この記事では、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG、証券コード8306)の2025年3月期決算のポイントをわかりやすく整理し、今後の株価動向や投資戦略について解説します。2025年5月15日に発表された最新の決算情報に基づき、純利益1.86兆円(前期比+25%増)、ROE9.8%といった好調な業績や、年間配当70円への増配、2,500億円の自社株買いといった株主還元策、さらにPBR0.93倍、配当利回り3.3%(2025年5月15日終値時点)といったバリュエーション指標にも注目します。米金利の高止まりによる追い風、海外CIB(コーポレート&インベストメントバンキング)部門の拡大、そして積極的な株主還元方針を踏まえ、個人投資家が「買い」「様子見」「売り」の判断を下すための具体的な投資戦略を提示することを目的としています。
Contents
三菱UFJとは?基本プロフィール
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、日本を代表するメガバンクグループであり、グローバルに金融サービスを展開しています。その事業領域は幅広く、銀行業務、信託業務、証券業務、クレジットカード業務、リース業務など多岐にわたります。
総資産 400 兆円・海外利益比率 48%
MUFGの基本情報は以下の通りです。
- 総資産: 約400兆円を超える規模を誇り、国内最大の金融グループです。
- 海外ネットワーク: 世界約50カ国に拠点を持ち、グローバルな金融サービスを提供しています。
- 海外純利益比率: 48%に達しており、そのうち北米が27%を占めるなど、海外での収益拡大が成長の大きな柱となっています。(出典:本記事重点ポイント)
- 顧客基盤: 国内外に広範な顧客基盤を有し、個人から大企業まで多様なニーズに対応しています。
会社名 | 株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ |
本社所在地 | 東京都千代田区丸の内二丁目7番1号 |
設立 | 2001年4月2日 |
代表者 | 取締役 代表執行役社長グループCEO 亀澤 宏規(2025年5月時点) |
主な事業内容 | 銀行業務、信託業務、証券業務、その他金融業務 |
証券コード | 8306(東京証券取引所プライム市場) |
MUFGは、その強固な財務基盤とグローバルな事業展開力を背景に、持続的な成長を目指しています。特に海外事業の強化は、今後の収益拡大において重要な戦略と位置付けられています。
2025年3月期 決算ハイライト
2025年5月15日に発表されたMUFGの2025年3月期決算は、市場の注目を集めました。ここでは主要な業績指標とセグメント別の実績について詳しく見ていきましょう。
経常収益・純利益・EPS・ROE
2025年3月期の主要な決算数値は以下の通りです。
- 経常収益: 10兆2,776億円(前期比+20.8%)(出典:2025年5月15日公表 MUFG決算短信)
- 親会社株主に帰属する当期純利益: 1兆8,629億円(前期比+25%)(出典:本記事重点ポイント。なお、2025年5月15日発表の決算短信でも1兆8,629億円(前期比+25.0%)と記載)
- EPS(1株当たり利益): 具体的な数値は決算短信原本での確認が必要ですが、純利益の増加に伴い向上していると考えられます。
- ROE(自己資本利益率): 9.8%(出典:本記事重点ポイント)
項目 | 2025年3月期実績 | 前期比/コメント |
経常収益 | 10兆2,776億円 | 前期比+20.8% |
経常利益 | 2兆6,694億円 | 前期比+5,415億円 |
親会社株主純利益 | 1兆8,629億円 (本記事重点ポイント) (決算短信では1兆8,629億円) | 前期比+25% (本記事重点ポイント) (決算短信では前期比+25.0%) |
ROE | 9.8% | – |
(出典:経常収益、経常利益、親会社株主純利益(短信値)は2025年5月15日公表 MUFG決算短信。純利益(重点ポイント値)、ROEは本記事重点ポイントより) 純利益は市場の予想を上回る水準であり、3期連続での過去最高益更新となりました(決算短信ベースの数値による)。これは、国内外の貸出収益の増加や、市場関連ビジネスの好調が寄与した結果と考えられます。
セグメント別実績(商業銀行・GAM・Trust・Global CIB)
MUFGは複数の事業セグメントで構成されており、それぞれの収益貢献が全体の業績を支えています。過去3カ年の推移(提供資料は2022年度~2024年度の表記ですが、本記事では2025年3月期決算を踏まえ、2023年3月期~2025年3月期に読み替えて近似値として解説します)を見ると、各セグメントが安定的に成長していることがうかがえます。
- 商業銀行 (Commercial Banking): 国内外の法人・個人向け銀行業務。安定した収益基盤。
- 信託 (Trust): 資産運用・管理、不動産、相続関連サービスなど。高齢化社会の進展とともに重要性が増しています。
- グローバルCIB (Global Corporate & Investment Banking): 大企業向け融資、M&Aアドバイザリー、市場取引など。海外展開の核となる部門です。
- GAM (Global Asset Management): 資産運用事業。
セグメント | 2023年3月期 純利益(近似値) | 2024年3月期 純利益(近似値) | 2025年3月期 純利益(近似値) |
商業銀行 (Commercial Banking) | 300 | 320 | 350 |
信託 (Trust) | 50 | 55 | 60 |
グローバルCIB (Global CIB) | 250 | 270 | 290 |
(注:上記は提供資料の2022~2024年度の数値を参考に作成したイメージであり、実際の2025年3月期セグメント別純利益とは異なります。正確な数値はMUFGのIR資料をご確認ください。) 特にグローバルCIB部門は、米金利上昇の恩恵やクロスボーダー案件の増加により、収益を大きく伸ばしていると考えられます。各セグメントがバランス良く収益を上げている点が、MUFGの強みと言えるでしょう。
2026年3月期 ガイダンスと注目ポイント
MUFGは2025年3月期決算発表と同時に、2026年3月期の業績予想(ガイダンス)も公表しました。今後の成長戦略と合わせて、注目すべきポイントを解説します。
純利益予想 +7.4%(会社計画ベース) FF金利高止まりを想定
2026年3月期のガイダンスのポイントは以下の通りです。
- 親会社株主純利益予想: 2兆円(前期比+7.4%増、過去最高益見通し)(出典:2025年5月15日公表 MUFG決算短信に基づく情報)
- 前提: 米国のFF(フェデラルファンド)金利が高止まりすることによる利ざや改善効果の持続。
- 戦略: 海外事業の更なる拡大、特に成長著しいアジア市場での展開強化。
項目 | 2026年3月期予想 | 前期(2025年3月期短信実績)比 |
親会社株主純利益 | 2兆円 | +7.4% |
(出典:2025年5月15日公表 MUFG決算短信に基づく情報) MUFGは、引き続き好調な業績を見込んでいます。特に、米国の金融政策動向は収益に大きな影響を与えるため、FF金利の動向が注目されます。決算説明会資料によれば、米10年債利回りが1bp(ベーシスポイント、0.01%)変動すると、MUFGの純利益は約±21億円変動すると試算されており(出典:本記事重点ポイント)、金利環境が業績を左右する重要な要素であることがわかります。
タイKBANK買収による海外比率アップの可能性
MUFGはこれまでも海外M\&Aを積極的に活用し、グローバル展開を加速させてきました。今後も、成長市場における優良な金融機関の買収や出資を通じて、海外事業基盤の強化を図る可能性があります。
- アジア戦略: 特に成長が期待される東南アジア市場では、現地大手銀行との連携や買収が視野に入ります。例えば、過去にはタイのクルンシィ(アユタヤ銀行)を買収し、大きな成功を収めています。
- 報道の例: 具体的な買収案件としてタイのKBANK(カシコン銀行)の名前が挙がることもありますが、これはあくまで市場の観測であり、公式発表ではありません。しかし、このような動きは海外利益比率をさらに高めることに繋がります。
- 海外利益比率の目標: MUFGは中期経営計画において、海外利益比率の向上を掲げていると考えられ、M&Aはその有効な手段の一つです。
海外事業の拡大は、国内の低金利環境や人口減少といった構造的な課題を克服し、持続的な成長を実現するための鍵となります。今後のM&A戦略にも注目が集まります。
株主還元と資本政策
MUFGは株主還元の強化を経営の重要課題と位置付けており、配当と自社株買いを積極的に実施しています。また、財務の健全性を示す自己資本比率も国際的な規制水準を意識した運営を行っています。
年間配当64円→70円維持(2025年3月期実績・2026年3月期予想)+自社株買い 2,500 億円
株主還元策の詳細は以下の通りです。(注:配当については重点ポイントと提供資料で差異があり、ここでは重点ポイントの数値を優先します。)
- 2025年3月期 年間配当金: 64円(前期41円から23円増配)(出典:本記事重点ポイント。なお、MUFGの2025年5月15日発表資料では2024年度年間配当実績41円、2025年度年間配当予想64円と記載されている可能性があります。また、提供資料の「MUFG決算概要」では年間配当70円とありますが、ユーザー指示の重点ポイントを優先します。)
- 2026年3月期 年間配当金予想: 70円(配当性向40%目安)
- 自社株買い: 2,500億円の取得枠を設定(2025年5月15日発表)(出典:本記事重点ポイント)
- 配当性向: 中期経営計画において、配当性向40%を目標としています。
項目 | 内容 |
2025年3月期 年間配当 | 64円 |
2026年3月期 年間配当予想 | 70円 |
自社株買い(2025年5月発表) | 上限2,500億円 |
配当性向目標 | 40% |
(出典:本記事重点ポイント、およびMUFG発表資料に基づく想定) MUFGは、安定的な増配と機動的な自社株買いを通じて、株主還元の充実を図っています。今回の2,500億円という大規模な自社株買いは、株価の下支えや1株当たり利益(EPS)の向上に繋がり、投資家にとってポジティブな材料と言えるでしょう。
CET1比率 12.1%(国際統一基準後)
自己資本の充実度を示すCET1(普通株式等Tier1)比率は、金融システムの安定性確保のために国際的に規制されています。
- CET1比率(バーゼルIII最終化後): 12.1%(出典:本記事重点ポイント)
- 規制水準: 国際的な規制(バーゼルIII)で求められる水準を十分に上回っています。
- 資本政策: MUFGは、リスクアセット(RWA)のコントロールと収益性向上を通じて、強固な資本基盤を維持しつつ、株主還元の原資を確保していく方針です。
高いCET1比率は、経済環境が悪化した場合でも損失吸収力が高く、経営の安定性が保たれることを意味します。これは、積極的な株主還元を継続するための基盤ともなっています。
事業環境&リスク
MUFGを取り巻く事業環境は、国内外の金融政策や経済動向によって大きく変動します。ここでは、主な事業環境の変化と潜在的なリスク要因について解説します。
日銀マイナス金利解除シナリオ・与信費用増
現在の事業環境とリスク要因のポイントは以下の通りです。
- 国内金利環境: 日本銀行によるマイナス金利政策が2024年3月に解除され、政策金利が引き上げられました。今後の追加利上げ観測もあり、国内貸出業務における利ざや改善が期待されます。
- 海外金利環境: 米国ではインフレ抑制のための金融引き締めが続いており、高金利環境が継続しています。これはMUFGの海外収益にとって追い風となります。
- 与信費用: 国内外の景気減速懸念や、特定の業種・企業における信用リスクの高まりにより、与信費用(貸倒引当金繰入額など)が増加する可能性があります。MUFGの2024年3月期までの与信費用は比較的安定していましたが、今後の経済情勢次第では増加リスクも否定できません。(出典:MUFGの過去5期 与信費用・不良債権比率(NPL比率)資料より)
- 為替変動: 円安進行は外貨建て資産評価益に貢献する一方、輸入物価上昇要因
項目 | 現状・見通し | 影響 |
国内金利 | マイナス金利解除、追加利上げ期待 | プラス(貸出利ざや改善) |
海外金利(特に米国) | 高金利環境の継続 | プラス(海外収益拡大) |
与信費用 | 低位安定だが、景気後退局面では増加リスク | マイナス(利益圧迫要因) |
為替変動 | 円安進行は外貨建て資産評価益に貢献する一方、輸入物価上昇要因 | プラス・マイナス両側面 |
(出典:各種報道、提供資料を基に作成) 日銀の金融政策正常化は、長らく低金利に苦しんできた国内銀行業務にとって大きな転換点となる可能性があります。一方で、世界経済の不確実性が高まる中、与信関連のコスト管理は引き続き重要な経営課題です。
競合比較:三井住友FG・みずほFG
MUFGの投資魅力を評価する上で、他のメガバンク(三井住友フィナンシャルグループ:SMFG、みずほフィナンシャルグループ:みずほFG)との比較は欠かせません。ここでは主要なバリュエーション指標を比較します。
PBR・PER・配当利回り・ROE
2025年5月15日終値時点での各社の主要指標は以下の通りです。
- PBR(株価純資産倍率): MUFG 0.93倍(本記事重点ポイント)、SMFG 約0.93倍、みずほFG 約0.85倍。いずれも1倍を割れており、解散価値に対して株価が割安であることを示唆しています。
- PER(株価収益率): MUFG 約11.2倍、SMFG 約10.7倍, みずほFG 約11.3倍。各社とも同程度の水準です。
- 配当利回り: MUFG 3.3%(本記事重点ポイント、株価1930円・配当64円で計算すると約3.31%となり、重点ポイントの数値と一致します)、SMFG 約3.7%、みずほFG 約3.9%。高配当利回りが魅力です。
- ROE(自己資本利益率): MUFG 9.8%(本記事重点ポイント)、SMFG 約8.7%、みずほFG 約7.5%。MUFGとSMFGが比較的高い水準です。
銘柄 | PBR (倍) | PER (倍) | 配当利回り (%) | ROE (%) |
MUFG (8306) | 0.93 (重点ポイント) (提供資料では約0.92) | 約11.2 | 3.3 (重点ポイント) (株価1930円・配当64円では約3.31%) | 9.8 (重点ポイント) (提供資料では約8.2) |
SMFG (8316) | 約0.93 | 約10.7 | 約3.7 | 約8.7 |
みずほFG (8411) | 約0.85 | 約11.3 | 約3.9 | 約7.5 |
(出典:PBR・PER・配当利回り・ROEのMUFG以外の数値は提供資料「MUFG・SMFG・みずほFG バリュエーション比較」より。MUFGの数値は本記事重点ポイントを優先。) 3メガバンクともにPBRは割安な水準にあり、バリュエーション面での魅力があります。配当利回りも高く、インカムゲインを重視する投資家にとって魅力的な選択肢となり得ます。ROEではMUFGが他行と比較して遜色ない、あるいはやや優位な水準にあることがわかります。
投資判断シナリオ
これまでの情報を踏まえ、MUFGへの投資判断について、強気・中立・弱気の3つのシナリオを提示します。ご自身の投資方針やリスク許容度に合わせて参考にしてください。
強気:米金利高・株主還元強化
強気シナリオのポイントは以下の通りです。
- 米金利の高止まりと国内金利の上昇: 米国のインフレがなかなか収まらず、FF金利が高水準で推移する場合、MUFGの海外貸出収益は拡大が期待できます。また、国内でも日銀が追加利上げに踏み切れば、国内の利ざやも改善し、ダブルで収益を押し上げる可能性があります。
- 株主還元の更なる強化: 2025年3月期の好決算と2026年3月期の強気なガイダンスを受け、MUFGが配当性向の引き上げや追加の自社株買いなど、株主還元策をさらに強化する展開です。これにより、株価上昇と配当収入増加の両方が期待できます。
- 海外CIB部門の持続的成長: グローバルな企業活動の活発化や、クロスボーダーM&Aの増加により、MUFGの得意とする海外CIB部門が引き続き高い成長を遂げるシナリオです。
このシナリオでは、MUFGの株価はPBR1倍回復を超え、さらなる上昇が見込まれます。「買い」判断が優勢となるでしょう。
中立:与信費用増と国内貸出利ざや停滞
中立シナリオのポイントは以下の通りです。
- 与信費用の上昇: 国内外で景気後退懸念が強まり、企業の倒産が増加するなどして、与信費用が想定以上に増加するケースです。これにより、利益の伸びが鈍化する可能性があります。
- 国内貸出利ざや改善の遅れ: 日銀が追加利上げに慎重な姿勢を維持し、国内の貸出金利の上昇ペースが緩やかなものに留まる場合、国内収益の本格的な回復には時間がかかるかもしれません。
- 株主還元は計画通りだがサプライズなし: 配当や自社株買いは現在の計画通りに実施されるものの、市場の期待を上回るような追加策は見送られる状況です。
このシナリオでは、株価は現状程度のレンジで推移するか、緩やかな上昇に留まる可能性があります。「様子見」とし、次のカタリストを待つ戦略が考えられます。
弱気:円高・海外クレジット投資損失
弱気シナリオのポイントは以下の通りです。
- 急速な円高進行: 米国経済の急減速などにより、急速に円高が進行した場合、MUFGの外貨建て資産の円換算価値が目減りし、海外事業の収益性が悪化します。
- 海外クレジット投資での大きな損失発生: 海外の特定の大口与信先でデフォルトが発生したり、保有するクレジット商品で大きな評価損が発生したりするケースです。これは市場の信頼を損ない、株価を押し下げる要因となります。
- 金融規制の強化: 想定外の金融規制強化が導入され、自己資本比率の維持のため株主還元が抑制されるような事態もリスクとして考えられます。
このシナリオでは、株価は下落トレンドに入る可能性があります。既に保有している場合は「一部売り」やリスク管理の徹底が求められるかもしれません。 ※(参考)以下の決算内容も参考にしてください
本日の株価・株式情報・参考指標
- 終値:1,930円(前日比 -15円 / -0.77%、15:30リアルタイム)
- 前日終値:1,945円(05/14)
- 始値:1,945円(09:00)
- 日中高値・安値:1,948円(09:03)/1,917円(15:09)
- 出来高:52,970,600株 売買代金:102,384百万円
- 値幅制限:1,545 〜 2,345円(05/15)
- 時価総額:23兆2,906億円 発行済株式数:12,067,710,920株
- 配当利回り(会社予想):3.32% 1株配当:64.00円(2025/03期)
- PER(会社予想):12.11倍 PBR(実績):1.10倍
- EPS(会社予想):159.37円 BPS(実績):1,756.97円
- ROE(実績):8.10% 自己資本比率:4.9%
- 最低購入代金:193,000円(単元株数100株)
- 年初来高値/安値:2,240円(25/03/21)/1,310円(25/04/07)
- 次回決算発表日:2025年5月15日予定
- 投資家センチメント:強く買いたい62.75%・買いたい7.19%・様子見6.54%・売りたい1.96%・強く売りたい21.57%(直近1週間掲示板投稿より)
出典:Yahoo!ファイナンス — 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) 株価・株式情報
三菱UFJ(8306)のチャート分析・シナリオ
三菱UFJフィナンシャルグループの株価は、明確な上昇トレンドを形成しています。日足チャートを見ると、安値切り上げ・高値切り上げのパターンが続いており、現在は1,930円付近で推移しています。 テクニカル指標は総じて強気です。特に注目すべきは以下の点です:
- 5日移動平均線(5MA)、25日移動平均線(25MA)、75日移動平均線(75MA)のすべてを上回る位置にあること
- 5MAと25MAがゴールデンクロスを形成し、上昇トレンドの信頼性が高まっていること
- 4月中旬から75MAを安定して上回り、長期トレンドも強気であること
出来高分析からも強気シグナルが確認できます。5月に入ってから出来高の増加傾向が見られ、これは機関投資家を含む大口資金の流入を示唆しています。トレンドの信頼性を裏付ける重要な要素と言えるでしょう。 RSIは現在60〜70の範囲で推移しています。やや買われ気味ではあるものの、まだ危険水域(80以上)には達していません。むしろ、4月の急落後に30付近まで下落したRSIが着実に回復してきたことは、株価の上昇力の強さを示しています。 今後の予想シナリオとしては、当面の目標は3月につけた高値の2,200円近辺となります。上値への道筋としては、1,950円→2,000円→2,100円→2,200円と段階的に上昇していく展開が考えられます。 特に1,950円の抵抗ラインを上抜けできれば、2,000円の心理的節目に向けた勢いが加速するでしょう。 エントリー戦略としては:
- 5MA(青線)付近での押し目買いが有効
- 具体的には1,900〜1,920円の範囲での反発を待つ
- 上昇トレンドに乗る形でのエントリーが理想的
一方で、警戒すべきポイントもあります:
- RSIが75〜80の領域に達した場合は短期的な調整の可能性
- 下値サポートは5MAが位置する1,900円前後
- さらに下では25MAが位置する1,850円付近が重要な支持線
- 1,850円を下回る動きがあれば、上昇トレンドの一時的な中断を示唆
長期投資家にとっては、75MA(緑線)が依然として右肩上がりであることから、中長期的な上昇トレンドは健全に継続していると判断できます。定期的な分散投資の姿勢を継続することが賢明でしょう。 今後の相場を見極める上では、5MAと25MAのサポート状況、出来高の推移、そしてRSIの動向に注目し、トレンドの変化を見逃さないようにすることが重要です。
まとめ
本記事では、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の2025年3月期決算内容、今後の展望、そして投資戦略について詳しく解説しました。 重要なポイントを再確認しましょう。
- 2025年3月期決算: 親会社株主純利益は1.86兆円(前期比+25%)、ROEは9.8%と好調な結果でした(本記事重点ポイントによる)。
- 2026年3月期ガイダンス: 純利益2兆円(会社計画ベース、前期比+7.4%)と、引き続き過去最高益更新を見込んでいます。
- 株主還元: 年間配当は70円に、配当性向40%を目指します。また、2,500億円の自社株買いも発表され、株主還元の強化が鮮明です。
- バリュエーション: PBRは0.93倍、配当利回りは3.3%(いずれも2025年5月15日終値ベース、本記事重点ポイントによる)と、依然として割安感があり、高配当利回りも魅力です。
- 事業環境: 米金利の高止まりは追い風ですが、今後の日銀の金融政策や世界経済の動向、それに伴う与信費用の変動には注意が必要です。海外純利益比率は48%、そのうち北米が27%を占めており、グローバルな収益構造が特徴です。CET1比率も12.1%と健全性を維持しています。
MUFGは、強固な財務基盤、グローバルな事業展開、そして積極的な株主還元を背景に、今後も持続的な成長が期待される企業の一つです。しかし、投資には常にリスクが伴います。本記事で提示した強気・中立・弱気のシナリオや、ご自身の投資目的、リスク許容度を総合的に勘案し、慎重な投資判断を心がけてください。 この記事が、皆様のMUFGへの投資判断の一助となれば幸いです。
よくある質問
- Q. 三菱UFJの2026年3月期の配当金はいつ、いくら支払われますか?A. 配当予想は年間70円(中間・期末の年2回)。具体的な支払予定日は決算発表後にMUFG IRページで公表されます。
- Q. 自社株買い2,500億円はすべて消却されるのですか?A. 現時点では「取得株式は機動的に消却または自己株として保有」と説明されています。最終的な消却割合は取締役会決議後にニュースリリースで開示されます。
- Q. CET1比率13.84%とは何を示していますか?A. バーゼルⅢ最終化後の自己資本比率で、規制要件約8.7%を大きく上回る十分な資本余力を意味します。詳細はディスクロージャー誌をご覧ください。
- Q. 米金利が下がると業績にどの程度影響しますか?A. 経営陣試算では「米ドル金利1bp↓=純利益▲約21億円」。大幅利下げ局面では資金利益が減少するため、金利動向の注視が必要です。
- Q. 初心者が投資する際の注意点は?A. 銀行株は金利サイクルと与信費用に業績が左右されやすい点を理解し、配当利回りだけでなく株価変動リスクにも備えましょう。公式資料は決算短信・説明会資料から必ず確認してください。
参考サイト
- 三菱UFJ 2025年3月期 決算短信(PDF) — 公式決算数字を確認できます
- 自己株式取得に係る事項の決定(PDF) — 2500億円の自社株買い詳細
- ブルームバーグ記事:MUFG今期純利益2兆円台見通し — 市場評価とアナリスト見解
- 日本銀行「金融政策の枠組みの見直しについて」(PDF) — マイナス金利解除に関する公式資料
初心者のための用語集
- 経常収益 — 銀行が本業で稼いだ売上高に相当し、利息収入や手数料収入などを合算した指標
- 親会社株主純利益 — グループ全体の最終利益のうち、親会社の株主に帰属する部分
- EPS(1株当たり利益) — 純利益を発行済み株式数で割った値。株1枚が生み出す利益を示す
- ROE(自己資本利益率) — 自己資本(株主資本)を使ってどれだけ効率的に利益を上げたかを示す指標
- PBR(株価純資産倍率) — 株価が1株当たり純資産の何倍で取引されているかを示すバリュエーション指標
- PER(株価収益率) — 株価が1株当たり利益(EPS)の何倍かを示す指標。低いほど割安とされる
- 配当利回り — 1株当たり年間配当金を株価で割った割合。投資額に対する配当収入の見込みを示す
- CET1比率 — 普通株式など質の高い自己資本をリスク資産で割った比率。金融機関の健全性を見る国際指標
- 自社株買い — 企業が市場から自社株を買い戻すこと。1株当たり利益の押し上げや株主還元が目的
- 与信費用 — 貸出先の倒産や債務不履行に備えて計上する損失見積額。増えると利益を圧迫する
- FF金利 — アメリカの政策金利(フェデラルファンド金利)のこと。米国の金利水準を左右する
- bp(ベーシスポイント) — 金利や利回りの変化幅を示す単位。1bp=0.01%
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