ファイナンシャルプランナー試験の重要分野「リスク管理」分野を総合解説。FP2級・3級試験の保険商品や公的保険、リスクマネジメントの基本概念から出題傾向、学習のコツまでを網羅し、得点源にするための攻略法を丁寧にまとめました。
Contents
ファイナンシャルプランナー試験「リスク管理」とは
6つの科目の中での位置づけ
ファイナンシャルプランナー(FP)試験では、大きく分けて6つの科目が出題されます。その中でも「リスク管理」は、保険を中心とするあらゆるリスク(死亡・病気・ケガ・災害など)への備えを学ぶ重要分野です。たとえば、生命保険・損害保険・第三分野の保険などに加え、公的保険制度との連携も押さえる必要があります。
この「リスク管理」を正しく理解することは、たとえ独立開業や会社員であっても、日常的に役立つ知識が満載です。個人のライフプランではもちろん、顧客や自分自身のリスクに対処するためにも、基礎からしっかり学ぶことが求められます。
保険・リスクマネジメントがメインテーマ
リスク管理というと「保険」のイメージが強いですが、実際の試験範囲はそれだけにとどまりません。具体的には下記のようなテーマが問われます。
- 保険:生命保険、損害保険、医療保険、がん保険など。
- 公的保険との比較:健康保険、介護保険、年金などの保障内容。
- リスクマネジメントの基本概念:リスク回避、リスク低減、リスク移転、リスク保有。
これらは「もしものとき」に備えるための知識です。FP試験では、学科・実技ともに保険契約の仕組みや、契約時の課税関係、給付内容などが総合的に問われます。
リスク管理分野で扱う主要テーマ一覧
生命保険(定期保険・終身保険・養老保険など)
生命保険は「死亡保障」を中心とする分野で、試験頻出の重要テーマです。大別すると、以下の3つがメインです。
- 定期保険:一定期間だけ死亡リスクを保障する掛け捨てタイプ。保険料は割安だが満期保険金はない。
- 終身保険:一生涯の死亡リスクを保障する。解約返戻金があり、老後資金の一部にもなる。
- 養老保険:一定期間の保障で、満期時には満期保険金が支払われる。死亡保険金と同額の満期保険金が設定されるケースが多い。
これらに加えて、学資保険や個人年金保険など、貯蓄性を兼ね備えた商品も存在します。FP試験では「定期保険 vs 終身保険 vs 養老保険」の商品特徴と保険料・保険金の課税関係は頻出です。
損害保険(火災保険、自動車保険、傷害保険など)
損害保険は、偶然の事故で発生する「物的リスク」や「賠償リスク」に備える保険です。特に以下の保険が頻出です。
- 火災保険:火災や風水災、落雷などによる住まいや家財の損害を補償。
- 自動車保険:自賠責保険は法律で強制加入、任意保険としての対人・対物・車両保険などがある。
- 傷害保険:ケガによる入院や手術、死亡などを補償する。
火災保険や自動車保険は、補償範囲が広く複雑になりやすいため、試験対策ではそれぞれの補償内容や免責金額の設定などを整理しておきましょう。
医療・介護保険、公的保険制度との関係
民間の医療保険やがん保険などの「第三分野の保険」は、試験でよく問われるテーマの一つです。特に、公的医療保険(健康保険・国民健康保険など)や公的介護保険との役割分担がポイントになります。具体的には以下を押さえてください。
- 公的医療保険の自己負担割合(1~3割)
- 医療保険との違い:先進医療特約や入院日数制限など
- 公的介護保険との接続(要介護認定を受けたらどうなるか、民間の介護保険で補える部分は?)
医療保険における「免責期間」や「給付制限事項」、がん保険の「90日免責期間」などは、受験生がよく混乱する箇所ですので必ずチェックしておきましょう。
リスクマネジメントの基本概念
リスク管理は単に保険に加入するだけではありません。回避・低減・移転・保有という4つの基本手法や、「大数の法則」「収支相等の原則」といった保険の理論的背景も試験で問われることがあります。特にFP2級ではリスクマネジメントの考え方自体を理解しているかが問われるため、
- リスクマネジメント・プロセス(リスクの特定→分析→対応策の選択→モニタリング)
- 移転(保険)、回避(高リスクな行為をやめる)、保有(自分で補填できる範囲)、低減(発生確率や損失規模を減らす)
これらの定義をはっきり整理しておくと、高得点に繋がります。
出題傾向とポイント(過去問分析)
よく問われる保険契約の種類・特徴
過去問を見ると、リスク管理分野では保険契約の種類や特徴を説明させる問題が毎回のように登場します。例えば、以下のようなパターンがあります。
- 終身保険と定期保険の比較
- 保険料の払込期間(全期型・有期型・一時払いなど)の違い
- 定期保険特約付き終身保険・三大疾病特約の特徴
また、法人契約での経理処理や「誰が契約者・被保険者・受取人かによって保険金の課税関係がどう変わるか」といった点は、2級試験の頻出事項です。
公的保険との比較問題、給付条件など
「自分で加入する保険」と「公的保険」との違いを問う問題も多く見られます。特に健康保険の傷病手当金や高額療養費制度、介護保険の要支援・要介護判定の基準などは暗記必須です。さらに、公的年金(遺族年金・障害年金)と死亡保険・所得補償保険を絡めて出題されるケースもあります。
こうした問題は、給付要件や給付金額の違いを混同しやすいため、テキストや過去問で繰り返し練習し、正確に押さえましょう。
数値計算問題(保険料・保険金額など)の頻度
リスク管理分野の計算問題としては、下記のようなバリエーションがあります。
- 生命保険料控除の計算:新制度・旧制度の仕組みを使って控除額を算出
- 保険金にかかる税金:相続税・所得税・贈与税の判定
- 必要保障額の計算:遺族の生活費や教育費から公的年金等を差し引いて求める
学科試験での出題頻度はそこまで高くないものの、一度出ると苦手な人が多い分、差がつきやすいので要注意です。
リスク管理分野の攻略法・対策法
最初に押さえるべき保険商品分類・特徴
まずは保険の全体像を理解することから始めましょう。生命保険・損害保険・第三分野の保険がそれぞれ何を対象にした保険なのかを、図や表でまとめると効果的です。各保険の商品特性や主な特約を一気に覚えるのではなく、
- 定期保険、終身保険、養老保険など基本形をまず学ぶ
- 医療保険やがん保険の給付条件・免責事項を整理
- 自動車保険や火災保険の補償範囲をざっくり把握
という手順で段階的に理解を深めるとスムーズです。
ライフステージ・家族構成別の保険選び
試験では、ライフプランと関連づけて「どのような保険が必要か」を判断する問題も出ます。たとえば、子どものいる家庭で必要とされる学資保険や、親の介護リスクに備える介護保険など、ステージに応じて最適な保険を提案する力が問われるのです。
- 独身時代は死亡保障を最小限に抑え、医療保険を重視
- 子育て期は十分な死亡保障(定期保険など)を手厚く
- 子どもの独立後は死亡保障を縮小し、老後の医療・介護対策を強化
こうしたライフサイクルに合わせた保険の見直し方を理解しておくと、実技試験のケーススタディでも有利に働きます。
過去問演習で間違いやすい論点の克服
リスク管理分野は、過去問を解くことで同じようなパターンの出題に気づくケースが多いです。定期・終身・養老の違い、保険金の課税関係、公的保険との比較問題、医療保険の免責期間など、間違いやすい論点を重点的に復習すると理解が深まります。
特にFP2級の実技試験では「保険証券の読み取り」問題が定番です。保険証券に書かれた給付条件をしっかりと読み解けるよう、テキストや演習問題で慣れておきましょう。
効率よく学習するための勉強法・コツ
テキスト読みの優先度(〇〇章~〇〇章)
市販のテキストでは「リスク管理」に相当する章はおおむね中盤(3章や4章)に配置されていることが多いです。最初にライフプランニング・社会保険などを学んでおくと、公的保険との連携が分かりやすくなります。逆に、保険商品が苦手な方は先にリスク管理をざっと読んでおき、ライフプランニングや社会保険の章で公的保険制度を固める方法もあります。
まずはテキストの「リスク管理」章全般を通読し、どこが得意でどこが苦手かを確認してください。そして頻出テーマである
- 保険の分類
- 保障内容・免責事項
- 課税関係(受取人・契約者の組み合わせ)
に注目しながら読み進めると、優先度高く知識を整理できます。
過去問・模試を活用するタイミングと方法
学習初期から、1年分でもよいので過去問にざっと触れることをおすすめします。「どんな形式で問われるのか」をイメージできるため、テキスト学習が捗ります。特にリスク管理分野は用語の多さに圧倒されがちですが、過去問を先に見ることで「試験ではこのレベルまで覚えればいい」と自信をつけやすいです。
また、模擬試験や予想問題集では、最新傾向や法改正を反映した問題が出ることがあります。年ごとに変わる生命保険料控除の限度額や、公的保険料の改定情報などを反映した問題を解くことで、最新動向にキャッチアップしてください。
暗記が必要な保険用語・給付条件・保険金の計算
リスク管理分野では、ある程度の暗記も必要です。以下のようなカテゴリーごとに整理し、繰り返し確認すると記憶に定着しやすくなります。
- 用語:被保険者、契約者、受取人、告知義務、免責事項、大数の法則など
- 給付条件:医療保険の入院給付金支払い日数、公的介護保険の要介護1~5、がん保険の免責期間など
- 計算:保険料控除額の計算、相続税・贈与税・所得税の判定、必要保障額の概算
暗記はまとめノートやアプリを活用し、すき間時間に反復するのがコツです。
頻出トピック解説 – ここは絶対落とせない!
契約者、被保険者、保険金受取人の違いと税制
生命保険金の課税は「契約者」「被保険者」「保険金受取人」の組み合わせで大きく変わります。試験で頻出のパターンは以下の通りです。
- 契約者=被保険者=A、受取人=B:保険金は相続税
- 契約者=A、被保険者=B、受取人=B:保険金は所得税
- 契約者=A、被保険者=B、受取人=C:保険金は贈与税
細かい数値計算問題も出るので、必ずマスターしてください。また、保険料負担者と受取人が一致しているかどうかを見極めるのがポイントです。
定期保険 vs 終身保険 vs 養老保険の違い
- 定期保険:保障期間限定、保険料は割安、満期保険金なし。
- 終身保険:保障は一生涯、保険料は定期保険より高め、解約返戻金がある。
- 養老保険:一定期間で満期保険金が支払われ、死亡保険金と同額が満期保険金になることが多い。
これらの比較は基礎中の基礎ですが、その分試験では問われやすいポイントでもあります。特に「終身保険と定期保険特約を組み合わせた場合のメリット・デメリット」はよく出題されるので要チェックです。
自動車保険(対人・対物・搭乗者など)
自動車保険は「自賠責保険(強制保険)」と「任意保険(対人・対物・車両・搭乗者など)」に分かれます。試験では、どこまで補償されるか、自賠責保険の限度額、免責金額設定などがよく問われます。
また、ノンフリート等級制度や、法人向けのフリート契約についても2級では出題されることがあるため、概要だけでも把握しておきましょう。
公的医療保険・介護保険との関係
公的医療保険と民間医療保険を組み合わせることで、自己負担をいかに減らすかが重要な考え方です。高額療養費制度や傷病手当金との兼ね合いを理解して、民間保険では先進医療特約や日額給付金でカバーする仕組みを学びましょう。
公的介護保険では、第1号被保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40~64歳)の違い、要支援1・2と要介護1~5の支給限度額など、数字を問う問題が出されます。民間の介護保険や特約をどう組み合わせるかもセットで覚えておくと得点に繋がります。
まとめ – リスク管理分野を得点源にするために
学習スケジュール例、直前期の確認ポイント
以下は、2級・3級受験生が1~2か月程度で「リスク管理」を攻略するための学習スケジュール例です。
- 学習開始~1週間:保険の分類・用語整理(定期・終身・養老、医療保険、公的保険など)
- 2~3週間目:主要保険商品の特徴・特約や公的保険との比較を理解、簡単な計算問題に挑戦
- 4~5週間目:過去問を中心に演習、間違った箇所をテキストに戻って復習
- 直前期:保険料控除・保険金の課税パターン・免責期間・給付条件を再確認
直前期には、「契約者・被保険者・受取人の組み合わせ」と「保険金・保険料控除の計算」に特に注力すると、学科試験の得点力がアップします。
関連科目(ライフプランニング、社会保険)とのリンク
リスク管理は単独で出題されるだけでなく、ライフプランニング(年金や住宅ローン、教育費など)や社会保険(健康保険・国民年金など)と深く関連しています。たとえば、公的医療保険・公的年金の仕組みが分からないままだと、死亡保険や医療保険の必要保障額が計算しにくくなります。
逆に、社会保険の知識を先に固めておくと、民間保険の上乗せ分を理解しやすいため、学習効率が上がるでしょう。
次に読むべき過去問解説や公式テキスト等の紹介
- 日本FP協会公式サイト:https://www.jafp.or.jp/(試験要項や過去問分析、セミナー情報)
- きんざい:https://www.kinzai.or.jp/ginou/fp/(FP試験実施団体。最新の受検情報や教材)
- 市販過去問題集:「FP技能検定2級・3級○○○」(年度別・分野別に解説が充実)
- テキスト・参考書:「リスク管理」の章を中心に、法人保険や税務処理も一緒に学べるものがおすすめ
特に過去問集は、多くの受験生から支持されている定番教材を選び、何度も繰り返し解くのが鉄則です。試験直前期には、新しい問題に手を広げるよりも、過去問の復習で精度を高める方が効率的です。
以上、ファイナンシャルプランナー試験の「リスク管理」分野について、学習すべきポイントや攻略法を総合的にまとめました。保険商品や公的保険制度、リスクマネジメントの考え方は、どれも日常生活や業務に直結した大切な知識です。今回の内容を踏まえて学習を進め、ぜひ本番での高得点を狙ってください。
最後に一言:苦手意識を持ちやすい分野ですが、出題範囲や頻出テーマを押さえれば着実に得点できるのがリスク管理です。合格に向けて、焦らずコツコツと知識を積み上げていきましょう!
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