3月4日(火)のドル円相場の「ファンダメンタルズ分析」「テクニカル分析」を総合的に検討し、デイトレからスイングまでの具体的なトレード戦略を提案します。トランプ政権の関税政策や米国指標、日銀政策の思惑を踏まえた最新の相場分析していきます。
Contents
この記事を読むと得られるメリット
・今日から約2週間先までのドル円の値動きシナリオを把握し、エントリー/イグジットのポイントが明確にわかる
・トランプ大統領による追加関税や米国の景況感など、直近の重要ニュースを踏まえたファンダメンタルズ要因を整理できる
・マルチタイムフレームによるテクニカル分析を活用し、デイトレ〜スイングでのトレンドフォロー戦略が立てられる
・リスク管理や注意点も含め、突発ニュースへの備えができる
今日の結論・注目ポイント
- 米国の関税発動:トランプ大統領が3月4日14:01(日本時間)にカナダ・メキシコへの25%関税、中国への10%追加関税を実施予定と発表。リスク回避の円買いが続きやすい点に要注意
- 重要なサポートライン:ドル円は148.589付近が直近の重要サポート。ここを明確にブレイクすると146.353付近までの下落リスクが高まる
- 米国株式市場と米国債利回りの動向:株式市場大幅下落・金利低下が引き続きドル安要因となり、円高圧力をサポート
- ISM非製造業指数やADP雇用統計など、今週の米国指標に市場が注目。予想を下回ればドル売り・円買いの加速に繋がりやすい
- 日銀の追加利上げ観測:内田副総裁が「金融市場が不安定な状況での利上げは行わない」と表明しつつも、新総裁人事が控えることで利上げ思惑が燻り、円高要因となる可能性
総合すると、本日のドル円は円高優勢と見られます。特に148.589円の攻防に注目が集まり、ここを明確に割れればショートへの流れが加速するシナリオがメインです。
ファンダメンタルズ分析
まず、ドル円相場を動かす最近の重要ニュースを振り返り、その影響度を整理します。
- 米国株式市場の大幅下落(3月3日)
株式相場の大幅安(S&P500が1.76%下落、ダウ平均が1.48%下落、ナスダック2.64%下落)により、リスク回避姿勢が強まっています。リスク回避時には円が買われやすくなる傾向があるため、ドル円の下落要因になり得ます。
(出典:CNBC https://www.cnbc.com/2025/03/03/stock-market-today-live-updates.html) - トランプ大統領、関税発動(3月3~4日)
カナダ・メキシコからの輸入品に25%の関税を3月4日14:01から適用し、中国への追加関税10%も表明。保護主義的な通商政策は世界経済の先行きに不透明感をもたらし、相対的に円が買われやすくなる要因となっています。
(出典:The New York Times https://www.nytimes.com/2025/03/03/business/stock-market-today.html) - 米国債利回りの低下(3月3日)
10年物国債利回りが4.8%→4.2%に低下したことはドル安要因です。低金利=ドル保有の魅力低下と判断され、ドル売りが進みやすくなります。
(出典:The New York Times https://www.nytimes.com/2025/03/03/business/treasury-bond-yields-trump-economy.html) - トランプ大統領の円安けん制発言(3月4日朝)
「日本は通貨を故意に安くしようとしている」と強調し、日本製品に追加関税を示唆。発言直後ドル円は149円10銭まで急落。
(出典:テレビ朝日ニュース https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000408601.html)
総じて、米国の景気指標が弱含みであることや関税措置による貿易摩擦リスクが強まっており、ドル安・円高の圧力が強まる土台が固まっています。さらに、日銀の利上げ観測が燻ることで円買い材料が生まれやすい環境です。
テクニカル分析
ここでは週足→日足→4時間足→1時間足の順にマルチタイムフレーム分析を行い、相場の大局観と短期的なポイントを整理します。
■ 週足

- 長期移動平均線(200週線付近)が依然として上向きで、ドル円は大きな下落トレンドへ移行しきっていない状況。
- ただし、チャート上では高値圏の三角持ち合いが収束しつつあるように見え、この持ち合いを下抜けするかどうかが大きな焦点。
- 主要サポートとして意識されるのは148.589。週足レベルでもこのラインが重要な分岐点となっています。
■ 日足

- 2025年に入ってからのダウントレンドが継続。日足の20日移動平均線が150円付近で上値を抑えており、下落傾向は継続中。
- 148.6近辺で一進一退の攻防が続いているが、ここを下抜けると次の目安として147円台前半を試し、その次は146.353付近までスルスルと下げやすい。
- 逆に下げ止まりが確認されれば、一時的なショートカバーによる150円台回復もあり得るが、現状は材料的に下向き圧力が強い印象。
■ 4時間足

- 一度150.987付近をつけてから急落し、移動平均線(20MA、50MA)を一気に割っている。
- 高値圏からの下降チャネルが明確化しつつあり、戻り売りの好機が多く発生するチャート形状。
- ただし直近では148.589がサポートとして意識されるため、この水準割れを待ったショート参入が堅実。
■ 1時間足
- 細かい水平ラインとして149.2、150.034、148.589が意識されている。
- MAのデッドクロスが確認でき、下向きの勢いが強い。ここで反発の余地があるとすれば、一時的な利確やショートカバーが起こるポイントのみ。
- 現状は値幅が大きくないため、突発ニュースが出るとスパイク的な値動きが生じやすい。エントリー時はニュースのタイミングに留意が必要。
今日の売買シナリオ
ここでは、上記ファンダメンタルズ・テクニカルを踏まえたトレンドフォロー型の具体的トレード戦略を提示します。デイトレ~2週間程度のスイングを想定し、ショートシナリオとロングシナリオをそれぞれ検討します。
メインシナリオ:ショート

ドル円が大きく下落し始める可能性が高いとみるシナリオです。特に、148.589割れを明確に確認した段階でショートエントリーを検討します。
- エントリー根拠:1時間足・4時間足ともにMAが下向きでデッドクロスを形成しつつあり、ファンダメンタルズ的にもリスク回避の円買いが強まりやすい環境。
- エントリータイミング:148.589をしっかり下抜け、戻りが入ったタイミングでレジサポ転換を確認後にショート。もしくは15分足などでダブルトップ形成を待つなど、プライスアクションを重視。
- 損切り水準:直近の戻り高値付近148.793(または149.00付近でも可)。ショートエントリーしたタイミングとリスクリワードを考慮し、損切り幅を小さめに設定。
- 利確目標:まずは147.721や147.90付近に短期目標を設定し、深堀りするなら146.353付近まで視野。時間軸を伸ばせば140円台突入リスクも念頭に置く。
- 想定リスクリワード:1:1.5~1:2を目指す。ドル円特有の急激な逆行リスクがあるため、含み益が出たら早めのトレールストップも検討。
もしショートの仕掛けどころがなければ、下値サポートの攻防を冷静に見極めましょう。米国指標やトランプ政権の関税ニュースなど、突発的なニュースで急落が起こる場合は、追随ショートのスキャルピングも有効です。
サブシナリオ:ロング

現在の地合いでは優先度は低いですが、テクニカル的にダブルボトムや大陽線での反転シグナルが出た場合を想定します。
- エントリー根拠:148円台前半で底打ちの形状が出た、あるいは149.2~150.2を上抜け後の押し目買い。
- 損切り水準:下落リスクが大きいため、150.034など重要ラインを再度割ったら撤退。あるいは前日安値割れで損切り。
- 利確目標:一時的に150.723を回復→さらに152.338あたりが上値目標。上昇余地はあるものの、現段階ではファンダメンタルズが追い風になりにくい。
- 注意点:トランプ氏の追加関税ニュースが続く限り、ロングは逆張りの色が強い。大きく押し目をつけてからの反発を確認してからでも遅くはない。
いずれにしても、ロングシナリオは“ショートカバーや短期的なオーバーシュートの反動”を狙うにとどまる可能性があります。ファンダ的には円高寄りなので、状況を見極めつつ無理をしないことが重要です。
米国指標・イベント情報
3月4日深夜から翌日にかけて、米国では為替相場に大きなインパクトを与えやすい経済指標やイベントが続きます。以下の発表スケジュールとポイントを押さえておきましょう。
- 3月5日(水)0:00(日本時間)
米国2月ISM非製造業景況指数の発表(前回52.8、予想53.0)
サービス業中心の景気動向を示す重要指標。数値が50を下回ると景気後退懸念が高まり、ドル売りにつながりやすいとされています。予想より大幅に下回る場合はリスク回避の円買い(ドル円下落)が進む可能性があるため要注意。 - 3月5日(水)22:15(日本時間)
米国2月ADP雇用統計(前回18.3万人、予想15.3万人)
米国の民間雇用者数の増減を示す指標。3月7日(金)の米雇用統計(非農業部門雇用者数)を予測する際の手がかりとして市場参加者の注目度が高いです。結果が大幅に悪化すればドル売り・円買いが急激に進む可能性があります。逆に好結果なら一時的にドル高材料となることも。 - 3月6日(木)4:00(日本時間)
米国ベージュブック公表
連邦準備制度理事会(FRB)が米国各地域の景気動向をまとめたレポート。金融政策に関するヒントが含まれる場合があり、サプライズ内容があればドル円相場が大きく動く可能性があります。
これらの指標やレポートは「予想と実際の数字の乖離」が大きいほど相場を急変させやすいと考えられます。また、トランプ大統領による関税措置や円安けん制発言など、政治要因が重なると想定外の動きも起きやすい局面です。ポジションを保有する際は発表時間帯をあらかじめ把握し、急騰・急落のリスク管理を徹底してください。
リスク管理・注意点
- 米国指標、イベントの突発報道
3月4日~5日は米国で大きな経済指標(ISM非製造業指数、ADP雇用統計など)が控えています。予想外の結果の場合、急激な価格変動が起こる可能性大。 - トランプ政権の追加関税・通貨安批判
3月4日14:01に関税が実施される見込みですが、対日制裁などの発言がさらに出れば、ドル円が急落する恐れあり。ヘッドラインを常にチェック。 - 日銀やFRB高官の発言
日銀・内田副総裁やFRB高官の講演が予定されており、「利上げ・利下げの言及」が相場を大きく振らせるリスクに直結するため注意。 - ウクライナ情勢
米露による停戦交渉が難航、あるいは新たな軍事行動の報道が出るとリスク回避が急速に進み、円高を加速させる可能性。 - 大口注文やアルゴリズム取引
節目ライン(148.589や147.721など)では大口仕掛けが入りやすく、オーバーシュートが起こる。指値注文の設定ミスや追随の遅れに注意。
まとめ
- 総合的な相場見通し:本日のドル円は下落バイアスが強く、特に148.589割れからの加速下落に要警戒。
- 主要ニュース・注目ポイント:トランプ大統領の追加関税発動、米ISM非製造業指数、ADP雇用統計、日銀やFRB要人発言など。
- 売買戦略:メインは戻り売り狙い。ロングは短期反発を拾う程度にとどめ、無理のないトレードを心掛ける。
- 今後1~2週間の焦点:3月7日の米雇用統計や米中貿易摩擦の進展状況、日銀の追加利上げ観測など、ドル円の方向性を決定づける材料が目白押し。
明日(3月5日)にかけてもリスクイベントが多いため、一方向に大きく動いた後の反動には要注意。特にドル円は、ニュースのタイミング次第で1円前後の乱高下が起こり得る環境です。小ロットでポジションサイズを抑え、指値や逆指値設定を徹底しながら臨みましょう。
本記事は情報提供を目的としたものであり、売買を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。
参考・出典リンク
以下のリンク・出典元を参考に執筆しております。
- MINKABU PRESS(ISM指数):https://minkabu.jp/news/4163005
- テレビ朝日ニュース(トランプ氏円安けん制):https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000408601.html
- IG証券(FRB高官発言日程など):https://www.ig.com/jp/news-and-trade-ideas/usdjpy-weekly-forecast-and-key-chart-level-to-watch-250302
- みんかぶFX(米中関税発動・重要指標カレンダー):https://fx.minkabu.jp/news/326167
- その他、記事本文に記載の各出典URL(Reuters、Bloomberg、Federal Reserve、日銀、ジェトロ、CNBCなど)
このほかの出典・参考URLは下記も参照ください。
- 日本政府統計(1月失業率・有効求人倍率):https://www.mof.go.jp/english/index.htm
- BOJ(金融政策関連):https://www.boj.or.jp/en/
- 米ISM非製造業景況指数カレンダー:https://www.oanda.jp/lab-education/market_news/2025_03_04_usdjpy/
- 米ADP雇用統計(みんかぶFX):https://fx.minkabu.jp/indicators/US-ADP
情報の正確性・完全性には万全を期しておりますが、相場変動要因は多岐にわたるため、最終的な投資判断はご自身の責任で行っていただきますようお願いいたします。
初心者のための用語集
以下では、初心者の方がつまずきやすい「用語」を簡単に整理しています。もし記事を読んでいてわからない単語が出てきたら、まずはこちらの解説を参考にしてください。
- 円高・円安:ドルなど他通貨に対して円の価値が高くなる(円高)/低くなる(円安)こと。一般的に「1ドル=100円→1ドル=95円」に動くと円高、「1ドル=110円→1ドル=120円」に動くと円安という。
- リスク回避:世界的に不安材料(経済危機や政治リスク)が高まったときに、比較的安全な通貨として円が買われる動き。結果的にドル円は下落(円高)しやすい。
- 関税:国が輸入品に課す税金のこと。トランプ大統領が他国製品への高関税を発動すると、貿易摩擦が懸念され、ドル売り・円買いに傾きやすい傾向がある。
- ダウ平均:米国の株式市場(ニューヨーク株式市場)の代表的な株価指数「ダウ工業株30種平均」のこと。ダウが大幅下落すると、投資家がリスク回避に動くため円高要因となることが多い。
- 米国債利回り:米国政府が発行する国債の金利水準。長期金利が低下すると、ドルを保有するメリットが薄れ、ドル安(円高)になりやすい。
- ISM製造業指数・非製造業指数:米国の景況感を測る経済指標。50以上なら拡大、50未満なら縮小とみなされ、数値が悪いとドル売りが強まる要因になる。
- トレンドフォロー:上昇トレンドなら買い、下降トレンドなら売りを狙う、流れに沿った取引手法。相場の流れに逆らわず利益を取りにいく狙いがある。
- ショート(売り)/ロング(買い):FXで通貨を売ってから買い戻す取引を「ショート」、買ってから売る取引を「ロング」と呼ぶ。ドル円なら「ドルを売り、円を買う」または「ドルを買って、円を売る」イメージ。
- 損切り・利確:ポジションを決済して損失を確定させる(損切り)/利益を確定させる(利確)こと。リスク管理のため、予めラインを設定しておくのが一般的。
- レジサポ転換:これまで抵抗(レジスタンス)だった価格帯を上抜けると、今度はそこが下支え(サポート)になる現象。逆にサポートだった価格帯を割り込むと、今度はレジスタンスになりやすい。
- デッドクロス:短期移動平均線が長期移動平均線を上から下へ突き抜けることで、売りシグナルとされやすい形。逆に下から上へ突き抜けるゴールデンクロスは買いシグナルと見られる。
- ブレイク:チャート上の重要な価格帯(サポートやレジスタンス)を明確に抜けること。サポートを下に抜ければ下落加速、レジスタンスを上に抜ければ上昇加速の兆しとなる。
編集後記
どれくらいの銘柄を追いかけたら良いか? これはトレーダーにとって永遠のテーマかもしれません。
個人的な意見としては、定点観測が何よりも大事なので、通貨ペアは1つで十分、多くても3つまでに絞るのが良いでしょう。
そうでなければ、「勝てそう」という雰囲気であらゆる通貨ペアに飛び込み、結果として損がかさむ事態を招く恐れがあります。
例えば、あなたのパートナーと毎朝「おはよう」と挨拶するだけで、その日の相手の気分が十分に把握できるものです。
今日は機嫌が良いのか、もしくは機嫌が悪いのか、また体調が良いのか体調が悪そうなのか、その微妙な変化が感じ取れます。
何か特別なノウハウを持っているわけではありませんが、あなたはパートナーと長く生活しているからこそ、相手の微妙な心理の変化を誰よりも深く読み取ることができるのです。
トレードでもこの感覚を身につけたいのです。 ドル円ばかり見ていたら、ドル円の動きがなんとなく見えてくるものです
もちろん、最終的には テクニカル分析を使って根拠を見出していくのですが、言葉では表現できない微妙なニュアンスを読み解くことが重要なのです。
まずは、お気に入りの通貨ペア1つを徹底的にマスターすることが、成功への近道なのです。
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