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2025年1月を終えて見える日本株の展望:新NISA投資家はアメリカ株とどう比較すべきか?

2025年が始まり、1ヵ月が過ぎました。株式市場では年初から大きく動くことが多く、特に今年は新NISA制度が本格的にスタートしたこともあり、「そろそろ投資を始めてみたい」「今年はどの市場に注目すべきか知りたい」という方が増えています。
一方で、アメリカの株式市場に熱気が続いているとの声もあるなか、「日本株に資金を振り向けるべきか? それとも米国株を中心に投資すべきか?」と悩む投資家も多いのではないでしょうか。

本記事では、2025年1月の日本株式市場の動向を整理し、米国株式市場の状況と比較しながら、今年の投資戦略のヒントを探っていきます。新NISA口座を活用して資産形成を進めたい方や、株式投資を始めたいと考えている方に向けて、できるだけわかりやすく解説していきますので、ぜひ最後までお読みください。

 

2025年1月の日本株の振り返り

日経平均・TOPIXの値動き

2025年1月の日本株式市場は、月初から中旬にかけて下落し、一時的に日経平均・TOPIXともに軟調な動きが目立ちました。しかし月末にかけては持ち直す動きも見られ、ボラティリティ(変動幅)の大きい月となりました。
下記は、1月の終盤にかけて報じられた日経平均とTOPIXの推移イメージです(あくまでイメージです)。

日経平均株価とTOPIXの2025年1月推移のイメージグラフ

– 日経平均株価
– 月初:3万9千円台で始まる
– 中旬:一時3万8千円台前半まで下落
– 月末:3万8千円台後半〜3万9千円台前半へ戻す場面も

– TOPIX
– 月初:2,700ポイント台後半
– 中旬:2,650ポイント近辺まで調整
– 月末:2,700ポイント付近へ再浮上

1月トータルでは、最終的にややマイナス圏で引けたものの、下落率そのものは2024年の大幅上昇に比べると限定的でした。新年早々の調整としては想定の範囲内との見方もありますが、波乱含みの幕開けとなったことは事実です。

 

値動きの大きかった銘柄

1月は個別銘柄を見ても、急騰する銘柄・急落する銘柄の差が激しくなりました。大きく上昇した銘柄としてはラクス、古河機金、ザイン、ベルーナ、リベルタなどが挙げられ、一方でMetaplanet、ネクスグループ、リミックスポイントなどは大きく下落しました。
このように、外部要因や決算期待・失望を背景として、個別銘柄レベルでの「二極化」がより鮮明になりつつあります。

 

市場に影響を与えた国内・海外ニュース

国内ニュース

– 経済産業省が日本産業規格(JIS)の制定・改正を発表
– 三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる景気動向レポート「グラフで見る景気予報」公開
– 都内では、小池都知事が1月17日に記者会見

これらは一見すると地味なニュースに思えますが、日本企業の業績や今後の政策の方向性を占う手がかりとなり得ます。特に景気動向レポートや地方自治体の取り組みは、今後の消費や公共事業、規制緩和などに影響する可能性があります。

海外ニュース

– アメリカではドナルド・トランプ氏が2度目の大統領に就任
– 世界銀行やIMFの世界経済見通しでは、2025年は2.7%前後の成長率を予測
– 米中関係のさらなる悪化リスクや、世界的な地政学リスクの高まりを指摘する報道が相次ぐ

特にトランプ大統領(78歳での就任)は「アメリカ・ファースト」政策を掲げており、保護主義的な通商政策によって日本企業の輸出が打撃を受ける可能性が懸念されています。また、世界銀行やIMFの見通しにあるように、世界経済の成長が鈍化するリスクが織り込まれると、株価が押し下げられる材料となりかねません。

 

専門家の分析

証券会社やアナリストの多くは、「2025年も米国の金利動向をにらみつつ、日本株にもチャンスがある」というスタンスを示しています。2024年が生成AIブームやハイテク株の牽引で世界株式市場が上昇した流れを考えれば、2025年も引き続きリスク資産への資金流入が続くという見方も根強いです。
しかし、トランプ新政権の政策リスクや、中国経済の減速リスクなど不安要素は多く、短期的にはボラティリティが高まる可能性が高いとの指摘も多く見られます。

 

2025年1月の米国株の概況

主要指標の動き

一方、米国株式市場も1月の動きは決して平穏ではありませんでした。S&P 500やNASDAQ総合などは、2024年に大きく上昇した反動から、年明けにやや調整する場面が見られました。
– ダウ平均:年初からは一時的にプラス圏となる日もあったが、月間でみると上下動が激しい
– S&P 500:雇用統計の良好さが「利下げを先送りさせる要因」として嫌気され、一時下落
– ナスダック総合:2023年・2024年と2年連続の大幅上昇後の調整が意識されるが、大型テック株には根強い買い意欲も

背景としては「好調な経済指標=インフレ懸念が再燃し、金融引き締めが続くかもしれない」という見方が広がり、上値が抑えられる状況になりました。

 

セクター別パフォーマンスと注目点

米国株の中でも、大型ハイテク株(いわゆるGAFA+テスラ+NVIDIAなど)が「Magnificent 7」と呼ばれ、引き続き大きく注目されています。AI技術の先導役であるエヌビディアや、デジタル広告の改善期待が根強いメタ(旧Facebook)などは、1月も比較的堅調でした。
一方、小型株や高配当セクターは、金利上昇局面ではやや逆風を受けやすく、ラッセル2000指数の値動きはS&P 500やNASDAQに比べて振るわないとのレポートも散見されます。

 

今後のリスクとポジティブ要因

リスク要因
– FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策:利下げや利上げの判断が波乱要因となり得る
– トランプ大統領の保護主義政策:米中の関税問題や外交リスク
– 高バリュエーション:ハイテク株がすでに割高と見られる水準にあるという懸念

ポジティブ要因
– テクノロジー分野の継続的な成長:AIやクラウド、サイバーセキュリティなどの需要は根強い
– 米国経済の堅調さ:雇用市場の強さや堅調な個人消費
– 投資マネーの流入:世界的に相対的なリスク選好が続く場合、資金が引き続き米国に集まりやすい

 

新NISA投資家が注目すべきポイント

新NISAとは

2024年に制度が大幅刷新され、2025年には多くの個人投資家が「新NISA口座」を活用し始めています。年間投資枠が拡充されたほか、これまで非課税枠の上限や期間に制限があったものが大きく緩和され、積立投資や一般投資が併用できるようになりました。
新NISAの特徴を踏まえたポイントとしては、以下のようなものがあります。

– 非課税メリットを最大限生かすなら「長期積立」が基本
– 上限やロールオーバーに関するルールが大きく変わったため、制度を理解しておくことが重要
– 海外株や投資信託を組み合わせる際にも「新NISA枠」を活用可能

 

短期的な値動きに振り回されない投資方針

新NISAは中長期投資を促進するために整備された制度でもあるため、短期的な株価の上下に左右されずに、コツコツと積立を継続するのが王道です。特に2025年は米国も日本も波乱要因が多く、マーケットのボラティリティが高まる可能性があります。
そのため、「暴落のタイミングこそ買い増しのチャンス」とも言える長期投資家にとって、新NISAは心強い仕組みといえるでしょう。

 

日本株に期待する理由

1. 相対的なバリュエーションの魅力

米国株はハイテク企業の好調さを背景に、PER(株価収益率)などのバリュエーション指標が高い水準にあります。一方で、日本株は世界的に見てもまだ割安感が残っているとの見方が一般的です。
日本企業の業績自体は、アフターコロナや円安の恩恵で2024年に大幅に回復した企業も多く、利益水準が底上げされている状況です。にもかかわらず、PERが米国主要企業に比べ低めにあるため、投資家から「割安」だと評価され始めています。

 

2. 賃金上昇と消費拡大への期待

近年、日本政府や企業も賃上げの動きを強化しており、家計所得が増えれば消費が活性化し、企業の売上や利益へと還流する好循環が期待できます。少子高齢化などの構造的な課題はあるものの、緩やかなインフレ環境での経済成長や、堅調な企業収益が続けば、日本株全体のバリュエーションが見直される可能性も十分に考えられます。

 

3. 政策面でのサポート

日銀の金融政策にも注目が集まっています。長期間続いた超低金利政策の正常化がどのような形になるのかは依然不透明ですが、緩やかであれば企業活動を大きく阻害する要因にはならないでしょう。
さらに、トランプ政権の保護主義が強まれば強まるほど、脱「中国依存」を意識したサプライチェーンの再構築が進み、日本企業が担う役割が増す可能性もあります。製造業の競争力や技術力が再評価されるシナリオもあるため、中長期的な視点で日本株に期待する向きも多いのです。

 

アメリカ株を検討すべき理由

1. 世界最大のマーケットとテック企業の強み

アメリカは何といっても世界最大の株式市場であり、市場規模や流動性の高さは他国を圧倒しています。特に、AIやクラウド、EV(電気自動車)など成長が見込まれるセクターが米国に集中し、多くのイノベーションを生み出すテック企業が集結しているのも強みです。
ハイテク株のバリエーションは高めとされますが、それだけ成長の可能性も大きく、グローバル資金が集中する傾向は続きやすいと見る専門家もいます。

 

2. 消費意欲が衰えにくい経済構造

米国経済は個人消費が国内総生産(GDP)の7割を占めると言われ、賃金が上がれば消費も大きく伸びる「好循環」を作りやすい構造です。2025年1月においても、雇用統計は堅調で、失業率が低水準を維持していることが市場に安心感を与えています。
一方で、この「好調な雇用→インフレ懸念→金利引き上げ」というパターンには注意が必要です。金利上昇は株価にとってマイナス材料になる場合があるため、「好景気=株高」とは一概に言い切れない状況にあるのも事実です。

 

3. ドル資産の分散効果

資産形成を考える上で、通貨の分散はリスク管理において重要です。円だけでなくドル建ての資産を保有しておくことで、為替リスクを分散させる効果が期待できます。
日本がインフレ政策を続ける場合、長期的な円安傾向になる可能性も否定できません。そのため、ドル資産を一定割合持っておくことは、資産全体の安定に寄与するでしょう。

 

2025年2月以降の注目ポイント

1. FRBと日銀の金融政策

米国:FRBがインフレ抑制のために利上げペースをどのように調整するかが最大の焦点です。強い雇用指標が出るたびに「タカ派的な利上げ継続」に傾く可能性が高いため、株式市場が乱高下しやすい展開が続くかもしれません。
日本:日銀がYCC(イールドカーブ・コントロール)の調整や、マイナス金利解除への道筋を示すかが注目されます。過度な円高や金利上昇を招かない範囲で政策修正が行われるかどうかが、株式市場にも影響を及ぼします。

 

2. トランプ政権の動向

トランプ大統領が再び「アメリカ・ファースト」を前面に打ち出す以上、通商政策や対中関係の先行きは不透明感がつきまといます。いわゆる「関税戦争」が再び激化すると、輸出に依存する日本企業にはネガティブなニュースとなる可能性が高いでしょう。
逆に、地政学リスクが高まるなかで、防衛関連やインフラ関連など一部のセクターには追い風となる見方もあるため、ニュースを丹念に追うことが重要です。

 

3. 企業業績と決算シーズン

日米ともに主要企業の決算が出揃うのは2月から3月にかけてです。ここで市場予想を上回る好決算が続けば、株価が再度上昇基調に戻る可能性も十分あります。また、決算内容が悪ければ失望売りが広がる可能性があり、マーケットは大きく揺れ動くことが考えられます。
個別銘柄の情報を追いながら、「市場全体のセンチメント」がどう変化するかを注視する必要があります。

 

4. 中国経済の行方

中国は世界第2位の経済大国であり、日本や米国とも深い貿易関係を持っています。中国の景気が減速すると、特に自動車や機械などの輸出産業が打撃を受ける可能性が高いでしょう。一方で、米中対立が激化すれば、中国市場への依存度が下がる産業や、日本国内の投資需要が増えるセクターなどが注目される可能性もあります。

 

まとめ:日本株と米国株、どちらを選ぶべきか?

結論から言うと、「両方に分散投資するのが望ましい」というのが大半の専門家の見解です。
新NISA口座を活用する投資家は、非課税枠をできるだけ効率よく使い、中長期的に資産を増やすことを目指します。そこで重要なのが、「ポートフォリオ全体のバランスを見直す」ことです。

日本株:バリュエーションの割安感や円安基調、国内政策の追い風がある。賃上げや構造改革によって企業収益がさらに向上する余地もある
米国株:世界最大の市場規模とテクノロジーの成長力が魅力。ドル資産の分散効果も見逃せない
注意点:どちらの市場も地政学リスクや景気後退の懸念から、短期的には大きく上下する可能性がある

もし投資資金を十分に用意できる方なら、例えば「米国株50%:日本株50%」といった形でスタートし、市場動向やご自身のリスク許容度を見つつ、比率を調整するのも一案でしょう。
また、時間分散(積立投資)を行うことで、株価が高い時にも安い時にも平均的に購入できるため、短期的な暴落や急騰に一喜一憂しにくくなります。

 

あとがき:長期目線での資産形成を

2025年は、年明け早々から日本株・米国株ともに変動が激しく、「相場を読む」のは容易ではありません。しかし、新NISAが本格化するタイミングでもあり、長期的な資産形成を目指すならば、むしろ「ブレにくい投資行動」が求められます。
株式市場には必ず浮き沈みがあり、金融政策や政治イベントに大きく揺さぶられることが多いものの、過去の歴史を振り返ると、長期的には世界経済の成長に伴って株式市場も拡大してきたという事実があります。

リスク管理:投資資金のうち、どの程度を株式に振り向け、どの程度を安全資産として保持するかを常に意識
分散投資:日本株・米国株に限らず、複数の資産を組み合わせることでリスクをコントロール
時間軸:短期的な値動きよりも、5年、10年といった長期スパンでのリターンを重視

新NISAはこうした長期投資に非常に相性が良い制度です。焦らずコツコツと買い増しを続けることで、結果的には大きなリターンを得る可能性が高まります。
2025年2月以降も、多くのイベントが控えており、相場の乱高下は続くかもしれません。それでも、焦って売買を繰り返すよりは、経済成長や企業の収益力を見極めながら、長期的に信じられる銘柄や投資信託に腰を据えて投資する方が、良い結果につながりやすいでしょう。

 

以上、「2025年1月の日本株の動向」と「米国株の現状」を振り返りつつ、新NISA投資家が今年どのような視点で投資を考えるべきかをまとめました。
株式市場は常に変化し続けていますが、その変化を楽しみながら、無理のない範囲でリスクを取り、将来の資産を育てていく感覚を持つことが大切です。日本株と米国株、両方を上手に使い分け、分散と長期目線を意識して、ぜひ2025年をあなたの資産形成の飛躍の年にしてみてください。