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はじめに
株式投資で大きく儲けるためには、値上がりが期待できる銘柄をいち早く捉えることが重要です。そのため、テクニカル分析で使われるチャートパターンは多くの投資家に活用されています。
中でも、ウィリアム・オニール氏が提唱した「カップウィズハンドル」は、強力な上昇トレンドの継続を捉えるパターンとして知られ、暴騰銘柄を探すヒントになり得ます。
本記事では、カップウィズハンドルの形状や条件を丁寧に解説し、具体的なエントリータイミングやリスク管理、失敗例と成功例など、初心者~中級者の個人投資家が実践しやすいポイントを網羅的に取り上げます。また、ウィリアム・オニール氏の「成長株発掘法(CAN SLIM)」との関連や銘柄スクリーニング手法にも触れますので、ぜひ最後までご覧ください。
投資は常にリスクを伴い、いかなる手法でも必ず儲かる保証はありません。チャート形状の判断や最終的なエントリー・売買判断は自己責任でお願いします
1. カップウィズハンドルとは何か?
オニール流「成長株発掘法」の概要
アメリカの著名投資家であるウィリアム・オニール氏は、独自の成長株投資理論として「CAN SLIM」を提唱しています。これは以下の要素の頭文字を取ったもので、企業を多角的に評価する手法です。
- C(Current Quarterly Earnings):直近四半期の1株当たり利益(EPS)の増加率
- A(Annual Earnings Increases):年間ベースの業績(売上高、EPS)の伸び
- N(New Products/New High):新製品、新サービス、新経営陣、株価の新高値など
- S(Supply and Demand):需給(発行株式数が少なく、需要が多い銘柄など)
- L(Leader or Laggard):市場のリーダー株(相対強度が高い銘柄)
- I(Institutional Sponsorship):機関投資家の保有状況
- M(Market Direction):マーケット全体の方向性
この理論は、ファンダメンタル分析とテクニカル分析を合わせて使いこなす点が特徴。オニール氏は実際にこの手法で大きな成功を収めたと言われています。
そんなオニール流の投資戦略の中で特に取り上げられるチャートパターンが、「カップウィズハンドル」です。
チャート形状と名称の由来(カップ+取っ手部分)

カップウィズハンドルは、チャートを眺めた際にティーカップとその取っ手のような形状になるため、このように呼ばれています。
- まず、「カップ(cup)」は、株価が一度上昇した後に下落し、緩やかなU字を描いて再び上昇する形
- その後、「ハンドル(handle)」に相当する小幅な下落や横ばいが発生し、最後にハンドルの高値を超えて株価がブレイクアウト
この取っ手をブレイクアウトする動きが、新たな上昇トレンドや大きな値幅取りのチャンスとされています。
2. カップウィズハンドルが示す上昇シグナルの条件
どのように底を形成し、どのようにハンドル部分ができるか
カップウィズハンドルは、もともと上昇トレンドの途中で形成されることが多いパターンです。下記のステップで進行します。
- 上昇トレンド:ある程度株価が上昇し、投資家の注目が集まる
- 調整下落(カップ形成):一部の投資家による利益確定売りなどで株価が下落し、底を打って再上昇。U字型の底を形成
- 一旦高値付近まで戻る:上昇力が続いているため、再び高値付近を試す動きが出る
- ハンドル形成:高値付近で再び売りが入り、小幅に調整する。取っ手部分を作る
- ブレイクアウト:ハンドルの高値(またはカップの右端の高値)を出来高を伴って突破すると、一気に株価が跳ね上がることが多い
このハンドルの部分は、カップに比べると非常に浅い下落で済むケースが多く、「取っ手」と呼ばれる短期的な持ち合い・押し目と考えられます。
出来高(売買高)や期間など、パターン成立の細かいポイント
カップウィズハンドルは期間や出来高の動きによって信頼度が変わります。
- 形成期間:日足チャートなら3~6か月かけてゆっくり作られることが多い。短期足(1時間足など)でも4日~7.5日程度かけて形成されやすい
- カップの形状:U字型の底が理想的。底が尖ってV字になっていると、一時的なリバウンドによるダマシのリスクが高まる
- ハンドルの下落幅:カップ全体の値幅の1/3以下が目安。あまりに深いと、上昇トレンドが崩れる可能性
- 出来高の推移:カップの形成初期は売買が活発→底では出来高が減少→ハンドル形成後のブレイクアウト時に再度出来高が急増、というメリハリある推移が信頼度を高める
- 前提条件:カップ形成前に株価が一定以上(30%~数十%)上昇している。そもそも強いトレンドが背景にある
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3. カップウィズハンドル銘柄を選別する方法
成長株の業績条件やPER、EPS増加率など基礎ファンダメンタル
オニール流では、カップウィズハンドルのチャート形状だけでなく成長株を選別するファンダメンタル要件も重要視します。特に以下の点が重視されます。
- EPS(1株当たり利益)の増加率が高い(四半期ベースで前年同期比+20~30%以上など)
- 売上高が継続的に伸びている
- ROE(自己資本利益率)が高く、効率的に稼げている
- 新製品・新サービスなど革新的な要因があり、今後の成長余地が大きい
- 機関投資家の保有率も高く、需要が旺盛
PER(株価収益率)が高い銘柄でも、EPSの成長が加速していれば、投資家からの評価がさらに上がって株価上昇につながる可能性があります。いわゆる「成長株(グロース株)」を中心に探すのがカップウィズハンドル投資の基本スタンスです。
チャートソフトやスクリーニングでの探し方・検索キーワード
カップウィズハンドルを探すには、以下のツールや方法が活用できます。
- TradingView:
- 「cup and handle」「カップウィズハンドル」などで検索すると、他のユーザーが投稿した事例を見ることができる
- 自分でPineスクリプトを組んで、自動でパターンを検出するインジケーターを作る人もいる
- MarketSmith(オニール社の提供する分析プラットフォーム)
- AIのパターン認識機能があり、カップウィズハンドル候補をスクリーニングできる
- CAN SLIMに基づく銘柄評価指標も同時にチェック可能
- スクリーニング条件:
- EPS成長率(直近四半期、年間)を一定以上に設定
- 売上高成長率がプラスの銘柄
- 移動平均線を上回っており、過去数ヶ月で大きめの調整を経た形跡がある
こうした機能で抽出した銘柄のチャートを目視で確認し、実際にカップ+取っ手が形成されているかをチェックする流れが一般的です。
4. 実際のチャート例で解説 – 過去に暴騰した銘柄のケーススタディ
アメリカの成功例:アップル(AAPL)

カップウィズハンドルの例として1番用いられるのは、このAppleのチャートです
- 過去に何度もカップウィズハンドルパターンを形成し、大きく株価を伸ばしてきた代表的銘柄
- 特に2013年〜、テク企業への期待が高まり、カップ底→小さな取っ手形成→ブレイクアウトという形が見られた
- このタイミングでエントリーした投資家は、数ヶ月で約30%以上のリターンを得たという事例が報告されている
これらのように、実際の業績拡大(売上高・EPS増)とテクニカルパターンが重なったケースでは、カップウィズハンドルは非常に強力な買いシグナルとなることがあります。
いつハンドル部分を突破したか?そこから何%伸びたか?
カップウィズハンドルのブレイクアウトは、ハンドル部分の高値(またはカップの右端高値)を終値ベースで明確に上抜けるときがポイントです。
- 出来高急増(通常の1.5倍~2倍以上)していれば、ブレイクアウトの信頼度が高い
- ブレイク後、数週間~数ヶ月で10%~数十%伸びる例が見られる
- ある銘柄でハンドル突破後1ヶ月で+20%、3ヶ月で+50%となったケースもある
5. エントリータイミングと損切りルール
ハンドル部分をブレイクアウトする瞬間の見極め
カップウィズハンドルの定石的なエントリータイミングは、ハンドル上限を突破した瞬間です。具体的には以下を確認しましょう。
- ローソク足の終値が、ハンドル高値を明確に超えて引ける
- 出来高が増加しており、「大口投資家も買っている」と推測できる
- 移動平均線(10週線や25日線)も上向きで、株価がしっかりサポートされている
また、指値注文や逆指値注文を活用し、「ハンドル上限価格+α円」で買いエントリーを設定する方法も有効です。
失敗を最小限にする逆指値やトレーリングストップの設定
カップウィズハンドルだから絶対大丈夫という保証はありません。ダマシもあるため、損切りラインを設定してリスクを管理しましょう。
- 損切りラインは、取っ手の底値を少し割った水準や、直近安値付近などを参考に設定
- 逆指値注文やトレーリングストップで、自動的に損失を限定
- ポジションサイズを調整し、1回の取引で被るリスクを資金全体の1~2%以内に抑える
オニール氏は、「株価が購入価格から7~8%下落したら潔く損切りせよ」というルールを提唱しています。トレードの失敗は一定数発生しますが、致命傷にならないリスク管理こそが長期的に資産を増やす鍵です。
6. カップウィズハンドルが機能しなかった失敗事例・注意点
偽のブレイクアウト(フェイク)に騙されたパターン
チャート上はカップウィズハンドルっぽい形をしているが、実際にはブレイクアウト後すぐ失速してしまう「ダマシ」もあります。
- ブレイク直後に出来高が伴わない:大口投資家がついてこない
- 高値更新と見せかけて、翌日以降急反落:短期勢の売りで一気に崩れる
- 形は似ていても本質的な業績や相場の地合いが悪く、買いが続かなかった
このような場合は、早めの撤退が必要です。
ファンダメンタルの急変、相場全体の急落によるパターン崩れ
いくらテクニカル的に完璧なカップウィズハンドルができていても、ファンダメンタルズやマクロ環境が一変すると崩壊することがあります。
- 例:決算が期待外れでEPS成長率が鈍化→失望売りが殺到
- 相場全体がリーマン級の暴落局面に突入→有望銘柄でも例外なく売られる
- 業界規制や競合他社の台頭、地政学リスクなど、予期せぬ要因が発生
チャートだけでなく、ニュースや決算内容、世界経済の動向など総合的にチェックすることが重要です。
7. カップウィズハンドルを活かす投資戦略の組み方
中長期保有 vs 短期トレードの使い分け
中長期投資:
- オニール氏のCAN SLIM理論に沿って「業績拡大が続く成長株」を選定
- カップウィズハンドルのブレイクアウトでエントリーしたら、株価の大きなトレンドを狙って長期保有を検討
- 7~8%下落したら損切り、20%上昇したら部分利確など、オニール流ルールを併用
短期トレード:
- 決算前後やテーマ性のある銘柄でカップウィズハンドルを狙い、ブレイクアウト直後の値幅を獲得する
- 目標利幅(例:10%)に達したら即利確し、逆指値で損切りラインを厳格に守る
- 地合いが急変したら素早く撤退
どちらにしても、カップウィズハンドルのブレイクアウト=買いエントリーの好機という点は同じですが、保有期間や利益確定・損切りの基準を明確化しておく必要があります。
オニール以外のテクニカル要素(移動平均線、RSIなど)との併用
カップウィズハンドルをより確実に見極めるには、他のテクニカル指標との複合判断がおすすめです。
- 移動平均線:10週移動平均線や25日移動平均線が上向きで、株価が乖離しすぎていないか
- RSI(相対力指数):70%を超えて過熱していないか、30%以下で売られすぎになっていないか
- MACD:ブレイクアウト時にMACDがゴールデンクロス形成など、上昇トレンドの勢いを示唆
- ボリンジャーバンド:バンドウォークに入っているか、±2σを大きく突き抜けていないか
これらを組み合わせて総合判断することで、偽のブレイクアウトに騙されにくくなります。
8.カップウィズハンドル・日本株の実例
日本株で各ハンドルが形成され、その後大きく伸びたチャートを紹介します。 カップルズハンドルの正確な定義とは、ずれるチャートもありますが
- 上昇トレンド中であること
- 機関投資家の振るいが発生していると思われ事
- カップの底、とってのそこで出来高が少なくなる事
この3つが、とにかくカップルズハンドルでは重要なので、 ここに注目してご覧になっていただきたいと思います
ただし、カップウィズハンドルに限ったことではないですが、トレードで一番難しいのは利確タイミングです。
今回は、初心者の方でもわかりやすいように「基準とする10MAを明確に割り込んだところ」に統一しました。
その関係で、思ったほど伸びていないと感じるケースもありますが、ここは技術が上がり、握れるところを握り、利益を伸ばすことができればダブルばガーも十分に狙えます。
その点はご留意ください
1、SHIFT


2、ベイカレント


3、ニデック


9. まとめ・次のステップ
初心者がまず取り組むべき練習方法・シミュレーション
- 過去チャート検証:TradingViewなどのチャートツールで、過去のカップウィズハンドル形成事例を探す。どのタイミングでブレイクアウトしたか、どれほど上昇したかを記録
- バーチャルトレード:実際の資金を使わずに練習し、エントリーと損切りのタイミングを磨く
- 投資ノート作成:「なぜその銘柄を選んだのか」「どの価格でエントリーし、どこに損切りラインを設定したか」などを記録し、後で振り返り
関連リソース(オニールの著書紹介、チャート分析ソフト等)
- 著書:『オニールの成長株発掘法』(原題:How to Make Money in Stocks)
– CAN SLIM理論の具体的な解説と実例が多数掲載
– カップウィズハンドル以外の重要パターンや売買ルールも深掘り - チャート分析ソフト・Webプラットフォーム:
– TradingView:無料・有料プランあり。多彩なインジケーターとユーザー投稿アイデア
– MarketSmith:ウィリアム・オニール社提供の分析ツール。CAN SLIM銘柄発掘に最適 - 参考サイト・情報源:
– 会社四季報オンライン、Yahoo!ファイナンスなどで企業の業績・株価チャートを併せて確認
– YouTube上での投資家コミュニティが投稿する銘柄解説・検証動画など
まとめ:カップウィズハンドルで狙う成長株投資
カップウィズハンドルは、株価が一時的な調整を経て再び上昇トレンドを継続する可能性を示す有力なテクニカルパターンです。特に、ウィリアム・オニール氏のCAN SLIM理論で選ばれた成長株にこのパターンが現れる場合は、強い買いサインとして注目されがちです。
しかし、すべてのチャートパターンにはダマシが存在し、必ずしも予想通りに上昇するとは限りません。
- ブレイクアウトを確認してからエントリー
- 常に損切りラインを設定し、リスク管理を徹底
- ファンダメンタルズや相場環境の急変も頭に入れる
上記を守りながら、多くのチャートを検証し自分なりの勝ちパターンを確立していくことが、長期的に成功する投資家への道と言えるでしょう。
最後に繰り返しますが、投資の最終判断は自己責任です。本記事で紹介した手法や事例は収益を保証するわけではありません。常に十分な情報収集を行い、各種チャートパターンや企業の業績を正しく理解したうえで、慎重にトレードを行ってください。
以上で、カップウィズハンドルを活用した銘柄選別方法とオニールの成長株発掘法の概要、失敗例と成功事例などを網羅的に解説しました。ぜひ今後の銘柄分析に役立ててみてください。投資の世界で皆様がさらなる成果をあげられるよう願っています!
参考サイト
- FXGT.com
– カップウィズハンドルの基本概念やだましの見分け方、トレード手法、エントリーポイントなどを詳しく解説しています。 - Investopedia
– 上昇トレンドが一時停止した後に継続する強気パターンとして、カップウィズハンドルの形成過程や特徴を解説。 - StockCharts.com
– ウィリアム・オニール氏によるカップウィズハンドルの紹介(著書「How to Make Money in Stocks」)をもとに、形成条件や理想的な形状、トレード方法を網羅。
免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、いかなる投資行動を推奨・勧誘するものではありません。記載されている情報は作成時点のものであり、正確性・完全性を保証するものではありません。相場の状況は常に変化しており、経済指標・地政学リスク・金融政策など外的要因によって、予想を大きく上回る変動が生じる可能性があります。
投資に関する最終的な判断は、読者ご自身の責任とリスク負担のもとで行ってください。本記事の内容を利用したことで生じたいかなる損害についても、執筆者および当サイト運営者は一切責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。投資に際しては、最新の情報収集と慎重なリスク管理を徹底することを強く推奨いたします。
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