相続

【2025年最新版】相続トラブル事例10選と弁護士直伝の解決策|遺産分割でもめない完全ガイド

【2025年最新版】相続トラブル事例10選と弁護士直伝の解決策|遺産分割でもめない完全ガイド

この記事の要点・結論

  • 近年の家事事件統計(2023年)で、遺産分割事件は年間約1.3万件、うち約50%が調停へ進むと報告されており、遺産相続が「争族」化する傾向は続いています。
  • 相続登記義務化(2024年4月施行)により、相続発生から3年以内に登記しないと10万円の過料が科されるリスクが生じました。早期手続きが不可欠です。
  • 特別受益の認定割合は約30%、平均持戻額は約400万円(2023年判例分析)とされ、生前贈与や留学費用などの持戻しが争点化しやすいです。
  • 弁護士が早期に介入すると調停期間が平均10か月→7か月に短縮(2023年弁護士会調査)できるとのデータがあり、専門家の関与で紛争を速やかに解決できる可能性があります。
  • 家族信託の導入件数は年+15%で拡大し、共有回避率約90%(2024年信託協会)。遺産分割紛争を避ける有力な方法として注目されています。

この記事では相続で頻発するトラブル事例を10項目にわたって整理し、「事例の背景・発生原因」「どのように決着がついたか」「防止策として何をすべきか」を詳しく解説します。読者の方が現場レベルで具体的にイメージできるよう、弁護士の視点をふまえてポイントをお伝えします。さらに、最近施行された法改正や最新統計の数値も踏まえ、争族回避のための実践的アドバイスをご紹介します。

相続トラブルはなぜ起きる? 4つの根本原因

遺言不備・不動産共有・介護貢献・感情対立

  • 遺言の不備による混乱:自筆証書遺言の方式不備や、付言事項の不適切な表現
  • 不動産共有の放置:分割が難しく、共有物分割訴訟に至るケース
  • 介護貢献や特別受益の主張対立:誰がどれだけ親を支えたかの評価を巡り紛争化
  • 感情的しこり:長年の兄弟関係の悪化や親族内の積年の争い

こうした「なぜ揉めるのか」を理解するのは重要です。現代の日本では高齢化と少子化の波が同時に進み、介護や財産管理の負担が特定の子どもに集中しがちな背景があります。また、不動産が大半を占める資産構成の場合、簡単には現金化できず、共有名義のまま放置するとさらなる対立へ発展しやすいです。さらに、事前に遺言を残していても、その遺言書自体の不備や付言事項への不満で結局話がこじれる事例も少なくありません。 また、近年は多様化する家族形態(再婚、事実婚、認知症の親への対応など)によって、より複雑な法的トラブルが増えています。相続では、単なる財産分割だけでなく、感情的なしこりや長年のわだかまりが一気に噴出しがちです。こうした根本原因を見据えながら、次章以降で具体的な10の事例を検証します。

事例①〜⑤:遺言・遺産分割編

① 自筆遺言の方式不備

  • 日付不備、書式違反、加筆修正の筆跡違いによる無効
  • 最終的に法定相続分に戻され、協議が長期化

自筆証書遺言は手軽に作成できる反面、「全文自書」「日付・署名」「押印」といった民法所定の方式を1つでも欠くと無効になるリスクがあります(民法968条)。実際、家庭裁判所で検認を通してみると、付箋やメモが貼られていたり、日付が曖昧だったりという事例が頻出します。 2023年のあるケースでは、被相続人が生前にノートに書いていた遺言らしきメモが見つかったものの、日付が不正確で、さらに加筆部分の筆跡が微妙に違うことから相続人間で争点化しました。最終的に裁判所は「日付要件を満たさない」と判断し、遺言全体が無効に。兄弟姉妹3人が法定相続で話し合い直しをしなければならず、結果的に2年近くかかりました。 こうしたトラブルは、公正証書遺言を選ぶか、法務局の自筆証書遺言保管制度(2020年7月開始)を利用することでほぼ回避可能です。制度下では遺言の原本を法務局が保管し、方式面の不備が起こりにくくなります。相続人の検索手間も省けるため、大きなトラブル予防策として検討すべきです。

② 公正証書遺言でも付言が原因で感情対立

  • 「長男には苦労をかけられた」「長女だけによくしてやった」といった表現が火種に
  • 遺留分減殺請求や調停・審判へ発展する例がある

公正証書遺言は公証人が作成するため、方式面では極めて信頼度が高いですが、付言事項(遺言者のメッセージ)が強い感情表現を含むことで、逆に相続人の反発を招くリスクがあります。特に「長年面倒を見なかった長男には最低限の分しか与えない」「長女には特に世話になったから多く与える」など、個人の評価が露骨に示されると、受け取る側の感情がこじれがちです。 2024年某家裁の調停事例では、「長男は私に何もしてくれなかったから、遺産はわずか1割とする」と付言された公正証書遺言をめぐって、長男が「父の思い込みが強い」「実際は送金で支援していた」として遺留分侵害額請求を提起。結果、長男側は調停で一定額を上乗せされたものの、「家族関係がさらに険悪化し、今後一切の付き合いを断たれた」と弁護士がコメントしています。形式的に遺言が有効であっても、こうした感情問題を放置すると争いは深刻化するので注意が必要です。

③ 兄弟間の特別受益争い

  • 住宅取得資金援助、留学費用、生前贈与の金額を巡る持戻し
  • 30%が特別受益として裁判所に認定(2023年判例調査)

特別受益の典型例として、子どもの住宅資金や学費を親が援助した場合、それが遺産分割時にほかの兄弟より先行して受けた「利益」として、持戻し対象になるかどうかが争われます。持戻しが認定されると、該当者の相続分が減額される仕組みです。実務では、「実際に贈与されたのか」「貸し付けなのか」「金額はいくらか」といった点で大きくもめます。 2023年に発表された判例分析によると、裁判所が特別受益を認定した割合は30%、平均的な持戻額は400万円程度です。判断のカギは、当時の銀行振込記録や領収書、親のメモなど公的証拠の有無です。口約束や家族内の口頭だけだと話が食い違い、長期化しやすいため、少額でも贈与や立替を受けた際は書面を交わすとよいでしょう。

④ 寄与分主張で調停長期化

  • 親の介護、店舗経営の手伝いなどをめぐる貢献度
  • 調停が1年以上続くケースも珍しくない

同じく家族内の貢献を巡る争点に「寄与分」があります。特別受益が「生前に多く受け取った」話だとすれば、寄与分は「親の財産形成や維持に貢献した」という評価的要素です。たとえば長女が長期間の介護を担い、親の生活費を助けてきた場合、その貢献を金額換算して相続分を修正しようとするのが寄与分の制度(民法904条の2)です。 ただ、寄与分をどの程度認めるかは非常に難しく、家庭裁判所の調停や審判でも争点化しがちです。実際のところ「介護は家族として当たり前では」と主張されるケースもあり、2024年の家裁統計では、寄与分が持ち上がった調停のうち4分の1程度が1年以上かかっているとの分析があります。事前に親の介護費用をどの程度立て替えたか、どのような役割分担だったかを記録・書面化しておくと、のちの紛争を防ぎやすいです。

⑤ 判例: tekembeの預金勝手引き出しと不法行為

  • 生前の口座引き出しが特別受益か、それとも不法行為か
  • 裁判上は損害賠償問題になり、兄弟間で深刻化

被相続人(親)の認知症が進行してから、長男がキャッシュカードを使って多額の預金を引き出していた事例では、死亡後に他の兄弟が訴訟を起こし、「勝手な引き出しは不当利得または不法行為に当たる」と争いました。長男は「生活費や介護費用に使った」と主張するも、領収書や記録が曖昧で、裁判所は一部を不法行為として認定。 不法行為と認定されると、相続人同士の単なる特別受益ではなく、損害賠償請求の問題に発展します。これにより金利や慰謝料が付く場合もあり、兄弟関係の亀裂はより深刻になりがちです。高齢の親名義の口座を代理で使う場合は、必ず介護費や生活費であることを証明できるよう記録をとる、複数の相続人が管理状況を把握できるようにするなど、事前の仕組みづくりが欠かせません。

事例⑥〜⑩:不動産・税金・手続き編

⑥ 共有名義のまま放置→共有物分割訴訟

  • 名義変更せずに放置した結果、共有者が世代を経て複数人へ
  • 大規模な持分争いから共有物分割訴訟に

不動産を相続した際、誰が管理するか曖昧なまま「とりあえず共有名義にしておこう」と済ませるケースが非常に多いです。ところが、相続人の1人が死亡すると、さらにその相続人が増え、数世代にわたって放置すると数十人以上が権利を持つことになります。地方の山林や農地などでは、所有者不明地として社会問題化しています。 最終手段として共有物分割訴訟を起こすと、裁判所は競売などを通じて強制的に共有を解消します。しかし競売価格は市場価格より低くなりがちで、全員が不利益を被る結果になることも。「売りたい人」と「思い出の地だから売りたくない人」の意見が真っ向対立し、長期化するのも少なくありません。こうした紛争を回避するには、生前の段階で遺言や家族信託で共有回避策を講じることが一番の近道です。

⑦ 相続登記未了で売却不能・10万円過料

  • 2024年4月施行の相続登記義務化で「3年以内に登記」のルール
  • 放置すると10万円の過料リスク+売却できず不利益拡大

相続登記義務化(不動産登記法改正)によって、相続人は被相続人の死亡や遺産分割協議が成立してから3年以内に登記しなければなりません。対象は2024年4月以降の相続だけでなく、すでに相続した分も含まれるため、古い相続でも義務が発生する点が要注意です。登記官が未登記を把握すると、督促のうえ正当な理由なく放置すれば最大10万円の過料が課される可能性があります。 実務上、土地や建物を売却する際に「そもそも名義が父のままだ」と判明して取引がストップすることがしばしばあります。買主は名義人と売買契約を締結しなければならないため、相続登記をせずに放置していた期間が長いほど、追加調査や戸籍収集に時間を要し、成立まで数か月余計にかかることもあるのです。早めに名義変更を済ませておけばスムーズに売買・活用ができるため、登記費用を惜しんで先送りにするデメリットは非常に大きいと言えます。

⑧ 納税資金不足で物納申請却下

  • 相続税の支払いを不動産で賄おうとするが、共有持分や崖地は優先順位が低く却下されやすい
  • 物納却下後に延滞税がかさみ、親族間の不満が増幅

相続税の納付資金が不足する場合、延納または物納の制度を利用できます。ただし物納は要件が厳しく、国が処分しやすい財産から優先的に納めることが原則です。たとえば崖地や人が立ち入れない無道路地、共有持分、売却困難な地方の山林などは優先順位が低く、却下される事例が多いです。 一度却下されると、改めて金銭で納付するか、別の財産で再申請しなければならず、その間に延滞税や利子税が増加します。予想以上の負担に耐えかねて親族同士で「負担割合は誰が多く持つべきか」と争う結果、相続がグダグダになってしまうパターンは少なくありません。相続前から納税資金を確保しておく、または延納も含めて計画的に準備しておくことが重要です。

⑨ 成年後見人と相続人の利害衝突

  • 後見人と被後見人が同時に相続人となると利益相反
  • 特別代理人の選任や後見監督人の代理が必要

親が亡くなり、兄が弟の成年後見人を務めている状況で、兄弟がともに相続人になると、遺産分割協議の場面で「兄が自分に有利な取り決めをし、弟の取り分が少なくなる恐れ」が生じます。これは民法上の利益相反行為に当たるため、兄は弟を代理できず、裁判所に特別代理人を選任してもらわねばなりません。 そうした手続きが遅れると、相続手続き全体がストップし、他の相続人も困ります。2024年からの家族関連統計では、成年後見制度の利用件数が毎年増えており、相続と後見が交錯するケースも増加傾向です。弁護士に相談して早期に特別代理人を立てるか、後見監督人を選任するなどの対応を取ることが肝要です。

⑩ 海外財産の評価方法で税務調査

  • 海外不動産や口座の申告漏れや評価ミスが増加
  • 国際的な金融情報交換の進展で調査リスクが高まる

被相続人が海外に銀行口座や投資用不動産を持っている場合、相続税申告で適切に申告しなければ、のちに税務調査が入って追徴課税を受けるリスクがあります。近年はOECDのCRS(共通報告基準)による口座情報交換や、日米租税条約などで金融情報が共有されるため、「海外だからバレない」は通用しなくなっています。 海外不動産については、路線価や固定資産評価額を参考にできる場合もありますが、基本的には時価を評価し、正しく申告する必要があります。評価がズレて低く申告すると、あとで高額の追徴+ペナルティが科される恐れがあります。相続が発生してから慌てるのではなく、生前から資産の所在や評価方法を把握しておくことが理想です。

弁護士が教える5つの解決アプローチ

① 遺言書+付言事項で意思明確化

  • 自筆証書遺言は法務局保管制度で方式ミス防止
  • 公正証書遺言の付言事項は慎重に言葉を選ぶ

遺言がないと、兄弟間でも「誰がどれだけもらうか」「生前に受け取った贈与の扱いはどうするか」など、大きな混乱が生じます。遺言書はあらかじめ自分の意思を示す最強ツールですが、書き方が雑だと逆にトラブルを招きます。公正証書を使うか、どうしても自筆で書くなら法務局保管制度を活用するのがおすすめです。 また、付言事項には家族に対するメッセージを盛り込めますが、そこに強い批判や不満をぶつけると争いの火種にもなります。専門家のサポートを受け、「なぜ特定の子どもに多く与えるのか」という理由を冷静な文章で書くなど、遺された家族が納得しやすい表現を工夫しましょう。

② 家族信託で共有回避

  • 信託契約で受託者に単独管理権を付与し、遺産分割時の共有を避ける
  • +15%で増加中、共有回避率90%(2024年信託協会)

不動産の相続争いを防ぐうえで家族信託は非常に有用です。父母が生前に自宅や収益物件を信託し、子どもや信頼できる親族を受託者として管理・処分権限を集中させておけば、相続開始後も共有状態になりにくいのがメリットです。信託終了の際には受益者や残余財産の帰属先があらかじめ定められているため、「後々誰が相続するか」で争いに発展しづらい仕組みとなります。 実際、2024年信託協会の統計では家族信託の導入件数が前年より15%増加しており、その9割超が「財産管理の円滑化」を目的としています。共有を回避できれば、売却や賃貸などの運用をスピーディに行えるため、親が認知症になった場合の資産凍結リスクも低減します。遺言の代替あるいは補完策として家族信託を検討する方が増えているのも納得です。

③ 生命保険で納税資金確保

  • 不動産偏重の遺産に備え、保険金を活用して相続税や代償金をまかなう
  • 特別受益になるか否かを考慮し、契約者・受取人を設計

相続税の納付に苦労するのは、遺産の大半が不動産で占められ、現金化が難しいケースです。生命保険は受取人固有の財産とされる(判例上の原則)ため、早期に受取人が資金を確保でき、相続税の支払いにも充当しやすい利点があります。特に「代償分割」で他の相続人に現金を渡す必要がある場合にも、保険金が役立ちます。 ただし、高額の保険金を特定の相続人が受け取った場合、他の兄弟から「それは特別受益ではないか」と論点にされる場合があります。実際には保険金は原則特別受益に当たらないとされますが、例外的に認定される裁判例もあり要注意です。弁護士や税理士と相談しながら、契約者や受取人、保険金額を検討するとよいでしょう。

④ 相続登記の早期オンライン申請

  • 義務化で3年以内の登記が必要、過料リスクを回避
  • オンライン申請により迅速化、戸籍や遺産分割協議書を早めに準備

相続登記を怠り、後で売却や担保設定が必要になったときに慌てる人が多いです。今回の法改正(2024年4月施行)で3年以内の義務が課せられ、過料10万円の可能性がある以上、早めに登記するのが得策です。登記申請に必要な書類は大きく分けて「被相続人の戸籍・除籍謄本類(出生から死亡まで)」「相続人全員の戸籍謄本」「遺産分割協議書か遺言書」「固定資産税評価証明書」などです。 オンライン申請では、法務省サイトの登記・供託オンラインシステムを利用して入力でき、書面申請より若干手続きが簡素化される傾向にあります。相続人が遠方に住んでいても郵送対応で済み、登記官からの照会もオンラインでやり取り可能な場合があるため、負担軽減に役立ちます。今後の不動産売却や活用を見越して、相続発生後になるべく早く取り掛かりましょう。

⑤ 早期の調停申立と専門家チーム活用

  • 弁護士・税理士・不動産鑑定士など多職種連携が効果的
  • 調停期間が10か月→7か月に短縮(2023年弁護士会調査)

相続で意見がまとまらないなら、まずは家庭裁判所での遺産分割調停を利用するのが一般的です。自力で話し合いを続けても決裂が深まるだけなら、第三者(調停委員)の前で事実関係を整理し、互いの主張を調整する方がむしろスピーディに進む場合があります。さらに弁護士が代理人として入ると、法的論点の見極めが早まり、調停の打開策を提案できます。 また、税金や不動産評価が絡むケースでは、税理士や不動産鑑定士がチームに加わることで、適切な財産評価・納税プランを作成でき、当事者間の不信を減らせます。2023年弁護士会調査によれば、弁護士介入事案は平均10か月程度かかるところを7か月弱に短縮できるとの報告があり、費用対効果が高いと評価されています。

弁護士費用・調停費用の目安

費用目安
手続き 着手金 報酬
遺産分割調停 30万円〜 経済的利益の10%前後

弁護士に依頼する場合の費用は、事案の複雑さや遺産総額などで変動します。通常、着手金は30万円〜50万円ほどが目安で、成果が出た場合に報酬として得られた経済的利益(増加分)の10%前後が相場といわれています。たとえば、遺産分割で1,000万円多く取得できた場合、報酬金は100万円前後となるイメージです。 また、家庭裁判所への申立時には印紙代や郵券代が必要ですが、こちらは数千円程度で済みます。ただし、高額の不動産を巡る評価や分割案で専門家の鑑定費用などが発生すると、さらに数万円〜数十万円の追加コストがかかることもあります。早期に専門家へ相談することで、むしろ紛争が長引くより最終的なトータルコストを抑えられるケースが多いです。

※相続の手続き・節税対策にあたっては以下の記事も参考にしてください

まとめ

相続トラブルの事例を10項目にわたって見てきましたが、根本には「遺産の大半が不動産である」「兄弟間で貢献や生前贈与額に差がある」「遺言書がないか、あっても方式不備や感情的な記述で対立を招く」といった問題点があります。さらに2024年4月から相続登記が義務化され、3年以内に相続登記をしないと過料が科される可能性が出てきたため、放置できない状況に拍車がかかっています。 また、特別受益や寄与分を巡る争いは、証拠不十分のまま感情論に流れやすく、長期化すると裁判まで進んで家族関係が修復不能になる事例も少なくありません。こうした紛争リスクを減らすには、生前に遺言書を整備したり、家族信託や生命保険などを活用して共有を回避・納税資金を確保する工夫が重要です。 それでもなお対立が避けられない場合は、調停をはじめとする法的手続きを速やかに利用し、弁護士・税理士・司法書士など専門家と連携して解決を図ることを強くおすすめします。2023年弁護士会調査では、弁護士が早期に介入した事案は調停期間が大幅に短縮されるというデータもあります。大切な家族が無用なトラブルで消耗しないためにも、今回ご紹介した事例や解決策を参考に、早めの準備や専門家相談を検討してみてください。

よくある質問

  • 公正証書遺言と自筆遺言のどちらが安全? 方式違反による無効リスクがほぼなく原本が公証役場に保管されるため、公正証書遺言のほうが自筆遺言より安全です。(日本公証人連合会)。
  • 家族信託は遺言とどう違うのですか? 家族信託は受託者が生前から不動産を管理・処分でき、二次相続以降の承継先まで指定できます。共有トラブルを根本的に回避できる点が利点です(信託協会)。
  • 相続登記はいつまでに行う必要がありますか? 2024年4月施行の改正不動産登記法で、相続を知った日から3年以内に申請が義務化されました。違反すると10万円以下の過料が科されます(法務省)。
  • 遺産分割調停にかかる期間はどのくらいですか? 2023年司法統計では半年~1年以内が55.4%。弁護士が早期から関与すると1〜6か月程度短縮する傾向があります(日弁連アンケート)。
  • 弁護士費用はどれくらい見込めば良いですか? 遺産分割調停の着手金は20万円〜50万円、報酬は経済的利益の5〜15%が一般的な目安です。法テラス民事扶助制度の利用も検討できます(法テラス)。
  • 学費や住宅資金援助は特別受益になりますか? 学費の特別受益認定はケースにより異なり、判例で明確な割合は定まっていません。贈与契約書や領収書があると持戻し免除を主張しやすくなります(Legal Pro)。
  • 介護をした家族は寄与分を請求できますか? 介護寄与分は「日当×日数×裁量割合」で算定され、日当は裁判例で3,000〜10,000円程度と幅広く、ケースによります。介護日誌や交通費領収書を残しておくと認定されやすくなります(裁判所)。

参考サイト

相続に関する参考記事

遺言書の作成から相続税対策まで、トラブルを回避しつつ損をしないための実践ノウハウを厳選しました。気になるテーマをチェックして、安心・円満な相続にお役立てください。

初心者のための用語集

  • 遺言(いごん):亡くなった人の財産配分や希望を示す最終意思表示。公正証書遺言など方式によって効力や無効リスクが異なります。
  • 付言事項:遺言書に記載するメッセージや感謝の言葉。法的拘束力はないが、相続人の心理に影響します。
  • 不動産共有:複数人が同じ不動産を持分割合で所有する状態。売却や管理に全員の合意が必要でトラブルの火種になります。
  • 特別受益:生前贈与や学費負担など、特定の相続人が被相続人から受けた特別な利益。遺産分割時に差し引いて相続分を調整します。
  • 寄与分:被相続人の財産形成に特別に貢献した相続人が、自身の相続分に上乗せを求められる制度。介護や資金援助が対象です。
  • 家族信託:財産を受託者に託し、管理・処分を任せる契約。共有トラブルや認知症による資産凍結を防ぐ対策として活用されます。
  • 相続登記:不動産の名義を被相続人から相続人に変更する登記手続き。2024年施行法改正で3年以内の申請が義務化されました。
  • 持戻し免除:特別受益を遺産分割計算から除外するという被相続人の意思表示。遺言で明示すると贈与分を返さずに済みます。
  • 延納:相続税を一括で払えないときに分割払いを認めてもらう制度。利子税がかかるが延滞税より軽減されます。
  • 物納:相続税を現金で納付できない場合、土地や株式など相続財産そのもので納める方法。適格財産に厳しい順位制限があります。
  • 成年後見人:判断能力が不十分な人を法的に支援する代理人。後見人と本人が共同相続人の場合は利益相反に注意が必要です。
  • 特別代理人:後見人と本人の利害が衝突する行為をする際に、家庭裁判所が選任する一時的代理人。遺産分割協議などで活躍します。
  • 後見監督人:成年後見人を監視・指導する機関。利益相反時には被後見人の代理も担います。
  • 調停:裁判所の調停委員が間に入り当事者の合意を目指す手続き。遺産分割事件の約65%がこの段階で解決します。
  • 審判:調停で合意できない場合に裁判官が判断を下す手続き。裁定の拘束力があり、上訴も可能です。

編集後記

Aさんが「争わない相続」を本気で考え始めたのは、昨年1月に父親が倒れたときでした。 父名義の自宅と賃貸アパート、預金を合わせて評価額7,200万円。兄妹3人は仲が良いものの、不動産の共有だけは避けたい──それが共通の思いでした。 Aさんはすぐに司法書士に相談し、3月には家族信託契約を公正証書で締結。受託者を長女、帰属権利者を二男・三女とし、将来の売却と再投資まで道筋を決めました。 さらに7月、父親と一緒に公証役場へ行き公正証書遺言を作成。「生前に長男へ贈った住宅取得資金は持戻し免除とする」と付言事項で明確化しました。 年末には生命保険1,500万円を納税資金に充当する設計が完了。保険金受取人は各相続人とし、非課税枠内でバランスを取りました。 今年3月、父が他界。手続きは信託スキームと遺言のおかげでスムーズに進み、相続開始から4か月で相続登記と遺産分割協議が完了。調停や審判に発展することなく、諸費用を含めても総コストは約110万円に抑えられました。 Aさんは「専門家費用を惜しまず“転ばぬ先の杖”を用意したおかげで、家族が感謝しか残らなかった」と語っています。 この記事が、読者の皆さまにとっても早めの準備専門家チーム活用の大切さを再確認するきっかけになれば幸いです。

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松田 悠志
㈱ビーシアップ代表。宅建士・FP2級。人材採用・営業・Webマーケ・資産形成を支援し、採用コンサルやマネープラン相談も対応。株12年・FX7年のスイングトレーダー。ビジネス・投資・開運術を多角的に発信し、豊かな人生を後押しします。