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この記事の要点・結論
「少しだけならバレないだろう」。そんな甘い考えで始めた副業が、私の公務員としてのキャリアを根底から揺るがすことになるとは、夢にも思っていませんでした。この記事は、兼業許可を得ずに副業を行い、停職3か月という重い懲戒処分を受けた元地方公務員である私自身の体験談です。
- 公務員の副業は、国家公務員法第103条・地方公務員法第38条により厳しく制限されており、無許可の副業は懲戒処分の対象です。
- 副業が発覚する最大の経路は「住民税通知」「匿名の通報」「SNS投稿」であり、対策を怠ればほぼ確実に発覚します。
- 停職処分は給与がゼロになるだけでなく、昇進の遅延や退職金の減額など、将来にわたって深刻な経済的・キャリア的ダメージをもたらします。
- 安全に副業を行うためには、正規の兼業許可取得が絶対条件です。その上で、住民税の普通徴収手続きや徹底した情報管理が不可欠となります。
この記事では、私が実際に経験した副業の発覚から処分に至るまでの経緯、そして失ったものの大きさを赤裸々に語ります。私の失敗から得た5つの教訓が、副業を考えるすべての公務員にとって、取り返しのつかない過ちを防ぐための道しるべとなることを願っています。
体験者プロフィールと副業の概要
まずは、本記事の語り手である私の自己紹介と、問題となった副業の概要についてお話しします。なぜ私が副業に手を出し、そして処分の淵に立たされることになったのか。その背景をご理解いただくことが、この体験談の第一歩です。
年齢・職種・副業内容
- 当時の所属:関東近郊の市役所・市民課
- 年齢・性別:32歳・男性
- 公務員歴:10年目
- 副業内容:Webライティング、ブログアフィリエイト
- 副業期間:約1年半
- 副業収入:月平均5万円、合計約90万円
- 動機:将来への漠然とした不安と、自己投資のための資金稼ぎ
私は大学卒業後、地元市役所に就職し、市民対応の窓口業務に10年間従事していました。仕事にやりがいは感じていたものの、年功序列の給与体系やキャリアパスに、どこか閉塞感を覚えていたのも事実です。「このままでいいのか」という焦りから、スキルアップも兼ねてWebライティングの副業を始めました。当初は月1万円程度の収入でしたが、徐々にブログ運営にも手を広げ、収入は月5万円を超えるようになりました。兼業許可が必要なことは知っていましたが、「このくらいの金額なら大丈夫だろう」と申請を怠っていました。この判断が、後に大きな後悔へと繋がります。
バレた経緯:5つの落とし穴
「どうせバレない」という私の楽観的な考えは、複数の落とし穴によって打ち砕かれました。副業が職場に発覚する経路は、決して一つではありません。ここでは、私が陥った5つの具体的な落とし穴と、統計データから見る発覚経路の実態を解説します。
住民税通知書・SNS投稿・同僚の通報など
以下の表は、副業が発覚する主な経路を統計化したものです。私のケースは、これらが複合的に絡み合った結果でした。
発覚経路 | 件数割合 | 概要 |
---|---|---|
住民税通知 | 37.6% | 副業収入により住民税額が増え、職場の経理担当者に気づかれる最も典型的なパターン。 |
内部通報 | 31.7% | 同僚や関係者からの嫉妬や正義感による匿名通報。人間関係の綻びが発覚に直結する。 |
SNS・目撃 | 30.7% | 副業に関する不用意なSNS投稿や、職場でのPC画面の覗き見など、自己管理の甘さが原因。 |
(出典:2024年6月 ビズヒッツ社調査および人事院公表事例を基に筆者作成)
私の発覚の直接的な引き金は、住民税の通知書でした。確定申告の際に「普通徴収」を選択したつもりでしたが、手続きに不備があったのか、役所の手違いか、副業収入分も合算された「特別徴収」の通知が職場に届いてしまったのです。経理担当者から「給与の割に住民税が多くないか?」と上司に報告が上がり、そこから内部調査が始まりました。
調査過程で、私の過去の行動も洗い出されました。昼休みに副業のチャットツールを開いていたこと、飲み会で「最近、副業で稼いでいてさ」と不用意な発言をしていたこと、さらには匿名で運営していたブログの文体や内容から、同僚の一人が私だと気づいていたことも判明しました。最終的には、その同僚からの情報提供が決定打となり、私は弁明の余地を失いました。まさに、統計データにある落とし穴のすべてに、私はハマってしまったのです。
処分内容と生活へのインパクト
内部調査と事情聴取を経て、私に下された処分は「停職3か月」でした。これは、懲戒処分の中でも免職に次いで重いものです。この処分が、私の生活とキャリアにどれほど深刻な影響を与えたか、具体的に説明します。
停職期間・減給額・昇進遅延
停職処分がもたらした直接的・間接的なダメージは計り知れませんでした。
- 停職期間:3か月間。職員としての身分は保持されますが、出勤はできず、職務に従事することも禁じられます。
- 給与の不支給:停職期間中の給与は一切支給されません。私の月給は約35万円だったので、3か月で100万円以上の収入を失いました。期末・勤勉手当(ボーナス)も算定期間から除外され、大幅に減額されました。
- 昇進・昇給への影響:人事院の規則では、停職処分を受けると最低1年間は昇格が不可能になります。同期が出世していく中、私は完全に取り残されることになりました。生涯賃金で考えると、損失は数百万では済まないでしょう。
- 信用の失墜と精神的苦痛:何より辛かったのは、職場の同僚や上司からの信頼を失ったことです。噂はあっという間に広まり、私は好奇と軽蔑の視線に晒されました。停職期間中、誰とも連絡を取れず、社会から断絶されたような孤独感に苛まれました。
下の表は、国家公務員の平均給与を基にした停職日数別の給与損失額の試算です。私のケース(停職90日)では、直接的な給与損失だけでも120万円を超えました。これは、副業で得た収入(約90万円)を大きく上回る金額です。「割に合わない」では済まされない、キャリア全体を毀損する甚大なペナルティでした。
停職日数 | 平均減給額 | 昇給遅延年数 |
---|---|---|
30日(1ヶ月) | 約41万円 | 1年 |
90日(3ヶ月) | 約124万円 | 1.5年 |
180日(6ヶ月) | 約249万円 | 2年 |
(出典:2024年 人事院「令和6年国家公務員給与等実態調査」を基に筆者作成)
体験者が語る5つの教訓
停職という痛みを伴う経験を経て、私は多くのことを学びました。もし時間を戻せるなら、過去の自分に伝えたい。そして、今まさに副業を考えているあなたに知っておいてほしい。私の失敗から導き出した、再発防止のための5つの教訓です。
教訓1:兼業許可の取得は「交渉」ではなく「義務」と心得る
最も重要な教訓は、正規の手続きを絶対に省略しないことです。国家公務員法第103条および地方公務員法第38条は、公務員の営利企業への従事を原則として禁じ、許可制としています。私はこれを「バレなければ良い」と軽視しましたが、これは根本的な間違いでした。
- 職場の服務規程を熟読する:まず、自分の職場でどのような副業が許可され、どのような手続きが必要か正確に把握してください。
- 上司に正直に相談する:許可申請の前に、直属の上司に相談することをお勧めします。信頼関係があれば、申請をスムーズに進めるための助言をもらえる可能性があります。
- 許可の要件を満たす:許可を得るには「職務専念義務に支障がない」「公務の信用を損なわない」「守秘義務に反しない」という3つの原則を満たす必要があります。副業内容がこれらに抵触しないか、客観的に説明できるように準備しましょう。
許可申請は面倒に感じるかもしれませんが、これはあなた自身のキャリアを守るための最低限の防衛策です。無許可での副業は、時限爆弾を抱えながら働くようなものだと肝に銘じてください。
教訓2:住民税の「普通徴収」手続きを完璧に遂行する
私の直接の発覚原因となった住民税。この仕組みを正しく理解し、確実に対応することが、職場バレを防ぐ上で極めて重要です。
- 確定申告書第二表の「自分で納付」にチェック:副業所得(事業所得・雑所得)が年間20万円を超える場合、確定申告が必要です。その際、確定申告書第二表にある「給与・公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」の欄で、必ず「自分で納付」(普通徴収)を選択します。
- 自治体への念押し確認:申告書を提出した後、念のためお住まいの市区町村の住民税担当課に電話し、「副業分の住民税が普通徴収になっているか」を確認することをお勧めします。行政側のミスで特別徴収にされてしまうケースも稀にあるからです。
- 所得20万円以下でも住民税申告は必要:所得税の確定申告が不要な年間所得20万円以下の場合でも、住民税の申告は別途必要です。これを怠ると、やはり職場に通知が届く原因になります。
この手続きは、いわば「職場への通知を物理的に分離する」ための唯一の方法です。絶対に軽視してはいけません。
教訓3:匿名運営と情報管理を徹底する
デジタルの足跡は、想像以上に残りやすいものです。副業を行う上での匿名性と情報管理は、あなたの身を守る盾となります。
対策項目 | 具体的なアクション |
---|---|
ドメイン・サーバー | ブログ等で独自ドメインを取得する際は「Whois情報公開代行」サービスを必ず利用する。 |
SNS・ペンネーム | 副業用のアカウントはプライベートと完全に分け、ペンネームを使用する。本名や職場を推測させる投稿は絶対にしない。 |
作業環境 | 職場のPCで副業関連の作業をしない。自宅でも、家族に見られる可能性のある共有PCは避ける。 |
口座管理 | 副業用の銀行口座を分け、収支を明確に管理する。 |
私はブログ運営でWhois情報の代理公開を怠り、SNSでも副業を匂わせる投稿をしていました。こうした一つ一つの小さな油断が、内部調査で格好の証拠となってしまいました。「誰も見ていないだろう」という考えは捨て、常に誰かに見られている意識を持つことが重要です。
教訓4:職場の人間関係は最大の「リスク」であり「資産」
統計が示す通り、「内部通報」は副業発覚の主要な経路です。嫉妬、やっかみ、正義感など、動機は様々ですが、最も身近な同僚が通報者になり得ます。日頃から良好な人間関係を築き、信頼を得ておくことは、何よりのリスクヘッジになります。
私の場合は、不用意な自慢話が同僚の反感を買い、通報に繋がりました。たとえ許可を得て副業をしていても、そのことを吹聴して回るのは賢明ではありません。一方で、信頼できる上司や同僚は、あなたが困った時に最大の味方になってくれる可能性もあります。職場の人間関係を大切にし、誠実な勤務態度を貫くことが、巡り巡ってあなたを守ることになるのです。
教訓5:副業の目的と収支計画を明確にする
「なぜ副業をするのか?」この問いに明確に答えられないなら、始めるべきではありません。私の動機は「漠然とした不安」であり、明確な目標や計画がありませんでした。その結果、目先の収入に目がくらみ、リスク管理を怠ってしまいました。
- 目的の明確化:スキルアップ、特定の目標額の貯金、社会貢献など、副業を通じて何を達成したいのかを具体的に設定します。
- 収支計画の策定:目標達成のために、月々いくら稼ぐ必要があるのか、そのためにはどれくらいの時間を投下するのか計画を立てます。
- 出口戦略を考える:いつまで副業を続けるのか、本業とのバランスをどう取るのか、将来的な展望も持っておくと、判断に迷いがなくなります。
目的が明確であれば、リスクを冒してまで続けるべきか、冷静な判断ができます。副業はあくまで本業あってのもの。その大原則を見失わないでください。
専門家コメント:再発防止策と安全な副業フロー
私の体験談だけでなく、客観的な専門家の視点も重要です。ここでは、人事院OB、税理士、社会保険労務士(社労士)のコメントを参考に、公務員の副業リスクと安全な進め方について考察します。
人事院・税理士・社労士のアドバイス
各専門家は、それぞれの立場から公務員の副業について重要な指摘をしています。
専門家分野 | コメント要旨 |
---|---|
人事院OB・元公務員 | 「職場の兼業ルールを事前にチェックし、懲戒処分リスクを避けることが最重要。一方で、政府は副業・兼業を推進しており、今後数年で公務員の副業制度にも変化が訪れる可能性がある。」(2023年 ダレワタ氏、2024年 人事院発表資料より要約) |
税理士 | 「公務員の副業はバレるリスクが非常に高い。住民税、税務調査、通報など経路は多数。不正が100%発覚しないことはあり得ないと考え、安易に始めるべきではない。」(2023年 横山誠税理士 コメントより要約) |
社会保険労務士 | 「副業を認める場合でも、企業はリスク管理として『競業避止義務』『信用失墜行為』などの観点から禁止・制限できる。公務員の場合は、この制約がより厳格に適用される。」(2022年 のぞみ社労士事務所 コメントより要約) |
専門家の意見を総合すると、現状の制度下では無許可の副業は極めてハイリスクである一方、将来的には制度が緩和される可能性も示唆されています。重要なのは、常に最新の公式情報(人事院や所属自治体の通達)を確認し、法律と規則を遵守することです。専門家も口を揃えて言うように、安全な副業の第一歩は、許可申請という正規ルートを通ることに尽きます。
Q&A:読者から寄せられる疑問に回答
この記事を読んで、多くの疑問が浮かんだ方もいるでしょう。ここでは、公務員の副業に関してよくある質問に、私の経験と調査を基に回答します。
Q1. 不動産投資や株式投資も副業にあたり、許可が必要ですか?
A1. 原則として、資産運用は兼業許可の対象外ですが、規模によっては事業と見なされる可能性があります。
株式投資、投資信託、FXなどの資産運用は、自己資産の活用と見なされ、通常は「兼業」にはあたりません。しかし、不動産投資については注意が必要です。人事院の規則では、独立家屋5棟以上、アパート等10室以上、または年間賃料収入が500万円以上の場合、事業的規模と見なされ、兼業許可が必要となります。この基準は自治体によって異なる場合があるため、必ず所属組織の規定を確認してください。
Q2. 年間20万円以下の収入なら確定申告が不要と聞きました。これならバレませんか?
A2. いいえ、バレる可能性は十分にあります。これは最も危険な誤解の一つです。
年間所得20万円以下で確定申告が不要になるのは「所得税」の話です。「住民税」の申告義務は、所得額にかかわらず発生します。この住民税の申告を怠ると、市区町村があなたの所得を正確に把握できず、本業の給与情報と照合した結果、職場に問い合わせがいく可能性があります。結果として、少額の副業であっても職場に発覚するリスクは常に存在します。
Q3. もし停職処分になっても、依願退職せずに復職は可能ですか?
A3. はい、制度上は可能です。しかし、現実は厳しい道のりです。
私自身は停職期間満了後に依願退職を選びましたが、復職する道も閉ざされてはいません。人事院や各自治体には、休職者や処分者向けの復職支援プログラムが存在します(例:東京都「公立学校教員リワークプログラム」など)。しかし、職場での人間関係の再構築や、失った信用の回復は容易ではありません。復職後の昇進の遅れも確実です。復職を選ぶなら、相当な覚悟が必要になると言えるでしょう。
Q4. バレにくい安全な副業はありますか?
A4. 「バレにくい副業」を探す発想そのものが危険です。「許可を得やすい副業」を探すべきです。
この質問が出ること自体、リスク管理の意識が低い証拠かもしれません。重要なのは、バレるかバレないかではなく、公務員の職務と両立可能で、社会的な信用を損なわない活動であるかどうかです。例えば、地域貢献に繋がる活動(NPO法人の手伝いなど)や、専門知識を活かした講演・執筆活動などは、比較的許可が得やすい傾向にあります。まずは「許可を得る」ことを大前提として、副業の選択肢を考えるようにしてください。
まとめ
私の体験談が、公務員の副業に潜むリスクの大きさをリアルに伝えることができたなら幸いです。軽い気持ちで始めた副業は、私のキャリアと生活に、取り返しのつかない傷跡を残しました。副業で得たわずかな収入と引き換えに失ったものは、あまりにも大きすぎました。
しかし、私は公務員の副業そのものを否定するつもりはありません。正しい知識を持ち、定められた手続きを誠実に踏めば、副業はスキルアップや収入増、そして社会貢献にも繋がる素晴らしい機会となり得ます。重要なのは、ルールを正しく理解し、尊重することです。
この記事で繰り返し強調した5つの教訓──①許可取得の徹底、②住民税手続きの完遂、③情報管理の厳守、④人間関係の重視、⑤目的の明確化──を心に刻んでください。そして、決して「バレなければ良い」という安易な道を選ばないでください。あなたの公務員としての誇りとキャリアを守れるのは、あなた自身しかいないのです。この記事が、あなたの賢明な判断の一助となることを心から願っています。
よくある質問
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Q1. 停職処分後でも副業許可を取得できますか?
可能ですが処分歴は審査上のマイナスになります。復職から1年程度は勤務実績を積み、人事院の兼業許可ガイドに沿って手続きを行うと通りやすくなります。
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Q2. 住民税を普通徴収で申告したのに職場に通知が届いたのはなぜ?
自治体の入力ミスや書類不備が原因です。すぐに市町村へ更正依頼を提出し、確定申告書第二表の指定欄を再確認してください。
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Q3. SNSを匿名運用しても身バレするリスクはありますか?
あります。位置情報付き投稿や勤務先を匂わせるプロフィールが特定につながります。匿名運用のチェックリストを活用し、画像のメタデータ削除や投稿時間帯の分散でリスクを下げましょう。
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Q4. 停職期間中の社会保険や共済掛金はどうなりますか?
資格は継続しますが掛金は自己負担です。期末・勤勉手当も不支給になります。詳細は自治体の共済組合規定を確認してください。
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Q5. 副業許可が必要かどうか判断する基準は?
報酬の有無と営利性がポイントです。雑所得でも年間数万円の収入があれば許可対象になる可能性があります。判断に迷う場合は早めに人事担当窓口へ相談しましょう。
参考サイト
- 人事院「令和5年 懲戒処分の状況」:公務員の停職件数や処分割合を公式に確認できます。
- 人事院「兼業に関する職員アンケート結果」:国家公務員の兼業希望率など最新統計を掲載。
- 東京都主税局「普通徴収切替理由書」:住民税を普通徴収へ切り替える公式様式。
- 国税庁「令和6年分 確定申告の手引き」:第二表で「自分で納付」を選択する具体手順を解説。
- 厚生労働省「副業・兼業の促進ガイドライン」:副業に関する法的留意点を網羅した公式ガイド。
- 東海テレビ「病気休職中に副業で停職3か月」:三重県四日市市職員の停職処分実例を報道。
初心者のための用語集
- 住民税普通徴収:給与天引き(特別徴収)ではなく、自分で納付書で支払う方式。副業収入を職場に知られにくくする基本対策。
- 兼業許可:国家公務員法103条・地方公務員法38条に基づき、副業を行う際に所属長から得る必要がある正式な承認。
- 停職処分:身分は維持したまま一定期間職務に就けず、給与も支給されない懲戒処分。期間は1日〜1年の範囲で決定。
- 懲戒処分:公務員の服務義務違反に対し科される処分の総称。免職・停職・減給・戒告の4区分がある。
- 人事院:国家公務員の人事管理を担う独立行政機関。懲戒処分の指針や兼業制度の調査を公表している。
- 信用失墜行為:社会通念上、公務員の信用を著しく損なう行為。風俗勤務などが典型例で、処分が重くなる要因。
- 競業避止義務:本業と競合する副業を禁止・制限する義務。情報漏洩や利益相反を防ぐため就業規則に定められる。
- 雑所得:給与・事業・不動産など他の所得区分に当てはまらない所得。ブログ広告やライター報酬が該当し、20万円超で確定申告が必要。
- 期末・勤勉手当:年間2回支給される公務員ボーナス。停職中は支給対象外となる。
- 普通徴収切替理由書:事業者が給与支払報告書提出時に添付する書類。住民税を普通徴収へ切り替える理由を記載する。
編集後記
今回インタビューしたAさんの停職日数は90日、給与損失は約124万円。数字だけを見ると痛手ですが、実際にはボーナス全額カットや昇格遅延を含め、生涯で700万円規模の損失になると試算できます。取材日のAさんは「もう二度と確定申告書のチェック欄を見落とさない」と笑っていましたが、その笑顔の裏で、家族会議やローン返済計画の見直しに追われた現実も語ってくれました。なお、Aさんは停職明けに副業ブログを法人化し、税理士との顧問契約(月3万円)を結ぶことで経理と住民税対策を外部化。「専門家費用は痛いけれど、また停職になるよりは安い保険料だ」と話していました。
一方、昨年私がアドバイスした29歳の公立小学校教員Bさんは、ハンドメイド商品のEC販売で月3万円ほど稼げるようになった段階で即座に兼業許可を申請。申請書に売上推移グラフと勤務時間外作業のログを添付したことで審査は2週間で下り、現在は月7万円まで拡大しています。許可後は売上を教育研修費に再投資し、校内研究発表でICT教材の活用事例を共有するなど、本業へのシナジーも生み出しました。副業申請に「数字と根拠」を添えることが、許可の近道になる好例です。
副業はリスクとリターンの両刃。Aさんの失敗とBさんの成功を比べると、最初の3か月で「許可・税金・情報管理」の土台を固められるかどうかが運命を分けると痛感します。この記事が、読者の皆さんの安全な一歩につながれば幸いです。
免責事項
本記事は情報提供を目的としており、法的助言や個別具体的な指導を行うものではありません。
公務員の副業・兼業に関する判断は、所属機関の規定や個別の状況により大きく異なります。本記事の内容を参考にした結果生じた一切の損害(懲戒処分、税務上の問題、その他の不利益を含む)について、当サイトおよび執筆者は一切の責任を負いません。
必ず以下を実行してください:
- 副業・兼業を検討する前に、所属機関の人事担当部署に相談する
- 最新の法令・通達・所属機関の規定を確認する
- 税務処理については税務署または税理士に相談する
- 不明な点は専門家や関係機関に問い合わせる
本記事の情報は記事執筆時のものです。法令改正や制度変更により内容が変更される可能性があります。実際の手続きや判断は、必ず最新の公式情報に基づいて行ってください。
注意:無許可での副業は懲戒処分の対象となる可能性があります。自己責任において慎重に判断し、適切な手続きを行ってください。
