだ返済できていない残額のことです。
- 抵当権:金融機関が「貸したお金を回収する手段」として不動産に設定する担保権利のこと。返済が滞ると担保不動産を競売にかけられます。
- 抵当権抹消:ローンを完済して、法務局に登記されている抵当権の記録を消す手続きです。
- オーバーローン:売却価格よりローン残高のほうが大きい状態。完済に不足が出るため、追加の資金や住み替えローンなどが必要となります。
- アンダーローン:売却価格がローン残債や諸費用を上回っており、売却代金で完済できる状態を指します。
- 任意売却:返済が困難または滞納が続く状況で、金融機関の同意を得て売却する方法。競売より高く売却できる可能性がある反面、信用情報に傷が付くリスクがあります。
- 決済:不動産売買における最終手続き。売買代金の支払いやローン完済、所有権移転などを一括で行います。
- 住み替えローン:今の家のローン残債と、新たに購入する家の資金を合わせて借りられるローン商品。審査が厳しく金利も高めになる場合があります。
- リスケジュール(リスケ):金融機関と相談のうえ、返済額や期間などローン返済条件を見直すこと。急な収入減で返済が難しくなった際の対策として行われます。
- ダブルローン:住み替えの途中などで、旧居と新居の両方のローン返済が同時に重なる状態を指します。
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