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「CAN-SLIM法」初心者でも分かる完全ガイド―ウィリアム・オニール流・成長株投資の7文字の意味とは

CAN-SLIM法

Contents

はじめに:CAN-SLIM法とは?

「CAN-SLIM」とは、アメリカの伝説的投資家ウィリアム・オニールが提唱した成長株投資の手法です。英語の7文字がそれぞれ銘柄分析の重要ポイントを示しており、C, A, N, S, L, I, Mという要素をすべて満たす銘柄を厳選して投資することで、大きなリターンを狙う考え方です。

この記事で得られるメリット

本記事では「オニールの成長株発掘法」として知られるこのCAN-SLIM法を、はじめて学ぶ人でもすぐに理解できる形で解説します。以下のポイントに沿って、初心者がつまずきやすい部分をフォローしながら、7文字の意味と実践テクニック、リスク管理やメンタル面についてもまとめました。

  • CAN-SLIMの7文字が何を意味するか
  • 初心者でもスムーズに理解できるような具体例や図解イメージ(文章イメージ)
  • ウィリアム・オニールの投資哲学や著書(「オニールの成長株発掘法」など)に触れつつ、実践的テクニックを紹介
  • 投資歴が浅い読者でも「なるほど、こういうものか」と腑に落ちる構成

「成長株投資」と聞くと、ハードルが高そうに感じる人も多いでしょう。しかし本記事を読めば、CAN-SLIM法が目指すところや具体的な銘柄の探し方がスッキリ腑に落ちるはずです。


1. CAN-SLIMの7文字が示す意味

まずは、ウィリアム・オニールが提唱したCAN-SLIM法の文字それぞれが何を表しているかを見ていきましょう。これは以下の英単語の頭文字をとったものです:

  • C:Current Quarterly Earnings(直近四半期の利益成長率)
  • A:Annual Earnings Growth(年次利益成長率)
  • N:New Products, New Management, New Highs(新製品、新サービス、新経営陣、新高値)
  • S:Supply and Demand(株の需給関係)
  • L:Leader or Laggard(リーダー銘柄か、出遅れ銘柄か)
  • I:Institutional Sponsorship(機関投資家の保有状況)
  • M:Market Direction(市場全体のトレンド)

「C」から順番に、初心者でも理解しやすいようにポイントを解説していきます。

C(Current Quarterly Earnings):直近四半期の利益成長率

なぜ利益の急成長が必要か?
成長株投資では、足元の決算がどれだけ急拡大しているかが重要な指標になります。オニールは「四半期EPS(1株あたり利益)が前年同期比で少なくとも+25%、できれば+50%以上伸びている企業」を目安にするべきだと主張しました。

  • 四半期EPSが前年同期比+25%以上
    例:前年同期のEPSが50円だったのに対し、今期80円なら+60%増
  • 売上高も合わせてチェック
    EPSだけでなく売上高も伸びているかどうか。特別利益など一時的要因だけでEPSが急増している場合は注意

四半期ベースの利益が急拡大している企業は、マーケットからの注目度が一気に高まりやすく、株価が急騰するきっかけになりやすいのです。

A(Annual Earnings Growth):年次利益成長率

過去数年にわたる安定した成長
「A」では、年間ベースでのEPSがどのくらい伸びているかをチェックします。オニールは「最低でも年平均+20~25%以上の成長」を基準とし、過去3~5年連続増益を好みました。

  • 3~5年連続でEPSが伸びているか?
    途中で減益があると、安定した成長とは言い難い
  • ROE(自己資本利益率)が17%以上
    企業の収益力が高い証拠として、ROE17%を目安にする人も多い

年ベースで利益が増え続けている企業は、ビジネスモデルが優れている可能性が高く、今後も継続的な成長が期待できるというわけです。

N(New Products, New Management, New Highs):革新性と新高値更新

「新しい何か」が株価を動かす
「N」は、企業にとっての新しい変化(製品・サービス・経営陣など)があるかどうかを見極めるポイントです。革新的な製品や話題性のある新サービスが出れば、投資家の期待が一気に高まり株価を上げやすくなります。

  • 新製品・新サービス
    画期的な製品が業績のブレイクスルーになるケースは多い
  • 新経営陣
    有能なCEOや外部からのプロ人材が経営に入り、大改革が行われる可能性
  • 新高値(ブレイクアウト)の重要性
    過去の株価高値を更新する“新高値”は、市場が企業の新しいステージを評価し始めたサイン

投資家は「これから何が変わるのか、何が新しいのか」に敏感です。ニュースやIR、SNSなどで企業の新情報をこまめにチェックしましょう。

S(Supply and Demand):株の需給関係

株式数が少ないほど上昇しやすい?
「S」は文字通り供給(発行株式数)と需要(買い需要)を指します。発行株数が少ない企業ほど、買いが入ると株価が大きく動きやすい傾向があります。

  • 発行株式数
    小型株ほど需給が締まり、ブレイク時に株価が急騰するケースが多い
  • 出来高の増加
    株価上昇時に出来高が普段の2倍以上に増えていれば、大口機関投資家の買いが入っている可能性

需要(買い注文)が供給(浮動株)を上回れば株価は上がります。特にブレイクアウト時の出来高急増は、CAN-SLIM投資家にとって重要な買いシグナルとなります。

L(Leader or Laggard):リーダー銘柄を選ぶ

業界トップクラスの株を買う
「L」はLeader(リーダー)かLaggard(遅れ株)かを見極める視点です。ウィリアム・オニールは、業界やセクター内で最も強い(成長率・シェア・株価など)リーダー銘柄に投資せよと主張しました。

  • 相対的強さ(RS指標)
    市場平均や同業他社と比べて株価がどれだけ強いかを示すスコア。上位20~30%以上を狙う
  • トップクラスの業績
    単なる知名度ではなく、実際に売上・利益成長が同業他社を凌駕しているか

同じ業界で似たような製品を扱っていても、株価がぐんぐん伸びる“リーダー”と低迷する“ラガード”に分かれる場合があります。投資の成果を最大化するには、できるだけトップグループに位置する銘柄を選ぶことが大切です。

I(Institutional Sponsorship):機関投資家の保有状況

大手ファンドが買っている銘柄は強い
「I」は機関投資家(ファンド、年金、保険など)の動向に注目します。彼らが買い進めている銘柄は需給が好転し、株価が上がりやすいと言われます。

  • 機関投資家の保有率
    著名なファンドや投資家が大株主に入っているか
  • 四半期ごとの増減
    保有数が右肩上がりに増えているかどうか

一方で機関投資家の保有率があまりにも高いと、今後の買い余地が少なくなるリスクもあります。オニールは「徐々に機関投資家が増え始めている銘柄」が理想的としています。

M(Market Direction):市場全体のトレンド

上昇相場か、下降相場か?
最後の「M」はマーケット全体、つまり相場の方向性を指します。いくら銘柄選定が完璧でも、相場全体が弱気トレンドだと上昇は難しいもの。オニールは「相場全体が上昇しているときに投資すべし」と繰り返し強調しました。

  • 主要指数(NYダウ、S&P500、ナスダック、日経平均など)の動向
    移動平均線を上回って推移しているか、出来高はどうか
  • フォロースルー・デイ
    相場が底打ちしたサインとして、出来高を伴う大幅上昇日が出るか

相場全体の地合いが悪いときは、どんな優良銘柄も下げに巻き込まれるリスクが高いです。CAN-SLIMでは、マーケットが好転したタイミングで積極的に買い、悪化したらポジションを縮小するという姿勢が求められます。


2. ウィリアム・オニールの投資哲学

ここでは、CAN-SLIM法の考案者であるウィリアム・オニールの投資哲学を簡単にご紹介します。実践的なテクニックはもちろん、彼の「相場観」や「リスク管理の姿勢」も投資成果を左右する重要なポイントです。

損切りは迅速に、利益は伸ばす

オニールは「買値から7~8%下落したら必ず損切りせよ」と強く提唱しています。これは、小さな損失で済ませて資金を温存し、大きく上昇する銘柄で大きな利益を取るための鉄則です。

  • なぜ7~8%?
    10%以上の下落になると、取り戻すのが大変になるため
  • 利益確定は20~25%上昇
    短期的に急騰したら、一度利益を確保しておく(その後も上がる見込みがあれば一部保有)

オニールは「損切りラインに例外なし」とまで言い切っています。これは感情で判断せず、ルールベースで小さな損を確定させる重要性を示す言葉です。

ファンダメンタルとテクニカルの両方を見る

「成長株を見極めるには、EPSなどのファンダメンタルズと株価チャートのテクニカルを両方チェックせよ」というのがオニールの基本方針です。どちらか一方だけでは不十分で、両面から“強い銘柄”を探すのがCAN-SLIM流とされています。

  • ファンダメンタルズ:EPS、売上高、ROEなど
    安定成長しているか、急成長が見込めるか
  • テクニカル:チャート、出来高、RS指標など
    ブレイクアウトのタイミングや上昇モメンタムを掴む

代表的な著書:『オニールの成長株発掘法』

オニールといえば、有名な著書が『How to Make Money in Stocks』(邦題:『オニールの成長株発掘法』)です。ここでCAN-SLIMの詳細な理論と実例が多数紹介されています。また、「小さく負けて大きく勝つ」マインドセットについても繰り返し説いているため、投資初心者から上級者まで学びの多い一冊です。


3. わかりやすい具体例

実際にCAN-SLIM法を当てはめると、どんな銘柄が選ばれ、どのタイミングで買うのか。そのイメージを掴むために過去の事例を紹介します。なお、あくまでも過去のケースであり、現在の投資を推奨するものではありませんのでご了承ください。

過去に大きく成長した銘柄の事例

  • 米国株の例:ネットフリックス(NFLX)やエヌビディア(NVDA)などは、四半期EPSが前年同期比で+50%を超える急成長を見せ、新高値をブレイクアウトしたタイミングで大きく株価が伸びました。
  • 日本株の例:例えば新興市場のハイテク銘柄で、過去3年連続で+30%以上のEPS成長があり、直近決算でも大幅増益→株価が1年で倍増……というようなケースがあります。

どのタイミングで買い、いつ売り抜けるか

CAN-SLIM法では、新高値をブレイクアウトした瞬間が買いシグナルとされます。株価がもみ合いを抜けて一気に上昇するポイントで、かつ出来高が急増しているときは投資家の買い意欲が強いと判断できます。

  • 買った後、7~8%下落したら即損切り
    これは絶対ルール。深追いして損失を広げない
  • 20~25%上昇したら一度利益確定
    短期間で急騰した場合、欲張り過ぎずリスクを落とす。
    さらに成長が続く見込みがあれば、一部ポジションを持ち越す

4. 注意点・リスク

ボラティリティ(株価変動)が大きい

成長株は将来の期待が高い分、相場が崩れると急落しやすいです。損切りを徹底しないと大きな痛手を被るリスクがあります。また、業績見通しが外れた場合の下げ幅も大きくなる可能性があります。

CAN-SLIMだけで100%勝てるわけではない

どんな優れた理論でも、相場には不測の事態があります。CAN-SLIMの基準を満たす銘柄が必ずしも上がるとは限らず、市況や外部環境の変動で失敗するケースも当然ありえます。

タイミングや相場環境の見極めが難しい

「M(Market Direction)」が示す通り、市場全体が弱気トレンドなら新高値ブレイクアウトも失敗しがちです。オニールは特に、相場全体の動きを把握するために主要株価指数の出来高や移動平均線を日々チェックすることを強調しました。


5. CAN-SLIM法を使いこなすためのポイント

1)損切りルールを守る

最大損失許容ラインを事前に決め、そこに達したら機械的に売ることが重要です。「まだ戻るかも……」と感情に引きずられると損失が雪だるま式に膨らむ可能性大です。

2)ポジション管理と分散の考え方

オニールは必ずしも多銘柄分散を推奨していませんが、自分の資金やリスク許容度に合わせて投資額を調整する必要があります。もし1銘柄に集中投資するなら、その分損切りルールを厳格に守らなければいけません。

3)相場全体が下落傾向のときは待つ

市場が明らかに弱気に傾いたら、新規の買いは控え、防御的ポジションに移行します。ブレイクアウトの失敗が増えたと感じるときは一時撤退も選択肢です。

4)メンタル面のコントロール

感情に流されず、ルールどおりに行動することがCAN-SLIM成功の鍵です。
「もっと上がるかもしれないから売りたくない」「損切りすると悔しいからもう少し我慢する」など、人間の心理はしばしば逆行しがちですが、そこを乗り越えてこそオニール流の成長株投資が実践できます。


6. CAN-SLIM法と他の投資手法との比較

最後に、CAN-SLIMと主要な投資スタイルとの違いを簡単に整理しておきましょう。

CAN-SLIMとバリュー投資

  • バリュー投資:PERやPBRの低い“割安”銘柄を買う
  • CAN-SLIM:あえて高PERでも急成長するグロース株を狙う
  • 相場好調時はグロース株がアウトパフォームしやすいが、相場悪化時は下落も大きい

CAN-SLIMと配当投資

  • 配当投資:高配当利回りや安定配当を重視し、長期保有
  • CAN-SLIM:配当よりも利益成長率を最重視。無配でも急成長なら投資対象
  • キャピタルゲイン(値上がり益)重視か、インカムゲイン(配当収入)重視か、目的が異なる

CAN-SLIMとモメンタム投資

  • モメンタム投資:株価が上昇トレンドにある銘柄を追随買いする
  • CAN-SLIM:モメンタム(ブレイクアウト)+ファンダメンタルの裏付け
  • 単なるモメンタムよりもEPS成長など裏付けを重視して銘柄を選別

7. まとめ:CAN-SLIM法で「小さく負けて大きく勝つ」

ウィリアム・オニールが提唱するCAN-SLIM法は、四半期・年間利益の成長(C・A)新製品や新高値(N)需給(S)リーダー銘柄を選ぶ(L)機関投資家の買い(I)、そして市場全体のトレンド(M)といった要素を総合的に見極める投資手法です。

投資家がこの7つのステップを踏むことで、“大化け銘柄”をいち早く捉える可能性が高まります。一方で、損切りの徹底や相場全体の地合いの見極めなど、リスク管理とメンタルコントロールが必須となります。

もしこれから成長株投資にチャレンジするなら、ぜひCAN-SLIMのチェックリストを参考にしてみてください。「小さく負けて大きく勝つ」というオニール流の投資哲学を実践できれば、短期間での資産拡大も夢ではありません。ただし、どんな投資法にも100%の成功はなく、相場環境次第では損失を被るリスクがある点を忘れずに。

以上、CAN-SLIM法の基本ポイントを網羅的に解説しました。あなたの投資スタイルに合わせて、少しずつ取り入れていってみてはいかがでしょうか。

(本記事は一般的な投資情報の提供を目的としたもので、特定の銘柄推奨や投資勧誘を行うものではありません。投資に関する最終判断は、ご自身の責任と判断でお願いいたします。)

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