ドル円相場のファンダメンタルズ分析・テクニカル分析を総合的に解説し、今日の売買シナリオを提示します。デイトレードから2週間のスイングを想定したトレンドフォロー手法を中心に、重要ニュースや経済指標スケジュールも踏まえてトレード戦略を徹底解説いたします。
Contents
はじめに:この記事を読むメリット
ドル円の値動きは、米国と日本の経済・金融政策をはじめ、地政学リスクや株式市場の動向など、さまざまな要因が複雑に絡み合って決定されます。この記事を読むことで
- ドル円相場の今日の重要ポイント(ファンダメンタルズ・テクニカル両面)を効率よく把握できる
- デイトレから2週間程度のスイングを見据えたトレンドフォロー型の売買シナリオを具体的に得られる
- 最新ニュースや経済指標、リスク要因をおさえたうえでリスクリワードの高いトレードを狙いやすくなる
- 環境認識やシナリオから、市場動向を客観的に分析する力が身につく
本記事では、まずドル円相場の環境認識としてファンダメンタルズ・テクニカル両面の分析を行い、そのうえで具体的なトレード戦略(ショート/ロング両案)を詳述します。最後にリスク管理のポイントや明日以降の注目点をまとめています。ぜひ参考にしてみてください。
今日の結論・注目ポイント
まずは結論となるポイントをかんたんに整理しておきましょう。
- 米連邦準備制度理事会(FRB)は「金融引き締め継続方針」を示唆しており、長期的なドル買い材料となりうる。
- 一方、地政学リスク(特にウクライナ情勢の長期化)や世界的な景気減速懸念が意識されるとリスク回避の円買いが強まる可能性あり。
- テクニカルに見ると、ドル円は下落基調が続いており、直近148円台後半~149円付近を推移。さらに下に抜けると146円台後半がターゲットになるシナリオも視野。
- ただし、149円台から149.80円~150円台を回復できれば、150.79~150.92円付近のレジスタンスを試しに行く反転上昇の可能性も。
- 本日以降の重要経済指標としては、米国の消費者信頼感指数やリッチモンド連銀製造業指数などが注目され、結果次第でドル買い/売りが大きく動く可能性がある。
それでは順を追って詳しくみていきましょう。
ファンダメンタルズ分析:最新ニュースと重要イベント
1. 直近24時間の重要ニュース概要
過去24時間にドル円に影響を与えうる重要ニュースは以下のとおりです。
- FRB関係者の発言:FOMCで政策金利据え置き、保有有価証券の削減継続を決定。パウエル議長はインフレ2%の確信が得られるまでは利下げしない意向。
- 地政学リスク:米国・ロシアの高官協議が行われたものの、ウクライナは招かれず、停戦への進展は限定的。ロシア軍の攻勢が続く一方、ウクライナ軍も抵抗を強める。停戦観測は一進一退。
- 株式・債券市場:ダウ平均は堅調だが、ハイテク株主導のナスダックは下落。日経平均もハイテク株安が波及し、下落基調。
- 通貨の強弱:直近ではドルが強く、円はやや弱めに推移。長期金利の上昇がドル買いを支援する一方、景気減速懸念が強まるとリスク回避の円買いが入りやすい。
これらの要因が複合的に絡み合い、ドル円は一方向には振れず、やや方向感を失いつつある様子がうかがえます。
2. 本日・明日の重要経済指標・イベント
以下は、最新の経済指標カレンダーを基にした、本日から明日にかけての主な注目指標です。市場インパクトの強さやドル円への影響度も併せて記載しています。
- 香港 10-12月期四半期域内総生産(GDP)確定値(前期比・前年比)【★★】
【発表予定時刻:–:–】
前期比:0.8%(予想)
前年比:2.4%(予想)
香港のGDP確定値は、アジア全体の景気指標として注目されます。ただし、ドル円相場への直接的な影響は限定的と思われます。 - オーストラリア 1月消費者物価指数(CPI)(前年同月比)【★★】
【発表予定時刻:09:30】
予想:2.5%/前回:2.5%
オーストラリア経済の物価動向を示す指標。数字が上振れすればオージー買いに繋がり、クロス円のリスク選好度合いに影響を与え、間接的にドル円に波及する可能性があります。 - 日本 12月景気一致指数(CI)・改定値【★】
【発表予定時刻:14:00】
前回:116.8
日本の景気動向を示す指標。改定値で大きなブレがなければ相場への影響は限定的ですが、想定外の改定となる場合は一時的に円買い・円売りの反応が出るかもしれません。 - 日本 12月景気先行指数(CI)・改定値【★】
【発表予定時刻:14:00】
前回:108.9
先行指数は今後の景気動向を示唆するもの。サプライズがあれば、株式市場や為替相場の短期的なボラティリティ増加に注意が必要です。 - ドイツ 3月GfK消費者信頼感調査【★】
【発表予定時刻:16:00】
予想:-21.4/前回:-22.4
ユーロ圏最大の経済国であるドイツの消費マインドを表す指標。数値改善ならユーロ買い材料となり、対ドル相場を通じてドル円の間接的な変動要因になる可能性があります。 - フランス 2月消費者信頼感指数【★】
【発表予定時刻:16:45】
予想:93/前回:92
ユーロ圏2番目の経済規模を持つフランスの消費者信頼感。改善すればユーロ買いに繋がりやすく、ドル安要因→相対的にドル円の下押し圧力が高まるシナリオも考えられます。 - 南アフリカ 1月消費者物価指数(CPI)(前月比・前年比)【★★】
【発表予定時刻:17:00】
前月比予想:0.3%/前回:0.1%
前年比予想:3.3%/前回:3.0%
高金利通貨として人気のランドが動く可能性あり。リスクオン/オフの流れを通じてクロス円にも影響し、結果的にドル円の動きにも波及することがあります。 - 米国 MBA住宅ローン申請指数(前週比)【★】
【発表予定時刻:21:00】
前回:-6.6%
米国不動産市場の動向を示す週次データ。住宅関連の数字が大きく変動すると、景気への不安・安心感が高まり、ドル買い・売りにつながる可能性あり。 - 米国 1月新築住宅販売件数(年率換算件数・前月比)【★★★】
【発表予定時刻:24:00】
年率換算件数 予想:68.0万件/前回:69.8万件
前月比 予想:-2.6%/前回:3.6%
米国の住宅市場は景気や金利動向に敏感です。結果が予想を上振れすればドル買いが強まる可能性があり、逆に下振れならドル売りへ。ドル円にとっては最も注目度の高いイベントの一つと言えます。
【総合的なドル円への影響】
本日〜明日にかけては、米国新築住宅販売件数の注目度が最も高く、結果次第でドル買い・ドル売りが鮮明になる可能性があります。その他、欧州の消費者信頼感や南アフリカCPIがリスク選好度合いに影響し、間接的にドル円の値動きにも波及する点に留意が必要です。日本国内の景気指数改定値は、サプライズがない限り大きな動意は想定しにくいですが、結果次第では短期的な円買い・円売りの反応もあり得るため注意しましょう。
3. 地政学リスク・その他要因
- ウクライナ情勢:依然として終結の糸口が見えず、停戦期待が後退すると安全資産としてドルも円も買われやすくなるが、近年は「有事のドル買い」が強く出る場合も多い。
- 中東情勢や台湾海峡リスク:原油価格の乱高下や米中対立などで市場がリスク回避に傾けば円高進行要因、反対に緊張緩和が進めばリスク選好でドルが買われる場面も。
- 自然災害やテロなど突発ニュース:日本国内で大きな被害がでるような災害の場合は円売りになるシナリオもあるが、グローバルに見れば不確実性上昇=円買いが優勢になることも。
以上のファンダメンタルズ観点からは、米国の利上げ継続スタンス=ドル高要因と、世界景気の減速や地政学リスク拡大=円買い要因が拮抗している印象です。経済指標や要人発言の結果次第で、直近のトレンドが上下どちらかにブレイクしやすい点に注意が必要です。
テクニカル分析:マルチタイムフレームでの相場分析
ここからはチャート情報を踏まえて、週足・日足・4時間足・1時間足などマルチタイムフレームで相場を分析します。

1. 週足レベル
- 2024年末〜2025年初頭にかけて一度は156円台をつけた後、徐々に頭を切り下げてきた。
- 150円台を明確にブレイクダウンしてからは大きめの陰線が続いており、直近は148円台後半〜149円近辺。
- 長期の移動平均線(MA)はまだ上向き傾向ではあるが、チャートの形状的には調整局面入りか。
週足レベルでは156円からの反落局面がまだ継続中と見なせます。ただし、利上げ継続の思惑が再燃すれば再上昇する可能性もあるため、方向感には注意したいところです。
2. 日足レベル
- 日足では、移動平均線(200日・50日・20日)すべてが価格の上に位置しており、レジスタンスとして機能しやすい。
- 直近の安値圏は148円台後半。これを明確に割り込むと、次のサポートは146.80円前後と見られる。
- 一方、149.80円~150円台前半を上抜けできれば、150.79円~150.92円あたりまで再上昇する余地もある。
日足ベースの大まかな戦略としては下落トレンドフォローが優位だが、急激な巻き戻しにも注意が必要な場面と言えます。
3. 4時間足・1時間足レベル
- 4時間足:2月に入ってから大きく売られる展開が継続し、移動平均線が上から順に並ぶ下落パーフェクトオーダーに近い状況。
- 1時間足:149円台半ば〜後半がレジスタンスになり、やや三角持ち合いのように推移。下方向は148.80円付近、148.40円付近にサポート帯がありそう。
- 提供シナリオには「149.207~149.354円あたりを損切りラインとしてショートを狙い、ターゲットは146.859円付近」との記載があり、下落継続を見据えた戦略が示唆されている。
- 逆に「下値で148.894円~149.020円付近で拾って150.796円~150.922円を狙うロングシナリオ」も提示されており、短期的な反発上昇を狙うプランも考えられる。
現状、1時間足〜4時間足は下落基調に沿った戻り売り戦略がテクニカル的に優位ですが、米指標や要人発言で一時的に大きな反発が起こる可能性もあるため、短期逆張りロングのシナリオも検討余地があります。
今日の売買シナリオ(デイトレ〜スイング向け)
それでは、ファンダメンタルズ・テクニカルを踏まえたうえで、本日のトレンドフォロー手法を中心とする売買シナリオを提示します。
なお、デイトレ(1日完結)と2週間程度のスイングを合わせたイメージで書いています。
1. 下落トレンド継続を狙うショート戦略

- エントリーポイント:149.00円~149.20円あたりで戻り売り(あるいは現在価格148.90円付近から小反発したらショート)
- 損切りライン(ストップ):149.35円~149.40円上に明確に抜けたら一旦損切り(提供チャートでは149.354円付近を損切りラインと想定)
- 利確目標:まずは148.40円付近、深掘りすれば146.85~146.60円付近をメインターゲットに(チャート資料には146.859円付近が利確ターゲットと記載)
- 背景:4時間足や1時間足で下落トレンドが継続中。戻り売りが狙いやすい。米指標で一時上昇しても抑えられれば下方向へ行く可能性大。
- 注意点:米国消費者信頼感指数やリッチモンド連銀指数などでドル買いが急に入った場合、ストップを巻き込む形で急騰するリスクがあるため損切りは徹底。
2. 反発上昇を狙うロング戦略(短期逆張り)

- エントリーポイント:148.90円~149.00円あたりで下げ止まり確認後にロング、または149.20円を上抜けリテスト確認後にロング
- 損切りライン:148.80円割れや148.40円割れを明確に確認したら撤退
- 利確目標:149.80円~150.00円、さらに強い動きなら150.79円~150.92円を上値メド
- 背景:米指標が上振れしたり、要人のタカ派発言で金利上昇→ドル買いが強まると短期で急伸する可能性。下落相場の戻し局面を狙う形。
- 注意点:日足レベルは明確に下落トレンドのため、あくまで短期反発。損切りをタイトにし、利確も早めに。
メインシナリオは下落基調に沿ったショートですが、一時的な反発狙いのロングを検討する余地もあります。特に米国指標が好結果(景況感好転)となれば、ドル買いが加速する可能性がある点には注意しましょう。
リスク管理・注意点
- 地政学リスク:ウクライナ情勢の停戦交渉など不透明な報道が出やすく、突発ニュースが市場を急変動させる可能性。ロシア関連の制裁強化なども継続的にウォッチ。
- 株式市場の動向:米ハイテク株(マグニフィセント・セブン)を中心に調整色が強く、ナスダックが崩れるとリスク回避 → 円買いが進みやすい。
- 米長期金利の急変動:米10年債利回りの上下でドル円が大きく反応するケースが多い。FRB高官の発言や経済指標の結果による金利変動をこまめにチェック。
- 損切り設定の徹底:意図しない方向への急激な変動が起きた場合、ロスカットを設定しておかないと一気に損失拡大するリスクあり。
- 突発的な自然災害やテロ:日本国内外で大規模災害が起これば経済活動や投資家心理に影響し、円高または円安どちらにも振れる可能性。
まとめ:全体の見通しと明日以降の注目点
ドル円相場は、現在「下落トレンド継続」と見る向きがやや優勢ですが、地政学リスクや米国の指標次第で乱高下しやすい状況にあります。
短期的には「148.80円~149.20円の攻防」をきっかけに下へブレイクするなら、146.85円前後まで下押すシナリオ。逆に149.80円〜150円台へ回復するなら短期的に150.79円~150.92円を目指す上昇局面があるかもしれません。
明日(2月27日)以降も
- FRB副議長やバーキン総裁の発言
- 中国や欧州の景気指標(とくにドイツ関連)
- ウクライナ停戦交渉の有無、または軍事作戦の進展
などのニュースヘッドラインには注意が必要です。トレンドフォロー派としては、大きなプライスアクションが出た方向に素直に追随する形を意識しましょう。
【参考・出典元リンク】
- Bloomberg(https://www.bloomberg.co.jp/)
- Reuters(https://jp.reuters.com/)
- ダイヤモンド・オンライン(https://diamond.jp/zai/)
- SMBC日興証券 マーケットニュース(https://www.smbcnikko.co.jp/market/news/)
- OANDA マーケットニュース(https://www.oanda.jp/lab-education/market_news/)
- Finance Yahoo!(https://finance.yahoo.co.jp/)
- トレーディングビュー(https://jp.tradingview.com/)
- FXニュース ZIP-FX(https://fx.minkabu.jp/)
- 外為どっとコム(https://www.gaitame.com/media/)
- Investing.com(https://jp.investing.com/)
- 日本経済新聞(https://www.nikkei.com/)
- 国際問題研究所(https://www.jiia.or.jp/)
- 防衛研究所(https://www.nids.mod.go.jp/)
- 他、文中にて参照した各種レポート・ニュースサイト
以上が、今日のドル円相場におけるファンダメンタルズ・テクニカルの環境認識と具体的なトレード戦略のまとめです。ぜひ本記事を参考に、慎重かつ果敢にトレードに臨んでみてください。成功をお祈りいたします。
編集後記
今回のロングエントリーのシナリオに注目してもらいたいです。
まず、最も重要なポイントは、ロングシナリオ・エントリーポイントはきちんとダウ理論にロングトレンドが発生していることを前提に描いているということです。多くのトレーダーは、テクニカル指標やチャートパターンに頼りがちですが、トレンドの確認がおろそかになっています。
トレンドフォロー手法を採用しているのであれば、以下の2つのポイントが絶対に重要です。
1、トレンドが発生していることの確認
2、機能している抵抗帯の確認
究極的には、この2つだけがエントリーの成否を決める要素となります。しかし、実際にはこの2点がしっかり確認できていないトレーダーがほとんどです。
自己都合で早めにエントリーしたり、局所的な視点でチャートパターンだけを頼りにエントリーすると、どんなにテクニックやオシレーターを駆使しても、そもそもトレンドフォローになっておらず、結果として勝率が大幅に低下してしまいます。
そのため、エントリーを行う前に、上記の2つのチェック項目を最重要視することが必要です。これが確認できてから、エントリータイミングを見極めるようにしましょう。しっかりとしたトレンドや抵抗帯が形成されていない場合は、エントリーを控えるべきです。
免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、いかなる投資行動を推奨・勧誘するものではありません。記載されている情報は作成時点のものであり、正確性・完全性を保証するものではありません。相場の状況は常に変化しており、経済指標・地政学リスク・金融政策など外的要因によって、予想を大きく上回る変動が生じる可能性があります。
投資に関する最終的な判断は、読者ご自身の責任とリスク負担のもとで行ってください。本記事の内容を利用したことで生じたいかなる損害についても、執筆者および当サイト運営者は一切責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。投資に際しては、最新の情報収集と慎重なリスク管理を徹底することを強く推奨いたします。
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