宅建試験で毎年1~2問は出る重要テーマ「定期借地権」。しかし、普通借地権との違いや期間のルール、公正証書が必要なケースなど、細かな部分でつまずく受験生が多い分野です。
この記事を読むと、以下のような悩みが解決できます。
- 定期借地権の種類や契約ルールが曖昧で、出題パターンが分からない
- 普通借地権や地上権など他の権利とごっちゃになって混乱している
- 過去問を解いてもなぜ間違えたのか理解できず、正解にたどり着けない
- 短期間で得点源に変える勉強法を知りたい
本記事では、定期借地権の種類・概要、過去問の出題傾向、よくある間違い、そして実務上の活用事例まで、試験合格に直結する知識を網羅的に解説します。「定期借地権は苦手…」と感じている方が自信を持って解答できるレベルになるためのポイントが満載です。
Contents
宅建試験における「定期借地権」とは?
定期借地権の基本定義
定期借地権は、借地借家法で定められた更新のない借地権です。あらかじめ定めた契約期間が満了すると借地関係が終了し、借地人は更地で地主に土地を返還しなければなりません。
- 従来の借地権(普通借地権)には更新制度がある
- 定期借地権は「契約期間満了=終了」という特徴を持つ
- 地主は安心して土地を貸し出せる点がメリット
- 借地人は期間限定であるため地代が比較的安いケースも
国土交通省の情報(国土交通省公式サイト)などを見ると、借地借家法が平成4年に施行されて以降、定期借地権の活用例が徐々に増えています。特に都市部の土地有効活用策のひとつとして注目されており、宅建試験でも頻出テーマとなっています。
定期借地権が宅建試験で重要な理由
宅建士としては、クライアントが不動産を賃貸や売却する際に定期借地権を活用する場面を理解しておく必要があります。また、宅建試験では「普通借地権との違い」「事業用定期借地権の公正証書」など、細かいルールが問われるのが特徴です。
- 借地借家法の問題は毎年1~2問出題
- そのうち定期借地権は頻出論点
- 一度理解すれば確実に得点につながる
定期借地権の種類:覚えるべき3パターン
定期借地権には大きく分けて3種類あります。それぞれ契約期間や契約方法が異なるため、混同しやすいポイントです。
1. 一般定期借地権
- 存続期間:50年以上
- 更新:なし
- 契約方法:書面(公正証書でなくても良いが書面必須)
- 建物買取請求権:なし
- 居住用・事業用:用途制限なし
特徴は、契約期間が「最低50年」と長く、居住用・事業用問わずに利用できる点です。ただし、定期借地権なので更新はありません。
2. 事業用定期借地権
- 存続期間:10年以上50年未満
- 更新:なし
- 契約方法:公正証書
- 建物買取請求権:なし
- 用途:専ら事業用(居住用不可)
公正証書で契約を結ばなければならない点が大きな特徴です。また居住用建物には使えず、あくまで事業用目的です(例:店舗、工場、オフィスビルなど)。
3. 建物譲渡特約付借地権
- 存続期間:30年以上
- 契約方法:書面
- 終了時:借地人が地主に建物を譲渡(対価は時価)
- 更新:なし
この借地権では契約終了時に地主が建物を買い取る(譲渡特約)ことにより、借地関係を終了させる仕組みです。主に倉庫や工場などで活用されるケースがあります。
普通借地権との違い:ここが試験で問われる!
1. 最低存続期間
普通借地権は30年、定期借地権の一般定期借地権は50年からスタート。この「30年」と「50年」の区別は宅建の定番問題です。
また、普通借地権は更新が前提ですが、定期借地権は更新なしなのでご注意を。
2. 更新の可否
- 普通借地権:原則更新あり(正当事由がないと更新拒絶不可)
- 定期借地権:契約期間満了で終了
「更新する・しない」が両者の根本的な違いです。
3. 契約書の形式
事業用定期借地権は公正証書必須ですが、普通借地権は書面化義務まではありません(ただし実務上は書面を作るのが通常)。
試験では「事業用定期借地権の公正証書は必須」という点がひっかけ選択肢となることが多いです。
過去問の出題傾向とポイント
定期借地権はここ10年、令和元年、令和3年、令和4年などに頻繁に登場しています。具体的な例を見てみましょう。
過去問例:令和元年問11
- 定期借地権の期間に関する設問
- 「50年」「更新なし」「書面契約」などのキーワードが選択肢に登場
- よくある誤り:「更新料を支払えば契約を継続できる」と思い込む
ポイント!
- 「50年以上」が一般定期借地権
- 更新料の支払い等では更新できない
- 書面で契約する必要がある
過去問例:令和3年問12(借地借家法)
- 事業用定期借地権で居住用建物が含まれる場合を問う
- 居住部分があると事業用定期借地権ではないため誤り
ポイント! 事業用定期借地権はあくまで事業目的の建物であり、居住用が混じるとアウト。
受験生が間違えやすいポイント
- 期間の区別(30年・50年・10年以上50年未満)
- 「公正証書」の要否(事業用定期借地権は必須、一般定期借地権は書面でOK)
- 「居住用不可」の存在
- 「建物買取請求権」があるかないか
実務のイメージ:定期借地権の活用事例
地方公共団体の活用例
地方自治体が所有する土地を活用し、公募で企業に貸し出す際に事業用定期借地権を設定するケースがあります。期間限定で商業施設やオフィスビルを建ててもらい、満了後は公共事業に転用するなど、土地利用を柔軟にコントロールできます。
例えば、東京都や横浜市などの公有地活用では「定期借地権方式による公募」が行われることがあり、一定期間事業用に利用した後に返還してもらう仕組みが整備されています。
定期借地権付きマンション
民間でも、居住用マンションを定期借地権で供給することがあります。期間は50年や70年などが設定されるケースが多く、満了時にはマンションを解体し、更地で返還します。その分土地代が抑えられ、販売価格が割安になるメリットがありますが、期間満了後は住み続けられないデメリットも。
学習スケジュール例:定期借地権を1週間で攻略する
定期借地権は借地借家法の一部にすぎませんが、苦手意識を持つ方が多いので、短期集中で理解を深めるスケジュールを組むのがおすすめです。
- 1日目: テキストで「借地借家法」全体像をざっと把握
- 普通借地権と定期借地権の違いを確認
- 定期借地権の3種類(一般・事業用・建物譲渡特約付)の特徴を読破
- 2~3日目: 過去問演習(分野別)
- 定期借地権に特化した過去問を10年分ほどまとめて解く
- 間違えた問題をピックアップし、テキストで条文や解説を再確認
- 4日目: 実務事例や判例でイメージ固め
- 自治体サイトや不動産関連ニュースで定期借地権の活用例を検索
- 短い契約期間(事業用)と長い契約期間(一般)を比較
- 5~6日目: まとめノート作成、暗記強化
- 数字・契約方法・要件を一覧化(A4用紙1枚に)
- 空き時間にノートを見返し、条文や重要キーワードを暗記
- 7日目: 仕上げテスト(模試・直前演習)
- 模試や予想問題で最終確認
- 苦手な選択肢を再度チェック
よくある間違いとその対処法
1. 数字の取り違え
- 30年(普通借地権)/50年(一般定期借地権)
- 10年以上50年未満(事業用定期借地権)
対処法:表にまとめて机の前に貼るなど、何度も視覚的に確認しましょう。
2. 公正証書の要否
- 事業用定期借地権は公正証書
- 一般定期借地権は書面でOK
対処法:「事業に公正な書面が必要」と覚えると混乱を防ぎやすいです。
3. 居住用と事業用の混同
- 事業用定期借地権は居住用不可
- 一般定期借地権は用途制限なし
対処法:出題文中に「住居」「住宅」などのキーワードがあったら、事業用定期借地権は該当しないと判断します。
試験当日の解答テクニック
1. 選択肢のキーワードに注目
- 「公正証書」と書かれていたら事業用定期借地権を疑う
- 「居住用不可」のフレーズが出たら事業用
- 「建物譲渡特約」→建物譲渡特約付借地権
2. 数字は必ず正確に確認
「30年」を「50年」と微妙に変えてある選択肢がよく登場するため、数字のズレを見逃さないよう注意しましょう。
3. 普通借地権との対比で読む
同じ問題文内で「普通借地権」と比較しながら選択肢が提示されるケースもあります。定期借地権と普通借地権の根本的な違い(更新の有無)を意識して選択肢をチェックしましょう。
合格者の声:定期借地権対策のコツ
合格者Aさん(独学合格)
「定期借地権は細かい数字や公正証書が必要かどうかなど、覚えることが多かったのですが、表を作って反復しました。過去問を10年分まとめて解いたら、同じような論点ばかりで安心しました。数字さえ間違えなければ大丈夫でしたね。」
合格者Bさん(資格学校通学)
「講師から『事業用定期借地権は公正証書』『居住用はNG』と何度も強調されました。最初はごっちゃになりそうでしたが、繰り返し復習して定着。定期借地権は必ず出るし、きっちり押さえればほぼ満点を取れるので、美味しい分野でした!」
さらに学習を深めたい方へのおすすめ記事
本ブログ内で、宅建試験全般の勉強法やよくある失敗例を解説している記事を紹介します。定期借地権だけでなく、宅建業法や他の法令上の制限などもあわせて学べるので、ぜひチェックしてください。
- 宅地建物取引士(宅建)を独学で合格する方法!失敗事例と対策を徹底解説
- 宅地建物取引士の資格で収入アップは可能?年収相場や試験対策、よくある失敗例を徹底解説
- 宅建試験に合格するためのおすすめ教材ガイド~独学成功の秘訣から年収アップまで徹底解説~
まとめ:定期借地権は“やれば取れる”得点源!
本記事の要点
- 定期借地権の3種類(一般・事業用・建物譲渡特約付)を明確に区別する
- 数字(50年、10年以上50年未満、30年以上)や契約方法(公正証書か書面か)などをしっかり覚える
- 普通借地権と更新の有無が最大の違い
- 過去問演習を通じてよくあるひっかけを把握
- 試験当日はキーワード(公正証書、居住用不可など)を見落とさない
次のアクション:合格に向けてやるべきこと
- 定期借地権に限らず、借地借家法全体を復習
- 条文(借地借家法第22条~第24条)を一読しておく
- 過去問を5~10年分繰り返し解き、誤答を重点チェック
- おすすめ記事(上記リンク先)で他の分野もバランスよく勉強
- 定期借地権の実務事例(自治体サイトなど)を見てイメージを具体化
「定期借地権は複雑そう…」というイメージがあるかもしれませんが、実は問われるポイントはある程度パターン化しています。数字や契約方式、更新の有無といった論点をしっかり頭に入れておけば、宅建本番で高得点につなげられる分野です。
ぜひこの記事を参考に、苦手意識を克服し“定期借地権を得点源に変える”ことを目指してください。宅建合格を心より応援しています!