2025年3月10日の日本株式市場では、日経平均が3万7000円台を回復し、主に半導体関連銘柄を中心とした買いが目立ちました。この記事では、主要指数の詳細からセクター別動向、さらに米国株の注目指標やアドバンテスト(6857)の最新情報までを網羅し、明日以降のトレード戦略に役立つポイントを解説します。
Contents
2. 今日の日本株式市場の動向
(a) 主要指数
日経平均株価
- 始値:36,972.59円
- 高値:37,113.48円
- 安値:36,705.02円
- 終値:37,028.27円(前週末比+141.10円 / +0.38%)
TOPIX
- 終値:2,700.76ポイント(前日比+7.83ポイント / +0.29%)
グロース市場250指数
- 終値:638.98ポイント(前週末比+7.97ポイント / +1.26%)
(b) セクター別の動き
本日は東証33業種のうち、機械や空運業、繊維製品などが値上がりしました。一方で非鉄金属、証券・商品先物、鉱業などが下落しています。
– 上昇率トップ3業種
1. 機械(+1.15%)
2. 空運業(+0.71%)
3. 繊維製品(+0.45%)
– 下落率トップ3業種
1. 非鉄金属(-3.71%)
2. 証券・商品先物(-1.92%)
3. 鉱業(-1.74%)
(c) 個別銘柄ニュース
- 値上がり率上位
- 半導体関連銘柄を中心に、雨風太陽が+27.83%で大幅上昇。
- キオクシアホールディングスは+16.83%の上げ幅を記録し、NANDフラッシュメモリ需給改善が好感。
- HOUSEIが+13.96%となり、AI関連部品の受注増加を材料に急伸。
– 値下がり率上位
- いすゞ自動車が-14.8%の大幅安、電気商用車販売目標の未達発表が響く。
- 古河電気工業は銅価格下落の影響で-2.3%の下落。
- 日本データはクラウド部門の成長鈍化懸念により-0.8%で推移。
– 売買代金上位
- 日経レバレッジETFが活況(約685億円)
- アドバンテスト(6857)は日経平均へのプラス寄与度が大きく、市場注目度が高い状況。
日経225指数のチャート分析・シナリオ

環境認識
日経225指数は現在、明確な下降圧力に直面しています。本日の相場は小幅な値動きながらも安値圏で推移し、ピンポン相場的な展開の後に終了しました。テクニカル的には売りバイアスが非常に強い状態が継続しています。
現在のチャート状況
- 日足チャートでは5MAが明確な上値抵抗線として機能
- 下降トレンドが継続し、37,000円の心理的節目を下回る展開
- RSIは40前後で推移し、弱気傾向を示唆
- 中期MAとの乖離が拡大し、行き過ぎた下落感も出始めている
- 重要な抵抗帯として37,700円ラインが強く意識されている
今後のシナリオ
【ショートシナリオ(可能性70%)】
- 5MAの下に価格が抑えられ続け、36,500円まで下値を試す展開
- 37,700円に再度タッチした場合は、絶好のショートエントリーポイントとなる可能性
- 25MAと75MAも追加の抵抗帯として機能し、上昇を抑制
- 下値ターゲット:36,500円(第一目標)、36,000円(第二目標)
【ロングシナリオ(可能性30%)】
- 5MAと37,700円の抵抗を突破した場合、短期的な反発の可能性
- しかし25MAと75MAの二重の抵抗があり、上値は重い
- ファンダメンタル面での上昇材料に乏しく、反発は限定的になる見込み
- 上値ターゲット:38,200円(第一目標)、38,500円(第二目標)
トレード戦略
基本スタンスはショート優位で、以下のポイントに注目します:
- ショートエントリー:37,500-37,700円での反落確認時
- ストップロス:38,000円(日足終値ベース)
- 利確ポイント:36,500円(第一目標)、36,000円(第二目標)
特に注目すべきは37,700円近辺のレジスタンスラインです。この水準が再度テストされた場合、5MAとの位置関係も含めて反応を見極めることが重要です。ショートポジションを検討する際は、5MAを下に割り込んで初めてエントリーするという規律を守りましょう。
海外市場の動向や為替変動も注視する必要がありますが、現状のチャート形状では上昇には複数の障壁があり、下値を試す展開が最も可能性の高いシナリオと言えるでしょう。
3. 今日の日本株式市場に影響を与えたニュース・トピックス
- 半導体関連の買いが継続
- 米大手半導体企業の好決算やTSMCの堅調な見通しが東京エレクトロン、アドバンテストなどの押し上げ要因。
- 国内経常収支の改善
- 1月の経常収支が2.7兆円の黒字で市場予想を上回り、為替安定要因となった。
- 実質賃金と現金給与総額
- 1月実質賃金は-1.8%と予想を下回った一方、現金給与総額は+2.8%増となり内需株への影響は限定的。
- 米中貿易摩擦リスク
- 半導体輸出規制強化のニュースが断続的に報じられており、今後の業績見通しに不透明感が残る一面も。
4. 今晩の米国株式市場の注目ポイント
(a) ダウ平均、S&P500、ナスダックの前日終値
- ダウ平均:42801ドル
- S&P500:5770ポイント
- ナスダック総合:18196ポイント
(b) 重要経済指標・イベントの予定
- 3月12日(22:30):米国消費者物価指数(CPI・2月)
- 予想:前年比+3.1%
- 3月15日(22:30):ミシガン大学消費者信頼感指数
- 予想:72.5
- 3月18~19日:FOMC会合(政策金利据え置き予想)
(c) 為替動向と日本株への影響
米国の利上げ姿勢がやや慎重化しており、ドル円は一時138円台半ばで推移。為替が安定すれば輸出関連企業の収益環境が良化する反面、米中貿易摩擦などの地政学リスク要因には引き続き注意が必要です。
S&P500指数のチャート分析・シナリオ

環境認識
S&P500指数は先週末に大きな下落を見せた後、わずかな陽線で終了したものの、テクニカル的には重要な転換点にあります。現在の値動きからは方向感が定まらない拮抗状態が続いていますが、複数の指標が売りバイアスの強まりを示唆しています。
現在のテクニカル状況
- 日足チャートでは5MAが明確な抵抗線として機能している
- 75MAと25MAが間もなくデッドクロスを形成する見込み
- RSIは下降トレンドを形成し、弱気シグナルを発している
- 5770ポイント付近に重要なサポートラインが形成されている
- 下落局面でのボリューム増加が見られ、売り圧力の強さを示唆
今後考えられるシナリオ
【ショートシナリオ(可能性60%)】
- 5770のサポートを下抜けた場合、5600-5650エリアまで一気に下落の可能性
- 75MAと25MAのデッドクロス後は下落モメンタムが加速する恐れあり
- 下値ターゲット:5600(第一目標)、5500(第二目標)
- トリガーポイント:5770の明確なブレイクダウンと増加するボリューム
【ロングシナリオ(可能性40%)】
- 5770サポートでの反発が継続し、5MAを上抜けた場合、5900-6000レンジへの回復余地
- 5MAを上抜けた後は20MAが次の重要レジスタンスに
- 上値ターゲット:5900(第一目標)、6000(第二目標)
- トリガーポイント:5MAを上抜け、RSIが50ラインを超えた場合
トレード戦略のポイント
この局面では方向性が明確になるまでポジションを控えることも賢明な選択です。5770を境界線とした買いと売りの攻防が予想され、このような拮抗状態ではフェイクブレイクによる損切りリスクが高まります。
エントリーを検討する場合は:
– ショート:5770ブレイク確認後、または5MAからの反落確認時
– ロング:5MAブレイク確認後、または5770での明確な反発時
注目すべきは日足での終値位置です。5770を下回る終値が続けば売り圧力の優勢を示し、逆に5770を上回る終値が続けば買い勢力の巻き返しを意味します。
マーケット全体が不安定な状況下では、ポジションサイズを通常の60-70%程度に抑え、明確な方向性の確認後にエントリーすることで、不必要なリスクを避けることができるでしょう。経済指標や金利動向などの外部要因にも注意を払いながら、慎重な取引を心がけてください。
5. 注目銘柄:アドバンテスト(6857)
(a) 事業内容
アドバンテストは半導体検査装置の分野で世界トップクラスのシェアを誇る企業です。SoCテスタやメモリテスタ、AI向け高性能デバイスの検査ソリューションなどをグローバルに提供し、主要顧客にはNVIDIAをはじめとする先端半導体メーカーが名を連ねています。
(b) 企業概要・業績
- 売上高(2025年3月期第3四半期累計):5,474億円(前年同期比+56.1%)
- 営業利益:1,641億円(前年同期比+160%)
- 通期業績予想:売上高7,400億円、純利益1,675億円へ上方修正済み
- 主要指標:PER 34.32倍、PBR 11.53倍、ROE 15.57%、配当利回り 0.50%
(c) 株価推移
- 始値:7,550円
- 高値:7,799円
- 安値:7,470円
- 終値:7,789円(前日比+281円 / +3.74%)
- 出来高:10,835,200株
(d) 今後の見通しやリスク要因
ポジティブ要因
– AI・自動車・産業機器などの需要拡大により、高性能半導体検査装置の需要は底堅い。
– 主要アナリストのコンセンサスでは「買い」継続が多く、目標株価は1万円超えの水準が目立つ。
リスク要因
- 米中貿易摩擦の激化による輸出規制の強化。
- 半導体市況が想定以上に減速した場合の受注減少リスク。
- 競合各社の低価格テスタ参入による価格競争の激化。
アドバンテスト(6857)のチャート分析・シナリオ

環境認識
アドバンテストの現在のチャートは非常に興味深い局面を迎えています。2025年に入ってからの明確なダウントレンドの中で、重要な節目となる8,110円を下方ブレイクし、現在は7,560円のサポートラインで反発している状況です。
テクニカル指標の状況
- 日足チャートでは5MA、20MA、75MAがパーフェクトオーダーを形成
- 2月末に複数の移動平均線がデッドクロスを形成
- RSIは40付近で推移しており、弱気傾向は継続するも極端な売られ過ぎではない
- 下落局面でのボリューム増加が確認でき、売り圧力の強さを示している
今後考えられるシナリオ
【ショートシナリオ(可能性65%)】
- 5MAが強い抵抗線として機能し、7,789円前後で反落
- 7,560円の重要サポートを再テストし、ブレイク時は7,450円まで下落の可能性
- エントリーポイント:8,000-8,110円付近での反落確認後
- ポイント:ショートエントリーは5MAを下に割り込んでから行うこと
【ロングシナリオ(可能性35%)】
- 5MAを上抜け、8,110円に向けた反発が進行
- 8,110円ブレイク後、ダブルボトム・サポート転換形成の可能性
- このシナリオでは5MA、25MA、8,110円のラインがサポート帯として機能
- エントリーポイント:8,110円ブレイク確認後、または7,560円での明確な反発時
重要なのは、いずれのシナリオにおいても8,110円と7,560円の節目が鍵を握っているということです。特に、移動平均線が抵抗帯として機能している状況下で、これらの価格帯と重なる場合は強い根拠となります。
週足での確定を待ってからのエントリーが安全ですが、短期トレーダーは日中の価格アクションとボリュームの増減に注目することで、より精度の高いトレードが可能になるでしょう。現在は明確な転換点にあるため、どちらの方向に動くにしても大きな値幅が期待できます。
6. 明日以降の戦略とまとめ
(a) 明日以降の注目指標発表予定
– 3月11日(08:50):国内機械受注(1月速報値)
– 3月11日(14:30):消費者物価指数(2月速報)
(b) 投資家へのアドバイス
米国での金融政策や経済指標次第で為替相場が変動しやすく、輸出関連やハイテク関連の動向を注意深く確認する必要があります。デイトレードや短期トレードではボラティリティを活かし、リスク管理を徹底しつつ、業績好調な銘柄を中心に狙うのも一案です。
(c) 総括コメント
日経平均は半導体関連株の買い戻しや好決算を背景に37,000円台を回復しましたが、海外リスク要因はなおくすぶっています。米国利上げ動向や米中貿易摩擦関連ニュースを随時チェックしながら、堅調な銘柄の押し目買いや順張りでのエントリーを検討すると良いでしょう。
【参考リンク一覧】
- 日経平均チャート
- アドバンテストIRライブラリ
- みんかぶ決算情報(アドバンテスト)
- 米国株主要指数情報(Reuters)
- ETF売買代金ランキング(みんかぶ)
- TOPIX先物動向(kabutan)
- 経済指標カレンダー(みんかぶFX)
以上、今日の日本株市況・注目銘柄のまとめでした。明日以降のトレードにぜひお役立てください。
初心者向け用語集
- 日経平均株価:東証プライム上場銘柄のうち選定された225銘柄の株価を合計し、
特定の修正を加えて算出される日本を代表する株価指数です。 - TOPIX(東証株価指数):東証プライム市場に上場するすべての国内普通株式を
対象に時価総額加重型で算出される株価指数です。 - グロース市場250指数:東証グロース市場銘柄のうち流動性や時価総額が比較的大きい
250銘柄を対象とした指数で、成長株の動向を示します。 - PER(株価収益率):株価が1株当たり利益(EPS)の何倍になっているかを示す指標で、
株価の割高・割安を測る目安の一つです。 - PBR(株価純資産倍率):株価が1株当たり純資産(BPS)の何倍になっているかを示す指標で、
企業の解散価値に対して株価が高いか低いかの目安になります。 - ROE(自己資本利益率):株主からの出資(自己資本)に対してどれだけの利益を上げているか
を示す指標で、企業の収益性を測る目安です。 - 配当利回り:株価に対する1株当たり配当金の割合を示し、投資家が受け取れる
配当の水準を測る目安となります。 - レバレッジETF:日経平均やS&P500などの指数の値動きを、一定の倍率で追随するように
設計された投資信託(ETF)で、短期の値動きに連動しやすい特徴があります。 - 半導体検査装置:製造された半導体チップが正しく機能するかを検査するための装置で、
アドバンテストなどが世界トップシェアを誇ります。 - FOMC(連邦公開市場委員会):アメリカの金融政策を決定する機関で、利上げ・利下げなどの
金融政策の方向性を決定します。 - デイトレード:株式などの金融商品を1日のうちに売買を完結させる短期取引手法のことです。
- AI(人工知能)需要:機械学習やディープラーニングなどを活用したITサービス分野の需要で、
高性能な半導体やサーバーを支えるための検査装置市場も拡大傾向にあります。 - 米中貿易摩擦:米国と中国が関税や輸出規制などの貿易政策で対立している状況を指し、
世界の半導体サプライチェーンなどに影響を与えます。
免責事項
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