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オリバーベレスが語る「スプレッド」の本質・ 短期トレーダーはこれで勝つ

FXトレーダーや株のデイトレーダーの皆さん、特に短期売買をする方に向けて、「デイトレード」という世界的ベストセラーで知られるオリヴァー・ベレス氏の言葉をもとに、重要なポイントである「スプレッド」についてわかりやすくお話ししていきます。中学生でも理解できるレベルで解説しますので、初心者の方や、スプレッドって難しそう…と感じている方もぜひ最後までご覧ください。この記事を読むことで、短期トレードで勝つための視点と考え方を身につけるきっかけになると思います。

Contents

オリヴァーベレス氏の言葉に秘められた「スプレッド」の重要性

オリヴァーベレス氏の名著「デイトレード」では、短期トレードで成功するために重要な考え方が多数紹介されています。その中でも注目したいのが、ウォール街のマーケットメーカーに関する記述です。ベレス氏はこう述べています。

「彼ら(マーケットメーカー)のゴールは、トレーディングのすべての瞬間において、
彼らが取引する銘柄のスプレッド、つまり差を取ることに尽きる。
ここには短期トレーニング(デイトレード)で成功するための鍵が含まれている」

この一節は、ウォール街の巨人とも呼ばれるマーケットメーカーが、巨額の資金を動かしながら「スプレッド」を追い求めているというものです。そして、短期トレーダーにも同じように「スプレッド」を意識することが大切だと示唆しています。しかし「スプレッドって何?」という疑問が湧きますよね。そこで、スプレッドを中学生でもわかるように解説しながら、なぜこれが重要なのか、掘り下げていきましょう。

スプレッドとは?中学生でもわかる簡単なイメージ

まずはスプレッドという言葉自体がピンと来ない方も多いと思うので、身近な例から入っていきます。

「買値」と「売値」の差額

スプレッドとは、「買値(買うときの値段)」と「売値(売るときの値段)」の差額を表す言葉です。たとえば、スーパーでりんごを買うときの値段が1個100円だったとして、そのスーパーが農家からりんごを仕入れるときの価格は1個80円かもしれません。こうした「お店が安く仕入れて、少し高く売る」ときの差額が、お店側の「利益」ですよね。
金融商品(FXや株など)の世界でも、同じように「売るときの値段」と「買うときの値段」の間に差があって、この差がスプレッドと呼ばれています。

マーケットメーカーが提示する「買値」と「売値」

FX取引では、「1ドルを何円で買えるか?」「1ドルを何円で売れるか?」という形で常に2つの価格が提示されています。
・買値(Bid)
・売値(Ask)
この2つの価格の差がスプレッドです。
たとえば、Buy(Ask)=100.10円、Sell(Bid)=100.08円のように表示されていたら、スプレッドは「0.02円」になります。通常、売値(Ask)のほうが買値(Bid)より高いので、その差が取引コストとも言われます。

どうしてスプレッドが大事なの?

スプレッドは、トレーダーにとっては取引コスト、マーケットメーカーにとっては利益源といえるものです。スプレッドが狭い(小さい)ほど、トレーダーにとってはコストが低くなりますし、スプレッドが広いとコストが高くなり、利益を圧迫します。
しかし、オリヴァーベレス氏が強調しているのは、その「スプレッド」の存在そのものを正しく理解し、マーケットメーカーの視点を取り入れることの大切さです。マーケットメーカーが「スプレッドを得る」ことを目指しているのなら、私たち個人トレーダーも「スプレッドに注意を払って取引する」必要があります。特に、短期トレード(デイトレードやスキャルピング)では、同じ日、あるいは数分〜数時間の間に何度も売買を繰り返すので、この差額が蓄積して大きなコストになるからです。

マーケットメーカーってどんな役割?

「マーケットメーカー」とは、金融市場でいつでも売買をしてくれる存在のことを指します。たとえばFXでは、取引所における“交換所”のような役割を果たしているのがマーケットメーカーです。彼らは基本的に、

  • 常に「買いたい価格(Bid)」と「売りたい価格(Ask)」を提示している
  • 取引が成立したら、そのスプレッド分の利益を得られる仕組み
  • 一方的に損になるような状況を避けるために、価格を調整する能力も持っている

こうすることで、市場には流動性が生まれます。「売りたい人がいても、買いたい人がいなかったら成立しない」「買いたい人がいても、売りたい人がいなかったら成立しない」──このような問題を解消し、市場がスムーズに動くようにしているのがマーケットメーカーです。

なぜマーケットメーカーは「スプレッド」を追い求めるのか?

マーケットメーカーは、あくまで「大きく値段を動かすこと」よりも「取引のたびに安定してスプレッド分を稼ぐ」ことを優先しています。理由は次の通りです。

  • 大きく値動きさせるよりも、安定して売買できるほうがリスクが低い
  • 常に売り注文と買い注文を受けることで、市場での“手数料”や“利ざや”を確保できる
  • 安定的な収入源として、膨大な取引量からわずかな差を積み上げる

つまり、マーケットメーカーは「値幅を取ろう」と必死になるより、「安定したスプレッド収入」を狙うわけです。この視点を個人トレーダーが理解することが、デイトレードの世界で生き残るうえで重要だというのが、ベレス氏のメッセージとも言えます。

個人トレーダーが「スプレッド」に注目すべき理由

では、私たち個人トレーダー(短期売買をメインにする方々)が、なぜスプレッドに注意を向けるべきなのか、その具体的な理由をまとめます。

1. 取引コストを抑えるため

短期トレードを繰り返す場合、1日に何度も、あるいは数分単位でトレードを行うことがあります。1回の取引につきスプレッドが0.2円だとしても、10回取引すればそれだけで2円分の差になるわけです。これが1日、1週間、1か月と積み重なれば大きな違いになります。
極端な例ですが、仮にスプレッドが0.5円と0.3円の2つのFX会社を比較した場合、1回あたり0.2円の差が出ます。1日10回取引するなら2円、20回取引するなら4円分の差です。ロットが大きければさらに差は広がります。そのため、スプレッドが狭い会社を選ぶことは特にスキャルピングのような短期売買を多用するトレーダーにとって死活問題です。

2. エントリーやイグジットの精度を上げるため

短期トレードでは、1秒や1ティックの値動きが勝敗を分けることがあります。スプレッドが広いと、エントリーした瞬間から不利な価格でスタートすることになり、目標利益への到達が難しくなります。一方、スプレッドが狭いと、よりリアルタイムの値動きをダイレクトに捉えて、短時間で利益を得るチャンスが増えるのです。

3. マーケットメーカーの意図を読むヒントになる

マーケットメーカーがスプレッドを操作することによって、相場の流れをコントロールしている場面があります。流動性が低い時間帯にスプレッドが突然広がったり、ニュース発表前後にスプレッドが拡大したりするのはよくある話です。
この変化を敏感に察知することで、「今は売買が少ないタイミングだから大きく値が動くかもしれない」「指標発表があるから一時的に混乱しそうだ」など、相場変動の予兆を読み取る材料にもなります。

スプレッドが広がる主なタイミング

実際にトレードをしていると、普段はそれほど広くないスプレッドが急に拡大することがあります。その主な要因を知っておくと、リスク回避につながります。

1. 市場が開いた直後や取引参加者が少ない時間帯

早朝や深夜、あるいは祝日など、取引参加者が少ない時間帯は「流動性が低い」と言われます。流動性が低くなると、売りたい人も買いたい人も少なくなるため、マーケットメーカーはリスクを抑えるためにスプレッドを広げがちです。
また、株式市場の場合は「寄り付き」と呼ばれる市場が開いたばかりの時間帯に板が薄く(売買注文が少なく)なりやすいため、スプレッドが拡大することがあります。

2. 重要な経済指標やニュース発表前後

FXで代表的な例が、アメリカの雇用統計が発表される前後です。このタイミングは相場が大きく動くことが多く、マーケットメーカーもリスクを避けるためにスプレッドを大きく取ることがあります。
実際に、通常0.3pips〜0.5pipsほどのスプレッドが、発表前後に1.0pips、2.0pips…と拡大してしまうことがあるため、特に短期売買をする場合は注意が必要です。

3. 突発的な世界情勢の変化

地政学リスクや大きな災害、紛争など予期せぬ出来事が起きた際にもスプレッドが広がります。これは、市場が不安定になり、売り買いのバランスが崩れやすいからです。こうした時期はボラティリティ(価格変動の激しさ)も増すので、スプレッドに限らずリスク管理が大切になります。

スプレッドを味方につける方法

ここからは、スプレッドをなるべく有利に活用するための具体的な方法をいくつかご紹介します。

1. スプレッドの狭い通貨ペアや銘柄を選ぶ

FXならば「ドル円(USD/JPY)」や「ユーロドル(EUR/USD)」といったメジャーな通貨ペアは、多くのトレーダーが取引しているため流動性が高く、スプレッドが比較的狭い傾向にあります。株式の場合も同じで、取引高が多い人気銘柄や、大型株はスプレッドが狭まりやすいです。

2. スプレッドの狭い証券会社やFX会社を選ぶ

会社によってスプレッドの広さは異なります。特にFX会社は「原則固定スプレッド」をアピールしていることも多いので、複数社を比較して最適なところを選ぶと良いでしょう。ただし、あくまでも「原則固定」なので、相場が急激に動いたときは変動する可能性がある点に注意してください。

3. 活発な時間帯にトレードする

FXだと、ロンドン市場とニューヨーク市場が重なる時間帯(日本時間の21時〜翌2時頃)は取引量が増え、スプレッドが安定しやすいです。逆に、日本の早朝や欧米が休日になると取引量が減り、スプレッドが広がる傾向にあるので意識してみてください。

4. スリッページ対策をする

注文を出した価格と実際に約定された価格がずれてしまう「スリッページ」が起きると、想定していた以上に不利な価格で取引することになり、スプレッド以前の問題となってしまいます。
重要指標が発表される時間帯や、短期トレーダーが集中しやすい“値動きが大きいタイミング”に、成行注文だけで飛び込むとスリッページが発生しやすいので、可能であれば指値注文を活用したり、約定力の高いFX会社を利用したりして対策しましょう。

短期トレードで滞在時間が長くなる秘訣:情報収集と分析力

短期トレードは「パパッとエントリーして、サッと利益を確定する」というイメージを持つかもしれませんが、本当に勝ち続けるトレーダーはむしろ「チャートをよく観察し、徹底した分析を行う時間」を大切にしています。
滞在時間=記事でいうと、読者が長く読んでくれる時間でもあり、トレーダーでいうと「相場に向き合う時間」のようなイメージにもなります。大事なのは、いかに自分の取引ロジックや根拠をしっかり組み立てられるか。スプレッドやマーケットメーカーの動向を理解したら、次は戦略を練る時間を増やしましょう。

1. チャートの基本形を把握する

短期トレードであっても、チャートの形を読む(ローソク足の形や移動平均線の傾向など)基礎は非常に大切です。スプレッドが狭い銘柄であればあるほど、ちょっとした値動きが利益にも損失にも直結します。
何となく勘でエントリーするのではなく、移動平均線やMACD、RSIなど、基本的なテクニカル指標を使って「いつエントリーするのか」「どこでロスカット(損切り)するのか」「どこで利食いするのか」を明確にすることで、無駄なトレードを減らせます。

2. マーケットニュースをチェックする

FXなら経済指標のスケジュールや中銀の政策金利発表のタイミング、株なら上場企業の決算発表や業績修正などのニュースは要チェックです。こうした材料が出るとスプレッドが広がる場合がありますし、大きなトレンドが発生しやすいタイミングにもなります。
「ニュースが出ると不安定だから避ける」のか、「ニュースが出るタイミングを逆手にとって短期決戦に挑む」のかは、それぞれのトレードスタイル次第ですが、どちらにしても情報を知らないままだと対処のしようがありません。

3. 過去のトレードを振り返る

短期トレードをしていると、1日の間に何度も売買することがあります。しかし、振り返りをしないまま次々にトレードをしていると、どこでミスをしたのか、どうすればもっと利益を伸ばせたのかがわかりにくいです。
エントリーとエグジットのタイミング、スプレッドの広さ、約定した価格と想定価格のずれ(スリッページ)などを記録しておくと、あとから見返して改善点を洗い出せます。これはプロのトレーダーも実践している重要なポイントです。

実践的なまとめ:スプレッドを理解してトレードを変える

ここまで読んでみて、「スプレッド」は単なる数字の差ではなく、短期トレードの結果に直結する重要なファクターだということがご理解いただけたと思います。オリヴァーベレス氏が強調するように、マーケットメーカーは常にスプレッドを意識し、その差から利益を得ています。
私たち個人トレーダーも、スプレッドを意識して有利な環境を選び、適切なリスク管理をすることで、マーケットメーカーと同じ“勝ちやすい土俵”を作り上げることができます。

スプレッドの要点おさらい

  • 「買値」と「売値」の差がスプレッドで、トレーダーにとっては取引コスト
  • マーケットメーカーはこのスプレッド差を取ることで収益を得ている
  • 短期トレードではスプレッドの影響が大きく、狭いほど利益が出しやすい
  • 時間帯やニュース、流動性などによってスプレッドは拡大・縮小する
  • スプレッドが狭い通貨ペア、証券会社、時間帯を選ぶのが基本中の基本

FXでも株でも「安く買って高く売る(あるいは高く売って安く買い戻す)」が大原則です。その際に、真っ先に発生するコストがスプレッドです。スプレッドを常に把握し、その動向を読むことで一歩先を行くトレードができるようになるでしょう。

最後に:短期トレードはスプレッドだけでは語れない

とはいえ、実際のデイトレード、スキャルピング、短期売買の世界では、もちろんスプレッドだけで勝ち続けられるわけではありません。メンタル面のコントロールや、相場に張り付く時間の確保、資金管理、損切りの徹底など、さまざまな要素が組み合わさって初めて成功へ近づけます。
しかし、その数ある要素の中でも「スプレッドの理解」は最も基礎的かつ重要な位置を占めます。特に、1トレードあたりの利幅が小さい短期トレーダーほど、スプレッドによるコストの積み重ねが大きくなるからです。
オリヴァーベレス氏が説くように、マーケットメーカーがスプレッドを軸に安定収益を目指すのなら、私たち短期トレーダーはそこを逆手に取って、「なるべくスプレッドが不利にならないようにする」「スプレッドの変化から相場の兆しを読む」ことを意識してみましょう。

次の一歩

  • 複数の証券会社・FX会社のスプレッドを比較してみる
  • いつどのタイミングでスプレッドが広がるのか、実際に観察してみる
  • 取引記録や日々の損益をスプレッドと併せて記載し、振り返りを行う
  • 慣れてきたら、マーケットメーカーの動きを推測しながらエントリー・イグジットを調整する

こういった小さな工夫を積み重ねていくことで、短期売買の安定性や収益率が驚くほど変わってきます。ぜひ、本記事で学んだことを活かして、次のトレードをより納得感あるものにしてみてください。

まとめ:スプレッドを征する者が短期トレードを征する

オリヴァーベレス氏の「デイトレード」における「マーケットメーカーはスプレッドを追い求める」という言葉には、短期トレードで成功するためのヒントが凝縮されています。
スプレッドがあるからこそ、マーケットメーカーは取引を成り立たせる役割を果たし、個人トレーダーはリスクとチャンスが隣り合わせになります。
「スプレッドなんて微々たるもの…」と思うかもしれませんが、短期売買では1日に何度も取引を行うため、トータルで見ると想像以上に大きな影響が出ます。
ぜひ、この記事をきっかけにスプレッドやマーケットメーカーの仕組みをしっかり理解し、短期売買の戦略に取り入れてみてください。そうすることで、これまで見えなかった相場の動きや時間帯のクセが見え、結果的にトレードの質が大きく向上するはずです。
皆さんのトレードがさらに洗練され、勝率が高まることを願っています!最後までお読みいただき、ありがとうございました。