Contents
- 1 この記事の要点・結論
- 2 基礎控除を理解しよう ─ 相続税ゼロの起点
- 3 STEP1 財産の棚卸しと時価評価
- 4 STEP2 評価額を圧縮する4つの方法
- 5 STEP3 法定相続人を増やす?養子の効果と注意点
- 6 STEP4 生前贈与で超過分をコツコツ圧縮
- 7 ケーススタディ3選
- 8 相続統計を読み解く ─ 本当に9割がゼロなの?
- 9 小規模宅地特例が切り札 ─ 実際の適用件数
- 10 生命保険非課税枠の活用で現金課税を回避
- 11 最新の税制改正動向 ─ 令和6年以降の贈与加算
- 12 まとめ
- 13 よくある質問
- 14 参考サイト
- 15 初心者のための用語集
- 16 編集後記
- 17 相続に関する参考記事
- 18 免責事項
- 19 相続に関する無料相談、随時受付中!
この記事の要点・結論
- 相続税が課税される割合は9.9%ほど(2023年申告事績)。10人のうち9人がゼロ納税という統計
- 基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人(2025-04 国税庁)。これをフル活用できれば多くの場合相続税はかからない
- さらに小規模宅地特例で土地評価80%減、生命保険非課税500万円×法定相続人などを組み合わせることで実質的にゼロも可能
- 養子縁組で法定相続人1人増⇒基礎控除+600万円上乗せ。だが「節税目的だけ」と見なされないよう注意
- 生前贈与は110万円/年の暦年贈与を使えば10年で1,100万円超を移転。教育資金贈与も節税策として有効
結論として、相続財産の評価を下げられる特例や非課税枠を総合的に駆使すれば、基礎控除の枠内に収めることが比較的実現しやすくなります。 細かなルールを押さえれば、十分相続税ゼロを狙うことができる点に注目してください。
基礎控除を理解しよう ─ 相続税ゼロの起点
3,000万円+600万円×法定相続人 の公式
- 現在の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人」。平成27年の税制改正で大幅に引き下げられた
- 1人の相続で3,600万円、2人なら4,200万円、3人なら4,800万円という形で控除額が増える
- 課税割合は令和5年の申告事績で9.9%。大半の遺産が基礎控除内に収まっている
相続税の課税割合は平成27年に基礎控除が縮小されたことで一気に上昇しました。 ただし最新の令和5年(2023年)分データでも約9.9%で、依然として相続税ゼロになる人が多数派です。 基礎控除の仕組みを正確に理解すれば、多くのケースで課税回避が可能といえます。 下表は、基礎控除の変遷をまとめた参考データです。改正の歴史を把握することで、今の基礎控除水準がいかに縮小されたか確認できます。 基礎控除額の改正履歴
改正適用時期 | 基礎控除額 | 法定相続人1人の場合 |
---|---|---|
昭和63年以前 | 2,000万円+(400万円×人数) | 2,400万円 |
昭和63年〜平成3年 | 4,000万円+(800万円×人数) | 4,800万円 |
平成4年〜平成5年 | 4,800万円+(950万円×人数) | 5,750万円 |
平成6年〜平成26年 | 5,000万円+(1,000万円×人数) | 6,000万円 |
平成27年〜現在 | 3,000万円+(600万円×人数) | 3,600万円 |
以前は法定相続人1人でも5,000万円を超える控除があり、税金がかかりにくい仕組みでした。 平成27年以降は控除額が大きく下がっているため、都市部や高額の不動産を持つ人は要注意です。
STEP1 財産の棚卸しと時価評価
現金・預金・不動産・保険をリスト化
- まずはすべての財産をリストアップ。名義が複数あれば忘れず洗い出す
- 不動産は「路線価」や「倍率方式」等で評価
- 生命保険は受取人を誰に設定しているかで税制上の扱いが変わる
相続財産をあいまいなままにしておくと、基礎控除を超過するかどうかの判断が難しくなります。 被相続人名義の預貯金や株式だけでなく、貸金庫の中身やゴルフ会員権、負債や葬式費用などもチェックしましょう。 加えて、生命保険の死亡保険金は「みなし相続財産」として課税対象に含まれる点がポイントです。 評価で特に大きなウェイトを占めるのが不動産です。 路線価は公示地価の8割程度とされることが多く、市場価格より低めですが、土地の形状や利用区分次第で大きく変動します。 また, 建物の評価は固定資産税評価額がベースになることが一般的です。 こうした評価差で意外に課税ラインを下回るケースもあり得ます。
STEP2 評価額を圧縮する4つの方法
- 小規模宅地特例
- 生命保険非課税枠
- 非上場株評価減
- 教育資金一括贈与
相続税の申告では財産を「どう評価するか」が肝となります。 評価額を実際よりも低くできる制度を賢く使うと、基礎控除だけで足りない場合でも大幅に課税価格を下げられます。 1. 小規模宅地特例 相続時に被相続人が住んでいた宅地や事業用宅地に対し、大幅な評価減を認める制度です。 居住用宅地で最大80%減額, 事業用は80%, 貸付事業用は50%など複数の区分があります。 2022年(令和4年)の国税庁データによれば, 被相続人の約6割強がこの特例を利用しているとの統計もあり, 相続税対策の定番といえます。 2. 生命保険非課税枠 相続人が受け取る死亡保険金には「500万円×法定相続人」という非課税限度額があります。 たとえば相続人が3人いれば1,500万円まで非課税なので, 預貯金で同額を持っているより大幅に税負担を下げられます。 2024年度の生命保険協会資料によれば, この非課税枠の活用だけで年間数百億円相当の減税効果があると推計されており, 非常に重要な制度です。 3. 非上場株評価減 同族会社の株式を保有している場合, 事業承継税制(経営承継円滑化法)を活用すると株価を大きく圧縮できる特例が用意されています。 類似業種比準方式や純資産価額方式の評価をさらに軽減する制度で, 要件を満たせば80%や100%近い軽減も可能なケースが存在します。 ただし認定支援機関への相談や, 細かな手続きが必要なので, 専門家の協力は欠かせません。 4. 教育資金一括贈与 祖父母が孫に教育資金を一括贈与する際, 最大1,500万円まで贈与税非課税となる特例があります。 金融機関で専用口座を開設して教育費に使用していけば, 相続財産を将来的に減らす効果が期待できます。 特に大学や留学など高額な学費が見込まれる場合には大きなメリットがあります。
STEP3 法定相続人を増やす?養子の効果と注意点
相続税法上の養子制限と判例
- 養子縁組で法定相続人を1人増やすと, 基礎控除が600万円上乗せされる
- 保険金や退職金の非課税枠も「法定相続人の数」で計算するため, その分メリットが大きい
- ただし「実子がいる被相続人は養子1人まで, 実子がいなければ2人まで」が相続税法の上限
節税目的で養子縁組を検討する方が増えていますが, 無制限に養子を増やせるわけではありません。 相続税法で明確に人数制限があり, 判例でも「実質的な親子関係の意思がない養子縁組」は無効とされた例があります。 2025年時点の最高裁判決(平成29年1月31日など)では「節税目的自体は直ちに否定されないが, 親子関係の実態が認められるか」が焦点になっています。 以下は, 養子縁組による基礎控除や非課税枠の変化をまとめた表です。 相続人1人増えるだけでここまで効果が違うことを再認識しましょう。 養子1人を増やした場合の基礎控除・保険非課税例
法定相続人 | 基礎控除 | 生命保険非課税枠 |
---|---|---|
2人(実子1名) | 3,000万+600万×2=4,200万円 | 500万円×2=1,000万円 |
3人(養子1名追加) | 3,000万+600万×3=4,800万円 | 500万円×3=1,500万円 |
養子を増やすだけで相続税の負担が大きく減る反面, 相続人同士の取り分や家族関係が変わるデリケートな問題を伴います。 節税以上の目的(実際に養育・扶養の意思があるか)と家族合意をきちんと固めることが重要です。
STEP4 生前贈与で超過分をコツコツ圧縮
暦年贈与 110万円・相続時精算課税の併用
- 年110万円以下の贈与は贈与税がかからない暦年課税
- 10年続ければ合計で1,100万円の非課税贈与が可能
- 相続時精算課税なら2,500万円まで贈与税ゼロ(ただし相続時に合算)
財産総額が基礎控除を超える場合でも, 生前に計画的に贈与を行い財産を移転しておけば, 最終的な相続財産を圧縮できます。 暦年贈与の基本は毎年110万円以内に収めること。これを超えると贈与税がかかりますが, きちんと贈与契約書を作成し, 贈与の実態を示すことが大切です。 また, 2024年税制改正で贈与税と相続税の一体課税が強化され, 暦年贈与の加算期間は令和6年1月以後の贈与から段階的に延長され, 最終的に最長7年となるため, 早めの対策が重要です。 相続時精算課税は2,500万円まで非課税で贈与できる仕組みですが, 相続発生時にその贈与額が丸ごと課税対象に加算される点がポイントです。 ただし贈与時には税率がかからないため, 「生前に早めに渡すこと自体に意味がある」ケースでは積極利用されることも多く, 住宅取得や教育・結婚資金など実需がある場合に適した制度といえます。
ケーススタディ3選
① 総資産4,800万円・相続人3人→ゼロ達成
- 相続財産がほぼ4,800万円程度のケース(自宅と預金で構成)
- 法定相続人が3人いれば「3,000万円+600万円×3=4,800万円」で完全にカバー
- 小規模宅地特例はほぼ使わずとも相続税ゼロに到達可能
ある家族では被相続人(夫)が亡くなり, 妻と子2人が相続人でした。 自宅が評価3,500万円, 現金・預金1,300万円で合計4,800万円。 基礎控除4,800万円と一致していたため, 相続税はゼロとなりました。 このように基礎控除内に収まる典型的な事例でも, 評価次第では思わぬ増減があり得るので, しっかり事前に評価確認することが大切です。
② 賃貸併用住宅で評価圧縮
- 都心部で地価が高い不動産を所有している例
- 賃貸部分は貸付事業用宅地として最大50%減, 居住部分は80%減の特例対象にもなり得る
- 借家権割合や建物評価減も重なると, 相続税が大幅カットになる
賃貸併用住宅とは, オーナーが同じ建物に住みながら, 他フロアを賃貸に出して収入を得る形式のものです。 相続時には「自分が住んでいた部分」は特定居住用宅地として80%評価減, 「人に貸していた部分」は貸付事業用宅地で50%評価減となる可能性があります。 そのうえ借家の建物評価は通常の自用建物より低く評価されるため, 高額不動産を持つ人にとっては強力な節税策になり得ます。
③ 養子縁組で控除 600万円上積み
- 実子が1人だけの被相続人が, 孫を養子にすると相続人が2人に
- 基礎控除「3,600万円」→「4,200万円」へアップ。+600万円の効果
- 相続税法上の制限を超えない範囲であれば正当に適用可
例えば父(被相続人)に実子が1人, さらに孫(実子の子)を養子に迎えたケース。 法定相続人が2人となったことで基礎控除が4,200万円に引き上げられ, 最終的に相続税課税額は数十万円ほどだったのがほぼゼロに近づいたという実例があります。 ただし, あくまでも家族内合意や実質的な親子関係の意思がないと, 無効と争われるリスクがありますので慎重に判断しましょう。
相続統計を読み解く ─ 本当に9割がゼロなの?
基礎控除で大半が課税ライン以下
- 令和5年申告事績での課税割合は9.9%
- 令和4年分(2022年)の死亡者数は約157万人。そのうち15.5万人ほどが相続税を納めた
- つまり約141万人は課税されていない計算になる
よく「相続税は富裕層の税金」と言われますが, 実際にデータを見ると, この認識は今も大きくは変わっていません。 ただ, 平成27年以降, 基礎控除が大幅に引き下げられたことで, 都市圏の不動産オーナーなど従来は非課税だった層が課税対象になるケースは増加し続けています。 それでも日本全体で見ると相続税がかからないほうがまだ多数派であるのは確かです。 相続税申告における平均的な被相続人の課税価格は1億円前後(令和4年データで約1.3億円)とされていますが, これは高額層が平均を押し上げているためです。 多くのケースでは5,000万円〜1億円以下ぐらいの層が全体の6割以上を占めるとの国税庁統計があります。
小規模宅地特例が切り札 ─ 実際の適用件数
居住用宅地80%減のインパクト
- 令和4年分データでは, 小規模宅地特例の適用者が多数
- 居住用宅地の80%減額は都心部の評価抑制に絶大な効果
- 貸付事業用宅地は50%減とやや低いが, それでも大きなメリット
国税庁統計によると, 小規模宅地特例は被相続人の約6割が活用しているとの分析結果があります(令和4年分)。 特に居住用宅地に適用すると最大で土地評価の80%をカットできるため, 一気に課税ラインから外れるケースが多数。 実際にこの特例のおかげで相続税がゼロになる事例も少なくありません。 一方, 適用要件として配偶者や同居親族が相続後も住み続けるなど, 継続居住の実態が必要です。 不動産を売却してしまうと適用を受けにくいので, 実際の活用にあたっては将来のライフプランも考慮することが大切です。
生命保険非課税枠の活用で現金課税を回避
500万円×法定相続人が強力
- 残された遺族の生活保障という社会적役割があるための特別非課税枠
- 3人相続なら1,500万円まで非課税金を受け取れる
- 保険料の払込み名義や受取人設定次第で課税関係が変わるので要確認
2024年度の財務省データでは, 生命保険の非課税枠適用による減税額が年間900億円超になると試算されています。 平均的な死亡保険金額は1,500〜2,000万円という統計(生命保険文化センター2024年度)があり, この枠を使うと大部分が課税対象から外れる可能性が高いのです。 受取人を相続人に指定していない場合は非課税が適用されないので, 契約内容の確認が欠かせません。 なお, 「相続人外の人」が保険金を受け取ると非課税枠を享受できず, 贈与税や一時所得がかかるケースもあるため, 家族構成の事情に合わせて受取人設定を見直しておきましょう。
最新の税制改正動向 ─ 令和6年以降の贈与加算
3年→7年加算の可能性に留意
- 暦年贈与の「相続前3年分を加算」ルールが7年へ延長(2024年改正で決定)
- 相続時精算課税も基礎控除110万円が創設され2024年から適用
- 今後は「生前贈与」と「相続」がより一体的に課税される方向
近年の税制改正は「資産移転の早期化」を促しつつ, 富裕層の大幅な節税を抑える意図がみられます。 具体的には, 贈与後3年以内の財産は相続税に加算される仕組みがありましたが, この期間を7年に延ばす改正が2024年に成立し, 令和6年1月以後の贈与から段階的に適用されています。 改正により「暦年贈与でコツコツ財産を減らす」戦略の効果がやや薄れる可能性があるため, 早めの対策が重要です。 また, 相続時精算課税の基礎控除110万円が創設され, 贈与の自由度が上がる方向性もあり, 一概に不利になるわけではありません。 要は改正内容を正しく理解し, 制度が複雑になる分早めに計画を立てることが求められます。 ※相続の手続き・節税対策にあたっては以下の記事も参考にしてください
- 相続トラブル事例10選と弁護士直伝の解決策 — 典型的な“争族”パターンを事例別に分析し、弁護士視点で予防・解決アプローチを解説。
- 相続と贈与どっちが得?資産別シミュレーション&最適節税プラン — 税率・控除を表で比較し、ケーススタディで最適な節税ルートを提案。
- 相続手続きチェックリスト15項目|期限と必要書類を完全ガイド — 死亡直後から10か月までの必須タスクを時系列で整理し、書類と届出先を漏れなく網羅。
まとめ
「相続税ゼロ」を実現する鍵は, まず基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人」をしっかり活かすことにあります。 この控除ラインを超えると判断しても, 小規模宅地特例による土地評価の大幅減や, 生命保険の非課税枠, 養子縁組の基礎控除追加, さらには暦年贈与などを組み合わせれば, 意外と納税額を大幅に下げられます。 実際, 国税庁の統計でも相続税が課税されるのは全体の1割弱にとどまり, その背景にはこうした特例・非課税制度の恩恵が大きく寄与しているのです。 対策の要点は, 「どの制度をどの順番で」「どの程度利用できるか」を具体的にシミュレーションすることです。 相続税法は細かい規定や要件が多く, また改正が続く分野でもあります。 十分に情報収集を行い, 必要があれば税理士や弁護士など専門家に相談しながら進めていくのが確実です。 家族の将来設計やライフスタイルも併せて考慮し, 最適な相続プランを検討してみてください。
よくある質問
- Q. 基礎控除はいくらになりますか? A. 計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人」です。例:配偶者と子2人なら4,800万円が非課税枠となります(国税庁タックスアンサー)。
- Q. 基礎控除を超えそうな場合はどう備えるべき? A. 小規模宅地等の特例(最大80%評価減)や生命保険非課税枠の活用で評価額を圧縮し、控除内に収めるのが王道です(小規模宅地特例の詳細)。
- Q. 生命保険の非課税枠は具体的にいくら? A. 被相続人が加入する死亡保険金は「500万円×法定相続人」まで非課税。相続人が3人なら1,500万円まで評価に含まれません(国税庁FAQ)。
- Q. 死亡保険金を相続人以外が受け取った場合も非課税ですか? A. いいえ。非課税枠は相続人が受け取る死亡保険金に限られ、受取人が相続人でない場合は全額課税対象となります。
- Q. 養子縁組で法定相続人を増やすときの上限は? A. 実子がいる場合は養子1人、実子がいない場合は2人までが基礎控除計算に算入できます(国税庁通達)。
- Q. 暦年贈与110万円非課税はいつ判定されますか? A. 毎年1月1日〜12月31日までの贈与額で判定します。生前贈与加算期間は改正により段階的に延長されており、〜2026年12月31日に発生した相続は従来どおり過去3年間の贈与が加算対象。2027年1月1日〜2030年12月31日に発生した相続は2024年1月1日以降の贈与が対象(最大3年超〜7年未満)。2031年1月1日以降に発生した相続からは過去7年間の贈与が一律に加算されます(暦年課税の加算期間改正)。
参考サイト
- 国税庁タックスアンサー「相続税の計算」 ― 基礎控除の公式と計算例を一次情報で確認できます。
- 国税庁タックスアンサー「小規模宅地等の特例」 ― 評価額▲80%が適用される要件と具体的な減額割合を解説。
- 国税庁「令和5年分 相続税の申告事績の概要」 ― 課税割合9.9%など最新統計データを掲載した公式リリース。
- 生命保険文化センター「死亡保険金の非課税金額」 ― 500万円×法定相続人の非課税枠と具体例を図解。
- 三井住友信託銀行「暦年贈与サポート信託」 ― 110万円贈与を毎年自動化できる信託スキームの詳細がわかります。
初心者のための用語集
- 基礎控除:相続税の計算で無条件に差し引ける非課税枠。式は「3,000万円+600万円×法定相続人」。これを下回れば相続税はかからない。
- 法定相続人:民法で定められた相続順位に基づく相続人。人数によって基礎控除や各種非課税枠が増減する。
- 小規模宅地等の特例:被相続人の自宅や事業用土地を評価額の最大80%(貸付用は50%)まで減額できる制度。
- 生命保険非課税枠:相続人が受け取る死亡保険金のうち「500万円×法定相続人」までは課税価格に算入しない特典。
- 暦年贈与:毎年110万円までの贈与を非課税にできる制度。相続開始前7年分は相続財産に加算される点に注意。
- 相続時精算課税:60歳以上の父母・祖父母が子や孫へ贈与する際、2,500万円(2024改正後3,000万円)の贈与まで贈与税を猶予し、相続時に精算する制度。
- 類似業種比準価額:非上場株式の相続税評価で使う算定方法。配当・利益・純資産を上場企業平均と比較して株価を評価する。
- みなし相続財産:死亡保険金や死亡退職金など、相続発生を契機に受け取るが遺産分割の対象外となる財産。相続税計算には含める。
編集後記
今回ご紹介した基礎控除フル活用プランは、実は私が取材したAさん(68歳・横浜市在住)の実体験をベースにしています。 Aさんは定年退職時点で総資産約8,500万円(自宅6,000万円・預金2,000万円・上場株500万円)を保有していましたが、平成27年の基礎控除引き下げ報道を見て「放置すると税金がかかるかも」と危機感を抱きました。 最初に着手したのは財産の棚卸しです。公図と固定資産税通知書を突き合わせ、自宅路線価を割り出したところ、相続税評価は想定より低い3,800万円と判明。「評価額は自分で調べないと高く見積もりがち」という気付きがあったそうです。 次に取り組んだのが小規模宅地等の特例の要件整理。長男夫婦と同居を決め、将来の家督承継体制を整備。併せて、配偶者と子2人を受取人にして死亡保険金1,500万円を加入し、非課税枠を確保しました。 資金的余裕があったため、Aさんは暦年贈与を2020年から開始。毎年110万円ずつ、3人の孫口座へ振り込みを継続し、2025年までに▲1,650万円を無税で移転。振込明細と贈与契約書をクラウドに保存したため、税務調査でも提出に困らない仕組みができています。 最後に、65歳で退職金を受け取った際、余剰分を投資信託→定期預金→保険へと資産シフト。結果、2025年4月時点の相続財産見込額は4,620万円となり、基礎控除4,800万円の範囲内へ滑り込みました。 Aさんが強調していたのは「早く動けば動くほど、痛みが小さく済む」という当たり前の事実です。金融機関や税理士との相談にはコストがかかりますが、相続発生後に慌てて対策費以上の税金を払うより、心理的・経済的負担は確実に小さいと語ってくれました。 相続税対策は難解に見えますが、Aさんのように棚卸し→評価圧縮→生前贈与を地道に実行すれば「相続税ゼロ」は十分に達成可能です。本記事が読者のみなさまの第一歩となれば幸いです。
相続に関する参考記事
遺言書の作成から相続税対策まで、トラブルを回避しつつ損をしないための実践ノウハウを厳選しました。気になるテーマをチェックして、安心・円満な相続にお役立てください。
- 相続争いを防ぐ遺言書テンプレート — 自筆・公正証書の書き方と注意点を具体例付きで解説。テンプレート活用で無効リスクを最小化。
- 相続の基本|初心者ガイド — 法定相続人・遺産分割の流れをわかりやすく整理。まず押さえるべき手続きと期限を総まとめ。
- 相続税はいくら?2025年シミュレーションと節税策 — 税額早見表とシミュレーションで負担額を試算。小規模宅地等特例などの節税テクニックも紹介。
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